『USJ襲撃』
翌日の朝、
「いいかぁ俺を追うなよヒーロー共!!」
「連続強盗殺人犯『僧帽ヘッドギア』!!」
「強い上に……姑息!!」
マウント・レディ、シンリンカムイらのヒーローが苦戦している中、通勤がてらオールマイトがチョップを食らわし一撃で沈める。
(速度が落ちた……活動時間も以前より短く……これは後継者を早く決めなければならないな)
それから轢き逃げ犯、立てこもり事件を連続で解決したオールマイトは自身の衰えを感じ
(それにしてもまた謎のライダーが現れたと言っていたが………奴は一体何者なのだろうか………神崎君、そちらの世界にいる君なら分かるのかい?)
雄英にて出久達と交戦した謎のライダーについて気にかけるのだった。
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オールマイトが朝から事件を解決していた日の午後
「今日のヒーロー基礎学だが……俺とオールマイト、そしてもう一人の三人体制で見ることになった」
(なった………おそらく昨日のマスコミ……かな?)
相澤より、今日の授業は救助訓練だと説明され、各々がコスチュームに着替えた。
「バスの席順でスムーズにいくよう番号順に二列で並ぼう」
(真面目だなぁ飯田君)
それからバスに乗り込む生徒達。
「こういうタイプだった、くそう!!!」
「イミなかったなー」
途中飯田がバスが思ってた構造と違った事にがっくし肩を落としていた。それから
「そう言えば緑谷ちゃん」
「………?どうしたの?蛙吹さん」
「梅雨ちゃんと呼んで」
「えっと……あす……梅雨ちゃん」
「飯田ちゃん達と話してる時、時折師匠って呼ぶ人がいるみたいだけど緑谷ちゃんはその師匠って人から戦闘技術を学んだのかしら?」
「え、あ、うん。……小六の時に師匠と出会ってそれから………無個性の僕をここまで鍛えてくれたんだ」
「んじゃぁ、お前のあの個性みてぇな音の出し方もその師匠って人から教わったのか?」
「そうだよ………師匠は凄いんだ……最近忙しくて会えてないけどさ……」
「って事は幼なじみの爆豪もその師匠って人から学んだの?」
「多少はな。つっても、あの人が教えくれたのは鍛え方や対人戦闘、個性の応用方法だけでそれ以外はデクも俺も自力で身につけたもんだがな」
「にしても緑谷と爆豪見てるとその師匠って人に会いたくなってくるな!今度紹介してくれよ!!」
「んー、師匠がいいっていったなら……」
(緑谷と爆豪の師か。俺から見ても能力の高い爆豪はともかく無個性の緑谷をあそこまで伸ばすなんて………一体どんな人物なのやら)
それぞれが思い思いに談笑し、目的地へと辿り着く。それからバスを降りて建物の中に入って
「すっげーーー!!USJかよ!!?」
あまりの規模に驚き、テンション高まる生徒達。
そんな彼らの前に宇宙飛行士のようなコスチュームを着用した人が人差し指を立てて説明する。
「水難事故、土砂災害、火事…etc. あらゆる事故や災害を想定し…僕がつくった演習場です。その名も…ウソの災害や事故ルーム!」
(USJだった!!)
