さて、序章第二verです!
どうぞ!
見慣れた執務室の空間。
机の周りには、これほどまでにかと思うほど並べられた書類の塔が建設途中だった。
ノックもせずに入り、机の上に巻物を置く。
その時になって初めて気づいたようで、「サ、サスケ!?」と上ずった声で友は叫んだ。
「まったく…来るならノックくらいしろってばよ…」
「勘が鈍り過ぎだウスラトンカチ。ほら。鷹で伝えた巻物だ」
「あー…なんか言ってたな、そーいや…。かぐや一族のヤツだっけ?」
「ああ。大筒木と何らかの関係があるかもしれない。念の為、調べてくれ」
そうは言うけどよーとナルトは頭を掻きながら言う。目の周りの隈も凄い。こいつ大丈夫なのか?と不安になるが、昔から無駄に生命力だけは強い男だった。過労死でポックリ逝くことはないだろう。
「まず、お前が送って来た報告書にあったけど、数百年前のやつなんだろ…?なのに何故、こんなに新しいんだってばよ?」
「それが不思議なんだ。何らかの術と思ったが、チャクラも感知できない」
「んー…サクラちゃんに渡してみるか…」
「サクラ?」
何故そこで自分の妻がでてくる。
「いやさ。こういうのって薬とか塗られてたりするんだってばよ。医療系の術だったり、薬だったり…なら医療忍術のエキスパートのサクラちゃんが適任だろ?」
「…まあそれはそうだな」
「っつーことで…誰もいねーな。しゃあねえ。こうなりゃ」
「オレが行こう」
ナルトの声を遮り、サスケが言う。
「お?そうか?珍しいな」
「あいつはオレの嫁だ」
「…ああ…」
パッと奪い去るようにして医療班のところへ向かうサスケ。
それを見て、ナルトは口角を上げて笑った。
「あいつ、変わったなあ」
と、その時。
ナルトの腹を、何かが貫いた。
「…!?」
椅子から立ち上がり、周りを見渡す。
幻術だ。
短い時間。
それでも、ナルトと九喇嘛双方にそれを喰らわせたとは、ただものではない。
すると、ナルトのちょうど後ろにあった窓が割れた。
タン、と床を蹴って執務室の中央に移動する。
続けて、執務室の窓に一斉にヒビが入り、バリンッと破片が飛び散った。そして、突如そこからクナイの雨が降り注ぐ。
直線的だが、範囲が広すぎる。
常用しているクナイを取り出し、それを複数投擲して軌道を逸らした。
床一面忍具の独壇場。
辺りを警戒していると、次は壁が突如盛り上がった。
「…なっ」
しかしそれも一瞬で、次の瞬間には人影が眼前に現れる。
右拳で殴りかかってきた。
それをいなし、人影のちょうどわき腹部分を狙って、九喇嘛のチャクラを借りた肘鉄をかます。
が、敵は呻く様子もなく、回し蹴りをナルトに当てようとしてきた。
「ぐっ」
すかさず左掌で足を掴むと、右手で印を結ぶ。
「〈飛雷神の術〉!」
かつて自身の父親が多用した術だ。
ナルトも粗削りではあるが、一カ月でそれをモノにしていた。
とんだ場所は、森の中。
里へ被害が及ばぬようにとの配慮だ。
「おめー、何者だってばよ?」
その問いに敵は応える事はない。
「…ん?」
よくよく考えてみると、こいつに経絡系を感じられない。
「これは…」
傀儡、と言おうとしたその時。
その傀儡がチャクラ刀を振りかざしてきた。刀は雷遁を纏っている。
辛うじて避けて地面で体勢を整えた。
「なるほど…!チャクラを傀儡の中に溜めているのか!」
それなら話は早い。
早々に壊してやる。
『行くぜ、九喇嘛!』
『おう!』
九喇嘛モードとなって、傀儡と体術合戦を繰り広げる。が、やはり本物には敵わない。
ナルトの拳が、傀儡の顔面にぶつかった。
勢いのまま殴られた方は吹っ飛び、木々を貫いていく。
そして静止した後、また動き出そうとした時には、ナルトが螺旋丸を右手に携えて構えていた。
「〈螺旋丸〉!」
しかし、傀儡も掌からチャクラの圧を飛ばした。
「チッ」
舌打ちをし、「この術は使いたくなかったんだがよ」と先ほどの言動とは違い、苦笑を浮かべる。
「行くぜ…〈風遁・螺旋手裏剣〉!」
巨大な風の刃が、傀儡と木を真っ二つに斬り裂いた。
「ふうっ」
見事なまでの残骸。
「これは…科学班に渡すか」
