妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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ちょっと遅くなりました。


VS ヒューズ&シュガーボーイ

「ヒューズは…『コマンドタクト』…って魔法を使う…遊園地の…アトラクション…自在に操る…」

 

エドアミクがナツ達にこっそり教えた。

 

「シュガーボーイの魔法…『ロッサエスパーダ』…斬り付けた物体…柔らかくする…生物には効かない…」

 

「サンキュー!よく知ってたな!!」

 

「ヒューズは…昔から…使ってた…シュガーボーイは…よく自慢しに…来てた…」

 

幽閉されていた時もたまに見せびらかしに来てたのでよく覚えている。

 

 

「ンー、いけないねぇ。人の情報を勝手に教えちゃあ…」

 

シュガーボーイがメリーゴーランドから飛び降りて薔薇の形をした鍔が特徴の剣を構えた。あの剣が『ロッサエスパーダ』だ。

 

 

「アイスメイク!『戦斧(バトルアックス)』!!」

 

小手調べとばかりにグレイが氷の斧をシュガーボーイに叩きつけた。

 

 

シュガーボーイはそれを一閃。すると、氷はフニャフニャになって彼に当たる。

 

 

「ふー、冷たいー。いい塩梅じゃないか、アイスボーイ」

 

「うげっ!マジで柔らかくなりやがった!!」

 

『ってかアイスボーイって何だよ…』

 

もちろんヒューズも何もしていないわけではない。彼は手に持っていた『コマンドタクト』を振る。

 

すると――――。

 

 

 

「ジェ、ジェットコースターが!?」

 

ジェットコースターが凄い勢いでこっちに向かって来たのだ。線路を前方に生み出しながら進んで来る。

 

「注意…!此処は…ヒューズの…庭…!全部が…ヒューズの…掌…だと思って…!」

 

「スゲェ、ごちゃごちゃうるさいじゃん!」

 

 

ヒューズはジェットコースターをエドアミクに直進させた。

 

「危ない!!」

 

 

ルーシィがエドアミクを抱いて横に飛ぶ。直後、ジェットコースターがその場を通り過ぎた。

 

「…感謝…でも…喰らっても…平気…」

 

「平気なわけないでしょ!」

 

いくらすぐに治るからと言っても痛いものは痛いはずだ。それに、アミクが怪我する姿は見たくない。

 

 

「俺はこいつをやる!お前らはそっちを何とかしろ!!」

 

グレイがシュガーボーイと相対しながら叫んだ。

 

「わ、分かった!」

 

「…頑張って…!」

 

エドアミク達も立ち上がってヒューズを見据えた。

 

 

「随分おもしれえ魔法だな。でも乗り物か…うぷ」

 

「想像しただけで酔わないで!?」

 

 

ナツが口を押さえたのを見てルーシィが慌てる。

 

「…前よりも…アトラクション…増えてる…?」

 

「そーだよ、E-LANDは発展してるってことじゃん!」

 

さらに、ヒューズがタクトを振った。

 

 

今度はティーカップが回転しながら襲って来る。

 

「壊しちまえばこっちのもんだ!!『火竜の鉄拳』!!」

 

 

ナツは向かって来るティーカップに向けて炎を纏った拳を放つ。

 

 

ティーカップの1つが砕けた。しかし、ティーカップは1つだけではない。

 

「うおっ!?」

 

慌てて他のティーカップを避けるナツ。しかし、そのティーカップ達がエドアミク達を襲った。

 

「…!」

 

「きゃっ!!」

 

今度はエドアミクがルーシィを押し倒す。ティーカップは回転しながらエドアミクの背中を削った。

 

 

「…ああっ!!…」

 

「アミクっ!?」

 

飛び散る血を見て悲鳴をあげるルーシィだが…。

 

 

「…くっ…!」

 

削れた背中がすぐに治った。驚異的な回復力だ。

 

「…心配…ない…」

 

「…ちょっと!!王女を攻撃するってどういう神経してるわけ!!?」

 

気丈に振る舞うエドアミクを見たルーシィは険しい表情でヒューズを罵る。少しだけ、ヒューズの顔が歪んだ。

 

 

「…カハッ、なんの権力もない王女サマなんて、傷付けたところで誰も文句言わねえよ。むしろ陛下は勧めてくるじゃん」

 

「何よ…それ…」

 

あんまりではないか。ルーシィも父に恵まれていたとは言えないが、父親が娘を傷つけることを厭わないだなんて。

 

「…ホント、ふざけた王様だな」

 

ナツも怒りを灯した瞳をヒューズに向ける。

 

「今更、姫サマの扱いは変わんねーよ!御託は終わりじゃん。俺のスゲェ魔法であんたらをぶっ倒してやるよ!」

 

ヒューズはタクトを横に振った。何か近づいて来る音がする。

 

 

「こ、今度はなんなのよ…」

 

ナツたちは何が来るか、と身構える。

 

ものすごいスピードで向かって来るもの。それはゴーカートだった。

 

「乗り物ばっかだな!?」

 

