「んで、
「評議員も居場所を知らないんだ」
「クソー!早く突撃してぇ!!」
「頭戦闘民族は今は抑えてろなの」
ここで手がかりとなってくるのは直接戦ったアミクの情報だろう。
「何かあいつらについて分かることはねえのか?」
「あ…そういえば」
そうだ、アミクならではのとっておきの情報がある。
「
「悪魔!?」
「私が戦ったジャングルジムっていう人も自分達のこと悪魔って言ってた。多分、ラクサス達が戦ったのも悪魔だろうね」
どこからか「ジャッカルだワレェ!!」というツッコミが聞こえてきた気がした。気のせいだろう。
アミクは他にも説明をした。
悪魔が使うのは魔法ではなく「呪法」と呼ばれるものだということ。第二形態のようなものがあったこと。
…本当はもっと早くに言うべきことだったが、ギルドメンバー達はアミクの精神状態を考慮してくれて待っていてくれたのだ。
本当に頭が上がらない。だからこれからは挽回する意味でももっと積極的に動こう、とアミクは決意した。
「ここで『悪魔崇拝』が繋がってくるわけか」
「悪魔が一人や二人だけってことはないはず。きっと幹部級全員は悪魔だと思っておいたほうがいいね」
「悪魔だろうがなんだろうが関係ねえ!全員ぶっ飛ばせばいいだけだ!!」
まぁ極論ナツの言う通りではあるのだが。しかしまだ情報が不足してる中で無闇に戦うのは危険だろう。
もう少し情報が必要だ。
「呪法ってのもよく分かんねえな。魔法とは別物らしいが…」
「魔力は感じられなかったら魔力とは別のエネルギーがあるんだろうね。仮に『呪力』としようか」
ジャッカルにしろラクサス達と戦った悪魔にしろ、その能力はとても強力で凶悪なものだ。
アミク達
まだ謎は尽きない。
「結局、評議員が狙われた理由は分かる?」
「そこまでは…」
「評議員だけじゃない。元評議員であるヤジマさんも襲われた。狙いは現評議員だけではなかったということだ」
現議員だけではなく元評議員も狙われた理由。
思えば彼らは評議員達からもヤジマからも何の情報も聞き出そうともせずに殺害しようとしていた。
エーテリオンを使えなくするため、という推測があるが本当の所は分からない。
だが彼らの目的がはっきりすれば対抗策も浮かぶはず。
「…やはりオーグ老師にもっと詳しく話を聞くしかないようじゃな」
唯一生き残ったオーグ老師。もしかしたら彼はエーテリオン以外で
「でも今は安全な場所に避難できたとはいえ、まだ予断を許さない状況だから迂闊に連絡を取れないって…」
「それがついさっき連絡があってのう、少しだけなら我々と話しても良いとな」
マカロフはカウンターに置いてある通信用
「マジか!じゃあ早く言えよな!」
「今繋がったばかりじゃよ。アミクとも話したかったらしいからな、ちょうど良い」
「え!?私と…」
そういえばあの後から一度もオーグ老師と話してない。
これがあれ以来初めての会話になるのか。
「というわけで、じゃ。話してくれるか?」
マカロフが
オーグ老師だ。
『…その前に一ついいか。
そう声を掛けられてアミクは慌てて
『
「あ、いえ…本当に助けられて良かったです、はい」
思わずモジモジしてツインテールを弄ってしまった。
…そっか。
私は助けられたんだ…この人を…。
助けられなかった命は数知れない。
しかし…助けられた命もちゃんとあるという事実に、アミクは目を背けてしまっていた。
でも改めて感謝の言葉を言われたことで実感し、心に染みてくる。
少しだけ泣きそうになった。
…後ろから生暖かい視線を感じるような。
やめろ、見るな恥ずかしい。
『さて
「そうじゃ、お主はエーテリオンを使えなくすることが目的ではないかと言っておったらしいが…」
『実を言うともう一つ、心当たりがある』
その言葉にアミク達に緊張が走った。
『…これは本来は秘匿義務で話すことは禁じられておるが…状況が状況だ。命の恩人もいることだから口を割ろう』
