妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

47 / 202
思ったより長くなるなー・・・。早くウェンディ出したいのに。

可愛いよウェンディ、ハァハァ・・・(作者はロリコンではありません)


投了と復活

<フリード VS リーダス>

 

<勝者 フリード>

 

 

「リーダスがやられちゃった!の!」

 

「くぅ・・・やるなァ、フリード!」

 

 

アミクたちの石化を治すためにポーリュシカのところに向かっていたリーダスがやられてしまった。フリードに感づかれてしまったらしい。

これで石化を治す目処がなくなってしまった。

 

「治すことねえよ。どうせハッタリだから」

 

 

「ハッタリだと思ってんのか?ナツ」

 

ナツの言葉に返したのはここにいるはずのない男、ラクサスだ。

 

 

「いや、あれは思念体、なの」

 

「つーかなんでオメーがここにいんだよ、ナツ」

 

「うっせぇ!!出れねえんだ!!」

 

 

ラクサスもまさかナツがこの術式に引っかかるのは予想外だったらしい。

 

 

「ラクサス・・・貴様・・・」

 

「仲間・・・いやアンタはガキって言い方してたよな。ガキ同士の潰し合いは見るに堪えられんだろ?あ〜あ、ナツにアミク、エルザも参加できねえんじゃ雷神衆に勝てる兵はもう残ってねえよなァ」

 

マカロフにラクサスが笑いかける。

 

 

「降参するか?」

 

それから、降伏勧告。もう勝ったも同然と思っているのだろうか。

 

 

「まだ、グレがいる、の!」

 

「そうだよ!ナツと同じくらい強いんだ!雷神衆になんか負けるもんか!」

 

「オレと同じだァ!?グレイが!?」

 

ナツはグレイと同レベルだというのが不満らしい。

 

「グレイだぁ?ククッ、あんな小僧に期待してんのかヨ」

 

「グレイを見くびるなよ、ラクサス」

 

グレイもギルド内では実力者だ。雷神衆の一人を倒すこともできるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「お!!グレイ発見ー!!」

 

「ビックスロー」

 

そのグレイは今、雷神衆の一人、ビックスローと遭遇していた。

 

 

「よォ、遊ぼーぜぇ」

 

『ビックスロー・・・か』

 

ウルは飄々とした態度のビックスローを凝視する。一体どんな魔法を使うのだろうか。

 

 

「・・・んんん??」

 

そこで、こっちを見ていたビックスローが首を捻る。一瞬、目が合ったような気がした。

かと思うと彼はウルを指差す。

 

 

「なーんかおかしなモンがあるなぁ・・・グレイ、それなんだ?」

 

「あぁ?何のことだ!」

 

グレイはビックスローに飛びかかりながら彼の質問に答えた。

 

「ちっちぇ魂・・・?いや、魂の残りカスみてぇなものがあるな・・・うひゃひゃ!興味深ぇな!」

 

『・・・コイツ、まさか私の魂が見えるのか!?』

 

ビックスローは人の魂を見ることができる。残留思念のようなものとはいえ、ウルにも少しの魂が存在する。だからこそ、氷の中にいるウルにも気づく事が出来たのだ。

 

 

「おもしれぇ!そいつ解体してやっちゃおうぜー!!」

 

「かいたーい」

 

「かいたいかいたーい」

 

ビックスローの言葉に人形たちも続く。

 

 

「さっきからゴチャゴチャ、御託が多いな!」

 

 

グレイは両手を構えた。戦闘開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

「ぐああああああああ!!!」

 

『グレイ!!』

 

今、グレイは危機に陥っていた。

 

 

戦っている最中フリードの術式の罠にかかってしまい、魔法が使えなくなった。そこをビックスローに一方的に攻撃されたのだ。

 

 

「うひゃははははっ!!残念残念!!流石のグレイも魔法が使えないんじゃねー」

 

 

ダン!

