妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

32 / 202
今回から楽園の塔編ですー。ここまで来たぜ・・・


楽園の塔の狂想曲
アカネビーチと攫われた妖精女王(ティターニア)


「星霊だぁ!?」

 

 

ナツの素っ頓狂な声が上がった。

 

 

ロキが自分が星霊だということを話したのだ。

 

 

「まぁ、そういうこと」

 

ロキが申し訳なさそうな声で答える。今回の件で多くの人達に迷惑をかけてしまったと思っているからだろう。

 

マーチがロキに聞く。

 

「なんの星霊、なの?」

 

「僕は獅子宮、つまりライオンだね」

 

「ライオン!大人の猫だね!いいなぁ〜、オイラも大きくなればなれるかな?」

 

ハッピーが羨ましそうにロキを見た。

 

「多分、無理だと思うよ・・・」

 

それを聞いてアミクは苦笑した。

 

 

そこで、グレイが少し寂しそうに聞く。

 

「・・・じゃあもうギルドには居られねぇのか?」

 

「そういうわけじゃないんだけど・・・今まで通りには行かないだろうね」

 

ロキはルーシィを見た。

 

「これからはルーシィの星霊としてやっていくことになったんだ。ルーシィがピンチになったら颯爽と現れる・・・さしずめ白馬の王子様かな?」

 

「そんな歯が浮くようなセリフ、よく出てくるよね・・・」

 

アミクは呆れたように首を振る。

 

その時、ロキがルーシィを横抱きにして抱えた。

 

「じゃ、そーいうわけで今後のことを話し合おう!」

 

「何言ってんのよー!?」

 

ロキは随分ルーシィに惚れ込んだらしい。

 

まぁ、自分の為にあそこまでされたらなぁ、と他人事みたいに考えていると。

 

 

「アミク、君もどうだい?僕たち3人で僕たちの将来について語り合おうよ」

 

めっちゃキラン、とした顔で言われた。

 

「な、な、な、なんぞやー!?」

 

「うんうん、両手に花生活。素晴らしい日常じゃないか」

 

「もうっ、アミクを巻き込まないでよ!」

 

顔を真っ赤にするアミクの手を引こうとするロキをルーシィが止めた。

 

それを見たハッピーは。

 

 

「・・・どぇきてるぅぅぅぅぅ〜」

 

「巻き舌・・・」

 

 

マーチが羨ましそうにつぶやいた。

 

 

「もう!アンタ帰んなさい!」

 

「あ、ちょっと待って・・・・はい、これ」

 

ロキはルーシィ達に何かのチケットを渡す。

 

「何これ?」

 

「もう人間界に長居する事もないからね。ガールフレンド達を誘って行こうと思ってたリゾートホテルのチケットさ。君たちには色々世話になったし、これ、あげるから行っといでよ」

 

ロキの言葉にみんな喜んだ。

 

 

「おおっ!」

 

「海!」

 

「海かー」

 

「アカネリゾートホテルに泊まるの!?太っ腹〜!」

 

「楽しみ、なの」

 

 

もちろんアミクも楽しみだ。海なんてここ最近行ってなかった。

 

 

「ああ、あとエルザにも渡しておいたから」

 

「え?」

 

ロキがそう言った直後。

 

 

「貴様ら何をモタモタしている。置いて行かれたいのか」

 

すでに海で遊ぶための服に着替え、持って来た大量の荷物もほとんど遊び道具であるエルザがみんなを急かしていた。

 

「「気ぃ早ぇよ!!?」」

 

どんだけ楽しみだったのだろうか。

 

『海ねぇ・・・私がいるかもしれないね』

 

『生々しいなぁ・・・』

 

確かに、ウルは海に溶けたが、そうピンポイントでいるだろうか。というか地味に怖い。

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけでやって参りました!アカネビーチ!!

