妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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原作がないとキツイもんがあるな…。記憶と想像力で頑張るしかない…!


目指せ!王都

「つうと、なにか? お前らはアースランドとか言うもう一つの世界から、仲間を救うためにエドラスに来たってのか?」

 

アミクたちはエドラスの妖精の尻尾(フェアリーテイル)のみんなに事情を話した。

 

「そっちの世界にも妖精の尻尾があって、そっちじゃエルザは味方だって?」

 

「ざっくり言うとね」

 

「あい」

 

半信半疑なみんなだったが、ナツを見て「確かにこのナツはオレ達の知ってるナツじゃねぇしな」と言って信じてくれた。

 

 

「この子がそっちの世界の私!?」

 

「ど、どうも…」

 

エドウェンディがウェンディの方を見て驚いている。まあ、別世界の自分がこんなロリッ娘だったら驚くだろう。

 

 

 

「それで、この方は誰ですの?」

 

エドカナがアミクを見る。他のみんなも問いかけるように視線を向けてきた。

 

「えっと、アミクって言うんですけど…」

 

「うちにはいねえよな」

 

「どっかで聞いたような…」

 

「こんな別嬪さん一度見たらそう簡単に忘れないと思うんだが」

 

どうやらこちらの世界のアミクはそこまで知名度があるわけではないらしい。

 

(エルザが敵になってたみたいに…私も敵になっている可能性を考えると…はぁ…)

 

気が重い。下手したら自分と戦うハメになるかもしれないのだ。

 

 

 

「で、王都への行き方を教えてくんねぇか?」

 

ナツがそう聞くと、みんなの顔に動揺と困惑が走った。

 

 

「私たちの仲間が、この世界の王に吸収されちゃったんです!早く助けに行かないとみんなが魔力に…形の無いものになっちゃうんです!!」

 

ウェンディの悲痛な訴えにみんなの瞳が揺れる。

 

「お願い。みんなも仲間は大切でしょ?私たちだって…」

 

アミクも必死に頼み込んだ。だが、みんな乗り気ではなさそうだ。エドウェンディがアミクたちに言う。

 

「小さい私には悪いけどさ、やめておいた方が身のためよ。エドラスの王に歯向かった者の命はないわ。それほど強大な王国なの」

 

「そんな…」

 

続けてルーシィも言う。

 

 

「この世界じゃ魔力は有限、限りあるもの。言い換えればいずれなくなるものなんだ。それを危惧したエドラス王は魔法を独占しようとして、その結果、全ての魔導士ギルドに解散命令が出された」

 

「そんな身勝手な…」

 

ひどい話だ。魔法を独占したいばかりに、魔導士ギルドを闇ギルド扱いするなんて。

 

「初めのうちはみんな抵抗したさ…。けど、王国軍魔戦部隊の前に次々と潰されていった」

 

「残るギルドはここだけ…もちろんオレ達だって無傷じゃない。仲間の半分を失い、マスターだって…ちくしょう…」

 

メンバーたちの顔に影が落ち、悲しみが募っていく。

 

「…それでも、相手がどんなに強大でも私たちは助けにいかなくちゃ」

 

「だから、教えて」とアミクは頼み込んだ。

 

ナツもみんなを見据えて言う。

 

「オレは仲間を助けるんだ。絶対にな」

 

その時、アミクは誰かが扉を開ける音を聞き取る。見るとリサーナが一人外に出るところだった。

 

(リサーナ…?)

 

しばらくすると、泣き声が聞こえ始めた。

 

今までの辛かった経験を思い出したのだろうか。

 

アミクはそっとしておくことしかできなかった。

 

 

 

 

無事に王都までの道のりを教えてもらったアミクたちは砂漠を歩いていた、が。

 

「よーし…動くなよ…どらぁ! あ、待て!!ルーシィへの土産にするんだ!」

 

「そんなの喜ばないでしょ…」

 

ナツが変な色合いのカエルを捕まえようと躍起になっていた。

 

「もう、こんな調子じゃいつになったら王都に着くのやら…」

 

「5日は歩くって言ってたよね」

 

「途中で休憩できる町もあるらしいですから、そこまで頑張りましょう」

 

「そうだね。でも、魔法が使えないのは痛いなー」

 

「あい…」

 

ハッピーはしょんぼりとして同意する。

 

「はぁ…先が思いやられるわ…」

 

「それには同意する、の」

 

シャルルとマーチがため息をつく。その時、ナツが何かに当たって跳ね返った。

 

