妖精の尻尾の音竜   作:ハーフィ

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エドラス編はもうすぐ終わりです。無駄に長くなってしまった。


ナツとアミク

「ってか、なんでエドナツがここにいるの?」

 

エドアミクも助かって一安心。といったところで、エドナツに聞いた。

 

「あ、す、すみません…!そ、その…」

 

相変わらずオドオドしているエドナツ。それを見たガジルが「プッ!」と噴き出した。

 

 

「テメェ、エドラスの火竜(サラマンダー)かよ!!なんだこの様は!!ギャハハハハ!!!」

 

「んだコラァ!!?」

 

 

爆笑するガジルを睨みつけるナツ。

 

 

「え、と、その…まず、ボクたち、王国軍と戦うためにギルド全員で来たんです…それで、そちらのルーシィさんたちと一緒に戦ったんですけど…」

 

「へー!そうなんだ!!ありがとう!!」

 

「なーんだ!やればできるじゃねえか!!」

 

アミクたちはエドラスの妖精の尻尾(フェアリーテイル)が加勢に来てくれたのが嬉しかったのか、エドナツの背中を叩いたり手を掴んだりした。

 

「ひぃっ!!?と、とにかく、そうしてたら急に魔法が使えなくなって…どうしようって思ってたら、そちらのグレイたちに貴方がたがここにいるって聞きまして…」

 

「で、わざわざ来てくれてたんだ?」

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

「怒ってるわけじゃないけど…」

 

エドナツが涙目になるので、優しく声を掛けた。

 

「そ、その、それで…なんか、呼ばれた気がして…」

 

「はぁ?」

 

要領を得ない説明であったが、なんか予感がしてここまで連れてきてもらったのだと言う。

 

「乗り物じゃなくてエクシードに運んでもらうの、すごく怖かったです…そ、それで…急に魔力がなくなってしまって…」

 

「ナツ…?」

 

そこで、聞こえた声にナツとエドナツが同時に振り向く。

 

「はい?」「あ?」

 

エドアミクがゆっくり体を起こしていた。そして、その瞳はエドナツに向けられている。

 

 

「…久しぶり…」

 

 

「…アミクさん?あれ?アミクさんが二人…!?」

 

 

混乱したのかエドナツがアミクとエドアミクを交互に見た。

 

 

「あぁ、あっちはエドラスの方の私。この国の王女様なんだって」

 

「ほへーそうなんですか。王女様なん…おうじょおおおおおおおお!!!?」

 

エドナツが大層驚いてナツの背中に隠れてしまった。

 

 

「ひ――――!!ボク、処刑されちゃうんだぁ!!っていうか王女なんていたんだ、怖いよー!!」

 

「なにやってんだおめぇ。アミクがそんなことするわけねえだろ」

 

ナツが頭を抱えて震えるエドナツの肩を叩く。

 

「つーか、おめーら知り合いじゃねえのかよ」

 

「し、知り合いだなんて、そんなご身分の高い人と知り合いだったことなんてないですよぉ…」

 

エドナツの言葉にエドアミクは寂しそうに俯いた。

 

 

「…やっぱり…憶えてない…?」

 

「…えーと…」

 

エドナツが頭を捻る。そう言えばアミクを見た時、デジャブを感じたが、エドアミクを見ると、それを強く感じる。

 

どこかで会ったのだろうか。

 

 

エドアミクはそっと呟く。

 

 

「『燃え盛る炎の玉になって駆け抜ける!将来のオレの通り名は『ファイアボール』だ!』」

 

「…あ!」

 

そのセリフには覚えがある。

 

 

昔、自分が言った言葉だ。そして、連鎖的に目の前の少女の事も思い出した。

 

 

「そっか…君が、あの時の…」

 

 

 

 

エドアミクがまだ魔力を持っていると判明していなかった頃、つまり大体五歳くらいの時であった。

 

彼女はリリーに頼み込んでこっそり外に遊びに出ていた。自分の兄、ジェラールにさえ内緒に、だ。

 

兄はアミクが外に出ようとすると、どうも心配しすぎるきらいがある。

 

 

 

とにかく、いつも「魔力が~」と嘆いている父から離れて外の世界を満喫したかった。

 

