もう長く放置しすぎて忘れた人もいるかもしれません
ですがモチベが再燃しました!たとえ読んでくれなくても連載したからには完結までやります!
再開です!
あ、でも卒業論文とか就活とかあるからあんまり頻繁には登校できないかもしれません…(小声)(保険)
でもやります!社会人になってもやりますよ!
医務室の前でアミクは座り込んでいた。
いつまでも医務室にいたらラクサス達にも負担だろうとみんな出て行ったのだが、アミクは医務室から離れる気分にはなれなかった。
「…はぁ」
こうしていると嫌でも色々と考えてしまう。
死んでいった人達のこと。
胸に痛みを感じて手で抑えた。でも痛みは治らない。
いつまでもこうしているわけにもいかないことは分かっている。でも、立ち上がる気力がない…。
そこに一人分の足音が聞こえてきた。
「ナツ…やっほー」
ナツだ。ナツは真剣な表情でアミクの隣にやってきた。
そしてアミクをジッと見て口を開く。
「何してんだ?うんこか?」
「ここでするか!?」
思わず叫んでしまった。
「じゃあアレか。うんこがブロッコリーみたいになってたから悩んでたんだろ?」
「うんちから離れてよ!?でもちょっと興味あるなそれ…」
「興味あんのかよ…」
話を振ったナツの方が引いていた。自分から振ったくせに。
(まぁ…多分ナツなりに元気付けようとしたんだろうな…多分)
気分が沈んてたのに、いつの間にかいつものような茶番を繰り広げてしまった。
「で、いつまでそうしてるつもりだよ」
「…分かってるよ。いつまでも落ち込んでられないって」
「アレはお前のせいじゃないだろ、別に」
人が死ぬ瞬間を見るのは初めてではなかった。アミクの治療をもってしても失くしてしまった命も過去に幾度かある。
しかし何十人もの人が目の前で無残に命を散らしてしまったのは…初めての経験だった。
一瞬で失われる多くの命。治療も虚しく手からこぼれ落ちていく命。
それらの光景が脳裏に焼き付き、アミクの心を酷く苛んでいた。
私がもっと早く襲撃に気づいていれば、誰も死ななかったかもしれない。
私にもっと実力があれば、死にかけの人も癒せたかもしれない。
私が…。
意味のなさない後悔が次から次へと浮かぶ。なんの生産性もない思いがアミクの瞳を澱ませる。
それは過去の後悔さえも再燃させ、蝕んでいく。
シモンの時も未来ルーシィの時も、アミクの力が足りなかったから死なせてしまった。
今回も同じだ。
評議院もラクサス達も、自分が無力なせいで苦しんでいる。
「私は…誰も救えない。誰も助けられない…!」
晴れない黒い思考に染まりそうになった、その時。
「ほい」
「あぢゃあ!!?」
何の前触れもなくアミクの頭を燃やされた。炎上だ。
ハゲたらどうすんだこの野郎。
「何すんの!?人に火をつけるとか放火魔の始まりだよ!?電子レンジに入れた卵みたいに爆発させたろか!!?」
「最高にバカだな、お前。バカっていうか…大バカだ」
「ファ!?キングオブバカのナツにだけは言われたくないしー!!?」
喚くアミクをスルーしてナツは顔を至近距離まで近づけてきた。
「うおっ、ガチ恋距離…!」
「いいか、よーく聞けよ」
ナツの釣り目がますます吊り上がった。
「オレは助けられてるぞ、今まで何度も何度もな!」
「はぇ…?」
「お前がいなかったらもっと酷ぇ怪我だってしてたかもしんねぇ。でもオレは元気だ!お前のお陰だよ」
「そうかな…ナツなら私なんかいなくても大丈夫だったと思うけど」
「バカ言えよ。オレが無茶できるのはお前がいたからなんだよ」
「嘘、ナツにはそんなの関係ないじゃん。私がいようといまいと自分勝手に無茶苦茶して…」
そんな光景がありありと目に浮かぶ。どんな状況だろうと敵に向かって突っ込んでいくナツの姿が。
「そりゃそうだろうけどな。お前がいなくてもいいわけじゃねえぞ。お前なら絶対に助けてくれるって思いっきり暴れられるからな」
「君はいつだって全力じゃん」
「つまり!気持ちの問題だ!」
吠えるナツ。アミクは何も言えずにただ聞いていた。
「後アレだ。オレたちが色々やらかしてぶっ壊しても後始末してくれるしな」
「それは普通に迷惑だわ!加減しろバカ!」
人の苦労をなんだと思っているのか。
…まぁ、そういうのも含めて助かってると言いたいのだろうが何か釈然としない。
アミクが悶々としていてもナツは続ける。
「お前は助けられなかった奴らばかり考えてるけどよ」
心から吐き出すように大きな声で。
「救えなかった奴らばかり見てんじゃねえ!助けられた奴らのことも思い出せよ!お前に救われた奴らがどんだけいると思ってんだ!」