「ぐえ」

 

「ん?」

 

みんなしてそれを見ると…。

 

 

「でっかーい!!!」

 

でかいカエルがいた。そのカエルはナツを踏み潰そうとしてくる。

 

「ナツ!!気をつけて!」

 

「まっかせろー!!火竜のーーー」

 

カエルに攻撃しようとして、ナツは魔法が使えないことを思い出す。

 

 

「忘れてた! 魔法は使えねえんだった! 二人も魔法使えねぇのか!?」

 

「無理ー!」

 

「私もダメです!」

 

それを聞いて、ナツはヤケになったかのようにカエルに飛びかかろうとする。

 

「くっそぉぉ!! こうなったら魔法が使えなくてもやってやんぞコラァ!!!」

 

「ダメだって!!ここは逃げたほうが得策だよ!」

 

アミクはナツのマフラーを引っ張って止めるが、そんな二人を押しつぶそうとカエルが迫ってきた。

 

「二人とも危ないです!」

 

ウェンディが叫んだ途端。

 

突如現れたルーシィが鞭でカエルをぶっ飛ばした。

 

「怖いルーシィ!」

 

「怖いルーシィさん!」

 

「バイオレンスルーシィ!!」

 

「喧嘩売ってんのかお前ら!?特に最後!」

 

カエルが尻尾を巻いて逃げていく。

 

「このルーシィはすごく頼りになるなぁ…ってなんでここに?」

 

さっき自分たちが王都に行く時には見送っていたはずだが。

 

「べ、別に心配してるわけじゃないからな!放っておくと寝覚めが悪いだけだ!」

 

頬を赤く染めて言い訳するルーシィだが、これぞツンデレというヤツじゃなかろうか。

 

「何だかんだ言ってもやっぱルーシィだな、お前」

 

ナツが嬉しそうに言う。

 

 

「どんなまとめ方だよ!」

 

「そういうツッコミとか!」

 

「まあ、根本は私たちの知ってるルーシィってこと」

 

困ってる人を見過ごせない所とか。

 

「ルーシィにこの怖いルーシィ見せたいね!」

 

「どんな顔すんだろうな…本物は!」

 

ニヤニヤ笑って話し合うナツとハッピーに「私は偽物かい!」とルーシィが蹴りと共にツッコミを入れた。

 

「より凶暴にはなってるけど、ね」

 

それでも優しいルーシィなんだな、とナツに技を掛けまくるルーシィを見ながら嬉しく思うのだった。

 

「いや、止めないの?なの」

 

「やっぱり怖い…」

 

マーチが呆れ、ウェンディは震え上がっていた。

 

「ホントに先が思いやられるわ…もぅ…」

 

そして、一人ため息をつくシャルルであった。

 

 

 

 

 

 

数日後。

 

アミクたちはルーエンという名の町に来ていた。

 

ルーシィ曰く、魔法の武器もなしに旅を続けるのは難しいとのこと。

 

魔法を使う世界では当たり前の話であった。

 

「ちょっと前までは、魔法は普通に売買されてたんだ。でも王国のギルド狩りがあって、今は魔法の売買は禁止されている。それどころか、所持しているだけで罪になるんだ」

 

「おっかない世の中〜!」

 

でもそうなると元から魔法を使える人はどうなるのだろうか。アミクがその旨を聞くと。

 

「え? どうって…魔法を手放せばいいだけだろ? つぅか、魔法を元から使える人ってなんだよ?」

 

と「何言ってんだコイツ」みたいな顔で聞き返された。

 

「…そういうことね」

 

シャルルは何か分かったようだ。

 

「何が?」

 

「おそらく、エドラスでは魔法は物みたいなものよ。私たちみたいに体内に魔力を持つ人間はいないんだわ」

 

「なーるほど、なの」

 

この世界の魔力といえば、大体が魔水晶(ラクリマ)ことを示すもので、それを武器や生活用品に組み合わせたものを『魔法』として使っているらしいのだ。

 

「じゃあ、ここの人たちって魔法の道具を使うだけってことだね」

 

アミクが納得しているとルーシィが足を止めた。見ると、狭い通路に暖簾付きの入り口があった。

 

「着いたよ、この地下に魔法の闇市がある。旅をするなら必要だからね」

 

闇市。つまり、違法の商売だということ。

 

魔法の売買さえ禁じられた今、こういった方法でしか魔法を手に入れる手段がなくなったのだろう。

 

 

