妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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もしもの世界線


ジャッカル「オレの呪法は触れたもんを爆弾に変える力や」

ホジホジ

アミク「…」

ジャッカル「ほな、この鼻くそだって…」

ぽい

ジャッカル「『爆鼻糞』!!」

ドォオン!!

ドヤァ

ジャッカル「どや、スゲェやろ!目糞鼻糞耳糞全部いけるで!もちろんケツから出るクソもな!!」

アミク「クソすぎる」


このジャッカルは他の九鬼門にも嫌われてると思う。



傷だらけの心身

妖精の尻尾(フェアリーテイル)ではマカロフがエルザからの報告を聞いて唸っていた。

 

「あのミネルバが闇ギルドに?」

 

「はい」

 

ウォーロッドからの依頼で太陽の村へ行った時のことだ。エルザはその時にミネルバと交戦したのだ。

 

「奴の父親は? 確か剣咬の虎(セイバートゥース)の元マスターの」

 

「今の所、行方はわかりません」

 

ミネルバに彼女の父親であるジエンマ。二人ともあの大魔闘演武の日から姿を消していた。

マスターが居なくなった剣咬の虎(セイバートゥース)はスティングをマスターとしてなんとかやっていけているようだ。

 

「しかし、これは評議会に報告せねばなるまいのう」

 

「それに関してはアミクが現在、評議院にいるので彼女が報告するでしょう」

 

「そういえばそうじゃった。ならよいか」

 

「私もスティングに一声かけておこうと思います」

 

ミネルバが闇ギルドに属していると伝えればスティング達もショックを受けるかもしれないが、彼らも知っておかなければなるまい。

自分達もできる限りフォローしてあげた方がいいかもしれない、とエルザは思った。

 

 

 

 

 

 

 

「これ見て」

 

レビィが読んでいる本のある部分を指し示す。その後ろからナツやルーシィ達が覗き込んだ。

彼らは今回の依頼で聞いた「END」や「竜の巫女」が気になり、こうして調べていたのだ。

 

「『END』…。詳しくは書いてないけど、ララバイやデリオラなんかとは比較にならない悪魔らしいね」

 

「最強のゼレフ書の悪魔って事かしら」

 

一応文献に名前くらいは載っている悪魔ではあるようだが情報が少なすぎる。ただアトラスフレイムの話でも「END」がとてつもない力を持つ悪魔だと言われていた。

 

「怖いですね」

 

「でも悪魔が全部怖いわけじゃないから安心するの。中には気のいい悪魔もいるの」

 

「そうなんですか?」

 

「それってガルナ島の悪魔のことだよね。確かにいい人達だったよね!」

 

「人じゃなくて悪魔なの」

 

とはいえ、ガルナ島にいた悪魔達はゼレフ書の悪魔ではないはずだ。あくまでゼレフ書の悪魔に限れば害のある悪魔しかいないのかもしれないが…。

 

「そもそもゼレフ書の悪魔とは何なのだ?」

 

「知るかよ」

 

リリーの疑問にガジルは鼻を鳴らした。素直なのはよろしい。

 

「ゼレフが生み出した悪魔よ。その召喚法を1冊の本にまとめてるって訳」

 

「じゃあ、その本があればゼレフ書の悪魔を呼び出せるって事?」

 

「確か…本一冊で悪魔一体…だったような気がするの」

 

「その通りよ」

 

その本が星霊の鍵のような役割を果たしているのか、本そのものが悪魔の本体なのかは分からないが本とゼレフ書の悪魔は密接に繋がっているのは確かだ。

だから「END」もゼレフ書の悪魔ならば例に漏れないはずだ。

 

「ENDにもその本があるはずってことなの?」

 

「もしかしたらそれを冥府の門(タルタロス)が持ってるのかしら…」

 

冥府の門(タルタロス)とEND。必ずしもこの二つが関係あるわけではないだろうが、「悪魔」という部分だけでも何らかの関連性を疑う余地はある。

 

「そんで…そのENDを破壊しようとしていたイグニール。うん…わかってきたぞ」

 

「え?何がですか?」

 

ナツの言葉にみんながキョトンとなる。

 