 

最強チーム御一行ははしゃぎながら浜辺を走った。

 

「うーみーだー!!」

 

「お魚ー!!」

 

ナツとハッピーが雄叫びをあげた。

 

 

「ヤッホー!!!」

 

「それは山だろ・・・」

 

大声で叫ぶアミクにツッコむグレイ。

 

「さぁ、遊び尽くすわよ!」

 

「ボールの準備はもうできてるぞ」

 

「早い、の」

 

ルーシィとエルザが気合満々で、マーチが呆れていた。

 

 

ちなみに、ルーシィとエルザの水着はビキニタイプだったが、アミクの水着はスカートにフリルが付いた可愛い系の水着だった。

ただ全員巨乳なので、周りの男達の視線が零れ落ちんばかりの胸に集まっていた。

 

 

 

早速、遊び始める。

 

 

スイカ割りではアミクが、みんなの指示には頼らず、『反響マップ』で地形を把握して、スイカの場所を割り当てていた。

 

ナツ達に「ずるい」と言われてしまったが。

 

ちなみに、ルーシィはナツの企みによってハゲてる人の頭を殴ってしまい、追いかけられた。

 

 

海上ボートではお仕置きとばかりにルーシィがナツを乗せて爆走していた。当然、酔うナツ。

 

ビーチバレーではアミクとエルザがチームを組み、大進撃を果たした。

 

もちろん楽しいことばかりではなく、多くの男性達にナンパされたりもしたが、アミクやエルザがいるので、あんまりにもしつこいと叩きのめしていた。

 

他にもグレイを砂に埋めたり、超音波でイルカを呼んでみたりして楽しんだ。

 

 

 

「キュルルル!」

 

「あはは!速ーい!」

 

現在、アミクは友達になったイルカに乗って海を走っていた。

 

 

 

それを浜辺で見るルーシィ達。

 

「イルカは超音波で会話するからこっちも超音波って・・・」

 

「アミクだからこそできる芸当だろう」

 

「おーいアミクー俺も乗せろー!」

 

「イルカさん、ナツ乗せるの嫌だってー!」

 

「なんだとー!?」

 

『圧巻だな・・・』

 

 

そんな風に楽しんで夕方。アカネリゾートホテルにて。

 

 

「エルザー、いるー?」

 

アミクとルーシィは部屋で休んでいるエルザを呼びに来た。

 

部屋に入って見ると、エルザは寝ていたのか椅子から起き上がっていたところだった。

 

「二人とも、どうかしたのか?」

 

「・・・」

 

アミクは普段通りのように見えるエルザに違和感を感じる。声のトーンに覇気がないような・・・。

 

「エルザ、どうしたの?」

 

ルーシィも疑問に思ったのかエルザに聞く。

 

アミクもそれに便乗した。

 

「声にいつもの元気がないよ」

 

「いいや、なんでもない。少し疲れただけだろう」

 

エルザがそう言うので、とりあえずそういうことにしておいた。

 

「そう・・・あのね、地下にカジノがあるんだって!みんなで行こうよ!」

 

「賭け事はあまり好きではないのだが」

 

「ナツ達はもう行ってるよ?」

 

「やれやれ」

 

エルザはため息をつくと、妙な決めポーズをしながらドレスに換装する。

 

「こんな感じか?」

 

「ラフな感じでいいのに・・・」

 

「ってかなにそのポーズ」

 

「フフ、やるからには遊び倒さなくてはカジノに失礼だろう?」

 

つまりエルザはメリハリをつけるタイプなのだろう。遊ぶときにはとことん遊ぶ、と。

 

「はいはい、さっさと行くよー!」

 

アミクを先頭にカジノに向かった。

 

その時、エルザは鏡に映った自分の姿を見る。

 

 

(いいじゃないか・・・たまには自分に優しい日があっても・・・)

 

 

 

 

 

 

 

「お・・・お客様こまります!!」

 

「だって23に入ってたのにカタンってずれたんだって!!何だよコレ」

 

「あい!」

 

「これはイカサマ、なの」

 

「そんな事ある訳ないでしょう・・・」

 

しばらくカジノを楽しんだアミクが次に向かったのはルーレットをやっているところだった。

 

そこではナツがディーラーにいちゃもんをつけていた。はっきり言って滅茶苦茶だ。

 

「ナツ・・・ディーラーさん困らせたらダメでしょ?」

 

「あ、アミクー!おい、お前もなんとか言えよ、このルーレット仕掛けがあるぞ!」

 

「いや、イカサマやるにしてももうちょっと上手くやると思うし・・・潔く諦めなよ」

 

「うぐぐぐぐ・・・」

 

ナツはアミクに諭されて悔しげにルーレットを睨んだ。

 

「その代わり私が勝ってあげる!」

 

「本当かー?」

 

「できるのー?」

 

ナツとハッピーは半信半疑、と言う感じだ。

 

マーチはアミクを信頼しているようで偉そうに腕を組んでいる。

 