アミクたちは暖簾を潜り、地下へと続く階段を降りる。その先に店があった。

 

 

中はカビ臭く、埃っぽかったが、棚に色んな道具が陳列されている。

 

「おぉ…なんか怪しい物がいっぱい並んでる!」

 

「これがみんな魔法…?変わった形ばっかり」

 

アースランドにも魔法の道具がないわけではないが、形もヴァリエーションに富んでいるのはエドラスだからこそであろう。

 

「これなんか古そうだし…」

 

「おや、お目が高い」

 

アミクが少しひび割れた壺を見ていると、店長が声をかけてくる。

 

「それは歴史深い骨董品ですよ。魔法界の中でも特に有名な物です。だから、カビとか傷とかもいい味出してるでしょ、お客さん」

 

「ま、そういうのは分からなくもないけど…」

 

「味なんてどうでもいいんだよ…大事なのは使えるかどうか、結構パチもんも多いから買う時はよく点検しな」

 

「サバサバしてるなあ…」

 

こんな世界じゃ歴史的価値とかを感じる余裕もないのかもしれないが。

 

「うーん、あ、これは…?」

 

アミクはオルゴールのような物を手にとる。

 

「ああ、それは音楽を再生する娯楽用の魔法なのですが…」

 

「へー!興味あるな」

 

アミクが目を光らせてそれを見ていると、ルーシィに注意された。

 

「おい、武器を買えよ。今私たちに必要なのは戦闘力だろ」

 

「う、うん。ごめん」

 

アミクは名残惜しげにそれを棚に戻すと、良さそうな武器を探し始めた。

 

「やっぱ音系の魔法がいいかなー」

 

「音、ですか。となると…」

 

店長は奥の棚からいくつかの球体を持ってきてくれる。

 

「こういうのはどうでしょう?投げつけると轟音を響かせてくれる『音爆弾』。衝撃波も発生するので音で相手を怯ませると同時に吹き飛ばすこともできますよ」

 

まさに、アミクの魔法みたいな物だ。

 

「ぴったりじゃん!これにする!」

 

「ただ、数に限りがありまして…売れるのは5個が限界です」

 

「そっか…」

 

使い捨てかつ個数制限付き。使い所を考えて使用しなければ、すぐに使い果たしてしまうだろう。

 

 

アミクが音爆弾を袋に詰めていると、ナツとウェンディの方も購入する魔法が決まったようだ。

 

「ショボい炎だな…」

 

ナツは火を噴く『封炎剣』を。

 

「小さくて可愛いでしょ!」

 

ウェンディは風を発生させる『空烈砲』を。

 

 

「結局みんな自分の属性っぽいものにしたんだね」

 

「やっぱ馴染みのある方がいいからな!」

 

そして、お会計。

 

「よし、この四つをくれ」

 

「かしこまりました…全部で40000のところをまけて35000にしましょう」

 

「え、高っ」

 

普通に高かった。

 

「何分品物も少なくて貴重なので…」

 

それもそうか。

 

「つぅか、大事なこと忘れてたけどお前ら金は?」

 

『あ』

 

エドラスではアースランドとは通貨も違うし、一銭も持っていない。

 

「どうしよう…体で払うしか」

 

「なんでそうなるんだよ!?しょうがねえ、あたしが奢ってやるよ!」

 

ルーシィが男前に言ってくれた。

 

 

「ごめん、ルーシィ…。後で返すから」

 

「別にいいって、これくらい」

 

ルーシィが気にするな、と言いたげに手を振っていると、店長が慌てたように言い出した。

 

「ルーシィさんからお金を頂く訳にはいきません!以前ガサ入れされた時、助けてもらいましたからなぁ」

 

「まあ、あれしきのこと、どうってことないさ」

 

店長はルーシィに恩があるらしい。だから、無料でくれるという。

 

「じゃあ、遠慮なくいただくよ」

 

「ありがとな、おっちゃん」

 

「本当にありがとうございます…」

 

これも商売なのに、完全なる赤字ではないのだろうか。

 

本人がいいのならいいが。

 

 

「あっちのルーシィとは違って、怖いルーシィは頼りになるね!」

 

「いつの間にこんなにたくましくなっちゃって…」

 

「なんだよ!?オカンみてえな事言うなよ!?」

 

アミクが泣くふりをするとルーシィが慌て出す。

 

「しかも、ここらじゃ結構顔って感じだもんな!」

 

「ホント助かりました!」

 

「ま、まあ…大したことしてねえって」

 

