妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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エドアミクのキャラについて悩んだけど、こんな風にしました。

あと、グロ注意。


エドラス王国の王女

「お父様…」

 

エドラス王国の王女、アミクはファウストを見て、口を開く。

 

やはり、その声はアースランドのアミクと一緒だ。

 

 

「何…用…?」

 

 

少ない言葉で用件を聞く。

 

 

「娘の顔を見に来ることがそんなにおかしいか?」

 

「…お父様…私の…顔…嫌い…だって…」

 

 

エドアミクは悲しそうに眦を下げ、反論する。

 

 

「…その喋り方も相変わらずだな、アミクよ」

 

節で区切るように言葉を話すアミク。無口な彼女はそうやって短く喋る。以前はよく喋っていたが、ここ数年間でこういう喋り方になってしまった。

 

「私…いつ…出れる…?」

 

「貴様にそんな自由が与えられると思っているのか」

 

 

ファウストのエドアミクを見る眼差しは娘を見るそれではない。淡々と言葉を返すファウストの瞳には先ほどと同じく、嫉妬と憎悪が宿っていた。

 

「何度言えば分かるのだ。これが宿命だと。

 

 

 

 

 

 魔力を持って生まれた貴様の、な」

 

 

 

 

…彼女がこうしてこの塔に幽閉されている根本の原因は、彼女が唯一『体内に魔力を持っている』人間だからである。

 

それが発覚したのは彼女が6歳の時だった。彼女が魔力を体内に宿していると気が付いたファウストは、当初、「人間にも魔力持ちが現れた」と喜んだ。

 

混乱を防ぐため、その事実を秘匿し、しばらく様子を見ていた。

 

それからいくら待ってもエドアミク以外の魔力持ちが現れない。2年も経つ頃にはファウストの心にはある感情が芽生えるようになってしまったのだ。

 

それは「嫉妬」だ。

 

なぜ、エドアミクだけなのか、と。なぜ、彼女だけが魔力を宿しているのか、と。

 

ファウストの内側に娘に対しての嫉妬がどんどん膨らんでいったのだ。

 

それが「憎悪」に変わるまでそう時間は要しなかった。

 

 

「せっかく魔力を持って生まれたのに、使える魔法もーーーーーーーー」

 

ファウストは言葉を止めて、杖で思いっきりエドアミクの腕に振り下ろす。

 

 

バギャ

 

 

嫌な音がして、エドアミクの腕が折れ曲がった。

 

 

「あ、ああああああ…!!!」

 

エドアミクはか細い悲鳴を上げる。あまりにも悲痛なその声は聞く者に罪悪感を植え付けるだろう。

 

しかし、ファウストは口角をあげながらそれを見ていた。

 

 

 

 

すると、不思議なことが起こる。

 

 

 

彼女の折れ曲がっていた腕が光に包まれ、それが消えると元の傷一つない腕に戻っていたのだ。

 

 

「その、『自己治癒魔法(・・・・・・)』だけだとはな」

 

 

エドアミクが体内の魔力で使える唯一の魔法。自己治癒魔法。

 

 

それは今のようにアミクが怪我をすると勝手に治してくれる魔法だ。しかも、注目するべきはその驚異の回復力だ。

 

腕を切り落とされようと、目を抉られようと、体が上半身と下半身に真っ二つに分かれようと、再生する(・・・・)。(その場合切り落とされた腕や目は溶けて消える)

 

病気に罹っても、毒を飲んでも、しばらくすれば治る。

 

ほぼ不死身なのだ。例外は、即死か失血死、または餓死ぐらいのものだろう。

 

ただ、自分で制御ができず、他人は治療できない。

 

 

自分だけ。

 

 

ファウストにはそれが自己中心的なものに見えた。

 

エドアミクが魔力を独占し、自分だけの魔法を使っている、と思い込んだ。

 

単純に、彼女が妬ましかった。

 

まだ、理解力の乏しい彼女に、「国民の魔力を奪って嬉しいか」と罵倒したこともある。

 

 

とうとう、ファウストはエドアミクを塔に閉じ込めてしまった。

 

