妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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ヤッベェ疲れる。


楽園のゲーム

エルザは一人の兵士を叩き伏せるとその兵士を壁に押し付け、尋問した。

 

「ジェラールはどこにいる?」

 

「エルザ、落ち着いて・・・」

 

ちょっと焦っているようにも見えたので一旦なだめた。

 

 

 

あの後、エルザに助けてもらってそのまま脱出。とりあえずジェラールを探しまわった。

 

兵士が襲ってくるので返り討ち。そんなことを続けていた。

 

エルザは何度もアミクに「先にここから脱出しろ」と言ってきたがその都度突っぱねた。

 

「・・・ジェラール」

 

その名を呟くエルザをアミクはじっと見ていた。

 

奴隷時代での話を聞く限り、エルザはジェラールに並々ならぬ感情を抱いているようにも見える。

ジェラールを怒っていながらもそれでも彼を見捨てられないような、そんな表情をしている。

 

・・・エルザがジェラールをどう思っていようと、アミクがエルザを助けることには変わりない。だが、もし彼女が望むのならば――――

 

 

 

 

 

 

 

 

一方。

 

塔の内部に侵入したナツ達。兵たちを全員倒すと、扉が勝手に開いたのだ。

 

 

挑発されているのだ。だが、乗るしかない。

 

 

そうして中に入ったものの。

 

 

(なんだ・・・なんだか嫌な予感がする)

 

ウルはこの塔自体に何か不気味なものを感じていた。

 

その後、ナツ達が叫んだり、騒いだりしていたので兵士たちがぞろぞろ現れる。

 

「くそ!バレたか!」

 

「そりゃあんなに騒いでたらバレるに決まってるでしょ!!」

 

 

 

仕方ない、と身構えたその時。

 

 

「ギャアアアアアアア!!!」

 

兵士たちの後方の方から敵がどんどん吹っ飛ばされていく。

 

それはだんだん近づいてきて・・・

 

全員吹っ飛ばされた頃にはその犯人が分かった。

 

「アミク、エルザ!?」

 

「あ、みんなー!」

 

「!お、お前たち!なぜここに!?」

 

アミクは嬉しそうに手を振り、エルザが驚く。

 

「なぜもクソもねぇ!やられっぱなしじゃ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名折れだろ!」

 

ナツが勢いよく言った。

 

「って、なんか知らない人もいる!?誰?」

 

「あ、す、すみません、元・幽鬼の支配者(ファントムロード)のジュビアです・・・」

 

「えー!そうなんだ。よろしく」

 

「あ、あれ?あっさり・・・」

 

あっさり受け入れるアミクに困惑するジュビア。

 

そこまで聞いていたエルザは冷たく、短い言葉を告げただけだった。

 

「帰れ。ここはお前たちが来る場所ではない」

 

そして、アミクを見る。

 

 

「アミクもナツ達と帰ってくれ。ここにいては危険だ」

 

「ちょっと!言い忘れてたけどハッピーとマーチも捕まってるんだよ!」

 

「!ハッピーとマーチが・・・!ミリアーナか」

 

エルザが出した名前にアミクは聞き覚えがあった。あの猫好き少女だ。

 

「そいつはどこだ!」

 

「さ、さあな・・・」

 

「わかった!」

 

ナツはそれだけ言うとどこかに行こうとする。

 

「って何が!?」

 

「ハッピーとマーチが俺達を待っていることがだぁぁぁ!!」

 

ナツは叫びながら走り去ってしまった。ほんと本能で動いてる奴だ。

 

「ちょっと!どこいくの!?」

 

アミクが慌てて追いかけようとすると。

 

 

エルザにサッと剣で止められた。

 

 

 

「ダメだ。帰れ」

 

あくまで拒絶するエルザ。

 

「ミリアーナは無類の愛猫家だ。ハッピーとマーチに危害を加えるとは思えん。ナツにハッピー、マーチは私が責任を持って連れ帰る。おまえたちはすぐにここを離れろ」

 

アミクはとうとう堪忍袋の緒が切れた。

 

 

「も―――!!エルザは分からず屋だなー!!エルザを置いてはいけないって言ってるでしょ!!」

 