ナツがうんざりしながらも飛び上がってそれを避けた。しかし。

 

 

「おわぁ!?」

 

どこからともなくやって来たジェットコースターに乗ってしまう。

 

「乗っちまった!?」

 

「『ヘルズコースター』!カハッ、こんなスピードで動き回ったら酔っちまうじゃん!」

 

「うぷっ」

 

「早っ!!?」

 

先ほどよりも10倍ぐらい速い速度になって動き回るジェットコースター。そして早々に酔ってしまうナツ。しかもジェットコースターの座席から手らしきものが伸びて来てナツをがっちりと掴み、離さない。

 

一方ゴーカートはルーシィたちに向かっていった。

 

「今度は止めるわよ!」

 

ルーシィが鍵を取り出して星霊を召喚する。

 

「タウロス!!」

 

「MOOOO――――!!!ルーシィさんこの前のお礼――――!!」

 

「今はいいからあれを止めなさい!!」

 

エドアミクは急に牛が出て来て驚いている。

 

「…凄い…召喚魔法…?…本でしか…見たことない…」

 

エドラスには召喚魔法の類はなく、空想上の魔法とされていた。だから、目の前で召喚魔法が使われていることに軽く興奮を覚える。

 

 

「でも…牛が…喋ってる…?」

 

「MOOOO――――!!お任せあれ―――!!

 

タウロスは斧を振り上げるとゴーカートの1つを叩き潰す。破片が周囲に飛び散った。

 

タウロスは続けて斧を振り回した。並んでいたゴーカートが吹っ飛び、壊れ、爆発する。

 

「…うわあ…!」

 

エドアミクは瞳をキラキラさせた。

 

 

全てのゴーカートを壊したタウロス。彼は斧を担いでドヤ顔する。

 

「ルーシィさ~ん♡どうでしたか~?これで御褒美―――」

 

と、ルーシィにハートになった目を向けようとするが―――。その視線がエドアミクに固定された。

 

 

「MOOO~!!アミクさ~ん♡今の勇姿見てましたよね!!褒めて下さ――――」

 

 

と言いかけ、エドアミクの胸を凝視した。

 

 

「…ナイスバディ、じゃない!?」

 

 

「…あ”…?」

 

ピキ、とエドアミクの額に青筋が立った。

 

 

「…私の…胸…なに?…」

 

「え、い、いや…なんでそんな薄くなっちゃってるのかな~って…」

 

タウロスが不穏な空気を感じたのかしどろもどろに答えた。

 

「…淫獣!…○○!!…○○○お粗末!!」

 

「MOOOO!!?」

 

「だからやめなさ―――い!!」

 

エドアミクがタウロスにヘッドロックを掛けて卑猥な暴言を吐いていたので、ルーシィが慌てて引き剥がした。

 

どこからそんな力が出るんだ。

 

「…まさか…こんな…変態だったなんて…」

 

「星霊は個性的なのが多いのよね…」

 

なんて言うか、夢を壊されたような気がする。

 

 

「ってそれより、ナツは!!」

 

タウロスをさっさと送還し、ルーシィ達はナツを探す。その彼は。

 

 

「おろろろろ―――!!!」

 

ジェットコースターに連れまわされていた。

 

「ナツ――――!!?」

 

「な…なんで…あんなに…苦しそう…?」

 

「ナツは乗り物が苦手なのよ!」

 

 

「ナツが…?…へぇ…」

 

 

エドアミクは何やら納得したような顔をしているが、とにかくナツを止めなければ。

 

 

「ナツ!待ってて!!」

 

「あ…待って…!」

 

 

ルーシィがジェットコースターに向かおうとするのをエドアミクが止める。

 

「あれ…止める方法…ある…」

 

「本当!?」

 

「昔と同じなら…でも…ルーシィも…手伝って…」

 

ルーシィはグッと親指を立てた。

 

「もちろん!なんだってするわ!」

 