秘匿義務。誰にも知られてはいけない非常に重要な情報ということだ。
全員息を飲んでオーグ老師の言葉を待つ。
『────白き遺産、フェイス』
『評議院が保有する兵器の一つだ』
「…フェイス…」
アミクの呟きがギルド内に無駄に響く。
「兵器だぁ?評議院がなんでそんなモンを」
「魔法界の秩序を守るためでしょうね」
「大体エーテリオンだってあるから今更なの」
万が一に備えて秘密兵器を保持しておくのは理解できる。
偉い組織にはそういうのも必要なのだろう。
この前だってフィオーレ王国がエクリプスというとんでも装置を所持していたのが発覚したばかりだ。
『評議院の兵器は重要度や危険度によって管理の仕方も変わる』
例えばエーテリオン。
7年前までは評議員5名の承認で発射することができたが、現在では現評議員9名の承認と上級職員10名の解除コードで発射することができる。
「あ、じゃあエーテリオンを無力化することも目的の一つではあったってことなの」
「あの兵器は
結局あの推測も間違いではなかったということだ。
「ではそのフェイスとは一体どんな兵器なんじゃ?」
『────魔導パルス爆弾。大陸の全魔力が消失してしまう魔導士にとっては恐ろしい兵器だ』
アミク達にその日一番の衝撃が走った。
「な…!!?」
「魔力が全部なくなる!!?」
「それって全ての魔導士が魔力欠乏症になっちゃうってこと!!?」
エドラスを思い出す。
魔力のなくなった世界で魔力を宿していたものはどうなったのか。
人はアースランドへと送られたが…武器や道具などはガラクタとなっていた。
「この世界を今のエドラスみたいな状態にさせようとしてるの!?」
「それだけではない…
エルザの言葉に多くの人が彼女の言わんとすることを察した。
「魔導士は全然魔法を使えないのに、悪魔達だけが力を使いたい放題のフィーバータイム!!?」
「やっべぇやっべぇやっべぇわなの!!」
「何という兵器を…!」
ギルドの中はあっという間に騒然となった。
険しい表情のアミクが必死に問い詰める。
「それはどこにあるんですか!?」
『…ワシもその在処までは知らされていない』
「おい!肝心なことが分かってねえじゃねえか!!」
『だが、その封印方法なら聞いたことがある』
騒ぎ出そうとしたナツがすぐに黙って耳を傾けた。
『3人の元評議員の生体リンク魔法。つまりその三人が殺されれば封印が解ける』
「元評議員ってことは…オーグさんは違うってことですよね」
『聞いた話が本当ならばな…すまんがワシも生体リンク魔法を掛けられた3人が誰かは知らん』
「んだよ!やっぱ肝心なことが分かんねーのかよ!!」
「ナツ!知っていることを話してくれるだけでもありがたいことなんだから…」
アミクがナツを窘める。
オーグ老師は申し訳なさそうな表情で続けた。
『すまないな。言い訳になるかもしれんが、昔も今もワシは一介の評議員に過ぎん。知れる情報には限度がある』
「…悪かったよ、じーちゃん」
ナツがバツが悪そうに目を逸らした。彼も焦っていただけだろう。
『だがワシが知らなくとも他に知っている人物には心当たりがある』
「本当か!?」
『ああ…元議長だ』
元議長と聞いて思い出すのは、7年前にエルザが逮捕された件で評議院にナツと共に殴り込みに入った時のことだ。
あの時議長をしていたのが、今言う元議長なのだろうか。
『先に言っておくが議長の居場所は知らない。そもそも元評議員の住所は現評議員にも秘匿されておるのだ』
「うむ…それもそうか…」
「なんで評議員の住所が秘密にされてるんだよ?しかも現評議員にまで」
「評議員に恨みを持ってる人もいるだろうからね…住所バレでもしたら玄関に落書きされたり勝手にゴミ置かれたりしちゃうよ」
「特定の恐ろしさなの…」
まぁ隠す気もなさそうなヤジマと親交を持っていたため実感は薄いかもしれないが、評議員の個人情報は徹底して守られているはずなのだ。
