刀剣に想いをのせて   作:緋村fu

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すいません。
忙しくて遅くなりましたー。


12話:剣城の過去。

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剣城は話し始めた。

 

「…おれの父親は元4位の[流刃]と呼ばれていた、炎熱系ヒーロー剣城宗太郎。そして母親は元5位の[破面]と呼ばれていた異形系ヒーロー剣城ルミナ。」

 

剣城の独白に麗日は目を丸くする。

 

「元4位と5位!?…すごい家系なんだね…

 

あれ…?でも…今は…」

 

「…そう。俺の両親は死んだ。それも俺の力がなかったせいだ。…それまで平和に暮らしてた俺たちの人生は10年前のあの日に変わってしまった…」

 

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時は遡り…10年前。

 

「刀剣精製」

 

でかい屋敷の前で、人知れず夜に個性の練習をしていた。

 

想士はそのときに個性が発現した事をまだ両親に伝えていなかった。なぜなら…

 

「パパとママはプロ。2人とも対敵に対しての戦闘力は高い。けど…俺は…剣を作るだけの能力。」

 

そう嘆き俯く想士。

 

そのとき…

 

「想士」

 

「!?…パパ…」

 

宗太郎が縁側に立っていた。

宗太郎は想士が作ったであろう剣をみて言う。

 

「…病院の先生から連絡をもらった。お前が個性が出ているのにそれを私たちに隠していてほしいと頼まれた事を。」

 

「…」

 

宗太郎は縁側に座る。

 

「想士…こっちにきて座りなさい。」

 

「…はい。」

 

2人は並んで座る。

 

「…なぜ私たちに言わなかったのだ?」

 

そう聞く宗太郎に想士はこう返す。

 

「パパもママと個性とは全く違うんだ。俺は2人の跡を継ぎたかった。それで。本当の平和の象徴にヒーローになりたかった。でも、この個性は…扱い辛い。…昔パパが僕に言った、期待してるって言葉。それを裏切ると思ったんだ。この個性は強個性じゃないから。」

 

そう言う想士。

宗太郎はため息をつき、想士の頭に手を置く。

 

「全く…自分の子供の個性が発現して喜ばない親がどこにいる。お前は俺の子だろう。ならば使いづらいかも知れんその個性。完璧に使いこなして見せなさい。…期待してるって言葉。お前はもう随分果たしてくれた。このように元気に過ごしてくれるだけで、充分だ。お前はいま、自分にとって必要な事をしていきなさい。…わかったか?」

 

 

「…はい…」

 

想士は泣き始めた。

 

「おいおい。泣き虫は治らないなぁ」

 

「泣いてないもん!」

 

「わかったわかった。もう夜も遅い。明日はお前の誕生日だからな。みんなで祝おう。さ、早く寝なさい。」

 

「…わかった!おやすみ!」

 

ドタドタ…

 

「…ふぅ…ルミナ出てきていいよ。」

 

想士が部屋に入ったあと、廊下の奥からルミナがきた。

 

「あなた。あの子の気持ちが聞けてよかったわ。」

 

そう、ルミナは笑顔で言うが宗太郎は何かを考えていた。

 

「…病院の先生からもらった個性診断書だ。ここをみて欲しい。」

 

「…?刀剣精製…?剣を作る個性じゃないの?」

 

「いや…想士の個性はそれだけじゃない。想士はおそらく、他人の個性を封じ込めた剣を作れる。…個性診断の先生が想士の剣に触れた際に力を抜かれる感覚があったと言ってた。」

 

「えっ?…そんな個性が…」

 

「…おそらくあの子を使えば、他人の個性を封じ込めた剣が作れる。それも無個性のひとが使える物が…」

 

「…あの子の個性の秘密は知られちゃいけないわね。」

 

「今度相澤に会わせてみるか…あいつは物事を客観的に判断できる。それにあいつなら信用できる。」

 

「…そうね。わかった。さ、あなた。夜も遅いから私たちも寝ましょう。」

 

「あぁ。」

 

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次の日…

 

剣城は小学校に向かう時間。

 

「行ってきます」

 

「気をつけてね。」

 

いつも見送りはルミナのみ。宗太郎は朝は大体もう仕事に行っている。ルミナと宗太郎は今は同じ事務所になっているので、ルミナは想士の送り出したのち仕事に行く。

 

「…(パパに言われたんだ。個性を使いこなしてみろって。やってやる。そのために、何が必要かを書き出さなきゃ!)」

 

想士はそう思い駆け足で学校に向かう。

 

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放課後。

 

「こんなに遅くなっちゃった。パパとママが心配するかも!早く帰らなきゃ!」

 

現在18.30分。小学生が帰るには少し遅い。そのため走って想士は帰る。

 

学校から家まで約5分。

日頃宗太郎とともに訓練をしているため、全速力で走っていられるスタミナがある。

 

この日も全力で帰っていた。

家に着く。

 

「…あれ?」

 

…おかしい。明かりが灯ってない。

 

ガチャ…

 

スン…

 

「…!?血の匂い。」

 

「…パパ?ママ?」

 

そのままリビングに向かおうとする。

 

「想士!!!きてはダメだ!!」

 

そんな宗太郎の怒鳴り声が聞こえ、足が止まる。

しかしリビングのドアを開けると。

 

…視界は急に暗転した……

 

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「……っ…?な、なに…?」

 

想士が目を覚ました。

 

目の前には血だらけの両親…

 

「………え……っ…?パパ…?ママ…?」

 

急すぎてついていかない思考。そこに声がかかる。

 

「よぉ〜、僕が帰ってきてくれたおかげでかたきうてたぜぇ〜」

 

異形の3人。

 