 

~~~~~

 

 

 

「い―――や――――――!!!」

 

 

ルーシィは襲ってくるアトラクションから必死に逃げていた。

 

 

「カハッ!もっと逃げ惑えよ!!そら!」

 

「きゃああ!!?」

 

ルーシィの頭上から乗り物が落ちて来る。それをギリギリで躱し、振るってきたロボットの腕をしゃがんで避ける。

 

ルーシィの役割は単純。「ヒューズの注意を引いて欲しい」というもの。ジェットコースターを止めるにはヒューズの気が逸れる必要があるらしい。

 

ルーシィは安請け合いした事を後悔しそうになった。しかし、ルーシィが拒否するよりも早くエドアミクはどっかに行ってしまった。

 

「逃げてるだけじゃ、意味ないじゃん!」

 

「もー!こうなったら自棄よ!サジタリウス!!」

 

「であるからしてもしもし!!」

 

ルーシィはサジタリウスを召喚し、飛行してくる物体を射落としてもらう。

 

「つーか、その魔法なんだよ!人が出て来るっておもしれーじゃん!」

 

「っていうか、あんたを狙えばいいだけじゃない!サジタリウス!あいつをやって!」

 

「了解!であるかしてもしもし!」

 

サジタリウスは矢を構えて、ヒューズに向けて射る。だが、ヒューズはにやりと笑ってタクトを振った。

 

するとバイキングがヒューズの前に移動し、矢を防いだ。

 

「やっぱりそう上手くはいかないわよね…!」

 

「カハッ!お前もこのE-LANDの餌食にしてやるじゃん!」

 

 

 

 

エドアミクは観覧車についている階段を上って行く。

 

そして、てっぺんに着いたところで、丁度向かって来るジェットコースターを見据えた。

 

(変わってない!…今はルーシィに注意が向いているはず。このジェットコースターはヒューズが操作していない時はこのルートを通る!)

 

エドアミクは腰を低く落とした。観覧車の目の前を通ろうとするジェットコースターを見て、タイミングを計る。『ヘルズコースター』のせいでジェットコースターの速度が凄いことになっているので、きっちり見計らわないとダメだ。

 

(…今!)

 

ジェットコースターの先端が見えた瞬間、飛ぶ。そして、ジェットコースターの座席を掴んだ。見事、ジェットコースターに飛び乗ることに成功する。

 

「がッ!!」

 

だが、片足が観覧車の柱に引っかかる。座席を強く掴んでいたおかげで飛ばされることはなかったが、ブチブチブチィ!!と音を立てて足が引き千切れた。

 

「うう、あああ…!!」

 

でも、数秒も掛らずに足が再生し始める。ぐちゅぐちゅ、と音を立てながら足が生えてきた。

 

 

「お、お前…!アミク、うおええええ」

 

 

アミクに気付いたナツが何かしら言おうとしたが、それは言葉にならなかった。

 

「待ってて…!今…止める…!」

 

エドアミクはジェットコースターの後方に向かう。振り落とされそうになるのを耐えながら、先端まで辿り着いた。

 

「此処、に…あった…!」

 

エドアミクはジェットコースターの後ろについてあったレバーを下ろす。

 

瞬間。ジェットコースターが落下を開始した。

 

「おおおう!!?」

 

ナツが悲鳴を上げる。

 

「やった…!」

 

エドアミクが下ろしたレバーはジェットコースターのレールを作るのを止めるものである。

 

魔法で操作するのはジェットコースターのみで、レールはジェットコースターが連動して生み出していたのだ。

 

レバーを下ろしたことにより、ジェットコースターとレールの連動が絶たれたのだ。

 

「…でも…これ…ピンチ…?」

 

レールは途切れたが、ジェットコースターは止まらない。よって慣性の法則のままジェットコースターは飛び出してしまった。

 

このまま床に衝突すれば無事では済むまい。エドアミクは急いでナツに這い寄る。

 

「…えい!」

 

そして、ナツを掴んでいたアームを取り外した。

 

「ナツ…!跳んで…!」

 

「うぇ、無理…」

 

 

だが、ナツはまだ酔いのダメージが残っていて身動きできないようだ。

 

「…!水…!」

 

そこでエドアミクは下の方に池があるのが見えた。

 

「…あそこに…!」

 

エドアミクは非力な腕でナツを引っ張った。少しずつナツが移動する。

 

「うううぅぅ…やっ!!…」

 

もうすぐ床に墜落してしまう。エドアミクは苦労してナツを抱き上げ、池の方に突き飛ばした。

 

「おぶ!?」

 

ナツは無事に池に落下。しかし、エドアミクはジェットコースターの墜落に巻き込まれてしまった。

 

 

「…アミク!!」

 

復活したナツがジェットコースターが落ちた所まで駆け寄る。

 

 

エドアミクは居た。しかし、あまりの惨状に息を飲む。

 

右足は折れ曲がり、左手は潰れている。内臓をやられたのか潰れたお腹から血が飛び散っていた。

 

エドアミクは苦しそうに呻いていたが、次の瞬間。

 