冥府の門(タルタロス)に殴り込む」

 

「賛成!」

 

何も分かってなかった。何かガジルまで同調しだした。

 

「やれやれ、脳がマヨネーズタンクなお馬鹿さん達は発想がしょっぱいの」

 

「んだとー!!」「誰がマヨラーだ、コラ!!」「誰もそんなこと言ってないぞ、ガジル」

 

なぜマヨネーズなのかは謎だがマーチの呆れ具合は伝わった。

 

「っていうか冥府の門(タルタロス)って謎が多すぎるのよ。殴り込むって言っても評議院でさえギルドの位置を掴んでないんだって」

 

そう、バラム同盟の中でも圧倒的に情報が少ないのが冥府の門(タルタロス)なのだ。構成員や使う魔法、活動履歴など全てが謎に包まれた闇ギルド。

未知という意味ではバラム同盟で一番危険なギルドと言っても良いだろう。

 

 

「でもなァ…イグニールの居場所の手がかりだしな。オーディオンとも関係あるかもしれねえし」

 

「そうですね、グランディーネも」

 

「もしかしたらメタリカーナともつながってるかもしれねえ」

 

イグニールが関わっていたかもしれないということは、他のドラゴン達も関わっていた可能性も見逃せない。だからナツ達もENDについてやけに気になっていたのだ。

 

「ところで竜の巫女については何か分かった?」

 

「うーん、それに関してはどの文献を読んでも名前すら見つからなかったんだよね…。情報が全くない」

 

もう一つ。アトラスフレイムがゼレフやEND、あのアクノロギアさえもどうにかできるだろうと仄めかしていた「竜の巫女」。何かの手がかりになるかもと思い調べたが…。

 

「そっちに関しては手詰まりかなぁ…」

 

「竜の巫女…やっぱりドラゴンと関係あるんだろうな」

 

「「巫女」だから人、なんでしょうか?」

 

「そういう概念かもしれないの。まぁ情報がないんじゃ推測しても意味ないと思うの」

 

一旦「竜の巫女」のことは置いておくしかあるまい。

 

 

「…つーか、アミク遅くねーか?」

 

ナツが気になったように口に出す。だがそれはみんなが思っていたことだった。

 

「確かに、昨日の夜に評議院に向かったはずなのに。まだ用事が終わってないのかしら」

 

「あの評議院のことなの、どうせミミズの糞みたいにちっちゃいことでアミクを拘束しているに違いないの」

 

「少し、心配ですね…」

 

アミクには通信用魔水晶(ラクリマ)を持たせてある。用事が終わればそれでマーチに迎えにきてもらう手筈だったが…。

 

「…後で様子を見にいったほうがいいかもしれないの」

 

「よし、オレも行くか」「あいさー!」

 

「アンタ行って何するのよ…」

 

みんながアミクのことを気に掛けていた。

 

 

 

 

その時。

 

 

バン!とギルドの扉が荒々しく開け放たれた。

 

 

「大変だぁーーー!!」

 

ジェットとドロイが慌てて入ってくる。ジェットの片手には新聞が握られていた。

彼らの慌ただしい様子にナツ達の不安が駆り立てられる。

 

 

「大ニュース!!」

 

 

 

「どうした、何事だ」

 

マカロフが冷静に話を聞く。

 

「ひょ、評議院が…」

 

ジェットは荒く息をついて呼吸を整える。そのタイミングでドロイが引き継いだ。

 

「評議院が襲撃されたんだ!!」

 

ガタン!!と椅子が倒れた音がした。

 

「本当か!!?」

 

ナツが余裕のない様相でドロイに掴みかかった。

 

「うわっ!!?落ち着けよ!!」

 

ナツの剣幕にビビりながらドロイは彼を引き離して詳しく説明しだした。

 

「ERAが急に爆発して崩壊したらしいぞ。死傷者もたくさん出ちまったって…」

 

しかしナツは最後まで聞かずに扉へと駆け出した。

 

「ナツ!?」

 

「おい、まさか評議院に行くつもりか!?」

 

メンバー達の声も聞かずに外に飛び出してしまったナツ。

 

