妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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ここから第1章、鉄の森編が始まります!やっとエルザ出せる・・・。


鉄の森と呪歌
女王の帰還


カービィからの依頼を終え数日後、少しずつギルドに慣れ始めたルーシィはクエストボードに貼ってある依頼書を眺めていた。

 

「えっと、魔法の腕輪探し・・・呪われた杖の魔法解除・・・占星術で恋占い・・・火山の悪魔退治!? 魔道士っていろんな仕事があるんだなぁ・・・」

 

ルーシィは改めて魔道士に感心しているとミラとアミクが近づいて来た。

 

「気になった依頼があったらミラさんに言ってね。今おじいちゃん、定例会だから」

 

「定例会?」

 

「地方のギルドマスター達が集まって定期報告する会よ。評議員とは違うの。うーん・・・リーダス、光筆(ヒカリペン)貸してくれる?」

 

「ウィ」

 

ミラは絵を描いていた大柄の男、リーダスから魔法アイテム光筆(ヒカリペン)受け取る。光筆(ヒカリペン)とは空中に文字や絵を描く事が出来る魔法アイテムだ。ミラは空中に分かりやすい図を描いた。

 

「魔法界で一番偉いのは政府との繋がりもある評議員10人。魔法界における全ての秩序を守るために存在しているの。犯罪を犯した魔道士をこの機関で裁く事ができるのよ。そしてその下に居るのがギルドマスター。評議会での決定事項を通達したり、各地方のギルドとの意思伝達を円滑にしたり、私達をまとめたり・・・まぁ大変な仕事よね?」

 

「知らなかったなぁ・・・ギルド同士の繋がりがあったなんて」

 

「ギルド同士の連携は大切よ? これをお粗末にしてるとーー」

 

「黒いヤツらが来るぞぉぉぉぉ!!」

 

「あいィィィィ!!」

 

「なのぉぉぉぉ!!」

 

「ひぃぃぃぃぃ!? って、あんたらかい!」

 

ナツとハッピーとマーチが突然現れてルーシィはビックリする。

 

「ハハッ、ビビりすぎだろ」

 

「ビビるルーシィ。略してビビルーシィだね!」

 

「略すな!」

 

「さらに略してビル、なの」

 

「一周回ってまともな名前になっちゃった!」

 

2人と2匹による漫才ラッシュにアミクはクスクスと笑う。

 

「今日もツッコミ冴えてるね、ビル」

 

「定着させないで!?・・・それよりも黒いヤツらって?都市伝説?」

 

「あら、黒いヤツらは本当に居るのよ?連盟に属さないギルドーーーーー闇ギルド」

 

ここでミラは真面目な顔をして続ける。

 

「時には暗殺や犯罪などにも手を染める悪質で危険な連中よ」

 

「うう・・・絶対そんな奴らに会いたくないなぁ」

 

「ま、だからこそ狙われないためにおじいちゃんも頑張ってるんだけどね。今みたいに定例会に行ったり、ね」

 

アミクが怖がるルーシィを安心させる。

 

「それこそ、自分から突っ込まない限りは闇ギルドなんてそうそう出会わなーーーーー」

 

「おい、ナツ!オメェはさっきから暑苦しいんだよ!」

 

「んだと!?オメェこそすぐに服脱ぎやがって変態じゃねぇか、このヒエヒエ野郎!!」

 

「なんだとこの頭ボンバー野郎が!!」

 

「脱衣選手権でもやってんのかテメェは!!」

 

ナツとグレイのいつも通りのケンカ。もはや一種の名物だ。

 

「あのバカ共は放って置いて今日は私達だけで仕事行く?」

 

「あい!たまにはチーム全員じゃなくてもいいよね!」

 

「え、チームって・・・」

 

前のカービィの件の時のやつだろうか。

 

「それってまだ続いてたの?」

 

「え、もしかして嫌だった・・・?」

 

アミクが心配そうにルーシィを見た。ルーシィは慌てて頭を振る。

 

「そういうわけじゃないけど・・・あれって私が金髪だから組んだだけじゃなかったの?」

 