 

 

だが、グレイはその攻撃を振り切り、壁を蹴ってビックスローに接近した。

 

「バカな!?」

 

「うおおおおおお!!」

 

そのままビックスローを殴りつけた。

 

 

「ぐおおお!?」

 

そのまま地面に落下して樽や瓶を壊すビックスロー。グレイも勢い余って物を壊しながら、地面を滑る。

 

「こいつ・・・ベイビーの攻撃をあれほど喰らって・・・」

 

ビックスローが立ち上がってグレイを見るーーーーーーーが。

 

 

「・・・」

 

 

グレイは気絶していた。すでに限界だったのだ。なのに気力を振り絞って一矢報いただけである。

 

「なーんだ、もう終わってんじゃねーか」

 

ビックスローはグレイに近づいて胸元を覗く。

 

「さーてと、戦利品としてさっきの不思議な魂ちゃんをーーーーーってどこいった!?」

 

 

なんと、グレイが肌身離さず持っていたネックレスがなくなっていたのだ。ポケットなども覗くも見当たらない。

 

 

「さっきどっかに投げつけやがったな・・・!」

 

攻撃を受けている間、投げて隠したと考えた方が妥当だ。ならばまだ近くにあるはずだ。

 

だが。

 

 

「・・・チッ、人が集まってきやがったか。これ以上目立つのはやめといた方がいーか」

 

 

ビックスローとしてはあの魂について色々調べてみたかったのだが、人がたくさん集まって行動が制限される前に離脱することにする。

 

 

「あばよ、名もなき魂ちゃん!また会おうぜ!」

 

 

そう叫んでビックスローは去っていった。

 

 

 

一方ウルはビックスローの予想通りグレイの手によって建物と建物の細い隙間に投げ込まれていた。

 

 

『・・・助かったけどこれ、誰か気付くか・・・?』

 

ポツリ、とウルが呟く。

 

 

『・・・ま、とりあえずナイスガッツだ、グレイ』

 

不利な条件の中でも諦めずに敵に攻撃を加えたことは賞賛されるべきだろう。

 

 

『あの、ビックスローには要注意だな』

 

ウルは要注意人物リストにビックスローの名を加えた。

 

 

 

 

<勝者 ビックスロー>

 

<グレイ 戦闘不能>

 

<残り28人>

 

 

「ふははははははっ!!!だーから言ったじゃねーか!!」

 

ラクサスの高笑いが響く中、マーチたちは呆然と浮かんと文字を見ていた。

 

まさかグレイまで敗れるとは。

 

 

「嘘だっ!!絶対なんか汚い手を使ったんだよ!!」

 

「・・・たとえそうだとしても、どうしようもない、の・・・」

 

「そいつの言う通りだ。あとは誰が雷神衆に勝てるんだ?クク・・・」

 

確かにグレイもエルフマンもやられてしまい、アミクやエルザも石像になっていて、ナツはそもそもここから出られない。

現状、雷神衆を倒せそうな者がいないのだ。

 

いや、一人だけ心当たりがーーーーーー

 

「ガジルがいる、の!」

 

「残念〜!奴は参加してねーみてーだぜ!」

 

そういえばいつからか彼のことを全く見ていない。

 

「元々ギルドに対してなんとも思ってねえ奴だしな」

 

マカロフは黙ったまま考え込んだ。もうどうしようもないのか・・・。

 

 

「わかった。もうよい」

 

マカロフは静かに口を開く。

 

 

「降参じゃ。もうやめてくれラクサス」

 

「じっちゃん!!」

 

 

ここで降参すれば、これ以上不毛な争いでみんな傷付かなくて済む。

 

 

そう思っての降参だったが・・・。

 

 

 

「ダメだなァ・・・天下の妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマスターともあろう者が、こんな事で負けを認めちゃあ。どうしても投了(リザイン)したければ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマスターの座をオレに渡してからにしてもらおう」

 

 

「!!」

 

 

マカロフはやっとラクサスの真意に気付いた。最初からこれが狙いだったわけだ。マカロフに代わりマスターとなるためにこんなことを仕出かしたのだ。

 

「女の石像が崩れるまであと1時間半。リタイアしたければ、ギルドの拡声器を使って街中に聞こえるように宣言しろ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマスターの座をラクサスに譲るとな」

 

 

大々的に宣言することでみんなに「ラクサスがマスターである」ことを認知させ、後に引けなくするつもりなのだろう。

 

 

「よーく考えろよ。自分の地位が大事か、仲間の身が大事か」

 

 

 

選択肢を残してラクサスは消えていった。

 

 

「くそっ!!オレと勝負もしねえで何が最強だ!マスターの座だ!!」

 

ナツが悔しげに言うがマカロフは頭を振る。

 

「マスターの座など正直どうでもよい」

 

「いいのかよ!!」

 

「だが・・・ラクサスに妖精の尻尾(フェアリーテイル)を託す訳にはいかん」

 

そう言ってマカロフは目つきを険しくした。

 

「この席に座るにはあまりにも軽い。信念と心が浮いておる」

 

マスターをやっているからこそ、ラクサスはマスターには相応しくないと分かる。

 

「でもこのままじゃ・・・みんなが砂になっちゃう」

 