見る見るうちに怪我が治っていく。時間を巻き戻すかのように、曲がっていた足は元に戻り、潰れていた手やお腹も膨らんだ。

 

「…大丈夫…言ったはず…」

 

血は元に戻らないのか、そのままになっている血だまりの中、エドアミクが荒い息をついて言った。

 

「こんな…大怪我でも…治る…」

 

しかし、ナツはもどかしげに叫んだ。

 

「治るからって、無茶すんのかよ…!」

 

見た感じ運動神経もないし、筋力もない。魔力を持ち、自己治癒ができるだけでエドアミクはか弱い少女でしかないのだ。

 

「…この体なら…いくらでも…無茶できる…」

 

「…」

 

ナツはボリボリと頭を掻くと、ため息をつく。

 

「そこらへんもこっちのアミクと一緒だな。…ま、助かったぜ」

 

ナツは彼女を侮っているわけではない。ただ、心配なだけなのだ。

 

エドアミクもその気持ちを察して軽く微笑んだ。

 

 

その時。

 

 

「キャ―――――!!助けて―――――!!!」

 

ルーシィがこちらに向けて走って来た。後ろにいくつもの飛行機を連れて。

 

「うお!?ルーシィ、変なもん連れてくんなよ!」

 

「いいから早く助けて―――!!」

 

ナツは呆れたように「ったく」と言うと息を吸い込む。

 

 

「『火竜の咆哮』!!」

 

 

「頭が!頭が熱い!!」

 

炎の激流がルーシィの頭を掠め、上空を飛んでいた飛行機を燃やし尽くす。

 

ルーシィが涙目でナツに文句を言った。

 

「ちょっと!!ハゲたらどうすんのよ!!」

 

「助かったんだからいいだろ?」

 

ルーシィの金髪がちょっと燃えてチリチリになっているが…まぁいいだろう。

 

 

「相変わらず斜め上のことを仕出かす姫サマだね」

 

 

ヒューズが苦虫をかみつぶしたかのような表情でやって来た。

 

 

「姿が見えないと思っていたらせっかくのジェットコースターを壊してくれちゃってさ。スゲェ、腹立つじゃん」

 

「…あのレバー…残しておく方が…悪い…というか…何の意味が…?」

 

未だになんであのようなレバーがあるのか謎だ。安全レバーでもあるまいし。

 

「でも、ほら、いい写真取れたぞー」

 

「その機能も…まだ…残ってた…」

 

ヒューズが空中に写真を写しだした。ジェットコースター上の酔って目を回しているナツと――――破れたパンツ丸出しのエドアミク。

 

「――――――!!!?」

 

エドアミクは声にならない悲鳴を上げた。先程、レバーを下げようとした時を撮られたらしい。あの時後ろを向いて腰を突き上げていたのでドレスがめくれてしまったのだ。

 

「きったねえパンツ履いてんじゃん」

 

「…最低!…○○…んん――――!!」

 

「はい、抑えて抑えて!」

 

ルーシィが咄嗟にエドアミクの口を押さえた。

 

「あんたらもよくもアトラクションをめちゃくちゃにしてくれたな。今度こそぶっ潰してやる」

 

ヒューズがタクトを振り上げる。

 

 

そこで、ルーシィは池に目を付けた。

 

 

「…水…?そうだ!水があるなら!!」

 

ルーシィは急いで池に向かい、鍵を水につける。

 

「最強の星霊が呼べる!アクエリアス!!」

 

ルーシィの声と共に青髪の人魚が出現する。

 

「わぁ…魚人だ…」

 

「人魚だゴラァ!!舐めてんのか!!」

 

「ひっ…」

 

怒られた。怖い。

 

「アクエリアス!やっちゃって!」

 

「おうよ!!」

 

アクエリアスが池の水を操ろうとした――――が。

 

「!操作できない!?」

 

アクエリアスが珍しく驚愕したように言う。

 

「ヒューズの魔法…アトラクションの…水も…操る…でも…ここまで…強力なんて…」

 

エドアミクも険しそうな顔でヒューズを見る。彼は「カハッ」と笑った。

 

 

「昔の俺と一緒だと思うなよ!あれからもスゲェ強くなってんだよ!」

 

 

その言葉を証明するかのようにヒューズが池の水を操った。いくつもの水柱が上がり、エドアミク達の方に向かって来る。

 

 

「ルーシィ!!逃げろ!!」

 

アクエリアスの焦ったような言葉を最後に、エドアミクの意識は暗転した。

 

 

 

 

 

「お、お?」

 

ナツはハッとして目を覚ました。そして、キョロキョロと周りを見回す。

 

「此処はどこだ!?ルーシィとアミクは!?あ、居た」

 

ルーシィは近くで倒れていた。しかし、エドアミクが見当たらない。

 

とりあえず、ルーシィを起こすことにする。

 

「おい、ルーシィ!起きろ!」

 

「う、ううん…ナツ?…此処は?」

 

ルーシィも起きてナツのように周りを見渡した。

 

さっき、水に吹っ飛ばされたところまでは覚えているのだが…。どうやら此処は何かの建物の中のようだ。

 

「あれ、アミクは?」

 

「分かんねー…アミク!どこだ!!」

 

ナツ達が呼びかけると下の方から声が聞こえてきた。

 

「…此処…」

 