「王女…。王子や陛下が心配します」

 

「へーきだよ!ちょっとだけだもん!」

 

アミクを背中に乗せ、空を飛びながら苦言を呈するリリー。彼は護衛兼お目付け役でもある。

 

「大体、おとーさまはまりょく、まりょくうるさいの!そんなにまりょく好きならまりょくとけっこんすればいいのに!」

 

「そ、そんなこと他の人たちの前では言わないでください!まったく…」

 

リリーが困ったような顔をすると、アミクはおかしそうに微笑んだ。このエクシードはなんだかんだアミクの好きなようにさせてくれる。

 

アミクにとっては天使と呼ばれているエクシードは身近にいる大切な友人だった。

 

 

そうやって空で遊覧飛行を楽しんでいる時。

 

 

「…あ!おそわれてる!!」

 

アミクがとある山道を指差した。そこに、荷物を大量に運んでいる魔道四輪が山賊に襲われているのが見えた。

魔道四輪を守っている人たちもいるみたいだが、山賊の数が多すぎる。

 

 

「たすけなきゃ!おねがい、リリー!」

 

「かしこまりました」

 

リリーが腰から剣を抜き、空から急降下した。その剣の大きくして、上から山賊を襲う。

 

「ぎゃあああああああ!!!なんだ!!?」

 

「エ、エクシード!!?なんでこんなところに!!?」

 

「お、おい!ありゃ王国軍の魔戦部隊隊長のパンサー・リリーじゃねえか!!?」

 

「マジかよ!!それこそなんでそんなやつがここにいるんだよ!!?」

 

山賊たちは大慌て。アミクはリリーの背中に乗ったまま俯瞰する。

 

「助太刀する。お前たちは魔道四輪の近くで守れ」

 

「助かる!」

 

男がお礼を言い、武器を構えた。

 

「王女。危険ですので魔道四輪にいてください」

 

「わかった」

 

 

アミクはリリーの背中から降りて魔道四輪に近付き、ドアを開ける。

 

 

すると、そこには何人かの人がいて――――桜色の髪をした少年がキラキラした瞳で外で戦っている魔導士たちを見ていた。

 

その少年がアミクに気付く。

 

「あ!なんだお前!山賊の仲間か!?」

 

ちょっと怯みながらもこっちを睨んでくる。アミクは笑いながら手を振った。

 

「あはは、こんなかわいいさんぞくがいるわけないでしょ?」

 

「…それもそうか」

 

「わたしは、ここにかくれてろって言われただけだから!おじゃましまーす」

 

少年は警戒心を解いてくれた。他の人たちもいきなり子供が現れて驚いたようだったが、すぐに落ち着いてくれた。

 

「…でも、やっぱり妖精の尻尾(フェアリーテイル)に護衛を依頼して正解だった」

 

「ほんとですなぁ。さすがは妖精の尻尾(フェアリーテイル)です」

 

この人たちは商人らしい。急用で近道を使おうと思ったが、不安だったので急遽、魔導士ギルドである妖精の尻尾(フェアリーテイル)から護衛を雇ったらしい。

 

で、この少年は妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入り浸っている少年で、付き添いで来てしまったらしい。

 

「オレ、大きくなったら妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入るんだ!」

 

すぐに、アミクたちは打ち解けた。

 

「へー、あこがれてるんだ?」

 

「当たり前だ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)はすげーんだぞ!数々の依頼をこなしてきた、人気ナンバーワンの魔導士ギルド!」

 

外では戦闘が行われているのに、アミクたちは呑気にお喋り。商人たちも落ち着いている。これも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)への信頼があってこそだろう。(もちろん、リリーも)

 

 

「オレ!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)で運び屋専門の魔導士になる!!っていうか魔道四輪運転したい!!」

 

「車好きなんだね」

 

「走っている時が最高に気持ちいいんだよ!!火の玉になったみたいでさ!」

 

「…?なんで火の玉?そこは風、とかじゃないの?」

 

「オレの炎のように熱い走りを目指してるんだ!!燃え盛る炎の玉になって駆け抜ける!将来のオレの通り名は『ファイアボール』だ!」

 