「これは私の問題だ。お前たちを巻き込みたくない」

 

それを聞いてアミクはさらにプンプンと怒った。

 

「それなら私はもうがっつり巻き込まれてるよ!!」

 

それでもエルザはこちらを向かない。少し体が震えていた。

 

そんな姿を見かねてグレイが頭をかきながら声をかける。

 

 

「・・・らしくねえなエルザさんよ。いつもみてえに四の五の言わずについて来い!って言えばいいじゃねえか。オレたちは力を貸す」

 

「そうそう!エルザにもたまには怖いと思うときがあってもいいよ?」

 

アミクも続けて言うと、エルザはやっとこっちを向いてくれた。

 

その目には涙が浮かんでいる。グレイは思わずときめいてしまった。

 

いつもの気丈なエルザではない。恐れ、震える一人の女がそこにいた。

 

「この戦いが終われば、勝とうが負けようが私は世界から姿を消すことになる」

 

「え!?」

 

ルーシィ達は驚いた。アミクも驚く。

 

負ければ死ぬ、というのは分かるが勝っても姿を消すとはどういうことだろうか。

 

「だから今のうちに全てを話しておこう。私の過去を・・・」

 

それからはアミクがさっき聞いた話だった。

 

 

 

 

その頃、マーチは目の前で起こっている茶番を見ていた。

 

というのは、ナツがここまで助けにきてくれたのはよかった。

 

「ハッピー、マーチ!助けに来たぞ!」

 

それからミリアーナとウォーリーと開戦した。が、ナツが猫の被り物を被っているのでなんか締まらない。

というかミリアーナがナツを猫だと思っている。

 

「・・・馬鹿ばっかり、なの」

 

「ニャア〜」

 

ナツが悲しそうに鳴いて同情をひく作戦。見事成功して、ミリアーナが緩んだ隙にぶっ飛ばした。なんだこの戦い。

 

その後、四角い野郎もナツがぶっ飛ばす。

 

 

「ナツ〜!」

 

「ハッピー!マーチも無事でよかったな!」

 

「全く、無茶苦茶、なの」

 

 

再会を喜び合っていると・・・・

 

部屋中に大量の口が現れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと前。

 

 

「なるほどな、通りでアイツらはエルザにキツく当たってたわけだ」

 

「は、話に出て来たゼレフって・・・」

 

ルーシィがゴクリと唾を飲む。

 

「ああ・・・魔法界の歴史上、最凶最悪と呼ばれた伝説の黒魔導士・・・」

 

「そういえば・・・前のララバイも『ゼレフ書の悪魔』って言ってたよね」

 

前にゴールドマインがそう言っていたはずだ。

 

「そうだ。そして恐らく・・・あのデリオラも、『ゼレフ書の悪魔』の1体だろう」

 

それを聞いてグレイが胸を押さえた。自分の故郷を滅ぼしたのがゼレフが生み出したものだというのだ。

 

「それを復活させようとしているのですか・・・」

 

ジュビアは険しい表情を浮かべた。グレイの首にかかっているネックレスからもウルの声が聞こえる。

 

『そんなとんでもないものだったなんて・・・まさかあのゼレフを、ね・・・』

 

 

 

「今日、私がジェラールを倒せば全て終わる。それでいいんだ」

 

「本当に?」

 

アミクが澄んだ瞳でエルザを見た。

 

その見抜くような視線にエルザは思わず目を逸らす。

 

「でも、おかしくない?裏切ったのはエルザじゃなくてジェラールでしょ?」

 

ルーシィの言葉にアミクは肩をすくめて答えた。

 

「どーせ、ジェラールに何か吹き込まれたんでしょ」

 

 

「しかし私は8年も彼等を放置した。裏切ったことには変わりはない」

 

「まーたそうやってー!」

 

アミクが腰に手を当てて怒り出そうとした時。

 

「その話、どういうことだよ・・・」

 

「ショウ・・・」

 

足音が聞こえて来たのでそちらを振り向くとーーーー

 

色黒の男、ショウが近付いて来ていた。どうやらさっきの話を聞いていたらしい。

 