「おお!?どこだ―――ってなんでそんなとこに居るんだ!?」

 

声がした方を見ると、なぜか棺桶が。その中にエドアミクが居るのだろうか。

 

「お前、なんで死んじまったんだよ…!」

 

「バカ言ってないで早く出してあげなさい!」

 

ナツたちはその棺桶に近付く。そして、その棺桶の横にスイッチがあることに気付いた。

 

「なんだこれ?」

 

ナツは深く考えずにスイッチを回す。すると。

 

 

「…わわわっ…」

 

慌てるような声が中から聞こえた。

 

「アミク?」

 

「大丈…夫?」

 

ちょっと心配になって聞いてみると、棺桶の蓋が開き…。

 

「ぶほっ!!」

 

「え――――!!?」

 

「…」

 

バニーガール姿のエドアミクが出て来た。

 

「…『瞬間着せ替え棺桶』…これも…まだ残ってた…なんて…ってことは…此処は…お化け屋敷…『モンスターアカデミー』…」

 

エドアミクがバニーの耳を垂らしながら言う。

 

「これおもしれーな!他のも見てみようぜ!」

 

「ちょっと!人で遊ぶな!!でもあたしも気になる!」

 

「え…ちょ…」

 

悪ノリした2人によってエドアミクはスクール水着、ナース服、メイド服、魔法少女姿などといろんな服に着せ替えされてしまった…。

 

 

 

「…遊んでる…場合…?」

 

「わりーわりー」

 

「ご、ごめんね、調子乗っちゃって…」

 

結局、豪華なドレス姿になって棺桶から出て来たエドアミク。拗ねているのかそっぽを向いて目を合わせてくれない。

 

ま、元々着ていた服はボロボロだったので丁度良かったかもしれない。

 

 

「…待って、誰か来たよ!」

 

「あいつか!?」

 

確かに、よく聞くと足音が聞こえる。

 

「クッソー、アイツの魔法は厄介だぞ。どうにかして隙を作ることはできねえか…そうだ!」

 

ナツがヒューズを倒す作戦を模索していると、何か思いついたようだ。

 

「色仕掛けだ!」

 

「バカじゃないの!!?」

 

「やってみる価値はあるだろ?…やれよルーシィ!」

 

ナツは一瞬こっちをチラッと見てルーシィに言った。ちょっと冷や汗を流している。

 

「…」

 

なぜ、自分に声が掛らないのかは気にしないことにした。

 

 

 

 

 

結論から言うと失敗した。

 

当たり前だ。

 

 

『瞬間着せ替え棺桶』を使って露出の高い服に着替えたルーシィがヒューズの前でエロいポーズらしきものを取っていたが、ヒューズが呆けた顔をしたままコマンドタクトを振り、モンスター達を操ってルーシィを襲ってしまった。

 

 

彼女は逃走。「いやあああああああああ!!!」と悲鳴を上げながら出口に向かって走って行った。

 

 

「…あれ…大丈夫…なの…?」

 

「ルーシィは逃げ足が速いんだ!大丈夫に決まってる!」

 

ナツが言うなら大丈夫なのだろうか…?

 

ナツとエドアミクは棺桶の後ろに隠れていた。

 

しかし、色仕掛け作戦が失敗した今、直で殴り合うしかない。

 

 

「おっしゃあ!今度はオレが相手だぁ!!」

 

 

「あ…!」

 

 

ナツがヒューズの前に飛び出す。結局作戦も何もなかった。魔法が厄介だって言ってた癖に、めんどくさくなったらしい。

 

仕方なく、エドアミクも前に出る。

 

 

「カハッ、姫サマ。思い出すでしょ?昔、此処がスゲェ怖くていっつも俺にくっ付いて歩いてたの!」

 

「…それは…昔の…話…」

 

昔はおばけが全部自分より大きかったので圧迫感から怖く感じていただけだ。

 

「ま、どうでもいいじゃん。『マミーバンテージ』!!」

 

いつの間に戻ってきていたのか、大量のモンスターの1人、包帯男が包帯を伸ばしてエドアミクに巻き付けた。

 

「つーかまえーた!」

 

「きゃっ…」

 

 

包帯男がエドアミクを引っ張ろうとする。

 

 

 

しかし。

 

 

包帯がボゥ!と燃えて途切れた。

 

 

「…ナツ!」

 

「お化け屋敷って言う割には大して怖くねえな」

 

「カハッ、その強がりがどこまで続くか見物じゃん!オレのモンスターの恐怖を味わせてやる!!」」

 

ヒューズがタクトを振るうと、巨大な男、フランケンシュタインが前に出る。

 

 

「『フランケンナックル』!!」

 

「ぐお!!」

 

彼が俊敏な動きでナツをぶん殴る。ナツはぶっ飛ばされて壁にめり込んだ。

 

「ナツ!…」

 

「口ほどにもないじゃん!」

 

エドアミクは追い討ちを掛けようとするフランケンシュタインの前に立ち塞がった。

 

「た、盾…ぐらいなら…なれる…!」

 

「カハッ、治癒力しかない姫サマなんて肉壁にすらなんねーよ!つーか、もういい加減鬱陶しいから寝てろ!」

 

フランケンシュタインは拳を振り上げてエドアミクを叩き潰そうとした。

 

 

 

その時。

 

振り下ろされたフランケンシュタインの拳が炎に包まれる。

 