 

それが8年前。ファウストは実の娘を憎むあまり、彼女を利用し、彼女を苦しめようとしたのだ。

 

 

それからエドアミクにとって地獄のような日々が始まった。

 

 

 

どうせ治るんだからと、ファウストはエドアミクを実験体にすることにした。彼女の体内にある魔力について調べる目的もある。

 

イかれた研究者たちは嬉々として小さい王女に器具を次々と突き立てた。麻酔なんてしていない。

 

幼い少女にとっては耐えられないはずの、拷問のような実験。実験室からは耐えず、泣き叫ぶ声が響いていた。彼女の魔法の効果がどれ程のものなのか調べるため、腕を切り落としたり、目を抉ったりしたのもその時だ。

 

兵士たちは見て見ぬ振りし、助けようとしていた数少ない兵士や研究者もいつの間にか消されていた。

実験が終わると塔のてっぺんにある一室に閉じ込める。必要最低限の食事を与えられ、気温の変化が激しいその部屋で、寒い時はガタガタと震えていた。

 

 

どんなに非人道な実験をされようとしばらくすれば傷一つ無くなる。病原菌が入り込もうと、すぐに抗体ができる。毒を盛られ、苦しくて血を吐いても死ぬことはない。

 

その生活はあまりにも過酷なものだった。長い年月の中、人々の記憶からもアミクのことは薄れ、今では知る人も限られている。

 

ファウストは完全にエドアミクの心を折り、絶望する様を見たかった。

 

実験室にも足を運び、娘が苦しむ姿を見て口を歪ませたりしていた。

 

この実験のおかげでアニマや、魔力を持つ生物を魔水晶(ラクリマ)にする技術の開発に漕ぎ着けたので、良いことづくめだ。

 

さぁ、後は自分がただ1人の魔力持ちだから、と調子に乗っていた娘が壊れ、その瞳を濁らせるところを見るだけだ。

 

 

しかし。

 

 

 

ファウストの予想に反し、何年間もこのような生活をしてもエドアミクの心が折れることはなかった。

 

 

瞳は綺麗な輝きを残し、成長するにつれ、強い意志が宿るようになった。精神的なショックのせいか言葉こそ少なくなったが、言葉の一つ一つに重みを感じるようになった。

 

滲み出る上品さ、風格、威厳。

 

 

それらを感じ取れるようになって、ファウストは彼女が自分の娘だったことを思い出した。

 

未だに王族ゆえの誇りを保っている彼女に憎しみが沸きたてられ、むしろ恐怖すら覚えるようになった。

 

自己治癒魔法とは心の傷も治してしまうのか、と疑ったほどだ。

 

 

2年ほど前から実験はやめており、ずっと幽閉生活を送らせていた。身動きを取れなくして、たまにキーを持つ誰かが訪れる。

 

 

今では、そんな状態になっていた。アミクの自由はないままで、人間未満の扱いを受けている。

 

 

 

 

「…お父様…器…小さい…だから…〇〇○も…小さい…」

 

「…」

 

この娘、思いっきり卑猥な暴言を吐きやがった。

 

 

 

彼女自身は暴言を吐いてるつもりはないから、なお性質が悪い。

 

長年の実験のせいか、心は折れてないのに口調が荒んでしまった部分がある。

 

無口ゆえに余計にそれが際立つ。

 

でも、もう一度言うが彼女には暴言を吐いてるつもりは一切ないのだ。本人はちょっとした憎まれ口を叩いたくらいの感覚なのだ。

 

 

 

エドアミクはじっとファウストを見つめた。

 

「苦笑…自分が…魔力…ない…八つ当たり…」

 

エドアミクが弱々しく言うと、ファウストは杖でエドアミクの目を突いた。

 

「うっ!?」

 

ベチャ、と目が潰れるが、すぐに再生した。魔力が高くなってきたからなのか、再生のスピードも昔より早くなっていた。

 

しかし、杖には血が残っていてグロテスクである。

 

荒い息を吐くエドアミクを見てファウストはやっと伝えるべきことを言った。

 

 

「…アニマの展開に成功し、アースランドから魔力を吸収した」

 