だからオーグ老師が知らずとも仕方ない。
「とりあえず…なぜ
『ワシが生き残っているとはいえ、今の評議院ではエーテリオンを起動させることはできない。だから奴らが今ワシを殺す理由は薄いはずだ。
奴らがこれから優先して狙うのは…』
「元評議員ってわけか」
とにかく
「まずは元評議員の居場所を割り出して護衛に付けさせねばな。一番知るべきは元議長の住所じゃ」
「フェイスの鍵となる3人はもちろん、それ以外の元評議員も守らなきゃ!」
命に優先事項をつけるわけでは無いが…絶対に守らなければならないのは封印を担う3人だ。
でもできれば全て守りたい。
(でも元評議員と言えば…ジェラールとウルティアもそうだったはず)
アミクは
あの二人も楽園の塔の一件があるまでは議員であったはずだが…もしかして彼らの中に、あるいは二人とも封印の鍵だったりしないだろうか。
(まぁ…あの二人なら自衛もできるし大丈夫だと思いたいけど…)
あの二人は戦闘力も軒並み高いのでそう簡単にやられたりはしないはずだ。
そもそも特定の場所に留まることなく転々としながら活動してるのでアミク達も
とりあえずジェラールとウルティアのことは心配しなくてもいいだろう。
それよりも戦闘能力のない他の元評議員の方が心配だ。
だが住所が判明しないことにはどうしようも…。
「元評議員の住所は僕が知ってる。全員ではないけどね」
突然、ロキが現れそう告げた。
「ファッ!!?なんでロキがそんなこと知ってるの!?」
「知りたい?」
「…あーうん、大体察した」
輝かしい微笑みでアミクにウィンクをするロキ。女か。
昔のロキはいろんな女性を引っ掛けていた。
その女性の中に元評議員の関係者がいたのだろう。
「どういうことですか?アミクさん」
「うーん、ウェンディにはまだちょーっと早いかなー」
純粋のまま育ってくれ、ウェンディ…。
とにかくロキのお陰で何人かの元評議員の住所を割り出すことができた。
流石に元議長のものはなかったが…それはこれから調べるつもりである。
『ワシは何もできんが…お主らの武運を祈っておるぞ』
「オーグさん、情報提供ありがとうございました!」
『これで恩を返せたとは思わんが、少しでもお主らの助けになれたのなら良かった』
大助かりだ。少なくともオーグ老師がいなければ
「よし、まずはチームで各々の住所に行き、
「もしもラクサスたちを襲った者、魔障粒子を持つ者に会ったら、警戒しつつ血液を採取してきな。ラクサスたちを治すワクチンを作れるかもしれない」
ポーリュシカの言葉にアミク達の心に希望が灯った。
ラクサス達が治るかもしれない。それはアミク達を奮起させるには十分だった。
マカロフがメンバー達の前に立って声を上げた。
「敵は
そうだ、アミク達は既に強大な闇ギルドを二つも壊滅させた。
もう一つやっつけるくらいなんだというのか。
「
ギルドメンバー達は苦しんでいるラクサス達を思い浮かべる。
心を痛ませ、自責と後悔で涙を流した少女の姿を思い浮かべる。
仲間をそんな風にした奴らを
「この痛みを…苦しみを闘志と変えて敵を討て!!我等は正義ではない!! 我等は意志で動く!!!」
ギルドマスターであるマカロフの声は非常によく響き、皆の心に深く刻み込まれた。
「我等が絆と誇りにかけて────家族の敵を駆逐する!!」
マカロフの言葉に応えるように雄叫びがギルド中で轟く。
今までやられてばかりいたがようやく
さぁ、反撃の時間だ。
と思ったら普通に長くなった…
ハーメルンだと夢中で書いてたら文字数多くなるな
さて、原作よりも早くにフェイスの存在を知ったフェアリーテイル。
これがどう影響するのか…作者にも分からん!
まぁオーグさんは7年前も評議員してたしミケロがフェイスのこと知ってたんだからオーグが知っててもおかしくないよねってことで。