「気が早いねー」

 

とにかく、車が好きなのだろう。男の子らしい。

 

「そういえば、お前はなんて名前だ?」

 

「え、わたし…アミ!!」

 

子供でも、王女の名を名乗る危険性は理解していた。だから、咄嗟に偽名を名乗る。

 

「ふーん、オレはナツ!ファイアボールのナツって憶えておけよ!!」

 

「だから気が早いって~」

 

将来の夢がはっきりしているところは好ましい。アミクはナツと名乗った少年としばらく話をしていた。

 

すると。

 

 

「へっへっへ!!こいつらを人質にとっちまえばいいじゃねえか!!」

 

「うわっ!?なんだ!!?」

 

 

山賊の一人がドアを開け放って言う。

 

 

「きゃっ!!口臭い!!」

 

「そこじゃねえだろ!?」

 

ナツは山賊の一番近くにいたアミクを庇うように前に立つ。商人たちも自衛用の武器を構えた。

 

 

「おい!魔道四輪にお前みたいな奴は乗せられねえよ!!さっさと降りろ!!」

 

強気に言い放つナツ。アミクは不安になってナツの裾を掴んだ。

 

「むちゃだよ、ナツ…。ここは大人しくしようよ…」

 

やんわり窘めるが、山賊はアミクに目を付けた。

 

「うひょ、いいとこのお嬢さんじゃねえか!こりゃ、金の臭いがプンプンするなぁ…」

 

舌なめずりしながら言われて「ひっ」と怯え、ナツの後ろに隠れる。ナツは勇ましく山賊を睨んだ。

 

「おい!!女の子を怖がらせるなんて、ひでー奴だな!!アミはオレが守ってやる!」

 

「何だクソガキ。テメェに何ができるってんだ!」

 

山賊がナツを凄むが、ナツは傲然と立っている。その姿はまるで、おとぎ話に出てくる英雄のようだった。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)はどんな相手だろうと立ち向かえる勇気を持っている。オレにも、その勇気はある!!」

 

無謀だ。そもそも武器なんかないのに、どうやって…。

 

「じゃーん!」

 

「それ、おもちゃだよ!!」

 

ナツが自信満々に取り出したのは、アミクでも知ってるような、ちょっと光るだけの剣のおもちゃだった。

 

「お前にはこれで十分だ!!」

 

「ガキが、舐めやがって!!」

 

「やめて!!」

 

山賊が、ナツに殴りかかろうとした、その時だ。

 

 

 

「子供に手を出すなど、とんだ浅はかなやつがいたものだ」

 

「ぎゃほぉん!!?」

 

リリーが背中から斬り伏せてくれた。

 

「わー!リリー!!」

 

「危険にさらしてしまい、申し訳ございません」

 

 

外を見ると、いつの間にか山賊は全滅していた。アミクは感心する。リリーもすごいが、あの妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士たちもすごい!と。

 

「ふー、危なかったぜ」

 

「すごいすごい!!ナツ!!みてみてー!みんなが悪い人たちやっつけてくれたよ!!」

 

アミクはナツの手を引っ張って魔道四輪の外に連れ出した、途端。

 

 

「びえええええん!!!怖かったよぉ!!怖いよー!!ぎゃああああ、人が倒れてる―――!!?」

 

「え?」

 

突然、ナツが大泣きし始めたのだ。さっきまでの気の強い姿が一かけらもない。

 

「ナ、ナツ…?」

 

アミクが声をかけると、ナツはビクッとして

 

「ひぃっ!!?ごめんなさい!!調子乗ってごめんなさい!!」

 

なんでこんなに情けなくなっているのだろうか。もしかして、今更恐怖が沸き起こってきた?