「まぁ確かに金髪だったから丁度と良かったっていうのもあったんだろうけど・・・元々、それとは関係なしにチームに誘おうって思ってたし」

 

「ほんと?」

 

「それにあの時、言ってたでしょ。私達ルーシィのこと気に入ってるって」

 

確かに馬車でそう言っていた。

 

「それに私はルーシィのこと、と、友達だとも仲間だとも思ってるから・・・」

 

改めて友達とか言うと結構恥ずかしい。頰が熱い。

 

「ーーーーっもう!もうほんとにアミクは可愛いなぁもう!!」

 

ルーシィはアミクを正面からぎゅーっと抱きしめた。

 

「く、苦しい・・・」

 

「そういえばアミクって何歳?」

 

「じゅ、16・・・」

 

「じゃあ一つ下ね!わぁ髪サラサラーいい匂いもするし若い子は羨ましいわーそれにすごい発育ねぇ」

 

「ルーシィだって変わんないでしょ・・・後ちょっとおっさん臭い・・・」

 

2人は互いに向き合って抱きついているので2人の巨乳がぶつかるわ潰れるわ。それを鼻の下を伸ばしながら見るマカオとリーゼントにしているワカバのおっさんペア。2人の少女が動くたびにその巨乳がムニョムニョと形を変える。それを尊げに見るおっさん共。あの弾力は不思議と神聖さすら感じられる。

 

「・・・若いって・・・」

 

「いいなぁ・・・」

 

「「ああ・・・」」

 

「ちょっとエロオヤジ達?」

 

そこにバイオレット色の髪をポニーテールにした、眼鏡とリボンが特徴のラキが2人を睨む。それに対してマカオ達は気まずげに視線を逸らした。

 

 

 

 

そうやってじゃれ合っていると色男のロキがやって来る。

 

「やあ、アミク。今度デートしないかい?」

 

「来て第一声がそれとは平伏レベルのナンパっぷりだね・・・それにデートなら前行ってあげたでしょ?」

 

「あの畑デートのこと?ブロッコリー見て終わりだったと思うけど・・・」

 

「つまんないでしょそれ!」

 

ルーシィが思わずツッコんだ。ロキも苦笑いする。

 

「うーん、最近新しくできた『卵料理が美味しい!』って言われるレストランに行こうと思ってたけど、行かないならしょうが」

 

「行かないとは言っていない、行こう!」

 

「チョロいわ!」

 

ルーシィはロキから守るようにアミクを庇う。

 

「ちょっとロキ!アミクに手出したら鞭で縛ってボッコボコにしてやるんだから!!」

 

「はは、手厳しいな・・・嫉妬かい?」

 

「何言ってんの?」

 

マジトーンでルーシィが言った。

 

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。もちろん僕は君の魅力にも気付いているよ。

そう、初めて会った時から君から目が離せなかった。黄金のように輝く髪。宝石のような瞳。

そして、リラのように心を震わす声。君の全てが!僕に刻まれた!」

 

「それ表現変えてるだけで私のときにも同じようなこと言ってたよ」

 

アミクの一言で台無しだった。

 

「・・・だから、ルーシィのことを見れば、胸が高鳴っ」

 

めげずに続けようとしたロキの目にルーシィの星霊の鍵が入った。

 

「き、君!もしかして星霊魔導士!?」

 

「え?」

 

「そう、なの。古時計とか子犬を出してた、の」

 

ルーシィの代わりにマーチが答えると

 

「ななななー!なんという運命のいたずら!」

 

「どうしたのロキ?」

 

アミクの問いかけにも答えず、ロキはショックを受けたように震える。そして――――

 

「ごめん!僕達はここまでにしよう!」

 

そう言うと泣きながら逃げるようにギルドから去っていった。

 

「なんだったの・・・?」

 

「ロキは星霊魔導士が苦手なのよ。昔、女の子絡みでトラブルがあってね」

 

「確かにいつか女性に刺されそう、なの」

 

「怖いこと言わないで・・・」

 

「あ、マーチ、魚食べるー?」

 

相変わらずマイペースなハッピーであった。

 

「じゃ、今日中に帰れる仕事に行こっか」

 

「そうね。それもなるべく高いやつ」

 