「ま、待ってよナツ!!」

 

「あーしも…あーしも行かなきゃ…なの」

 

ハッピーが慌てて追いかけ、マーチもどこか上の空で後に続いた。

 

そして残ったルーシィ達の顔は青ざめていた。彼女達は知っているからだ。

 

 

アミクが評議院に向かったことを。

 

 

 

彼女達は気付いてしまったのだ。アミクの帰りが遅い理由が。

 

 

そして恐ろしい可能性にも思い至ってしまった。

 

 

今になっても連絡すら来ない。

 

 

連絡もできない状態にあるということだ。

 

 

つまり…最悪の場合…。

 

 

 

「…無事、だよね…?」

 

 

言葉を出すのを恐れるように誰もが口を噤んでしまった中、ルーシィがポツリと呟いた声がよく響いた。

 

それは全員の気持ちの代弁でもあり、願いでもあった。

 

「今回のニュースには具体的な情報はねえ…」

 

ジェットもなんとなく事情を察したのか、もう一度新聞に目を通しながら言いづらそうに告げた。

 

「…私も行きます。私の魔法が必要になるかもしれません」

 

ウェンディが青ざめた顔のまま覚束ない足取りでギルドを出て行く。シャルルも心配そうに彼女の後を追う。

 

「念の為だ。オレも行ってくるぜ」

 

「ガジル…」

 

「襲撃した奴が残ってるかもしれねえだろ」

 

真剣な表情で言い放ったガジルはリリーを伴って外に出て行った。

 

マカロフはそれを止めることはしなかった。

 

後にギルドに残ったのは静寂。しかしマカロフが小さく言う。

 

自分がよく使う言葉を。

 

 

「…信じて待つしかあるまい…」

 

 

その言葉は、自分に言い聞かせているようだった。

 

 

 

 

 

「ハッピー!全速力だ!!」

 

「あいさー!!」

 

「このまま真っ直ぐ行けば評議院なの!!」

 

ナツ達は空を飛んでERAへと向かっていた。その後方ではウェンディとガジルがそれぞれのエクシードに運ばれて飛んで付いて来ている。

 

(アミク…無事でいてなの…!!)

 

マーチは心から案じた。

 

マーチは後悔していた。アミクをERAに連れて行った時に自分も残るべきだったと。自分ならアミクが危険に晒されても一緒に逃げることができたのに…。

 

「アミクは、大丈夫だ!ぜってぇに!!」

 

ナツがマーチの不安を和らげるように強い口調で言う。あるいは自分にも向けた言葉だったのかもしれない。

 

「うん!アミクがやられるはずないよ!大丈夫だって!」

 

ハッピーも安心させようとしているみたいだった。だがナツを持つ手が僅かに震えているのを見逃すマーチではなかった。

 

 

 

逸る気持ちのせいか長い時間が経ったように感じる。ようやくERAが見えてきた。

ナツ達滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の視力では目も当てられないほどボロボロになった建物と人が何十人も倒れている惨状が見える。その倒れている人々を運んだり白い布を被せたりしている生き残った評議院達の姿もあった。

 

「う…」

 

「これは…酷いわね…」

 

ウェンディが口を抑え、シャルルも痛ましそうな声を上げた。

ガジルとリリーも表情を歪めている。

 

ナツ達は飛び降りるように着地した。そうするや否やナツは大声で叫び始めた。

 

「アミクゥゥゥ!!!どこだぁぁぁ!!!」

 

怒号のようなその声に驚いた評議院達が振り向く。

 

「な、なんだ君達!?」

 

「おいお前!アミクはどこにいるんだ!!」

 

一人の評議院が声を掛けるが、ナツ派それを無視して掴みかかった。

すると彼はナツの肩に付いている紋章を見てナツが何者かを悟ったようだった。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)…そうか、彼女の…」

 

痛ましそうな表情になった評議院を見てナツ達の心臓が嫌な音を立てる。最悪の予感が頭を掠めた。

 

「…彼女は、あちらに…」

 

後は自分達で確認しろ、と言うようにある方向を指差す。

 

「あっちにいるんだな!!?」

 

