これはまだ、六道仙人が神話上の存在でなかった時代の物語―。
雪がシンシンと降る中、爆発音が轟いた。
瞬間、金属同士がかち合う。
一人は巨漢、もう一人は長身痩躯の男である。よくよく見てみると、後者には左腕がなく、片腕で敵と渡り合っているのが分かった。
巨漢のほうも見てみると、細かいが機械の残存が残っている。本来はチャクラ糸で動くのが傀儡だが、こいつは自動で動くらしい。
男はかつてあった月の事件のものが地球に来たのか、と疑ってみたがどうやらその可能性は低いようだ。というのも、資料から見てこの傀儡は全くの別物。大筒木トネリとは無関係と考えられた。
傀儡は高速移動をしながら時折攻撃を仕掛けてくる。男はそれに対応するのが精一杯だ。
仕方なしに写輪眼を使って見極める。そして雷遁で肉体を活性化し、攻撃へと方向転換した。
傀儡の拳を宙を舞って避け、背後を取る。反転回し蹴りを姿勢を低くして躱すと、鳩尾と顔面に蹴りを打ち込み、吹き飛ばされる傀儡の上に移動し、踵落としを喰らわせた。
地面が隆起する。男の踵がジンジンと痛んだ。どうやらチャクラによる防御をしていたらしい。
迂闊だった。
と、その時、目の前にその傀儡が現れた。
「!」
殴りかかろうと拳を向けてくる。それを避けたが、何故か後方に吹き飛ばされた。すぐさま受け身を取って、姿勢を崩さぬように気をつける。
見たことがある。
蛙組手。
かつて自身の親友が仙人モードと呼ばれるものを会得したさいに使っていた技だ。
(ということは…こいつ、仙術まで使えるのか?それに…動きも傀儡のようなもんじゃない…)
それにスピードも上がってきている。
傀儡がチャクラで武器をつくった。巨大な矛だ。ドヒュン、と風をきって進んできた。
地面を蹴って避け、背後に着地。刀に雷遁を纏わせ、いなし始める。
男は刀術に自信があった。だから、分かる。
(こいつ…初心者か。恐らく、全盛期を過ぎて細部にボロが出てきているのだろう)
そうとなれば、簡単だ。
振り下ろされた矛を受け止め、チャクラを込めた回し蹴りで傀儡を蹴り飛ばす。
傀儡が近くの崖にぶつかった。
左眼の力で移動し、刀で一方的に斬りつけていく。
が、傀儡もただ者ではない。
それを分かったうえで。
一旦、さがった後に。
「〈天照〉!」
黒い炎が傀儡を襲った。
対象を燃やし尽くすか、または術者が解除するか。
そのいずれしか、この炎は消える事が無い。
男は今回、前者を選んだ。
そして、傀儡は燃え尽き、この世から消えた。
何故、男…うちはサスケがここに来たのか。その理由はただ一つ。
極秘任務のためだ。
かつての自分の罪滅ぼし。それだけで今も転々と世界を歩きまわっている。
そして見つけたカグヤの痕跡。
サスケとその仲間が封印した、チャクラの祖。サスケの一族であるうちは一族も、辿れば彼女の子孫となる。
今は倒壊寸前だが、この屋敷にはカグヤの子孫、かぐや一族が暮らしていた。
先程戦ったあの傀儡も、かぐや一族のものだろう。
そして、地下室…。
サスケが階段を降りていくと、そこには最近のものと思われる面がかけてあった。第四次忍界大戦に参戦する直前…大蛇丸が歴代火影を穢土転生するために使った、屍鬼封神解除の面に似ている。
そして。
そのすぐ前には、一つの巻物が置いてあった。
ここには数百年、誰かが入った形跡はなかった。すると、恐らくこれはそれ相応の年月のものと思われる。
が、見る限り真新しいし、どこにも汚れはない。
紐を解き、巻物を開いてみる。
解読不可能な文字だ。
大体のものはサスケの輪廻眼で読めるのだが、こればかりは無理だった。
(暗号…か?いや…そんな代物じゃない…一度…あいつに渡してみるか)
巻物を閉じ、紐で固く結ぶ。
そして、輪廻眼を使って、すぐに木ノ葉へ向かうのだった。