ナルトはこのようなものには詳しくない。餅は餅屋とも言うし、戻ったらあちらに届けるか…と思うのだった。
それから三月…
ナルトとサスケのもとに、巻物と傀儡の結果が判明した、と伝えられた。
医療班のもとへ行くと、そこにはサクラと科学班、解読班の班長、計三名がいた。
「あれ?なんで解読班が…?」
「はい、実はこれは特殊でして、その結果を伝えに来たのです」
「そうか。お疲れさま」
サスケは「それで」と科学班の方を見、先を促す。
「はい、まずは傀儡の方から説明させて頂きます。傀儡は御覧の通り、表面が三重構造になっていましてその下に器具が備えつけられていました。そして頭の部分…人間で言うと脳にあたる箇所にチャクラを溜める装置が入っていました。量はさほど多くはありませんでしたが、問題は別のところです。モーターやエンジンなどが四肢にありまして、それによって忍と変わらぬ力や反射速度が得られたようです」
「なるほどな。それじゃ壁から出てきたヤツは?」
ナルトの質問に対し、科学班の班長は資料を捲りながら「はい、それは…」と探していく。
「あ、ありました。はい。これは古来より旅芸人が使ってきた土遁系の術でして、正式名称は〈土遁・壁突破りの術〉というもののようです」
「そうか…ごくろうさま。じゃあサクラちゃん、頼むってばよ」
次は巻物だ。
そこでサクラが一枚の紙を二人と科学班長と解読班長に手渡す。
「これは巻物のコピーね。結果から言うと、これは現在でもつかわれている傷薬の一種ね」
「傷薬?」
ナルトが意外そうな顔をする。それにサクラが頷いた。
「そう。私に渡して正解だったわね。すぐにわかったわ。大抵の傷薬はその傷を治すためにあるんだけれど、たまに事前に防ぐものもある。それでこれは物体用。この薬を塗っておけば、どんな武器も汚れも跳ね返せるの。で…これが今回の薬と同じ分量でつくったものなんだけど…塗って、それでクナイで刺すとすれば…」
そう言って本当にクナイを手の甲に刺してしまった。
が、傷もないし血もでない。
「え…?」
ナルトと、それにサスケさえも唖然としている。
「とは言っても、これはそんなレベルじゃないの。ちょっとナルト」
ナルトを呼んで、巻物を机の上に置く。
「これに螺旋丸を」
「え、でも…」
「いいから」
「…分かった…」
渋々と螺旋丸を作り、勢いよく巻物に叩きつける。
しかし、巻物に触れた途端、パッとチャクラが分散してしまった。
「…!?」
「ど、どういうことだってば?」
なにかに阻害された感触だ。
「ね、こんなふうに、まるで結界に守られているように防いでしまうの。これを私達の業界では〈事前医療〉って言ってるんだけど…でもおかしいのよね」
「おかしい?」
「うん。この技術は、綱手様が開発したものなの。それが何故こんな数百年ものに…」
「それならば」と挙手したのは解読班長である。
「わたしたちが解読した巻物の文書にそれのような記述がありました。すみません、サクラ様」
「いいのいいの。わたしの報告はこれで終わりだし」
じゃあ、とナルトが促す。
解読班長はが首を縦に振って、「こちらを」とA4の束を渡してきた。
見てみると、表紙は早見表のようだ。
「これは、この巻物に使われていた文字をこちらに当てはめたものです。片っ端から木ノ葉にのこる言語辞典を知らべ、該当するものを探していきました。結果、場所からして有力なものがこちらの言語です。しかしこちらも暗号になっておりまして、暗号を解いたものがこの文章になります」
そう言って解読班長が束を一枚捲るように言った。
実際に捲ってみると、そこにはズラーッと文章が並んでいる。
「これは一種の物語となっておりまして、その途中にサクラ様の薬があります」
「あら、本当だわ」
そして、そこにはこう書いてあった。
これはまだ、六道仙人が神話上の存在でなかった時代の物語―と。
序章もこれで終わりです!
次からは本編!
亀更新になるとは思いますが、なにとぞよろしくお願いします…
で、ナルトたちはまた最後のほうに出しますので、そちらもお楽しみに!