ナツはすぐに駆け出した。マーチ達も後に続く。

 

 

 

 

 

彼女はいた。

 

 

呻き声を上げる重傷者の間。崩れた大理石に寄りかかるようにして彼女は目を瞑っていた。

 

 

 

「───アミク、起きろぉ!!」

 

焦燥と不安。それらが混ざった声色を隠さずにナツはアミクの肩を掴む。

 

ナツが叫んでもアミクは起きない。

 

 

不安が募る。

 

 

姿はある。

 

ただ、その生命活動はちゃんと稼働しているのか。それが一番の重要事項だ。

 

 

 

 

───ドクン、ドクン

 

 

弱いが心臓が動いている。小さいが息もしている。

 

 

目こそ覚まさないが、彼女は生きている。

 

 

 

それだけでナツ達は深い安堵の息を漏らした。

 

 

「良かったぁ…」

 

ウェンディが早速涙目になる。それはマーチも同じだった。

 

 

「…生きててなんぼ、なの…」

 

 

全員が安堵する中、ナツだけがすぐに険しい表情になる。他の者達も顔色を変えた。

 

アミクの全身の姿に注視することができたからだ。

 

 

それは酷いものだった。

 

 

包帯が巻かれているものの多量の血が滲んで滴っている。火傷のように焼けただれた肌が外気に晒されていた。

明らかに放っておいたらいけない傷もそのままだ。このままでは死に至る。そう言われてもおかしくない危険な状態だった。

 

これは異様である。アミクなら自分を回復することもできるだろうに。魔力が足りなくなってしまったのだろうか。

 

「なんで、こんな怪我だらけ…」

 

「わ、私が…治療します!」

 

ウェンディが震えながらアミクに優しい光を掛けた。ようやく、彼女の綺麗な肌を汚す傷が癒されていく。

 

「一体何があったってんだ…」

 

「襲撃があった、とは言ってたがこれほどのものとは…」

 

リリーが周りを見回すと明らかに死んでいると思われる人も多くいる。

 

 

「あなた方は…」

 

その時、後ろの方で声がして全員が振り返る。

 

 

そこには頭に包帯を巻いたラハールがいた。

 

「前にジェラールを捕まえた評議院なの…!!」

 

ナツ達にも見覚えのある人物だ。ラハールはアミクとナツ達を交互に見て「迎えに来たのですか…」と合点が行ったように頷いた。

 

それが気に障ったのかナツがラハールに掴みかかる。彼はさっきから衝動的に人に突っかかっている姿が多い。冷静ではないようだ。

 

「テメェ!!何があったんだよ!!誰にやられたんだ!!」

 

ラハールはこんな時でも冷静だった。ただ痛ましそうにアミクを見て、隠すことではないと判断したのか素直に説明する。

 

 

「…冥府の門(タルタロス)です。あの闇ギルドのメンバーに襲撃され…議員が一人を除き全員死亡しました」

 

 

絶句する。議員が死亡?それをやったのがあの冥府の門(タルタロス)

 

「そこで居合わせたアミクさんが単独で冥府の門(タルタロス)のメンバーと交戦。無事、撃退しました」

 

無事なものか、ここまでボロボロになって。ナツ達は壮絶な戦いがあったのであろうことをアミクの状態から悟った。

 

「しかし重傷者も多く、生き残った評議院だけでは手が足りません。なので彼女にも力を借りました」

 

淡々と言うラハールにナツは怒りの形相を向けた。

 

「そして彼女は…自分の怪我よりも他人の治療を優先しました。自分に使う魔力すら惜しいと」

 

持続回復の付与術(エンチャント)はすでに切れていたにも関わらず。傷が開いていくのも物ともせず。無理矢理応急処置を施したが、それでも彼女は止まらなかった。

体力も気力も魔力も消耗していながらも。ラハール達に大きな音を立ててもらってそれを食べ、魔力を無理に回復して。

青白い顔で人を救おうとしていたのだ。少しでも生存者を増やそうと、彼らを生かそうと。彼女の体はもう限界だったのに。

 

「…おかげで一命を取り留めた者も数多くいます。感謝してもしたりません」

 