と、立ち上がったところで。

 

バン、と音を立てて扉が開かれる。そこには先ほど出て行ったはずのロキがいた。

 

「大変だー!」

 

「どうしたのロキ。闇ギルドでも攻めて来た?」

 

「縁起でもないこと言わないでよ!?」

 

ロキは一息つくと、短く告げる。

 

「『エルザ』が、帰って来た!」

 

その直後のギルドの反応は、まるで残虐非道で知られる有名な暴力団から借金取りが来たかのようだった。

 

「エルザだと!?」

 

「マジかよ!!」

 

「やべぇ!!」

 

「え?え?」

 

1人訳のわからないルーシィが周りを見るとナツとグレイが抱き合って震えている。ほとんどが怯えており、そうでない者はミラとアミク、マーチぐらいのものだ。

 

「エルザ帰って来たんだ。今度はゆっくりできるのかな?」

 

それどころかアミクは少し嬉しそうである。

 

「ね、ねぇエルザさんって誰?皆の反応からしてヤバそうなんだけど・・・」

 

「エルザは妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の女魔導士と言われているのよ」

 

「最強!?」

 

ということは、アミクよりも強いということだろうか。

 

「皆大げさだなぁ。エルザは甘いものが大好きで女の子っぽくすると恥ずかしがる可愛い女の人だよ」

 

(そのイメージが周りの反応と噛み合ってない!!)

 

ルーシィの頭の中では色々混ざってミニスカを着た巨大な女性がケーキを持ちながら街を焼いている映像が浮かんできた。キャラ詰め込みすぎじゃね?軽くカオスである。

 

「・・・!エルザの足音だ!」

 

誰よりも早くアミクが気付いた。その言葉を聞いた他の人達はピシリ、と固まる。だんだん他の人達にも聞こえるようになってきた。

 

(あ、あたしはどっちを信じれば!?友達!?それとも大多数!?)

 

ルーシィも緊張してガチガチになる。

 

 

 

 

そして―――――『彼女』は入って来た。巨大な何かを背負って。

 

緋色の髪を持つ、輪郭の綺麗な女性だ。凛とした佇まいで着ている鎧も相まって騎士みたいでかっこいい。アミクはいつもそう思う。その女性は形の良い唇を開いた。

 

「ミラ、マスターはおられるか?」

 

「おかえり、エルザ。マスターは今定例会よ」

 

「そうか・・・」

 

「ねぇ、エルザ。そのデカイのはなん、なの?」

 

「マーチか。これは討伐した魔物の角をお礼と村の者が装飾を施してくれた物でな、綺麗だったので土産にしようと思ってな・・・迷惑だったか?」

 

「うーん、デカすぎるからちょっと邪魔になると思う、の」

 

「そうか・・・」

 

物怖じせず話すマーチに少ししょんぼりするエルザ。それを見てルーシィはたしかに強くはあるみたいだけどあまり怖くないのでは?と思い始めた。

 

「討伐した魔物の角って・・・」

 

「でけえ・・・」

 

「すげぇ・・・」

 

「ふぅ・・・それよりお前達、また問題ばかり起こしているようだな。仕事先で何度も話を聞いたぞ・・・マスターが許しても私は許さんぞ!」

 

エルザの頭に角が生えたような気がした。

 

「カナ、なんという格好で飲んでる。ちゃんと服を着ろ」

 

「うっ」

 

「ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸殻が落ちてる。ナブ、そろそろクエストボードの前をウロウロせず仕事に行け」

 

指摘される人たちは皆げっ、と反応していた。

 

「マカオ」

 

「は、はい!」

 

「・・・はぁ」

 

「なんか言えよ!?」

 

どうやら、ハコベ山のことを聞いていたのだろう。あれはロメオのためにもしたと言える出来事なのでエルザも強く言うつもりはないようだ。

 

「はぁ、全く・・・今日のところはこれくらいにしておこう。世話が焼けるな・・・」

 

「な、何この人、風紀委員か何か・・・?」

 

「帰って来て早々小言なんて、エルザらしいね」

 

アミクはその光景を面白そうに見ている。

 