エドアミクはその言葉を聞くと目を大きく見開いた。

 

「憤慨…!なんて、ことを…!その…魔力…どれだけの…命…あると…思ってる…!?」

 

感情を露わにして少し長めの言葉を紡ぐエドアミク。ファウストはそれを満足そうに眺めるとさらに続けた。

 

「これは仕方のない犠牲なのだよ。貴様はまだ、そこが分かっていない。王族というものは時には国のために非情になることも必要なのだ」

 

「嘘…!国のため…建前…!お父様の…欲望…!」

 

国のため。そう謳いながらもその国民を苦しませるようなことを、平気でしていることは察しが付いている。

 

魔力を独占し、魔導士ギルドを闇ギルド呼ばわりしていることも。

 

ファウストはエドアミクの言葉には答えず、一方的に言いたいことを言う。

 

「先ほど、アースランドの貴様と会ったぞ」

 

「…!アース、ランドの…私…?」

 

アースランドには名前や容姿が酷似している人物がいるらしいことも聞いている。

 

でも、そっちの自分がこの世界にいるだなんて…。

 

 

「貴様と似て憎らしい目つきをしていたな。同じ人物だからそれも納得か」

 

「だが」とファウストは嘲笑した。

 

「貴様の平らな胸とは違い、豊満なものを持っておったぞ」

 

「…!セクハラ…変態…〇〇○もげろ…」

 

怒りからなのか恥ずかしさなのか、エドアミクの顔が若干赤くなる。そのような感情がまだ残っていたとは、ファウストは素直に驚いた。

 

 

「奴には実験に協力してもらうことにした。貴様も受けていただろう?」

 

鎖がジャリ、と音を立てた。

 

「だ、だったら…私…実験…使えば…いい…なぜ…」

 

「奴は滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)なのだ。だから、貴様とはまた違ったやり方で実験するつもりだ。ククク…研究員どもが舌舐めずりする光景が目に浮かぶぞ」

 

「…この、〇〇○〇〇ジジィ…!!」

 

※暴言の自覚はありません。

 

「他の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の魔力抽出も、魔水晶(ラクリマ)の魔力抽出も、今日、実行する!」

 

ファウストは震えるエドアミクの前で高笑いをした。

 

「そして、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の魔力を手に入れた時こそ、(あの計画)の始動だ!!」

 

「…コードETD…!?…そんなこと…リリーは…」

 

「奴も協力してくれるぞ。ククク…」

 

「…そんな…」

 

エドアミクがショックを受けたように瞳を揺らす。彼女の心に影が入ったことに気付いたファウストは追い打ちをかけた。

 

「計画が成功すれば、もはや貴様も用済みだ!この国が!この世界が!永遠の魔力で満たされた暁には、たっぷりとその世界を見せつけてじわじわと殺してやる!!フハハハ!!」

 

どうして、自分の娘にここまでのことが出来ようか。厳しくも、優しかったかつての父の姿はどこにもない。彼はもう、悪魔のような男になってしまっていた。

 

「…可哀想…」

 

「は?」

 

エドアミクがポツリと呟いた言葉に固まる。彼女はファウストを哀れみの目で見つめていた。

 

「王としての責務…欲望…嫉妬…憎悪…様々なものに…心を囚われている…お父様の方こそ…自由には、なれない…」

 

なんだその目は。どうしてそんな目を向ける。

 

まさか…自分を憐れんでいるのか!!

 

 

囚われの分際で!!王でもない分際で!!娘の分際で!!