「ふざけんじゃねえ!!!」

 

本気のナツの怒りがその場にいた人々を叩きつけた。

 

「アミクはテメェらの都合のいい道具じゃねえんだぞ!!」

 

ラハールが悪いわけではない。あくまでこうなるまで治療を続けたのはアミクの意思だ。

ここでラハールを責めるのは一人でも多くの命を救おうと無理をした彼女を否定することになるのかもしれない。

それでもナツは責めずにはいられなかった。怒りを抑えられなかった。

 

「一人で戦わせといて!!後始末も押し付けやがって!!」

 

その怒りはアミクに多くを背負わせて評議院に対してなのか、その場にいなくてアミクの力になれなかった自分に対してなのか。

少し理不尽とも言える怒りにもラハールはどこまでも冷静な対応だった。

 

「申し訳ございません。責任は我々にあります」

 

「責任とかどうだっていいんだよ!!」

 

「ナツ!!」

 

もはや怒りで自分を見失い掛け、拳を振り上げたナツはハッピーの声にハッと我に返った。やっと自分が暴走しかけていたことに気付く。

 

「それ以上はやめるの…アミクだって望まないの」

 

マーチが悲しそうに言うと、ナツは顔を俯かせて拳を下ろした。

 

「…悪ぃ。血が上ってた」

 

「構いません。あなた方は怒りを抱く権利がある」

 

ラハールは表情を悲痛なものに変えた。

 

「私も彼女に命を救われた内の一人。命の恩人です。だから私も、何もできなかった自分が憎い…!」

 

本心だと分かった。ナツもそれを聞いて何も言えなくなる。

 

 

「…ん」

 

微かな声を聞いてナツはバッと振り向いた。緑髪の少女が薄っすらと目を開けたところだった。

 

「…ナツ?それに、みんなも…」

 

「起きたの!?」

 

マーチ達は小さな声で喋るアミクを慌てて囲む。

 

「心配したんです!本当に…!」

 

「ま、こいつがあっさりやられるタマなわけねえ。テメェらは心配しすぎなんだよ」

 

ガジルが素っ気なくそう言うが、その声にはアミクを気遣う色が宿っている。朧げな意識のアミクでもそれを感じて嬉しくなった。

 

「無茶しすぎだよ!こんなになるまでずっと治してたって…」

 

「もっと自分を大事にしろなの」

 

仲間達が口々にアミクを気遣う言葉を言ってくれてアミクの心はポカポカした。

そして、アミクが力なくナツに視線を向ける。

 

「…私、勝ったよ…」

 

「ああ、勝ちだ。やったな」

 

簡潔だが微笑んでそう言ってくれる彼の顔は優しい。だからアミクも気が緩んだのだろう。

 

「でも…」

 

今まで抑えてきたものが溢れ出したように、涙が溢れた。

 

「ごめんなさい…」

 

「何で謝んだよ」

 

慌てるナツ。しかしその謝罪はナツに向けたものではないように聞こえた。

彼女は泣き止まない。自分が泣いてることにすら気づいてないかのようだ。

 

「助けられなかった…」

 

多くの命が失われた。アミクの目の前で。

 

瓦礫に潰され、悲鳴も上げられずに即死した人。爆発に肉体を四散させられた人。多量の血を流し、苦しみながら息絶えた人。

 

必死に治療魔法を掛けてもそのまま命を散らしてしまった人もいた。魔力が足りずに治療が間に合わなかった人もいた。

 

多くの死体がアミクの前に積み上がっていた。

 

戦いが終わった今、意識しないようにしていたそれらが重くのし掛かってくる。

 

静かに涙を流すアミクを前に、ナツ達は何か慰めの言葉をかけようとした。

だが、それは喉に引っかかって外に出ることはなかった。

 

今の彼女には何を言ってもその顔を明るくすることはないだろう、と悟ったから。

 

 

少女は身体だけでなく、心も深く傷ついていた。

 

 

アミクのすすり泣く音がしばらく響いていた。

 




あの自爆からアミクがどうやって助かったかはまた後で説明します。

ま!大体皆さんが想像してる通りですが!!(逆ギレ)
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