「アミクたちが・・・死んじゃう、の・・・!」

 

マーチが涙目で石になったアミクを揺する。

 

「えーい! 誰かラクサスを倒せる奴はおらんのかっ!?」

 

「オレだよオレ!!」

 

「ここから出られんのじゃ。どうしようもなかろう」

 

マカロフとナツが言い合っていると。

 

 

ガサゴソ

 

 

 

カウンターから物音が聞こえた。

 

 

「誰!?なの!」

 

マーチが呼びかけると、そこからひょこっとある男が現れる。

 

 

 

食器を齧っている目つきの悪い男。

 

 

「ガジルーーーー!!!』

 

「食器を食べんなー!!」

 

「ていうか今までずっとそこにいた、の・・・?」

 

ガジルはカウンターを飛び越えると出口を見据えた。

 

 

「も、もしや・・・行ってくれるのか」

 

「あの野郎には借りもある。まあ・・・任せな」

 

「おおっ!!」

 

頼もしい言葉だ。マカロフはガジルに希望を託す。

 

 

ガジルはそのまま出口に向かって

 

 

 

ゴチーン!!

 

 

 

見えない壁にぶつかった。

 

 

 

「・・・・」

 

 

唖然。

 

 

 

その場を表すのはその言葉だけで十分だった。

 

「おまえもか―――――っ!!!」

 

「な、なんだこれは―――――!!!」

 

「い、一体どうなってる、の・・・?」

 

 

ナツだけでなくガジルまで術式に引っかかった。一体何が原因なのだろうか。

 

 

 

 

 

「残り二人だけじゃと!?」

 

 

モタモタしている間に残りの人数があと二人になってしまった。というかあと二人って・・・。

 

「何でオマエまで出れねーんだよ、マネすんじゃねー!」

 

「知るか」

 

「ハラ減ってきたじゃねーかコノヤロウ!!」

 

「それは本当に知らんわ!!!」

 

マカロフは思わず言い争っているナツとガジルを見た。

 

「こいつ等だけじゃと―――――っ!!!?」

 

「オイラたちは頭数に入ってなかったのか―――!!」

 

「入れられても困るけど、なの」

 

マカロフは頭を抱えた。

 

――――同士討ちや雷神衆の手により妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士が全滅したというのか!!?戦える魔導士はもういない・・・。

 

 

ここまでか・・・。

 

 

 

マカロフが諦めかけた時だった。

 

 

「仕方ねえ、エルザかアミクを復活させるか!」

 

ナツがづかづかとアミクの石像に近付いたのだ。

 

 

「何!?」

 

「あーあ、せっかくエルザたちを見返すチャンスだったのになァ」

 

「ちょ・・・ちょっと待たんかいっ!おまえ・・・どうやって・・・!?」

 

もしやナツは元に戻す方法を知っているのだろうか。だとしたらもっと早く言って欲しか――――

 

 

「燃やしたら溶けんじゃね?石の部分とか」

 

「やめ――――い!!!!」

 

ナツを信じた自分がバカだった。

 

 

ナツは炎を纏った手をアミクに近付ける。

 

 

「やってみなきゃわかんねえだろ」

 

「わかるわい!!!よせっ!!!アミクを殺す気か!!!」

 

ゴオオオオオオオ

 

 

「ナツ!!火でこするでないっ!!」

 

 

「つーか、てめ・・・手つきエロいぞ・・・」

 

「むー!破廉恥なことはダメ!なの」

 

そんな風に騒がしくしていると。

 

 

パキ

 

 

アミクの石像の額辺りに罅が入った。

 

 

ナツたちの顔が「ヤベェ!!」って表情になる。

 

 

「しまった――――!!割れた――――!!ノリだノリ!!マーチ、ハッピーノリ―――!!」

 

「あいさー!」

 

「ま、前にアミクが持ってたあの魔法アイテムがあれば・・・なの」

 

「バカヤロウ!!そんなんでくっつくか!!?オレの鉄をテメェの炎で溶かして溶接するんだ!!!」

 

「貴様ら――――っ!!!」

 

 

ガジルも一緒になって慌てふためいているのは一見滑稽である。

 

 

そうしている間にも、罅はどんどん広がっていった。

 

 

パキ パキ パキ パキ

 

 

「ひぁ――――っ!!!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!!アミクなら許してくれるよな!!?」

 

「謝っている人の態度じゃねえ!!」

 

拝むように謝るナツの前でとうとう石像が砕け散って――――

 

 

 

「ふぇ?」

 

 