フランケンシュタインは驚いたように腕を引いた。

 

「無茶すんなっつったろ。ったく」

 

「…わ…」

 

ナツが全身に炎を纏ってやって来て、エドアミクの頭に手を置く。見ると大したダメージではないらしい。

 

「いってぇな…」

 

ナツはそう呟いて――――更に燃えあがった。

 

 

「…暖かい…」

 

エドアミクは炎に包まれているのにも関わらず、謎の安心感を憶えていた。

 

 

「な、なんだよありゃあ…いけ!お前ら、行けよ!!」

 

ヒューズが焦りの表情でタクトを振りまくる。が、なぜなのかモンスター達は動こうとしない。心なしか、ナツに怖気づいているみたいだ。

 

 

ヒューズもナツを見る。

 

 

轟々と燃え広がる炎。その中心に居るナツ。

 

 

それは、それはまるで―――――。

 

 

「本物の…モンスター…!?」

 

 

 

 

 

一方、ルーシィは。

 

 

巨大なタコと化したバイロと戦っていた。

 

 

お化け屋敷の外に逃げだしたかと思うと、急に犬顔の少女―――なんかでかい鍵を持ったココが走って来てぶつかってしまったのだ。

 

そしてココを追いかけて来たバイロと交戦。そんな中、バイロが巨大なタコに変身してしまう。

 

あれでたこ焼き何個できるかな?

 

そして、ルーシィはバルゴから託された伸縮自在の星霊界の鞭、エリダヌス座の『星の大河(エトワールフルーグ)』を使ってバイロの全身を縛ったのだ。

 

「よし!」

 

『ぐぅ!小癪なぁ!!』

 

バイロが身じろぎするが、拘束は簡単に切れない。

 

「でも、これでどうやって倒そう…」

 

縛ったはいいが決定打がない、と悩むルーシィ。

 

 

 

その時。

 

 

 

「ア―――――ミ――――――ク―――――キ――――――ック!!!」

 

『ぶぼお!!?』

 

 

猛スピードで飛んで来た何者かがバイロの顔面に飛び蹴りをぶち込んだ。彼はそのままお化け屋敷の壁にぶつかる。

 

 

緑色のツインテールを煌めかせる少女。

 

 

間違いない。

 

 

「アミク!!マーチ!!」

 

「お待たせ!ルーシィ!!」

 

「全速力!なの!」

 

マーチに運んでもらっていたアミクは、このE-LANDの方から轟音と匂いがした為、かっこよく参上してきたのだ。

 

「久しぶりのルーシィだぁ!!良かった!!無事で!!」

 

「それはこっちのセリフよ!!変な事されなかった!?」

 

2人の少女は互いに抱き合う。無事、アミクも合流することができた。

 

『お、王女!?いや、アースランドの方か…』

 

「王女様!?」

 

バイロとココがアミクを見て表情を変えた。

 

『しかし…これでは動けん…あちちちち!!』

 

「わっ!なに!?」

 

急にバイロが燃え出した。

 

直後。

 

「誰が本物のモンスターだぁ!!?」

 

なぜか怒り狂ったナツがお化け屋敷の壁を突き破ってきた。彼の拳はヒューズの顔面を捉えている。どうやら殴りつけてそのまま壁も突き破ってしまったらしい。

 

「オレは化けモンじゃねえぞコラァ―――!!!」

 

ナツはそのまま、ヒューズをバイロごと殴りとばしてしまった。こんがりタコの出来上がりだ。

 

「ナツ!!君も居たんだ!!」

 

「ふぅ、すっきりしたー…って本物のアミクだー!!無事だったのか―――!?」

 

バイロの上に乗ったナツが手を振り返してくれた。ってか本物のアミクって何だ。

 

「派手に…壊した…無茶苦茶…」

 

壁に開いた穴から外に出たエドアミクはそこの惨状を見て言葉を失った。

 

「…バイロ…?何でタコ…また変な液体…使った…?」

 

心配そうにバイロとヒューズを見るエドアミク。「生きてる…よね…?」とヒューズに近づいてチョンチョン、と触れた。

 

 

そして、顔を上げると。

 

 

 

アミクとエドアミクの視線がかちあった。

 

 

「…!!」

 

「…!?」

 

アミクは声にならない悲鳴を上げながらルーシィを見て、エドアミクを指差し、そして自分を指差す。「これ、私!?」と言いたげに。

 

ルーシィは「うん」と簡潔に答えた。

 

「エドラスのアミク…ツインテールがデフォルトなのは変わりなさそう、なの」

 

マーチも感慨深げにエドアミクを見る。

 

一方エドアミクの方はアミクの胸を凝視していた。

 

(この人が…アースランドの…私…)

 

 

胸を凝視した。

 

 

(この人が…私…)

 

凝視した。

 

 

「おーい、アミク、どうしたー?」

 

様子がおかしい、と感じたナツがエドアミクに呼びかける。その時アースランドの方のアミクも反応したが、無視する。

 

「…同じ…私…なのに…」

 

「…」

 

なんだか不穏な空気を感じるアミク達。

 

 

「…なんで…こんなに…差がある…!!?」

 

 

切実な叫びだった。

 

 