「やっぱりね」

 

アミクが頷いているが、そのアミクにエルザが聞く。

 

「気付いてたのか?」

 

「普通に足音してたし。せっかくだからジョンにも聞いてもらおうと思って黙ってたんだ」

 

「・・・オレは!ショウだ!いや、そんなことより!」

 

ショウはエルザを睨み、捲し立てた。

 

「そんな作り話で仲間の同情を引くつもりなのか!八年前、姉さんはオレたちの船に爆弾を仕掛けて一人で逃げたんじゃないか!ジェラールが姉さんの裏切りに気づかなかったら全員爆発で死んでいたんだぞ!」

 

そのショウの顔には動揺が表れ、息が荒い。

 

「ジェラールは言った!これが正しく魔法を習得できなかった者の末路だと!姉さんは魔法の力に酔ってしまってオレたちのような過去を捨て去ってしまおうとしたんだと!」

 

「『ジェラール』は言った?」

 

アミクの言葉にショウはハッとなる。

 

もし、エルザの言う通りジェラールが自分たちを、騙していたのだとしたら?

 

「私、さっきも言ったよね?不確定な状況だけ見聞きして決めつけてるって。

 もう一度聞くけど、君の知ってるエルザは本当にそんなことをする人なのかな」

 

アミクが咎めるようにショウを見た。ショウはその視線から逃れるように頭を押さえる。

 

「お前に、お前たちに何が分かる!オレたちのことを何も知らないくせに!オレにはジェラールの言葉だけが救いだったんだ!だから八年間かけてこの塔を完成させた!それなのに・・・」

 

壊れかけてる。心の防波堤が崩れそうになる。8年という時間が別の意味になってしまう。

 

「その全てが嘘だって?正しいのは姉さんで、間違っているのはジェラールだって言うのか!」

 

「そうだーーーー」

 

答えたのはその場の誰でもなかった。

 

あの巨体の男がエルザ達に近付いてくる。

 

確かーーーーー

 

 

 

 

 

「ガボン!」

 

「・・・シモン、だ」

 

また間違えた。

 

「シモン・・・・」

 

 

エルザが目を見開いてその名を呼ぶ。

 

 

「てめぇ!」

 

「待ってくださいグレイ様!」

 

グレイが殴りかかろうとすると、ジュビアが慌てて止める。

 

 

「あの方はグレイ様が身代わりと知っていてグレイ様を攻撃したんですよ。闇の術者に辺りが見えていないはずはない。ジュビアがここに来たのはその真意を探るためでもあったんです」

 

『その娘の言う通りだ。アイツには最初から殺意がなかった』

 

ウルもジュビアの言葉に後押しする。(アミクに対してだけだが)

 

「さすがは噂に名高いファントムのエレメント4の一人」

 

シモンは感心したようにジュビアを見た。

 

「誰も殺す気はなかった。ショウたちの目を欺くために気絶させる予定だったのだが、氷ならもっと派手に死体を演出できると思ったんだ」

 

「オレたちの目を欺くだと!?」

 

「お前もウォーリーもミリアーナも、みんなジェラールに騙されているんだ。機が熟すまで、オレも騙されているふりをしていた」

 

なるほど、全部演技だったわけだ。寡黙なタイプだったのも、ボロを出さないようにするためだったのだろう。

 

「シモン、お前・・・」

 

エルザが信じられないような目でシモンを見るが、シモンは照れ臭そうに頭を搔く。

 

「オレは初めからエルザを信じている。8年間、ずっとな」

 

それを聞いてエルザは嬉しそうに頰を緩める。

 

「エルザ会えて嬉しいよ。心の底から」

 

そして二人は抱きしめ合った。

 

アミクは思わず頰を押さえた。これはアレだ。女の勘だがシモンはエルザのことを・・・。

 

「きゃー!」

 

「一人で何やってんだ・・・」

 

一人で悶えるアミクをグレイが変なものを見るような目で見てきた。

 

そんな中、ショウは一人、地に膝をついていた。

 

「なんで、みんなそこまで姉さんを信じられる。何で、何で――オレは姉さんを信じられなかったんだァ!」

 