 

 

そこで、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面子がやってきて呆れたように言った。

 

「なんだぁ、ナツ。まーた乗り物の外に出たくれえでちびってんのか」

 

「だ、だってぇ…」

 

涙目でガタガタ震えるナツを見てアミクは首を傾げた。

 

「乗り物から降りると、こうなるの?」

 

「ああ…こいつは元々こういう性格なんだが…乗り物に乗ると、なんでか知らんが強気になるんだよ」

 

なんだその特殊体質。

 

 

「だ、大好きな乗り物の中にいると、なんというか、その…すごい強くなったような気がするんだよぉ!」

 

「あーそうなの?」

 

メソメソしながら説明するナツ。とりあえず、背中を撫でてあげた。

 

「うぅ、こんなボクなんか、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入れるわけないよね…」

 

さっきとは正反対なまでの性格にむしろ感心してしまう。二重人格みたいなものか。

 

ま、ここは激励してあげよう。

 

「なーに言ってんの。ナツの将来の通り名は『ファイアボール』なんでしょ!だったらこんなところで燃え尽きちゃダメだよ!」

 

「で、でもぉ…」

 

「ナツは私の憧れなんだから!絶対魔導士になってよね!!」

 

「えぇ…え?憧れ?」

 

ナツがガバッと顔を上げた。

 

「いやいやいやいや、そんなわけないよ、なんでボクみたいなのを、だってこんな弱虫なボクを…」

 

「たぁー!」

 

「キャン!?」

 

ぐちぐち言ってるナツの額に頭突きをしてあげた。

 

「さっき、私を守ろうとしてくれていたよね?すごくかっこよかったよ!」

 

「で、でも…今のボクはその時のボクじゃないし…乗り物がなくちゃ意味ないし…」

 

「ナツはナツでしょ!さっきのナツだって今のナツだって、同じナツなのには変わりないよ!第一、今のナツだって夢を諦めてるわけじゃないでしょ」

 

「…」

 

強気なナツも弱気なナツも、夢を見据えている瞳の輝きに違いはない。

 

「どんなナツだろうと、夢を持って頑張れるナツはすごいと思うよ!」

 

アミクはピースした。彼の夢に対する熱意はアミクの心に火を点けるには十分だったのだ。

 

「私も頑張るから!大きくなったらいつか、ナツに依頼するよ!」

 

「え、えぇ、お、お待ちしています…?」

 

 

アミクはナツに手を振るとリリーに向かう。

 

「リリー、そろそろいこ?」

 

「お話は済まれたのですか?」

 

「うん!楽しかったよ!」

 

アミクはリリーの背中に乗ると、ナツに大声で声をかけた。

 

「ナツ!!君の夢は叶うよ!!困難に立ち向かう勇気を持っている君は立派に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員だよ!!」

 

「アミちゃん…」

 

「また会おうね!!『ファイアボール』!!」

 

アミクはそう言ってリリーに乗って飛び立ってしまった。

 

 

「…妖精の尻尾(フェアリーテイル)、かぁ」

 

「最近有名な魔導士ギルドですね。陛下は嫌っているようですが…」

 

「…ちょっと、興味あるかも」

 

空でアミクの声が溶けて消えた。

 

 

 

 

「…そうだね…ボクは自分の夢を叶えるんだ…走り続けたいんだ!燃えていたいんだ!!」

 

ナツはアミクたちが去って行くのを見て拳を握る。

 

「ありがとう、アミちゃん。ボク…絶対諦めないから」

 

ナツはそう言って魔道四輪の中に乗り込む。

 

 

「オレは『ファイアボール』のナツ!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)の運び屋魔導士だ!!」

 

「まだ妖精の尻尾(フェアリーテイル)ですらねえよ」

 

意気揚々と言った直後、コテン、と頭を叩かれた。

 

 

 

 

だが、アミクもナツも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)が闇ギルド認定されてしまうとは思っていなかったのだ。

 

 

 

「君が…アミちゃん!?王女様だったの!?」

 

「ナツ…ちゃんと…妖精の尻尾(フェアリーテイル)に…なれたみたい…」

 

「う、うん…ボク、夢を叶えたよ。運び屋魔導士だし、通り名も『ファイアボール』だし…」

 

 

「よかった…うん…」

 

エドアミクがエドナツの隣に座り込んだ。しかし、エドナツは気まずそうだ。

 

「…こうして…また会えて…嬉しい…」

 

「う、うん…ボクもだけど…大丈夫?なんかさっき死にかけてなかった?」

 

「ナツたちの…おかげで…助かった…」

 

「はい?」

 

エドナツは首を傾げたが、エドアミクは話を続ける。

 