「オレもルーシィもマーチも!グレイやエルザ、ウェンディだって!ギルドのみんなも他のギルドの奴らも!みんなお前のおかげでいっぱい助かってんだ!」
「それでも辛いってんなら、一人で背負いすぎんな。少しはオレ達にも背負わせろよ。それが仲間ってもんだろうが!」
一つ一つの言葉が炎となってアミクの凍った心を溶かしていく。
「これから救えなかった分もいっぱい助けていこうぜ!オレたちと一緒にな!」
一人で何もかもを救おうとする必要はないのだ。
そのための仲間。アミク一人だけの傷つくこともない。
「オレはお前がスゲェ頑張ったのを知ってる!!そんなお前を責める奴がいたらぶっ飛ばす!!」
頭突きをするかのようにアミクのおでこに自分のおでこをぶつけてきた。
キスしそうなんですが。
「だからお前も自分を責めたら、ぶっ飛ばすからな!!」
「本人もですか…」
何人たりともアミクを愚弄するのは許さないということか。それがたとえ本人であっても。
「いつも疲れさせるのはナツだけど、いつも力をくれるのもナツの言葉なんだよね」
アミクの心が折れそうになるといつも支えてくれたのは仲間の存在だった。その中でもナツの言葉は立ち上がらせるだけではなく、大きな活力も与えてくれた。
でもナツの言葉だけで持ち直すのは、我ながら単純というか…。
まぁ、それくらい心に響いたということでいいだろうきっと。
「…昔から思ってたけど。不思議な人だね、ナツは」
「オレもお前のこと変だって昔から思ってたぞ。ブロッコリーばっか食って飽きねえのかって」
「お?ブロッコリーを侮辱したね?喧嘩なら買うよ?」
「してねえよ!?でも喧嘩ならいくらでも売ってやる!」
ナツはバカだし脳死で突っ込んでいくし周りの迷惑だって考えない大問題だけど。
誰よりも仲間想いで彼の魔法を体現するかのようにすごく心が熱く燃え上がってる人なのだ。
そういうところがアミクは好きだ。
「お前がいなきゃダメなんだよ。オレも仲間もギルドもな」
「さっきからドキッとすることばかり言うね!?」
ナツは平気でこういうこと言うので心臓に悪い。
「でも…そうだね。もう悲しむのはおしまい、かな」
そうだ。ここで立ち止まってる場合ではない。
やるべきことは沢山ある。
それに…オーディオンと会うためにも立ち止まってはられないのだ。
「いくか!アミク」
「うん。まずは…」
アミクは差し出されたナツの手を掴んで立ち上がった。
そしてみんながいるギルドのホールに向かう。
「腹ごしらえだね」
●
「あ、アミク…」
「おーっすなの…」
アミクが現れると少しギルドの雰囲気が気遣わしげなものになる。
これも自分が原因なので申し訳なく思う。
なら、もう元気な証拠を見せなければ。
アミクはルーシィの隣のカウンターの前に座るとミラに呼びかけた。
「ミラさん!例のヤツ一つ!」
「!…オッケー」
少し目を見開いたミラはキッチン向かい、しばらく籠っていたかと思うと丼を持ってやってきた。
「はい、アミク限定スペシャル料理『ブロッコリー親子丼』よ」
丼に乗っかってアミクの前に出されたのはほかほかでとろとろの卵に閉じられた、玉ねぎと鳥肉と大雑把に切り刻んだブロッコリーが混ざった白ご飯。
アミクの大好物の「ブロッコリー親子丼」だ。アミクのためだけにミラが作ってくれる特別料理。
アミクは箸を手に持つと一気に口の中に掻き込んだ。
ガツガツと勢いよく食べてるのに食べカスが飛び散ることもなく、非常に上品に食べている。
そしてあっという間に完食した。
丼の上に箸を置き、しばらく沈黙。
次に口を開けた時は──────。
「──────うんまぁ〜〜〜〜〜っ…」
最高に蕩けた笑顔だった。
「やっぱミラさんのブロッコリー親子丼が至高!唯一無二!ミラさん特製のしか勝たん」
「ふふ、いつもそう言ってくれて嬉しいわ。昔から練習した甲斐があるってものね」
「普通に美味しそうなのがなんとも言えないわね…」
ルーシィが微妙そうな表情で言う。
「ごめんね、待たせちゃって。でももう大丈夫」
「やーっとウジウジモードが解除されたの」
「心配したんだから、もう」
「ごめんて」
マーチがアミクの肩に乗った。ルーシィも笑みを見せてくれた。
アミクはマーチを撫でながら立ち上がって拳を突き上げる。
「よしっ!
「おー!なの!!」
音竜が今、傷を乗り越え再び立ち上がった。
ギルドメンバー達はアミクから溢れ出る力を感じ取って心から安堵したのだった。
暗かったギルドに少しだけ光が戻ってきた気がした。
原作読んだらむくむくとモチベが湧き上がってきたんですよ
やっぱ面白いわフェアリーテイル
でも世間的にはフェアリーテイルってあまり評判良くないのかな…悲しい