久々の艦これ2次になるので設定諸々不備はあると思いますが、ご容赦頂ければ幸いです。
俺の名は飛沫。
本部よりこの海域の守護を仰せつかっている、司令官というやつだ。
出世……と言えば喜ばしいのだが、この海域での戦線は数年前から膠着していて、正直暇を持て余している。
つまるところ厄介払いのようなものなのだろう。
叩き上げで勝利を重ねてきた俺に、これ以上の戦果を上げさせまいとするエリートどもの考えそうなことだ。
(いや、あわよくば問題でも起こしていなくなってほしいのか)
終戦後のことを見越すのであれば、俺ほど邪魔な存在はいないだろう。
パッと出の英雄というものは総じて平和な世の中では役に立たない。
武力とカリスマ性だけで政治を行うことはできないからだ。
それどころか、なまじっか実績と人望があるだけに、ぞんざいに扱えば反逆すら起こされかねない。
それで……この辺鄙な海域に左遷されたのであろう。
彼らにとって幸いなことに、俺の軍にはまだうら若い娘を模した兵器―艦娘―ばかり。
間違いが起こらない方がおかしいだろう。
(実際、他の地を守護している提督の中には、セクハラ騒ぎを起こして艦娘たちに処刑(私刑)された者もいるのだとか)
戦争が終わったら結婚して落ち着いた生活を送ろうと思っている俺としては、そのような気狂い行為だけは避けたいところだった。
「……というわけで、お前ら全員クビな」
その日、俺はおよそ100名の艦娘たちにリストラ宣告をした。
「……え?」「……はい?」
「納得できません」
「……何言ってるかわかっているのですか?」
「そんなことより夜戦~」
「この私を見捨てるなんて、許しませんわよ」
十人十色の反応を見せる艦娘たちであったが、発言を撤回する気はない。
なぜなら、俺には大義名分があったからだ。
「提督、ちゃんと説明して下さい」
秘書官である空母が憤る。
彼女に(俺にも考えがあるんだ)と目配せをして、コホンと咳払いをひとつ。
「うむ。まあ、言葉の通りなんだが……」
下手に偽っても怨恨を残すだけだろうし、仕方がない。ここは正直に……
「我が指揮下の保有艦を総て球磨にする!!」
俺は大義名分(野望)を高らかに謳歌した。
「ちょ、意味分かんない」
「同じ艦娘で隊は作れないのですよ?」
「野戦はー?」
幾人かが抗議の声を上げる。
だが、俺の決意はもう変わらない。
基地内の編成は俺に全権限が与えられている。
つまり、全ての保有艦を球磨にしたところで誰からも文句を言われる筋合いはないのだ!!
「俺は球磨に囲まれて生活する」
断固とした意思を力説する。
基地内を球磨で満たし、そのすべてとケッコンカッコカリする。
これぞ暇を持て余した俺の導き出した運命という名の決意(コンクリュージョン)=ハーレムカッコカリライフ!!!!
「職権乱用です」
「中央に問い合わせて……」
「リストラ……されるの?」「やせーんー」
「提督が乱心したぞ。医療班……いや、精神科の医師はいないのか」
「ふはは!! 何とでも言え。 今の貴様たちは俺と球磨の幸せハーレムカッコカリを邪魔する敵でしかない」
ピシっと大海原を指さす。
「さぁ、寛大な俺からの最後の慈悲だ。さっさとこの船から飛び降りてドロップ要員になってくれ」
なおも食い下がってくる艦娘たち。
いい加減うざくなってきたので、実力行使をちらつかせることにする。
「あくまでもこの船に残りたいと言うなら……これからのふたりの生活の、資材になってもらうしかないな……」
*****
翌日、指令室には俺と球磨のふたりきり。
「やっと静かになったな」
今朝までドタバタしていた基地内も、今では静まり返っている。
荷造りなどあるだろうと、彼奴等に一日の猶予を渡した俺は、仏も泣いて逃げ出すほど慈悲深いのだ。
「これからよろしくだクマ」
俺の膝の上に座る球磨が少し恥ずかしそうにしている。
そんな彼女を見ていると、ムラムラと沸き上がる衝動を抑えきれそうになかった。
俺の手は自然と彼女を……
「な、ナデナデするなクマぁ」
撫でまわしていた。一通り嫌がられてたところでチャージ完了。
「さぁ、これから頑張って、球磨を作って拾うぞぉ!!」
建造しつつ球磨をドロップできる海域を周回するのであった。
*****
それから数週間が経った。
「「「「クマ?」」」」
「天国だな、ここは……」
既に30艦は球磨が集まっていた。
まだまだ先は長いとはいえ、執務室に全員が揃った光景はなかなか見ごたえのものだった。
「クマー」
「クマー」「くまっ」「クマぁ」「……たしなみですわ」「くまー」
ソファで寝そべる球磨、俺の膝の上で寝る球磨、遊ぶ球磨……
「あれ? 今、何か言ったか?」
「クマー?」
「そうだよな。この中にオシャレなレディなんているわけないよな……」
気を取り直して、幸せを満喫する。
うんうん、球磨は可愛いなぁ……。
「クマー」「くまっ」「クマぁ」「……たしなみですわ」「くまー」
おい、やっぱりなんか混じってんだろ。
「もう我慢できませんわっ。大体、どうしてわたくしが球磨の服を着ないといけないんですのっ」
「熊野……」
「く、くまぁ……ですわ」
「投げ捨ててきなさい」
「くまぁ!!」
「ヒャァ!? おやめなさい!!」
複数の球磨に連れ去られていく熊野。
「ふぅ、髪を下ろされると意外とわからないものだな……」
とはいえ、これで邪魔者はいなくなった。
あとはまた球磨を増やすだけだ。
「絶対に後悔させてあげますわよ!! とぉぉ↑おう↓!!」
海にダイブする瞬間までうるさいな、あの子は……。
*****
それからさらに数週間の時が流れて……。
「ついに……ついに100人の球磨が……揃ったぞ……揃ったぞぉぉぉぉぉ!!!!」
長かった……長かった!!