キョトンとしたアミクがいた。

 

 

「アミク――――!!!」

 

 

「アミクが復活した――――!!」

 

 

マーチとハッピーがアミクに飛びついて抱きつく。

 

 

「ほら見ろ!やっぱり燃やして正解だったじゃねえか!」

 

「何か熱いと思ってたらアンタのせいか――――!!!」

 

得意げに言うナツの頭を叩くアミク。復活早々キレのいいツッコミである。

 

「アミク・・・しかし、なぜ・・・」

 

 

どうやって復活できたのか疑問なのだろう。

 

 

「もちろん私の音楽魔法!『状態異常無効歌(キャロル)』で石化を治したんだよ」

 

エバーグリーンに石化される直前に自分に『状態異常無効歌(キャロル)』を掛けたのだ。

 

「ただ焦ってたから音程ずれちゃって・・・効果が中途半端になっちゃったんだ。それで今、石化が治ったってわけ」

 

(石化を状態異常と見なしたのか・・・!)

 

だとすると、石化される前にこっそり歌っていたのだろう。エバーグリーンが現れた時から嫌な予感がしていたのかもしれない。

 

 

「アミク・・・今の状況わかる、の?」

 

「うん!全部耳に入ってたよ!」

 

 

アミクの地獄耳は石化している時でも健在だった。

 

 

(いける!!反撃の時じゃ!!)

 

 

希望が見えてきたことでマカロフの顔に喜色が浮かんだ。

 

 

「まったく、ラクサスもオイタが過ぎるよ!」

 

「オイタってレベルじゃねえよ!」

 

ガジルのツッコミを聞き流しアミクは空中に浮かぶ文字を見た。

 

 

<残り3人>

 

 

「私が復活したことで残り人数も律義に変わるんだね。凝ってるなー」

 

「この3人はナツとガジルとアミクのことだね」

 

それを聞いたアミクはハッとしてハッピーとマーチを見る。そして愕然となった。

 

 

「え!?二人とも戦力外扱い!!?」

 

「改めて言われるとオイラ、傷つく・・・」

 

「あーしが、戦力外・・・!?」

 

アミクの言葉に落ち込む二匹。

 

 

そのとき、また文字が「残り4人」に変わった。と、同時に。

 

 

パキン

 

 

後方からそんな音がした。皆そちらを向いてみると――――

 

緋色の髪を持つ女性がパンパン、と服を払っているところだった。

 

「エルザ!?」

 

「エルザも復活した―――!!」

 

 

「んむ・・・遅くなってすみません、マスター」

 

「よい。しかし、お主はどうやって・・・」

 

アミクとは違って、エルザにはあのとき石化に対抗できるような魔法はなかったはずだ。

 

 

「それが私にも・・・もしかしたらこの右眼のおかげかもしれませんが・・・」

 

 

そういえばエルザは奴隷時代に右眼が潰れてしまっていて、ポーリュシカにより義眼を埋め込まれているのだった。

その義眼のお陰で魔法の効果が半減されたのだろう。

 

 

(エルザも復活した!これ程頼もしい戦力はない!)

 

アミクやエルザの機転により風向きが変わってきたのを感じる。

 

朗報はまだ止まない。

 

「エルザは今の状況把握してる?」

 

「問題ない。アミク同様、聞こえていた」

 

アミク達が話していると、また文字が変わったのだ。

 

 

<残り5人>

 

 

「あれ!?また増えた!?」

 

 

アミクたちはまた誰か復活したのかと石像の方を振り向くが、誰も石化が解けていない。

 

 

そこで、エルザが不敵に笑った。

 

 

「どうやらあの男も参戦を決めたか」

 

 

あの男、と聞いてアミクにも思い当たる人物がいた。

 

 

「そっか!妖精の尻尾(フェアリーテイル)もう一人の最強候補、ミストガンがいたね!!」

 

 

ミストガンなら、ラクサスに勝てる可能性が最も高い。間違いなく最高の戦力だ。

 

 

「よし!反撃開始じゃ!」

 

 

マカロフが勢い込んで指を外に向ける。ここからはこちらのターンだ。

 

 

「・・・あ!」

 

「?どうしたアミク」

 

 

そのとき、アミクが叫んだのでエルザは怪訝な顔をアミクに向けた。

 

 

 

「私の魔法を使えば皆の石化は解けるんじゃ・・・」

 

 

 

『あ』

 

 

 

 

案外祭りはすぐに終わりそうである。

 

 

 

 

 

 




フリードのあのロン毛って邪魔じゃないのかな・・・。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。