ルーシィは赤くなって照れた。

 

「と、ところでよぉ…そっちのあたしってどんな感じなんだ?」

 

「君と同じく美人だよ!」

 

アミクが力強く即答すると「お、おう…!?」と真っ赤になって戸惑った。可愛い。

 

 

それから色々とルーシィについて教えてあげると。

 

「ぷははははは!!!」

 

ルーシィが大きく笑い出した。とにかくアミクがべた褒めしていると赤くなっていたのに、急にどうした。

 

「あたしが小説書いてんの!? そんでもってお嬢様で、鍵の魔法使って…あははははは!! ダメだ、想像したら笑いが…ぷっ…くく…」

 

何かがツボにハマったらしい。

 

「小説は面白いよ?あの出来だと受賞も夢じゃないと思うんだけど…」

 

「さすが読者第1号、なの」

 

ルーシィが笑っているのを他所にアミクは先ほど購入したばかりの魔法を取り出した。

 

「そういえばこれの詳しい使い方聞いてなかったな…。投げればいいだけ?」

 

アミクが音爆弾でお手玉をしているとルーシィが慌てる。

 

「バカッ! 人前で魔法を見せるな!!」

 

ルーシィがアミクの手を掴んでテーブルの下に隠す。その時、音爆弾が落ちそうになったのでウェンディが慌ててキャッチ。ナイス。

 

 

ルーシィが周りを確認して注意する。

 

 

「今現在、魔法は世界中で禁止されてるって言っただろ」

 

「ごめんね…」

 

 

そこでマーチが「でも、魔法は元々生活の一部だったはず、なの。なんで禁止した、の?」と聞く。

 

 

「自分たちだけで独占するためだよ…あいつらはあたしたちの文化の一つを奪ったんだ」

 

魔法というものが当たり前に使われ、共にあった生活。急にそれを取り上げられた人々の気持ちを推し量ることができるだろうか。

 

「じゃあ、王国の奴らやっつければまた世界に魔法が戻ってくるかもな!」

 

「そう簡単にいけばいいけど、ね」

 

そんな単純な話だろうか。

 

ナツの言葉を聞いたルーシィがガタッと立ち上がる。

 

「なにバカなこと言ってんだよ!? 王国軍となんか戦えるわけねぇだろ!」

 

「え、じゃあなんで付いてきたの?」

 

「それは…王都までの道を教えてやろうと…戦うつもりなんて無かったんだ」

 

気まずげに言うルーシィに対し、アミクとナツの反応は軽いものだった。

 

「ふーん。でもありがとう」

 

「案内してくれるだけでもいい奴だな!」

 

笑って告げるアミクたちを見てルーシィは顔を赤く染めて俯いた。

 

 

その時。

 

 

 

「いたぞ!! あっちの出入口を封鎖しろ!」

 

怒号が響いてきたのでそちらを見ると、武装した集団が駆け寄ってきている最中だった。

 

「え、なに!?」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だな!そこを動くな!」

 

「王国軍!?もうばれたのか!?」

 

アレが王国軍か。みんなして武器を持っているので魔法が使えるのだろう。

 

「ん…?あの娘、見覚えがあるような…?」

 

その時、先頭を走っていた隊長格の男が、アミクを見て首を傾けた。しかし、男が思い出す前に、ナツが叫ぶ。

 

 

「よーし…早速手に入れた魔法で――」

 

ナツが封炎剣を取り出し、構える。

 

「おい、待てーーーー」

 

ルーシィが静止するも遅く、思いっきり火をぶっ放す。

 

「こ、これどうやって使うんだっけ!?」

 

「知らないわよ!」

 

ウェンディは空烈砲を使用しようと四苦八苦していた。

 

「えと、えっと、このボタン押して投げればいいんだね!?わかりやすい!」

 

アミクは音爆弾を一個取り出して、いつでも投げられるように構えた。

 

 

「ンハハハハハ!!!あ、アレっ…?」

 

悪役みたいに笑っていたナツだが、炎を止めて見てみると…。

 

 

「か、壁っ!?」

 

兵士たちの前に透明な壁が浮かんでいた。バリアみたいなものか。

 

 

「も、もういっちょ!!…お!?」

 

もう一度発動しようとしたが、煙が出ただけで不発。

 

 

「魔力は有限だって言っただろ! 全部の魔法に使用回数が決まってるんだ!」

 

「一回かよこれ!?」

 

「出力を考えれば100回位は使えたんだよ!!」

 

使い方が悪かっただけらしい。

 