「王国と…戦ってくれたんでしょ…?王女として…感謝します…王国を…止めてくれて…ありがとう…」

 

「そんな!」

 

エドナツがつい大声をあげてしまうと、エドアミクはキョトンとなる。

 

 

「そんな…ボクは感謝されるような人間じゃない」

 

「久しぶりの…ネガティブナツ…」

 

エドアミクは呆れているようだったが、話を聞いてくれた。

 

「最初は、王国と戦うなんて考えてもなかったんだ。闇ギルドになってしまって周りは敵だらけ。命を狙われる日々に怯えていただけだよ…。勇気がなかったんだ。立ち向かう勇気が。ボクは、君が憧れていたような人間じゃないんだ…ギャン!!?」

 

「とぉー!」

 

エドアミクがエドナツの額に頭突きした。あの時のように。

 

「でも…こうして…戦いに来てくれたでしょ…?ここぞって時に…勇気を出せるのが、貴方たち…妖精の尻尾(フェアリーテイル)なんだから…それが、ナツなんだから」

 

「なんで…そんなに、ボクを信じられるんだ…それも、一度あっただけのボクを…」

 

エドナツが震える声で聞いてくるが、そんなの決まっている。

 

「ナツ…だから?」

 

なぜ、疑問形。

 

「…!」

 

「噂は…たまに聞いていた…凄腕の運び屋魔導士がいるって…その名前が…ナツ、だって…」

 

その噂を聞いた時には人知れず嬉しくなったものだ。

 

「自分の夢を叶えたナツなら…自分の中にある熱も、勇気も、ずっと持っているはずだって…」

 

一度だけあったからこそ、その印象が強かった。アミクにとってはナツこそが初めて見た魔導士であり、ヒーローのようなものだったのだ。

 

「貴方の存在があったから…辛いことにも耐えられた…貴方が頑張ってるって聞いていたから…私も…頑張れた…」

 

リリーやココの存在もあったが、最後に心に浮かぶのは、この少年であったのだ。彼の熱が、エドアミクの心を燃やしてくれた。諦めない心を与えてくれた。

 

 

「だから…ありがとう…」

 

エドアミクが告げると…エドナツが大泣きし始めた。

 

「うわああああああん!!!よかったよ〜!!拒絶されちゃうかと思ってたよ〜!!」

 

「ふふ…これも…久しぶり…」

 

「って、ボク、王女様に無礼な口をきいてしまった!?ヒィ!!処刑されるー!!」

 

「あはは…」

 

幼少期に一度出会っただけの少年少女が、様々な経験を経て、ここで再会した。

 

 

それを微笑ましげに見ていたミストガンとリリー。

 

 

「さて、リリー。さっき私が言ったことを覚えているな」

 

「!!王子、本当に…!」

 

ミストガンが覚悟を決めた顔つきで言うと、リリーが焦ったようにミストガンをみる。

 

「アミクの体から魔力が抜けた今、もうアミクが苦しむことはない。心残りも、もうない…リリー、私を処刑するんだ」

 

ミストガンは自分が「世界から魔力を奪った大罪人」になり、自分をリリーに処刑させることで、リリーが英雄となり、魔力がなくなって混乱する民衆たちを導かせようとしているのだ。

 

「これは、人間もエクシードも思いやれる君にしかできない。だから…」

 

と振り返ったミストガンは、ナツたちアースランドの面子と、エドナツを連れて来たエクシードの姿がないことに気付く。

 

 

「…どこに…?」

 

ミストガンが疑問の声を上げると同時に。

 

 

ドォオオオン、と町の方で轟音が響いてきた。

 

 

「な、なんだ!!?」

 

「暴動かもしれません!ここは一刻も早く鎮めなければ!!」

 

「くっーーーー!!」

 

「王子!!』

 

 

ミストガンは咄嗟に町の方に駆け出した。リリーも後に続く。

 

 

「…お兄様!」

 

「ちょ、ちょっと待って…!!」

 

エドアミクとエドナツもそれを追いかける。

 

 

町の方で何が起こっているのだろうか。

 

 

 




絶対五歳児が言える言葉じゃねえ。
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