 悔しくて雄叫びとともに両の拳を地面に叩きつけた。

 

「くそおおおおおおお!!!うあああああああああああああ!!何が真実なんだ!?オレはなにを信じたらいいんだ!!?」

 

そんなショウにアミクは優しく語りかけた。

 

「自分の心を信じればよかったんだよ。君の『姉さん』であるエルザを、ね」

 

ショウは心のわずかな部分では自分が『姉さん』と呼んでいたエルザを信じていたのだ。それを聞いてショウはさらに涙をポタポタと流した。

 

そんなショウにエルザも近付く。

 

 

「今すぐに全てを受け入れるのは不可能だろう。だが、これだけは言わせてくれ。――私は八年間、お前たちを忘れたことは一度も無い」

 

 エルザはショウを抱きしめる。エルザの腕の中、ショウは思いの限り泣き続けた。

 

「何もできなかった。弱くて、すまなかった」

 

「だが、今ならできる。そうだろう?」

 

 不敵にシモンが言い放つ。それに答えてエルザも強く頷いた。

 

「ずっとこの時を待っていたんだ。強大な魔導士がここに集まるときを」

 

「強大な魔導士?」

 

「ジェラールと戦うんだ。まずは火竜がウォーリーたちと激突するのを防がねば」

 

「えっと・・・もう手遅れじゃないかな・・・」

 

アミクが耳を澄ませて言った。

 

「え?」

 

「なんか『聴いた』感じナツが「ニャーニャー」言ってるから・・・」

 

「どう言う状況だそれは・・・?それにしてもお前、いい耳してるんだな・・・」

 

シモンが困惑したように呟いた。

 

 

 

そして、会話をしながらミリアーナ達の方に向かうアミク達。

 

「なぁアイツ・・・本当に信用していいのか? 確かに…俺たちを殺そうとしなかったのは認めるが、あの時ナツとルーシィは死んでもおかしくねえ状況だったんだぞ?」

 

シモンを疑惑の目で見つめていたグレイは隣にいるジュビアに話しかける。それに、ジュビアが答える前に前を走るシモンが振り返る。

 

「言い訳をするつもりはない。だが、あの程度で死んでしまうような魔導士ならば、到底ジェラールとは戦えないと思った」

 

「うっ・・・聞いてやがったのか」

 

「それに俺には確信があった・・・ナツは死なない」

 

グレイの気まずそうな顔を見ながら少し笑みを浮かべ告げるシモン。

 

「お前たちはあいつの本当の力に気付いてない。それにその力はアミク・ミュージオンにもある」

 

「・・・本当の力?」

 

「え?私?」

 

ルーシィは首を傾げ、アミクが自分の名前に反応する。それにシモンは頷いた。

 

「そうだ。ナツとアミクに真のドラゴンの力が宿る時・・・邪悪は滅びゆく・・・」

 

「えー・・・私にそんな大層な力あるのかな・・・」

 

「なんか邪悪を祓うような力ならアミクにある気がするわ」

 

「俺も」

 

複雑な顔をするアミクをルーシィとグレイがからかった。

 

 

 

すると突然、あの唇が大量に天井、壁、床、あらゆる場所に現れたのだ。

 

「キモ!!」

 

アミクが後ずさって叫ぶ。唇があちこちから出て来ているのはホラーチックである。

 

そして、その唇から声が響いてきた。

 

 

『ようこそ。楽園の塔へ。俺はジェラール。この塔の支配者だ』

 

「ジェラール・・・!」

 

(この声・・・!)

