鏡とヒーローアカデミア   作:華無月

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怪人脳無

『怪人脳無』

 

出久及び爆豪が広場に駆けつけ相澤と共に敵達を一掃していく。目の前の光景に死柄木は苛立ちを覚えていた。

 

「やりづらいなぁ。ガキ共も鬱陶しい………だから」

 

死柄木は観察していて把握した相澤の個性のタイミング。個性が切れた瞬間を狙って水辺でもしもの時のために出久達を回収しようと待機している蛙吹を狙うも、

 

「蛙女ァ!水ん中潜ってろ!!!」

 

「ちっ」

 

爆豪がそれを許さない。揃えた数が倒されていく様子、自身の邪魔が入る状況。挙句

 

「13号は行動不能に出来たものの……一名逃げられました」

 

「は?はー………はあー………黒霧お前、お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ……」

 

黒霧から生徒を逃がしたという報告。更には鳴り出した警報ベル。この全ての状況に対して苛立ちが溜まっていく。ガリガリガリガリと首をかく死柄木だったがふと何を思ったのか突然大きくため息をついて

 

「流石に何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ………あーあ………帰ろっか」

 

ゲームオーバーとやる気を無くしたように呟く。その言葉に出久はもちろん爆豪、相澤、集まっていた敵ですらは?っとなった。流石にそれは見過ごせなかったのか敵の一人が死柄木に対して「そりゃないですよ!死柄木さん」と近づいて行くが

 

ゴキっ

 

という鈍い音が聞こえたと思うと敵の左腕の関節が曲がってはいけない方向にねじ曲がっていた。突然の事に悲鳴をあげる敵。

 

「うるさいなぁ………あーでもそうだな………せめて平和の象徴の教示くらいは潰しておくか………脳無」

 

死柄木は敵の左腕を掴んでいる脳むき出しの大男にそんな命令を下す。脳無と呼ばれた脳むき出しの大男は先程まで掴んでいた敵の一人を適当に放り投げると出久に狙いを定め跳躍した。

 

(す、少なくともあの腕に掴まれたら駄目だ)

 

跳躍してきた大男に対して、出久は死柄木という人物が相当やばいと感じながらも冷静に後ろに下がって回避する。丁度目の前にきた脳無の胸部に対して正拳突きを当てるが脳無は効いていないと言った様子を見せる。

 

(なんだこの感覚………まるで)

 

「デクッッ!!」

 

胸部に添えられた出久の腕を脳無が掴もうとするがすんでの所で爆豪が割って入り出久を掴んで距離を取る。相澤が入れ替わるようにして捕縛布で脳無を拘束するが脳無は圧倒的な力で捕縛布を利用して相澤を引き寄せその頭を掴み強引に地面に叩きつけた。脳無の強烈な一撃は地面を軽々しく砕いた。押し付けられて地面が砕けたと言う事はそれだけの力が相澤の頭部を直撃した訳で焦る出久と爆豪。

 

「クソっ!?お前、今通したな!?」

 

「う、うん!十全に通った感覚はあった!!多分衝撃を無効化する個性………だけじゃない気がする!!」

 

「へぇ…」

 

脳無の個性に気がついた出久を興味深そうに見る死柄木。ふと何を思ったのか解説を始める。

 

「そうさ、脳無にはショック吸収がある。こいつにダメージを与えたいならゆっくりと肉を抉っていくのが効果的だな」

 

「なら(指向性を持たせて)、その脳を直接揺らす………!かっちゃん!」

 

「ッッ!おい待て!!」

 

〝爆ッッッッッ〟

 

出久は息を吸い込み、脳無の近くにいた死柄木を巻き込むように思いっきり声帯砲を打ち出した。

 

(くそっ、こいつ素でこれかよ、オールマイト並じゃねぇか………が今はそれより)

 

相澤は朦朧とした意識で頭部を掴まれながらも脳無を一瞬見る。それにより個性が消え脳無に声帯砲があたり隙ができると思った瞬間

 

「いやはや、危ないねぇ」

 