しかし、それに見合う楽園がここにっ!!
右も左も球磨球磨くまっ!!
上も下も球磨球磨くまっ!!(意味深ではないです)
ここが!! 俺の求めた!! 理想郷!!
幸せだなぁ。幸せだなぁ!!
みんな、これから練度を上げていこうね。
「提督、今日はどの球磨と遊ぶクマ?」
秘書官の球磨が艦娘リストを差し出してくる。
もちろん、リストの全てが球磨なのだけれども。
「ふむ」
考えるそぶりをしてリストを手にして眺める。
(……どうせ適当にページをめくって選ぶんだが)
あれ? このリスト、101体いないか?
何度数えても……球磨が101体いる……?
まぁいいか。野生の球磨でも混じってるんだろう。
なんて気楽なことを考えていると
「ねぇ提督、誰とケッコンカッコカリするクマ?」
と、少し低いトーンで秘書官の球磨が話しかけてくる。
「……球磨に順位なんて付けられない」
「ケッコンカッコカリしないクマ?」
「しない選択肢など……ないっ!!」
「どうするクマ?」
「101枚コンイントドケカッコカリ持ってこい!!」
クマぁ、と嬉しそうな鳴き声を上げると、球磨が抱き着いてくる。
周囲でそれを見ていた球磨も、我先にと抱き着いてくる。
これが!! 俺の求めた!! 圧倒的ハーレムエンドっっっ!!!!
ゲームにエンディングがないなら、俺だけの分岐・エンディングを作ってしまえばいい。
なんならここが世界の果てだ!!
「とはいえ、書類一式700円か……」
「破産一直線クマ?」
100×700は正直懐が痛む。
痛むが、夢の為の必要経費なら安いものだ。
クレカぽちっとなー!!
「あぁ、球磨……悪魔の艦娘よ……」
「クマ?」
あどけない表情を見せる球磨。
これからケッコンカッコカリしてケッコンショヤカッコカリ(ハーレム)をするというのに!!
「あぁぁぁぁ、かわいいよぉぉぉぉ、球磨ちゃん、マジ天使!!!!」
全ての書類に押印を澄ませ、これで晴れて球磨と夫婦になる。
「理想郷が……理想郷はここにあった!!」
101体の球磨とケッコンカッコカリをできるなんて、俺はなんて幸せな提督なんだ。
「……争いをするなんて、人は愚かだな」
賢者モードからの、なんなら戦争終結の使者にだってなれそうだ。
*****
「提督……」
その日の夜、球磨が部屋にやってきた。
「君は……最初からいた球磨か」
「ふふっ、私のこと、わかるクマね」
少し大人びた表情で球磨が笑う。
艦娘とはいえ、経験も成長もするのだ。多少の差異は出てくる。
全部ひっくるめて好きなんだけど。
「当たり前だ。全ての球磨の区別はつくさ」
「提督……私は……わたしは、誰よりも、提督に愛してもらいたいクマ」
どういうことだ?
「俺は球磨を誰よりも愛しているぞ?」
「球磨じゃなくて、私を……愛してほしいクマ」
球磨が抱き着いてくる。
それは全ではなく個を選べということか。
これまで費やしてきた時間と、己の野望を考えると、それは……
「残念だが……」
言いかけたところでガツン、と頭に衝撃が走る。
一歩離れた球磨の手には、ハンマーが握られていた。
「じゃあやっぱり全ての球磨を消すしかないクマね」
そう言って寂しそうに笑った。
……何を言ってる?
「提督はそこでゆっくり休んでてほしいクマ。
処理は球磨がしておくクマ」
不敵に笑う球磨の声を聴きながら、俺の意識が暗い闇の底へと落ちていく。
*****
「……はっ、夢か」
気が付くと昼下がりの執務室。
どうやら眠っていたらしい。
なにやら嬉しいような寂しいような夢を見ていた気がするが……。
「ていとくー」
いつものように、球磨が膝の上に座っている。
「おはようクマ」
「あぁ、おはよう」
「昼寝なんて、だらしないクマ」
「すまんすまん。不思議な夢を見ていたよ」
「どんな夢を見ていたクマ?」
ズキリと痛む頭に手を当てて、夢の内容を思い出す。
それはとても幸せな夢で、思わず笑みがこぼれてしまう。
「球磨がたくさんいる夢だったぞ。天国だったよ」
「なんか少し妬けるクマ」
「なんでだ?」
「球磨はひとりで提督を独占したいクマ」
「大丈夫。俺はずっと球磨と一緒だよ」
「それを聞いて安心したクマ」
(他の球磨を処分した甲斐があったクマ)
そんなつぶやきが聞こえた気がした。
……いや、気のせいだろう。さすがに。
「あれ? 他の艦娘たちは?」
「何言ってるクマ? 提督に愛想をつかして、みんな海にダイブしていったクマ」
あぁ、そうだった。
いきなり全ての保有艦を球磨にすると言ったうえで、解体かドロップ艦化かを迫ったのだ。
居なくなって当然だな……。
「やっと静かになったな」
球磨の細くしなやかな身体を抱きしめる。
「これからよろしくだクマ」
はにかみながら俺の腕にしがみつく球磨の薬指には光る指輪がはまっている。
その光景が愛おしくて愛おしくて、俺は球磨の頭を優しく撫でる。
「な、ナデナデするなクマぁ」
「愛してるよ、球磨」
「球磨も大好きだクマ。ずっと一緒だクマ」