「イカレポンチ…!ド淫乱おっぱい…!!…クソ※※※※…!!」

 

※暴言のつもりはありません…?

 

 

「えええ――――!?」

 

「な、なんて人、なの…」

 

アミクとマーチはエドアミクの口から出た言葉にドン引きしていた。

 

 

 

「あれ…?王女様が2人…?」

 

ココはエドアミクとアミクを交互に見て混乱していた。

 

 

 

「そうだ!アミク、これ食べて!」

 

「これは…?」

 

何とか落ち着いた一同。アミクはルーシィにボールのようなものを渡された。

 

「エクスボールって言って、飲むとこの世界で魔法が使えるようになるんだって」

 

「ホント!?やった!」

 

早速アミクは口に放り込んで呑み込む。

 

 

「~~~~!!漲る!!力が漲るぞぉ!!」

 

「アミク!?」

 

急にキャラが豹変したアミク。

 

「よぉっし!!魔法が使える!!」

 

掌から音を出してさわやかな表情になるアミク。魔法使えなかったせいでストレス溜まっていたのかもしれない。

 

「ん”ん”!『燃えてきた―――!!』…絶好調!」

 

「なんでオレ!?」

 

ナツの声を真似てみて嬉しそうな顔になった。

 

「…で?君がこっちの私?」

 

「…肯定…貴方も…あっちの私…把握…」

 

独特なしゃべり方するなぁ、とアミクは思った。

 

「…アミク、今、色々と緊急事態なの…」

 

ルーシィがアミク達にグレイ達が復活したことや計画のことを説明した。

 

「そんな…!!絶対に止めなきゃ!!」

 

「大分大事になってる、の」

 

アミクたちの状況が分かって深刻そうな表情になる。

 

そこで、エドアミクがココの方に顔を向けた。

 

「…それで…ココ…貴方は…どうして…此処に居るの…?それは…なに…?」

 

彼女の言葉にアミクたちもココの方を向いた。

 

「王女様…」

 

ココはビクッと体を揺らして瞳を潤ませる。手には黒い鍵を持っていた。

 

「誰だコイツは?」

 

「ココ…。エドラス幕僚長補佐…時々…私と話…しに来てくれる…子、だよ…」

 

エドアミクが幽閉され始めた頃は大した接点はなかった。しかし、エドアミクが実験されていた時もたまに話をしに来てくれていたのである。

彼女はエドアミクの境遇を知ると、深く同情し、何とかしたいと考えていたそうだ。

 

しかし、彼女は所詮子供。どうにかできるはずもなく、話をしに来る事が精いっぱいだったらしい。

 

バイロには会いに行くことにいい顔をされなかったが、それでも、エドアミクを救いたい、と頻繁に訪れていた。

 

ココがエドアミクの心の支えになってくれたのも、この8年間耐えきれた理由の一つだろう。

 

「…その鍵が…竜鎖砲…起動する為の…?」

 

ココはエドアミクの言葉にこくりと頷く。

 

「竜鎖砲?」

 

アミクが聞くと、エドアミクが説明してくれる。

 

「滅竜魔法の力…凝縮した魔法…それを使って…コードETDを…実行するつもり…」

 

「あ、あのおじいちゃんが言ってた鍵ってそれのことだったのね…」

 

ルーシィがバイロと対峙した時、「鍵を渡せ」と言われてそれを自分の星霊の鍵だと誤解していたのだ。

 

とにかく、なんでアミクがそんなことを知っているかというと。

 

ココも情報源の1人だし、そもそもファウスト達が自慢気にペラペラ喋ってくれた。

 

「…ココは…反対…なんでしょ…?」

 

何かを察した様子のエドアミク。ココは涙交じりに話しだした。

 

「はい…。私は永遠の魔力より、皆で仲良く暮らしたいよう…!だから、この鍵、壊して…!」

 

エドアミクは優しくココを抱き締めた。

 

「王女様…!ごめんなさい…!ごめ”んなさい”…!」

 

ココは当初、このコードETDに賛成していた。でも、エドアミクの説得とファウストがリリーを犠牲にしてもコードETDを実行しようとしたことで、考えを改めたのだ。

 

「…優しい子…。貴方は…本当に…大事なことに…気付けた…それで…十分…」

 

ココはエドアミクの胸に縋り付いて、声をあげて泣き始めた。

 

 

「…それじゃ…この鍵…壊してくれる…?」

 

「任せろ!」

 

エドアミクがココに鍵を渡すよう促し、ココがナツに渡そうとした瞬間。

 

 

 

「きゃあ!?」

 

 

何かが凄いスピードで通り抜け、鍵を奪い去った。

 

 

「ンー、ハッハッハー!こんな大切な物を、敵に渡しちゃだめだぞココー!」

 

「シュガーボーイ…!」

 

 

その正体はシュガーボーイだ。

 

 

どうやってか、鎧で床を滑りながら去って行く。

 

「あ!鍵が!」

 

「取られちゃった、の!」

 

 

マーチ達が慌てて追いかけようとすると。

 

 

「どけどけー!お前らー!」

 

魔導二輪に乗ったグレイが駆け抜けて行った。

 

 

「グレイ!」

 

「アイツ、まだもたもたしてたのかよ!」

 

 