「ふふっ、まぁ見てなよ」

 

アミクは席に着いてルーレットを始めた。

 

ボールが回り始める。

 

「おー・・・これは黒の15だ!15に入れろ!」

 

じーっとボールを見ていたナツがうるさい。

 

「ちょっと黙って・・・こういうのは視覚じゃなくて聴覚を頼るんだよ」

 

アミクは悪戯っぽく笑うとそっと目を閉じて『聴く』ことに集中した。

 

 

コロコロコロコロ・・・・

 

 

 

(この音だと・・・止まるのは大体赤の1から黒の31の範囲)

 

ボールが転がる音によって止まる範囲を絞り込む。

 

 

コロコロコロ・・・・

 

(音が弱くなってきた・・・これは・・・黒の20か赤の14!)

 

これで二分の一。

 

コロ・・コロ・・

 

 

(・・・・こっち!)

 

 

アミクは時間ギリギリで全てのチップを黒の20に叩きつけた。

 

 

 

結果は・・・・・

 

「ドキドキ」

 

「ドキドキ」

 

「ドキドキ、なの」

 

外野うるさい。

 

 

 

「黒の20です!」

 

 

『当てたーーーー!!?』

 

「やった!」

 

ナツ達は歓声を上げた。アミクもガッツポーズを取る。

 

「すげぇなアミク!」

 

「アミクはこれでも、ルーレットに関しては『ルーレット荒らし』と呼ばれるほど強い、の」

 

「ここでも異名が・・・」

 

アミクが大量のチップを受け取って複雑な表情をしていると・・・

 

 

「ガール、今の勝負、胸が震えたんだゼ」

 

急に一人の男が話しかけてきた。

 

「あ、ど、どうも・・・って四角!?」

 

「か、カクカク!?」

 

その人物はなんか体全体がとにかく四角だった。魔法だろうか。

 

「思わず見入っちまったヨ。思い切りのいいネーチャンだ、ダンディだゼ」

 

「ダンディって・・・女の子に使う言葉かな・・・?」

 

アミクが苦笑いして言うと、四角い人物はナツに目を向ける。

 

「さて、ボーイ、一ついい事を教えてやるぜ。男には2つの道しかねえのさ。ダンディに生きるか・・・」

 

 

四角い男はイスに座りながら妙なターンをして、いきなり飛び出しナツの胸ぐらを掴んで、懐から取り出したマグナムをナツの口に突っ込んだ。

 

「止まって死ぬか、だゼ」

 

「な、何するんだー!!!」

 

「ナツ!?」

 

「いきなり、なにを、なの!」

 

男の急な凶行にアミク達は身構えた。

 

「が!!がんがごいぐ・・・!!!?」

 

「エルザはどこにいる?だゼ」

 

男はナツに銃を突き付けたまま問う。

 

「エ、エルザ!?なんでエルザを・・・!?」

 

「おっと、動くんじゃねぇぜ。コイツの頭をトマト塗れにされたくなければな」

 

「うっ・・・」

 

アミクが咄嗟に攻撃しようとしたが男が脅してきたので、渋々手を降ろした。

 

「良い子だゼ」

 

四角い男が口の端を釣り上げた。

 

 

 

 

 

一方。グレイ達の方では。

 

 

『まさか、ここまで追いかけてきていたとはね』

 

ウルがグレイのネックレスから隣に座る少女ーーーージュビアを見る。

 

ファントムの件が終わった後から、ジュビアがグレイを付け回していたのは気付いていた。

 

害意もないし、面白そうなのでほっといていたが、とうとうアプローチしてきたようだ。今回ジュビアは妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマークを形作ったネックレスを掛けていた。

ジュビアは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入りたいらしい。

 

はっきり言ってちょっとヤバい女だとは思うが、悪いやつではなさそうなので、ウルとしては入れてあげても良いのではないかと思っている。

 

 

だが、悲しいかな今のウルは氷。普通は喋れないし、喋る訳にはいかない。グレイにバレたら色々面倒なことになる。だから何も意見できないのだ。

そしてグレイは自分は気にしないが、マスターがどう言うか分からないということで、加入の件は一旦保留にした。

 

それから男が現れたかと思うと、ジュビアを殴ったり、周りを暗くしたりしたのだ。

 

 

だがーーーー

 

 

(コイツ・・・殺意がない?)