「俺らはこの2人に捕まってずっと憎んでたんだよ。それで、復讐するためにこの2人の個性が使いづらい家に忍び込んだはいいが、さすが4位と5位。2人のされて苦戦してたところに君が来て、君を人質にこの2人を倒したわけよ」

 

……つまり、僕のせい。

 

俺が…

 

「ま、俺たちを見た君も殺しちゃうよ。

家族仲良く3人で焼死だ。」

 

そのままガソリンを巻いたうちに火をつける。

 

「…パパ。ママ…ねぇ…返事してよ…

今日は僕の誕生日でしょ…みんなで祝うって行ったじゃんか…」

 

そう2人に近づく、想士。

 

すると

 

「…そ、想士…無事だったか…」

「あなたが無事でよかった…」

 

2人は息絶え絶えになっていたが息があった。

 

「パパ!!ママ!!」

 

想士は2人を担ぎ家から出ようとする。

このままでは3人とも死んでしまう。

 

しかし、その手を宗太郎が払う。

 

「想士。個性の剣をだせ…」

 

「え…でも!」

 

「急ぎなさい!!」

 

普段は大声を出さないルミナに驚き、剣を精製。

 

「なにをするの…?」

 

「想士…そのまま2振り持って構えてなさい。」

 

そういうと2人は立ち上がる。そして…

 

ドスっ…

 

「……は…?」

 

2人は想士の剣に貫かれながら、想士を抱きしめる。

 

「聞いて…想士。」

 

ルミナと宗太郎は想士に語りかける。

 

「あなたの個性は剣を作れるだけじゃないわ…他人の個性を剣に乗せることができる。それがあなたの個性よ…」

 

「私達は…このままでは何もできないまま死ぬ。その前に、想士の剣となりお前を守ろう…」

 

そして2人は想士をもう一度強く抱きしめながら言う。

 

「…お前が私たちの後を継ぎ…本当の平和の象徴になる未来、この身で見届けたかった。」

 

「…ちゃんとご飯食べて、いろんなことを知って、いろんな友達を作って、1人を愛して、ちゃんと胸を張れる生き方をして……約束よ…そして、忘れないで…」

 

 

「「私達はあなたを愛している。」」

 

「お別れだ。想士。期待している。」

 

2人はそのまま消えてしまった。

 

2振りの剣となって…

 

「…う…嘘だ…

 

 

嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!うわぁぁぁぁ!!」

 

ニクイカ…オノレガ…ソノカラダヲアケワタセ…!

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sideオールマイト

 

あの、宗太郎とルミナの家が燃えていると言う話を聞き駆けつける。

 

「!すでに!これだけ火の手が!」

 

オールマイトが駆けつけると警官が彼に伝える。

 

「中で1人暴れています!火の個性と、なにやら仮面をかぶって暴れており、我々では対処できません!」

 

それを聞いて私は驚いてしまった。

火、そして仮面…宗太郎君とルミナ君の個性と似ている。

 

「大丈夫だ!私がきた!!」

 

「今から私は家に入る!巻き添えを喰らわぬように!少し離れてくれ!」

 

ガシャん!

 

オールマイトが中に入ると。

 

ブゥン!

 

中にいた少年が襲いかかってきた。

 

「落ち着け!少年!私は敵ではない!」

 

想士はそれを聞き止めず攻撃を続け叫ぶ。

 

「俺の!俺のせいなんだ!俺のせいで2人が…し…んだ…」

 

しかし、叫んでいる途中に、

ガクッと急に倒れた。

 

「!!っ少年!」

 

 

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…現在。

 

「わかるか。これが俺の個性の真相。そして、本当のヒーロー。平和の象徴を目指したきっかけだ。」

 

「…俺は両親の為に、いや。違うな。両親を殺してしまったその贖罪の為に。平和の象徴に、本当のヒーローになるんだ。これが俺の全てだ。」

 

「…つまり剣城君のあの二振りの刀は両親なんだね…」

 

「そういう事だ。俺の個性は「でも」…?」

 

「剣城君は間違ってるよ。」

 

そう、麗日は否定。剣城の顔が歪んだ。

 

「なに…?」

 

「…たしかに君のせいかもしれない。でもちがう。うちには両親がいて愛をもらったからわかる。そんな…そんな…危険なことを命を賭してまで、全てを投げって両親への贖罪とする?…そんなこと望んでないよ!!きっと剣城君の両親は、君の進みたい道、なりたい物に全力で挑んでその上で期待してるって言ったんだ。」

 

剣城はなにがわかると怒鳴りたかったが。

麗日の真剣な目を見て言わなかった。

否、言えなかった。

 

「…ごめん。うちが偉そうに言って…」

 

「………いや。俺がこんな話をしたからだろう。……話は終わりだ。とにかくすまなかったな。その顔、今度改めて詫びさせてもらう。それだけ女の子の顔は大事だからな。

 

それから…さっきも言ったが。

おまえはいいヒーローになれる。

 

俺が、このA組でNo.1の俺が保証する。」

 

 

「失礼する。」

 

 

そういい剣城は退室していった。

 

剣城の過去、自分の思っていたことは間違っていた?両親の為に、と思っていたことは本当は違って自分の救いのためにやっていたのか…

 

そう。剣城の暗い過去は未だ取り払われてないのだ。




こんな感じですね。
自分でもちょっと納得してないところがあるので
随時修正していきますー。

さて、今回は遅れてしまい申し訳ありません。

バイト、大学、車校といろいろあって遅れました。

これから、またテスト等を挟む為また頻度は落ちますが、

必ずキリのいいところまでは連載します!

ので、また次回もお楽しみに!!!

高評価、コメント、お気に入り登録が、俺の創作意欲になります!

ぜひ、どしどしお願いします!!

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