「よーし、今こそ私の見せ場!そぉれ!!」

 

ここぞ、とアミクは音爆弾を投げた。

 

 

 

あらぬ方向に。

 

 

「コントロール最悪ーーーー!!?」

 

「なにしてんだー!!?」

 

アミクが投げた音爆弾はどこかの建物に当たり、跳ね返ってきた。それはウェンディの近くに転がってくる。

 

「あ」

 

「え?」

 

ウェンディたちが呆然とそれを見つめていると、カッと光って轟音と衝撃波を放った。

 

「きゃああああああ!!!」

 

「ごめーーん!!!」

 

直撃こそしなかったが、軽く吹っ飛ぶウェンディ。その拍子に空烈砲である、円形の箱が思いっきり開かれる。その中から竜巻が出てきた。しかし…。

 

 

「で、デカくない!?」

 

「これはヤバイ、の!」

 

その竜巻が大きすぎたのだ。

 

その場で発生した竜巻はアミクたちを巻き込んで吹き飛ばす。

 

 

「なんか最近吹っ飛んでばっかーーーー!!」

 

飛ばされながらも叫ぶアミク。直後、どこかの民家の屋根をぶち破って落下した。

 

 

 

 

「いったー…」

 

肩をさすりながら起き上がる。

 

 

「なんとか助かった見たいね…」

 

「うん、誰も住んでなくてラッキーだったよ。ご丁寧に藁も敷いてあったし」

 

「ああ、全員怪我はねぇな?」

 

ルーシィが周りを確認する。

 

 

外は騒がしく、未だアミクたちを探しているようだ。ハッピーが困ったように言った。

 

「これじゃあ、外に出れないよ」

 

「しばらく待つしかない、の」

 

ナツが不満そうに封炎剣をいじった。

 

「不便だな…こっちの魔法」

 

「私は魔法関係なかったけどね」

 

普通にコントロールの問題だった。

 

 

その時、「いたぞ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)だ!」と外から聞こえ、みんなギクッとなる。

 

 

だが、どうも自分たちを見つけたわけではないようだ。

 

 

「離してよ!」

 

聞き覚えのある声にアミクたちが反応する。

 

「今のは…!!」

 

慌てて、扉の隙間から様子を見てみた。

 

「お前はルーシィだな!」

 

「確かにルーシィだけど、何なの一体!」

 

そこには、アミクたちの知っているルーシィが兵士に腕を掴まれている光景があった。

 

「ルーシィ!!」

 

「あたし!?」

 

 

エドルーシィが目を丸くする。

 

「助けないと!!」

 

アミクとナツが扉を開けて外に飛び出す。おいコラ、誰の許可得てルーシィに触れてるのだ。

 

 

ルーシィは懐から金の鍵を取り出した。

 

「開け、天蝎宮の扉――!」

 

 

「ルーシィ!ダメ!!ここでは魔法がーーー」

 

アミクが伝えようとするも、彼女はすでに詠唱してしまっていた。

 

 

「――スコーピオン!!」

 

「ウィーアー!!」

 

しかし、不発、ということはなく、普通に星霊が召喚される。

 

 

「え!?」

 

「サンドバスター!」

 

スコーピオンが尻尾からの砲撃で兵士を撃退してしまった。

 

 

「魔法が使えてる…!?」

 

「なんで…!?」

 

 

ウェンディ共々驚いていると、「オレっちこれからアクエリアスとデートなんで」とスコーピオンが帰っていく。

 

 

そして、ルーシィがアミクたちに気付いた。

 

「アミク!!みんなぁ!!会いたかったのよー!!!」

 

「ルーシィー!!」

 

ルーシィが駆けてくるのでアミクも駆け寄る。

 

 

なんで魔法が使えるのだとか、なんでここにいるのだとか、聞きたいことはいっぱいあったが、とりあえずルーシィに会えたことを喜ぶことにする。

 

 

両手を広げて走ってくるルーシィ。アミクも両手を広げ、彼女を抱きしめようとーーーーーー。

 

 

 

 

 

「え!?」

 

しかし、エドルーシィを見たルーシィが突然止まった為、目測を誤ってすっ転んでしまった。顔面からズシャーといく。

 

「ふぎゅ!?」

 

「あたしぃぃ!?ーーーってごめんアミクー!!?」

 

ルーシィの驚愕の声と悲鳴が響いた。

 

 

 

 

 




もう少ししたらエドアミク出ると思います。

授業しんどい。

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