 

 

ウルは男が二人を殺そうとしていないことを見抜く。

 

 

それを知って、ウルはしばらく成り行きを見守ることにした。

 

 

 

 

アミクが唇を噛んでいると。

 

辺りが全て暗くなった。

 

 

「え!?なに!?なに!?なにも見えない!!」

 

「が・・・がんが!?こんごわ!!!」

 

「グッナイボーイ」

 

 

パァアン!

 

 

銃声がした。

 

 

「な、ナツーーーー!!」

 

 

アミクは絶叫した。ハッピーもマーチもナツの名を呼ぶ。

 

 

(・・・いや、きっと大丈夫!ナツはなんだかんだ頑丈だもん!それより、みんなは・・・)

 

 

こういう時こそ、アミクのずば抜けた聴力の出番だ。

 

 

 

耳に全神経を集中する・・・。

 

(『反響マップ』でこのカジノの構造を理解・・・)

 

 

 

・・・・あちらの方からエルザ達の声が聞こえる。

 

 

(そっちに向かおう。ごめん、ナツ。あとで治すよ)

 

「マーチ、ハッピー!返事をして!」

 

ハッピー達も連れて行こうと声をかける、がーーーー

 

 

(返事がない?)

 

ハッピー達の気配すら感じられなかった。

 

まさか、敵に攫われたーーーー!?

 

 

ひとまずアミクはエルザ達の方に小走りで向かった。

 

 

 

 

やっと光が戻った。

 

「エルザ、ルーシィ!」

 

「アミク!?」

 

「無事だったか!」

 

ちょうどエルザ達の所に着いていたようで、目の前に二人が現れる。

 

「二人とも大丈夫!?」

 

「とりあえずは・・・それよりショウは・・・!?」

 

「こっちだよ、姉さん」

 

声がしたので、その方向を見ると、一人の男が立っていた。その男の周りに大量のカードが落ちている。

 

どうやらこの男がショウらしい。

 

「え!?カードに人が・・・!」

 

ルーシィの言う通り、カードには人が閉じ込められているようだ。カードの中でわちゃわちゃ動いている。

 

 

ショウがエルザにカードを見せつけるように持つ。

 

「不思議?オレも魔法が使えるようになったんだよ」

 

「魔法!?お前一体・・・」

 

 

二人はどうやら知り合いらしかった。二人の間には旧知の中、と言う雰囲気がある。

 

「ククク・・・」

 

ショウは不気味にほくそ笑む。

 

 

その時、アミクの耳に「シュルル」と音が入ってきた。

 

「ルーシィ!」

 

「きゃっ」

 

思わずルーシィを突き飛ばすがーーーーー代わりにアミクが何かに捕まった。

 

「う、わわわ!?」

 

それはアミクの首、腕、胴体、足に巻き付き、引き寄せられる。

 

「アミク!?」

 

「アミク!!」

 

 

「みゃあ。元気最強?」

 

 

アミクが引き寄せられた先には猫のような少女がいた。どうやらこの少女の鞭みたいなものだったらしい。

さっきからギチギチに締まってキツイ。

 

こんな時だが、前にジョゼに締められたことを思い出す。

 

 

「ミリアーナ!?」

 

「久しぶり〜エルちゃん」

 

「何をしている!?アミクは私の仲間だ!!」

 

「そ、そうよ!離して!」

 

またまた知り合いらしい。もしかしてさっきの四角い男もだろうか。

 

「みゃあ?仲間?」

 

「僕たちだって仲間だったでしょ?姉さん」

 

仲間・・・だった・・・?

 

アミクは疑問に思った。それに、エルザの苦しそうな表情も気になる。

 

「姉さんがオレたちを裏切るまではね」

 

それを聞いてエルザは自分を抱きしめた。

 

「エ・・・ル、ザ・・・?」

 

だんだん首が絞まってきて苦しい。

 

「くっ、開け!巨蟹宮のと・・・」

 

「おっと、それ以上はやめた方がいいぜ」

 

ルーシィが星霊を召喚しようとするが、さっきの四角い男が現れて身動きの取れないアミクにマグナムを突きつける。

 

ルーシィは唇を悔しげに噛んだ。これでは召喚できない。

 

四角い男はエルザを見た。

 

 

 

「すっかり色っぽくなっちまいやがってヨ」

 

「そ、その声はウォーリー!?」

 

やっぱり知り合いだった。

 

「気づかねえのも無理はねえ・・・狂犬ウォーリーと呼ばれてたあの頃に比べて、オレも丸くなったしな」

 