呆然とそれを見るルーシィたち。そして、気付く。

 

「っていうかアミク居ないし!」

 

「どこ行ったんだ!?」

 

焦る一同。

 

 

シュガーボーイは高笑いをしながら滑っていく。

 

 

「ンー、危なかったねー。このまま持って行ってーーーー」

 

と、そこでシュガーボーイは鎧に誰かがしがみついていることに気付く。

 

「んぐぐぐぐ!!」

 

アミクだった。

 

「ほわっ!?姫さん!?いや、グリーンガールの方か!」

 

「何その呼び名!?それより、捕まえた!」

 

アミクは直前に金属が床を滑る音が聞こえていたのだ。

 

よって、すでに身構えていたので彼が滑って来た時もすぐに飛びつくことができたのだ。

 

 

「離さないよー!ケツアゴさん!!」

 

「君も大概じゃないかね!?くそ!離れろ!」

 

シュガーボーイは滑りながら剣を滅茶苦茶に振り回す。アミクは仰け反ったりしながらそれを躱していった。

 

 

しかし、偶然床に当たると、その床が柔らかくなる。

 

「アイツ、あんな所で何してんだ!?」

 

『無事で良かった…が、それどころじゃなさそうだな』

 

後ろから追いかけるグレイもアミク達を見ていたが…。

 

 

「おわああああ!!?」

 

そちらに注意を向けすぎていた為、柔らかくなった床に気付かなかった。魔導二輪が進まず、転倒するグレイ。

 

 

そして、さらに後方に居たナツ達にも影響があった。

 

「私達も…追いかける…!」

 

「おう!…ってなんじゃこりゃあ!!」

 

急に足元が沈んだ。下を見ると、床が柔らかくなってナツ達が沈み込んでしまっている。

 

「シュ、シュガーボーイの…魔法…!」

 

「抜け出せなーい!」

 

ルーシィ達が抜け出ようと悪戦苦闘していると。

 

巨体なバイロが倒れこんで来た、ルーシィ達に向かって。

 

 

「いやああああ!!!」

 

「うおおおおお!!?」

 

「…オーマイガー…」

 

エドアミク達はそのまま潰れてしまった。

 

 

「王女様ー!?」

 

ただ、ココはエドアミクが突き飛ばしてくれたおかげで無事だった。

 

 

 

 

「コ、コラ!離せ!」

 

「離すもんか!っていうかこれ、どうやって滑ってるの!?」

 

必死にしがみつきながら聞くと、シュガーボーイはドヤ顔で答える。

 

 

「俺にも分からん!」

 

「ええーーーー!?」

 

 

本人も知らない原理で滑る鎧。なんじゃそりゃ。

 

 

「うぅ〜このままじゃやりづらいから…えぇい!!」

 

アミクは床に足を付けるとそのまま踏ん張った。

 

「俺の滑走を止めるつもりか!?やめた方がいいねぇ、君の足が削れちゃうよ!」

 

シュガーボーイはそんなアミクの行動を鼻で笑った。

 

 

 

 

だが。

 

「バカな!?スピードが落ちてる!?」

 

「んぎぎぎぎ…!!」

 

ガリガリガリガリと床を削りながらも、彼の滑走の速度を落とすことに成功した。

 

 

「これくらいなら…そぉれ!!」

 

「おわい!?」

 

ここまでスピードを落とせば大丈夫だろう。シュガーボーイを持ち上げ、投げ飛ばした。

 

「くっ…!」

 

なんとか着地したシュガーボーイ。アミクはそんなシュガーボーイを見据えた。

 

 

「その鍵は渡してもらうよ!」

 

「ンー、それは出来ない相談だねぇ。この鍵は竜鎖砲を起動させるのに必要なのさ」

 

シュガーボーイも剣を構える。

 

 

「さて、私の魔法は物を柔らかくするもの。君の魔法だってフニャフニャにしちゃうよ?」

 

シュガーボーイは薄く笑った。

 

 

 

 

だが。

 

 

 

「衝撃波を柔らかくって…」

 

大回転。

 

 

「意味分かんない!!」

 

 

音の竜巻を纏ったアミクがシュガーボーイに突進した。

 

「え、ちょ」

 

「復活の一曲!!『音竜の円舞曲(ワルツ)』!!」

 

 

「がががががが!!!?」

 

 

衝撃波を柔らかくなんてできず、シュガーボーイは音の竜巻に巻き込まれ、何度も衝撃波に襲われた。そして。

 

 

「のおおおおおおおお!!!」

 

射出した音の竜巻に囚われ、しばらく閉じ込められていたかと思うと、大きくぶっ飛ばされた。彼はそのまま床に落下して気絶した。

 

 

直後、鍵がアミクの頭上に落ちて来て、それをキャッチ。

 

 

「…やっぱ魔法が使えるって気持ちぃいいいい!!!」

 

最高にハイになったアミクが勝利の雄叫びを上げた。

 

 

 

こうして、ヒューズとシュガーボーイ、ついでにバイロを撃破した。

 

 

 

 

 




オリジナル展開が多かったのは、ここら辺の原作をよく覚えていなかったためです。

論文書くのめんどい。

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