 

いや、もうこの女を娘だとは思っていない。

 

「何も知らぬ若造の分際で、王である儂に知ったような口を叩くなああああああ!!!」

 

杖で顔面を殴打する。顔面が変形するほど叩き潰し、歯をいくつも折った。

 

「ハァー…ハァー…!」

 

やっと激情が収まり、杖を下ろす。ちょっと今日は重労働すぎたのかもしれない。同じ顔を二回も杖で殴打することになるとは。

 

エドアミクを見ると、床の染みのようになっていた彼女がどんどん再生しているところだった。脳は無事だったので死なずに済んだらしい。

 

 

「…気が変わった。貴様には大事な役割を任命しよう」

 

そう言って顔を上げたファウストの顔はもはや人間には見えない。

 

「貴様の大好きな兄の前で惨たらしく死ね!!そして、一生奴のしこりとなって記憶に残るがいい!!!フハハハハハ!!!」

 

聞くに耐えない笑い声を響かせながらファウストは部屋から出ていった。

 

 

 

「…ぅ…ぁ…」

 

残されたエドアミクは人知れず涙を零した。

 

「…痛い…辛い…」

 

8年間も閉じ込められ、または実験という名の拷問を施され、親しき人々も離れていく。

 

本当ならとっくに廃人になっていてもおかしくない仕打ち。

 

ここまで耐えていることが奇跡のようなものだ。

 

 

しかし、やはりまだ16歳の少女。傷だらけの心を保たせるのにも限界がある。そういう時、こうして1人で泣くのだ。

 

 

「…助けて…お兄様…『  』…」

 

兄と誰かの名を呼びながら、エドアミクは綺麗な滴を流していた。

 

 

 

 

「ちょっと、エルザ!話を聞いてよー!」

 

一方、アミクはエドエルザに引きずられて実験室とやらに連れられていた。

 

「エルザだってこんなの間違ってるって思ってるでしょ!?あの王様説得できたりしない?エルザなら…」

 

「貴様の知るエルザがどんな奴かは知らんが」

 

エドエルザはガシッとアミクの頭を踏みつける。アミクを見下ろすその視線は冷たい。

 

「私は貴様らがどうなろうと構わない。むしろ人の不幸など大好物だ」

 

グリグリ、と踏みにじるように足を動かすエドエルザ。その表情は邪悪に歪んでいた。

 

「…そんなこと言わないでよ…」

 

エルザの顔でそんなことを言われると悲しくなる。アミクが踏みつけられながらも、エルザを見上げると、彼女は息を飲んだ。

 

「…なぜ、あの方と同じ顔で、同じ目をする!」

 

「…」

 

エドエルザは足をどけると、再び引きずり始めた。いや、もう自分で歩けるのだが…。

 

 

 

 

エドエルザにとっては王女であるエドアミクは忠誠を誓うべき存在のはずだった。

 

しかし、今ではファウストも「敬意を払う必要はない」と言って、あのゴミ溜まりのような場所に閉じ込めている。

 

今、エルザが忠誠を誓っているのは王国であって、アミクではない。よって、王国の象徴でもあるファウストに従うのは当たり前だった。

 

 

 

 

はずだったのだが…。

 

 

 

小さな疑問が、エルザの胸に存在していた。

 

 

これが、本当に正しいのか、と。

 

 

エドエルザも扉のキーを持つ者である。

 

ちなみに(キー)は魔戦部隊隊長全員が持っている。あとはファウストとバイロぐらいだ。

 

 

エドエルザもごくたまにエドアミクの様子を見にいく。

 

 

そこで見る彼女の姿。こちらを見て笑ってくれる彼女。

 

 

 

一言で言えば『強者』だった。

 

 

どんな扱いを受けても心を強く持って笑いかけてくれるエドアミクは誰よりも気高く、綺麗に見えた。

 

 

 

そんな彼女を、国のためだとはいえこんな非人道な目にあわせてもいいのだろうか、と思ってしまったのである。人の不幸が好きであるはずの自分が、だ。

 

 

そもそも、国のためならばなんでもしていい、というのが間違ってーーーーーー。

 

 

エドエルザは首を振った。どうやらエドアミクに感化されすぎたようだ。

 

 

自分は国王に従うのみ。

 

 

国王がやると言ったらやるのだ。

 

 

エドエルザはアミクを引き摺って地下へと降りていった。

 

 

 

 

 

 

「任務が…変更…!?」

 

シャルルは泣き崩れる。マーチたちも呆然としていることしかできなかった。

 

 

「やはり、遠隔での命令上書きは上手く伝わらなかったようですね」

 

「しかし結果オーライ! お前達は滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を連れてきたのだからな!」