「いや、四角いじゃん・・・」

 

 

ツッコミ待ちな気がしたので、ついツッコンでしまうアミク。

 

「お前も、ミリアーナも魔法を・・・」

 

「驚く事はない」

 

今度は大男が現れる。さっきグレイ達を襲っていた男だった。

 

「もーいーよ、出てこなくて!」

 

アミクは思わずうんざりする。さっきからエルザの知人が集まってきているがなんなんだろうか。

 

「コツさえつかめば誰にでも魔法が使える。なあ、エルザ」

 

「シモン!?」

 

「なんなの!?同窓会でも始めるつもり!?だったら随分物騒だね!こんなことして!」

 

とうとう我慢できなくなったアミクが喚く。

 

「同窓会、とは言い得て妙だな」

 

シモン、と呼ばれた男が苦笑する。

 

ルーシィも問いかける。

 

「それに、姉さんって・・・」

 

「本当の弟じゃない。かつての仲間たちだ」

 

「仲間って・・・エルザは幼い頃から妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいたんでしょ!?」

 

「それ以前という事だ・・・お前たちがなぜここに・・・アミクを解放してくれ」

 

エルザが困惑しながらもショウたちに頼むが、ショウたちは全く意に返さない。

 

「みゃあ」

 

「帰ろう姉さん」

 

「お前を連れ戻しに来た」

 

「言うことを聞いてくれねえとヨォ」

 

銃口をさらにアミクに押し付ける。

 

「・・・!なんで!?さっきから魔法が使えない!!」

 

そのアミクは魔法を使って脱出しようとするが、全く魔法が使えないのだ。

 

 

「よ、よせ!!頼む!!やめてくれ!!」

 

エルザが動揺した。

 

それは大きな隙。

 

ウォーリーはそこを突いて銃弾をエルザに撃ち込んだ。エルザはそのまま倒れる。

 

 

「「エルザーーーーー!!!」」

 

「睡眠弾だゼ」

 

ウォーリーはすかさずアミクに向けていたマグナムの引き金を引く。

 

パァアン!

 

「あ・・・・」

 

アミクはドサッと倒れた。同時にアミクを縛っていた鞭も解ける。

 

「いやああああああああ!!!アミクーーーーー!!」

 

「安心しな。こっちも睡眠弾だゼ」

 

「みゃあ、君も眠ってて」

 

絶叫するルーシィに向かって鞭のような物を振るうミリアーナ。それはあっさりルーシィに絡みついた。しかもキツイ体勢で締め付けてくる。

 

「うぐぅ・・・!」

 

 

「目標確保。帰還しよう」

 

シモンがエルザを、ウォーリーがアミクを持ち上げ、運ぶ。

 

「ちょっと!!エルザとアミクをどこに連れて行くの!!?返しなさいよ!!」

 

「言ってなかったが実はこの『音竜(うたひめ)』も対象だったんだゼ」

 

「ああ、そういえばジェラールが言ってたよね。連れてこいって」

 

(たい・・・しょう・・・?ジェラール・・・?)

 

だんだんと薄れて行く意識の中、アミクはその言葉を聞いた。

 

「あ、君、後5分くらいで死んじゃうよー」

 

ミリアーナがルーシィにそう言っているのが聴こえる。苦しそうなルーシィの声を聞く限り、さらにキツく締め上げたようだ。

 

 

「そういやミリアーナ。君にプレゼントだゼ」

 

「みゃあ!!ネコネコ〜♪しかも二匹!もらっていいの〜!?」 

 

去っている途中、ウォーリーが空間から眠っているマーチとハッピーを取り出してミリアーナに渡す。

本当に敵に攫われていたようだ。

そして、ミリアーナ、彼女は見た目通り猫好きらしい。

 

 

「姉さん・・・帰ってきてくれるんだね。『楽園の塔』へ。

 きっとジェラールも喜ぶよ」

 

ショウが目に涙を浮かべながら歓喜に打ち震えた表情をする。

 

そして、アミクは意識が途切れる直前、エルザが微かにこう呟くのを聴いた。

 

「楽園の塔・・・!?か、完成・・・していたのか・・・・!」

 

(楽園の塔・・・?)

 

 

攫われたアミク達の運命はどうなるのであろうか。

 




実際に耳がいいからってルーレット当たるわけじゃないと思うよ?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。