「そういえば、ナツとグレイは居るか?」

 

「こちらに、なの」

 

エルザの問いにマーチはビシッと指差して答えた。

 

そこには白目を剥いて肩を組んでいるナツとグレイが居た。

 

「や、やぁ・・・エ、エルザ!今日も俺達、な、仲良くしてるぜ・・・!!」

 

「あいー!」

 

「ナツがハッピーみたいになってる―――!?」

 

あの状態の2人も久しぶりでアミクは思わず笑ってしまった。そして、ルーシィに説明する。

 

「2人共、幼い頃にエルザにボコボコにされたらしくてね・・・エルザのことが怖いんだって」

 

「あい・・・その通りなのです」

 

エルザはナツとグレイに歩み寄る。

 

「そうか・・・親友なら時には喧嘩もするだろう。しかし私はそうやって仲良くしているところを見るのが好きだぞ」

 

「い、いや・・・俺達別に親友って訳じゃ・・・」

 

「あい」

 

「こんなナツ見た事ない・・・・」

 

エルザ達が話し終わる頃を見計らってアミクはエルザに近づく。

 

「エルザ、おかえり!」

 

「うむ、アミクも元気そうだな。・・・そうだ、お前に個人的に土産があってだな・・・」

 

エルザは荷物を漁ると小さな箱を取り出した。

 

「卵をふんだんに使ったケーキだ。依頼先で御馳走されたが、お前が卵好きだと思い出してな。少し残しておいたんだ。良かったら貰ってくれ」

 

「ありがとうエルザ大好きィ!」

 

アミクは目に止まらぬ速さでケーキをかっさらうとあっという間に食べつくした。

 

「はは、良い食いっぷりだ」

 

「もぐもぐ、今回の仕事は簡単だった?」

 

「まぁ、図体が大きいだけで私の相手ではなかったな」

 

仲よさげに話すアミクとエルザ。それをルーシィはぽかん、と見つめた。

 

「アミクって誰とでも仲良くできるイメージがあったけど、ああいう人とも仲が良いんだ・・・」

 

「あい!エルザもアミクを気に入ってるんだよ!」

 

「アミクはあまり問題を起こさないから、なの」

 

そんな風に話していると。

 

「ところで・・・アミクとナツ、グレイに頼みたいことがある」

 

「え、帰って来て早々?」

 

「私も本来ならゆっくりしたいところだが・・・そうもいかない状況になってしまった。普通はマスターの許可を仰ぐところだが、今、マスターは居ない。よって、早期解決が望ましいと私が判断した」

 

周りのメンバー達がざわめく。

 

「ど、どいうことだ!?」

 

「エルザが誰かを誘うなんて滅多にないことだぞ・・・!」

 

「そこで、3人の力を貸してほしい。付いてきてくれるな?」

 

「うーん(ルーシィと仕事行きたかったけど滅多にないエルザの頼み事だし、ね)いいよ、私でよければ」

 

「助かる。出発は明日だ。準備しておけ。詳しいことは明日話す」

 

「あ、いや・・・」

 

「俺、行くなんて一言も・・・」

 

ナツとグレイの抗議は聞かずにエルザはギルドから出て行った。

 

「こいつと・・・」

 

「チームだと・・・」

 

2人は互いに睨み合った。

 

「はいはい、ケンカしない。せっかくのエルザのお誘いなんだから。エルザの前でもケンカしてるとどうなることか・・・」

 

アミクが脅すように言うと二人は顔を青ざめた。

 

「あと、グレイ、服」

 

「ワオ!いつの間にぃ!」

 

グレイの慌てる声を聞きながらアミクはついさっき自分が言ったフラグを回収することになる予感がした。

 

 

 

 

「エルザにアミク、ナツとグレイ・・・今まで想像したこともなかったけど、もしかしたら妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強のチームかも・・・」

 

「え!?」

 

 

ポツリ、と呟くミラジェーンの言葉に驚くルーシィであった・・・。

 

 

 

 




エルザが主人公にあまい気がする・・・。


今思えばアミクの技って『トリコ』のゼブラの技を参考にすればよくね?
そうするとクロスオーバータグ付けるべき?

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