 

確かに、ジークレインと一緒だ。彼の声ならよく覚えている。

 

エルザを疑っていたわけではないが、双子だというのは本当らしい。

 

 

『互いの駒は出揃った。始めよう楽園ゲームを・・・』

 

「ゲームだと?」

 

『ルールは簡単だ。オレはエルザを生け贄にしてゼレフ復活の儀を行いたい。すなわち楽園への扉が開けばオレの勝ち。もし・・・それをお前たちが阻止できればそちらの勝ち。ただ、それだけでは面白くないのだな。こちらは3人の戦士を配置する』

 

「またなんかいるの・・・?」

 

ジェラールが用意した者だ。どうせロクなヤツらじゃない。

 

『そこを突破できなければオレにはたどり着けん。3対8のバトルロワイアル』

 

ジェラールという者は高みの見物、というわけだ。ジークレイン以上の性格の悪さが出ている。

 

『そして最後に一つ特別ルールの説明をしておこう。評議院が衛星魔法陣(サテライトスクエア)でここを攻撃してくる可能性がある。全てを消滅させる究極の破壊魔法エーテリオンだ』

 

「エーテリオン!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

その言葉にみんな驚愕した。

 

 

エーテリオン。別名「超絶時空破壊魔法」。評議院が保有する兵器の一つで、上空に描かれた『衛星魔法陣(サテライトスクエア)』から地上の標的を消滅させる。非常に多くの魔法属性が融合されており、威力次第では一国を破壊するほどだ。

 

そんなものが『楽園の塔』に向かって放たれたらーーーーーー

 

 

全滅。全員デッドエンドだ。

 

『残り時間は不明。しかしエーテリオンの落ちる時、それは全員の死・・・勝者なきゲームオーバーを意味する。さあ、楽しもう』

 

アミクの背筋が凍った。一体何を考えているのだ。自分もタダでは済まないはずなのに。あるいは脱出手段でもあるのだろうか。

 

 

アミク達が動揺していると、一人の男が動いた。

 

 

「エルザ!!」

 

「ショウ!!お前何を・・・!!」

 

ショウがエルザをカードの中に閉じ込めたのだ。

 

「姉さんは誰にも指一本触れさせない。ジェラールはこのオレが倒す!!!」

 

 

ショウが凄まじい怒りを全身から滾らせなが言うと、そのまま走り出した。

 

「くそ!!オレはショウを追う!!お前たちはナツを探してくれ!!!」

 

シモンもアミク達にそう声をかけるとショウを追いかけていった。

 

「だー!!!どいつもこいつも!!!」

 

「ジュビアはグレイ様と向こうへ。ルーシィさんとアミクさんはあっちね」

 

 

「待って待って、こういう時こそ私の出番!」

 

アミクが慌ててグレイ達を止めた。

 

「あ、そっか。アミクには鼻も耳もあるから・・・」

 

「じゃあ早速!索敵しちゃいます!」

 

アミクは鼻をスンスンとさせながら耳を澄ました。

 

 

 

 

 

 

 

ナツ達もジェラールの言葉を聞いていた。

 

「楽園ゲームだぁ?なんじゃそりゃ?」

 

「随分、悪趣味、なの」

 

マーチが鼻を鳴らして言った。

 

「何が何だがわからねーが、ジェラールって奴を倒せばこのケンカは終わりか。おし!!燃えてきたぞ!!!」

 

「相変わらず、単純、なの。でもその通りだと思う、の」

 

「じゃあ一番上にいるのかな?」

 

ハッピーがそう言っていると、倒れていたウォーリーが涙を流していた。

 

「な、何なんだよジェラール、エーテリオンってよう・・・そんなの喰らったら、みんな死んじまうんだゼ。オレたちは真の自由が欲しいだけなのに・・・」

 

それに気づいたナツはウォーリーの方を向き、屈託のない笑顔を見せた。

 

「どんな自由が知らねえーけど、妖精の尻尾(フェアリーテイル)も自由で面白いぞ」

 

ナツの言葉にウォーリーは呆然とした。

 

「ハッピー、マーチ。どんなゲームにも裏技ってあるよな?」

 

「あい!」

 

「それ、ズル、なの」

 

「細けぇことはいいんだよ!」

 

ハッピーはナツを抱え、ナツは足から炎をブースターのように出し、窓から一気に飛び上がった。

 

「一気に最上階まで行くぞ!!!!」

 

「あいさー!!」

 

「あーしはアミクを探して来る、の!」

 

そう言うとマーチは扉から部屋を出て行った。

 

「いい・・・マフラー・・・だぜ」

 

そして、ウォーリーはナツのマフラーを見て清々しい表情で言うのだった。

 

 

 




敵はともかく味方はどうしよ・・・。

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