みんなは頭文字を英語にして、略してUSJと見抜いた。確かにこの施設内はまさにUSJだ。
出久が宇宙飛行士をみて感動するような目で説明し
「スペースヒーロー[13号]だ!災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なプロヒーロー!」
「わーー私好きなの13号!」
麗日がうおおおー!と大きく叫び興奮する、その余り腕をブンブンと振っている。
そんな生徒達の状況を特に考えず相澤は後輩である13号に話しかける。
「13号…オールマイトは?ここで待ち合わせてるはずだが」
「先輩…それが」
13号は指を三つに立てて制限ギリギリまで活動してしまって今は休息中だと説明する。
「不合理の極みだなオイ」
誰にも聞こえない小さな声で二人は話し合っている。相澤はイラつく余りか顔をしかめているが、直ぐに生徒たちを見て
「(まぁ………念の為の警戒態勢……)仕方ない始めるか」
時間を無駄にするのも合理的では無いと判断し授業を始めることとする。授業を始める前に13号からのお小言が………増える。
「皆さん、ご存知だとは思いますが…僕の個性は〝ブラックホール〟どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
13号は災害救助をメインに働くヒーローであるが、実際に彼の持つ個性は強力で、残酷で、驚異的で、その気になれば都市一個壊滅させることが出来るような個性だ。
「その個性を誤ること無く使って、どんな災害からも人を救い上げるんですよね」
長年ヒーローを研究し尽くしたヒーローオタクの出久は、熱心に13号の個性を語り出す。横にいるお茶子は高速で顔を縦に振ってる。出久の解説に頷く13号は、「ええ」と一言頷き
「しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう〝個性〟がいるでしょう」
個性という力の危うさについて語り出す。
「超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで、一見成り立っているように見えます。が、一歩間違えれば簡単に人を殺せる〝いきすぎた個性〟を持っていることを忘れないで下さい」
超人社会の中でも日本は特に個性の使用を厳しくしているため、犯罪社会への抑止力にもなっている。実際オールマイトがいるという理由もあるが日本の犯罪率は各国に比べて低い。
「相澤さんの体力テストで自身の秘められている力の可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います」
故に相澤は入学初日に個性把握テストを、オールマイトは初めてのヒーロー基礎学にて戦闘訓練を。
「この授業では心機一転!人命の為に〝個性〟をどう活用するかを学んでいきましょう。君達の力は人を傷つける為ではなく助けるためにあるのだと心得て帰って下さいな」
(13号!カッコイイ!!)
そしてここでは個性の使い方、助けるための心構えを学ぶと13号は言う。その心の入った言葉に生徒達は13号に拍手を送る。
「そんじゃぁまずは」
そんな様子を見てもういいかなと判断した相澤は授業を取り行おうとするが、ふとその視界に黒いモヤの様なものが映る。そしてその中から手が出るのが見え
「(…ッ…殺気!?)相澤先生!!!」
「(……チッ…ガチの殺気)おいテメェら!!!」
「一塊になって動くな!!!13号生徒を守れ!!!」
大声で叫ぶ、初めて生徒にみせる相澤の焦りの表情に…出久と爆豪を除く生徒たちは棒立ちで不思議そうな顔をする。
「先輩…?それに君達」
状況を把握しきれていないのか首をかしげる13号。それから生徒達と同様に相澤の向いている噴水広場に目をやった。
「オイオイ、何だアレ」
生徒の一人砂糖がそう言う。見ると黒い空間が浮かんでいてその、黒い空間から次々と何者かが現れる。
脳が出ている大男。
骸骨のようなマスクをした男。
―奇しくも、命を救える訓練時間に―
いかにも普通の人ではないと思われる人物達が、続々と出てくる。
―彼らの前に現れた―
「もしかしてもう入試ん時と同じもう始まってんぞパターン?」
「ちげぇ!!あの殺気受けてわかんねぇのかよ!?ありゃぁ」
とぼけてる切島に爆豪がキレる。
「あの殺気、普通の人が出せるものじゃない。あれは」
「アレは………」
「「「敵だ!!」」」
爆豪とは逆に冷静に説明しようとする出久と被るように相澤が黄色いゴーグルを着用して大声でそう答える。
(まずい、特にあのモヤはおそらく移動させる系の個性。その系統の個性にたいして出来ることは………)
―プロが何と戦っているのか―
すると今まで開いていた黒い空間は閉じ、黒い霧を全身にまとっている男は不思議そうに呟いた。
「13号にイレイザーヘッドですか…先日頂いたカリキュラムでは、オールマイトがここに居るはずなのですが…何か変更があったのでしょうか?」
((頂いた!?まさか!?))
「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」
舌打ちする相澤先生。出久と爆豪は先日相対した謎の仮面ライダーが頭を過ぎりつつ、未だ混乱する生徒より早く警戒態勢に入り、
「みんな黒いモヤには気をつけておそらく移動させる系の個性!!」
「ワープの個性は貴重何じゃねぇのかよクソっ!」
注意、悪態をそれぞれ着く。この二人は日々ミラーワールドモンスターから殺気を受ける事もあるが、今回のソレはそれと同質かそれ以上……
―何と…向き合っているのか―
「どうします?死柄木弔」
そのワープの個性持ちであろう黒い霧の男は、手が顔についてる青年、〝死柄木弔〟と自身がそう呼ぶ男にそう聞くと、残念そうに青年は呟く。
「どこだよ…せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ、オールマイト…平和の象徴…いないなんて…」
先程の表情から一変して、死柄木は子供たちを見てこう言った。
「子供を殺せば来るのかな?」
―それは―
〝平和の象徴を殺せ〟
―途方もない悪意―