 

ニチヤがグッと親指を立てるが、それすら目に入らない。

 

 

「魔力化、即ちマジカライズは人間共に任せてある。そういうのは人間共の方が得意だからな」

 

「ち…違う…私は自分の意思でエドラスに…」

 

シャルルの震える声にナディが否定を重ねる。

 

「ううん…君たちは命令を実行しただけだよ」

 

「みんなを助けるために坑道に…!」

 

「気づいてなかったのかい?ぼきゅたちが坑道へ誘導したんだ」

 

「私は…私はっ…ウェンディが大好きだから…だから、守りたいって…」

 

「それは一種の錯覚だね。命令が『抹殺』から『連行』に、即ち殺してはいけないと変更された事による――」

 

「嘘だああああああ!!!」

 

シャルルは頭を抱え、大粒の涙を流しながら泣き叫んだ。

 

ずっと、ずっと…ウェンディのことが好きだと思っていた。

 

 

大切な友達だから、一緒にいたいと思っていた。守りたいと思っていた。

 

 

それが…錯覚?偽物…?

 

 

「さっきから聞いてれば…」

 

 

その時、隣で低い声が聞こえてきた。

 

 

「好き勝手言ってくれちゃって…!!」

 

 

マーチが激しい怒りの表情でニチヤたちを睨みつけていた。立ち上がり、前に出る。

 

 

「あーしたちがアミクたちと一緒に過ごしていたのが、任務とやらのため?笑わせないで!!」

 

いつもの「なの」口調ではない。だから、余計に真摯なものだと感じる。

 

「あーしがアミクと過ごしてきた日々は、決して偽物なんかじゃない!!一緒に笑ったり、悲しんだり、苦しんだりしてきたのも、全部本物!!」

 

ハッピーとシャルルの目に光が灯る。

 

「あーしがアミクを想う心が、錯覚なもんか!!それは、アミクとの絆が証明してくれる!!!」

 

アミクといて感じた感情は、確かに、マーチ自身が感じていたものだ。それを…。

 

 

「誰にも、否定なんかさせるかぁ!!」

 

 

マーチの心からの叫びはニチヤとナディの2人を慄かせた。

 

 

「な、なんと…!」

 

「お、およ…!?」

 

「そうだよ…!オイラたちは…」

 

 

ハッピーはマーチと共にシャルルの前に立った。

 

 

 

 

 

 

「オイラたちは操り人形じゃないぞ!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だ!!!」

 

 

 

 

 

誰かに弄ばれ、操られる存在ではなく、自分で運命を切り開ける1人の魔導士だと吠えた。

 

 

「マーチ…ハッピー…」

 

シャルルが泣き声で、マーチたちの名を呟いた。

 

マーチがシャルルの手を引っ張り立ち上がらせた。するとハッピーがシャルルのもう片方の手を掴む。

 

 

「行こう、二人とも!オイラたちでみんなを助けるんだ!絶対助けるんだ!!」

 

「しっかりしなさい!なの!シャルルだって、ウェンディを助けたい気持ちは本物でしょ!!なの!!」

 

まだ、戸惑っている表情のシャルル。2人はそんなシャルルを引っ張って走り出す。

 

「ちょ…!?」

 

「およよよよ…!!」

 

 

それを呆然と見ていたニチヤとナディは慌て出した。

 

 

「こ、これは…!」

 

「堕天…アースランドの汚れに毒されてしまったエクシードは堕天となる!」

 

ニチヤが泣きながら叫び声を上げる。

 

「おおおおおお!!!メェーーーーーン!!!堕天が三人逃走!!近衛師団、出撃ぃぃぃぃぃ!!!」

 

ニチヤが傍に下げていた剣を抜くと、近くにいた兵士共々、逃げていったマーチたちを追いかける。

 

 

 

(アミク…!絶対、助けるから、待ってて、なの!!)

 

 

マーチは走りながら胸に誓った。

 

 

 




アミクに対しての暴力シーンの時だけ、ノリノリで書く、サイコパス作者。

ハッピーのあの名シーンは欠かせないよね。

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