音と脳無の間に青年が割って入り、手にしていた日本刀で出久の音を切断した。

 

「お゛どを゛きっ」

 

出久は声帯砲の反動かそれだけ言い残して身体の自由が効かなくなりその場に倒れた。

 

「来ないんじゃなかったのか………お前」

 

「まぁほら心配で来てみたら生徒が逃げてるじゃん?だから死柄木イレイザーに消されない俺が迎えに来たってわけ。………それはそうともう少ししたらオールマイト来るけどどうする?」

 

「へぇ……」

 

青年の言葉を聞いた死柄木は不敵に笑う。彼等が会話してる間に爆豪は出久の首を掴んで水辺へと放り投げる。蛙吹が舌で器用にキャッチして出久をゆっくり水辺に持たれかけさせる。

それとほぼ同じタイミングでUSJの扉が思いっきり開かれた。

 

「私が来た!」

 

オールマイトが到着したのだ。死柄木はオールマイトの姿が確認出来ると

 

「コンティニューだ……」

 

そう呟いた。

 

オールマイトの登場で沸き立つ敵。無謀にもオールマイトに挑もうとするが全員一手でなぎ倒される。それからすぐオールマイトは相澤を脳無の手から助け出し距離を取る。取る前に一発脳無に食らわすが脳無はなんとも無い様子だ。

 

「効いてないのか!?」

 

「ッ……おい!オールマイト!!こいつショック〝吸収〟の個性持ってやがる!!それにこいつ他にも持ってやがる!!」

 

「相澤君を頼む!!」

 

動ける爆豪に相澤を任せオールマイトは脳無を掴みバックドロップの要領で脳無を地面に突き立てる事を試みる。その衝撃で爆発が起こるが

 

「っ〜〜〜そういう感じか……!!」

 

砂埃が晴れて見るとオールマイトは脇腹を脳無に捕まれ、脳無は発生したワープゲートを通って胴と頭のみが地面から出ていた。

 

「いいね黒霧。期せずしてチャンス到来だ」

 

(やっぱ内蔵ないのか……餌にしようかと思ったけどやっぱ黒の方が栄養価高そうだ)

 

不気味に笑う死柄木。

その横で掴みにくい表情を取る青年。

 

「そう上手く行くかよ」

 

「平和の象徴はてめぇら如きにやられねぇよ」

 

圧倒的有利な状況でオールマイトを引きちぎる解説を始める黒霧だったが突如身につけていた服を捕まれ爆破される。合わせるかのように地面が凍りつく。凍りついたためか脳無の拘束が緩みオールマイトが脱出する。

 

「お、氷の子供か!!おい死柄木、あれ貰うぞ」

 

「…この場合あの爆破小僧をやっつけろ。脳無もやれ」

 

「む、ま……いいか。入り口はたくさんあるしな!」

 

氷が見えて喜ぶ青年だが死柄木の命令は爆豪をやれとのもの。青年は口を歪めながらもまぁいっかと言って黒霧を掴む爆豪へと迫る。脳無もまた凍った身体を無理矢理砕き立ち上がり爆豪へと超スピードで移動する。その際砕けた身体が再生したのに対し死柄木が超再生と解説する。

 

「クソっ!!」

 

「危な………少し燃えたか。やるな!」

 

爆豪はそれを見たと同時に前方に最大火力の爆破を起こすが、青年は後方に跳躍し回避、脳無は一瞬怯んだ様子を見せたが先程より早いスピードで距離を詰め、爆豪を仕留めようとするが爆豪はオールマイトに飛ばされオールマイトが脳無の攻撃を受け数メートルの地面が抉られる。

 

「加減を知らんのか……」

 

(大丈夫だと思って思いっきり殴ったやつが言うなや………クソっ痺れやがる)

 

「仲間を助けるためさ仕方ないだろう?」

 

死柄木は大層な演説をするが即嘘だとバレる。それから脳無、黒霧に指示をだし自身と青年に子供をあしらうように命令するも、オールマイトの気迫に怯まされ後退する。それからはオールマイトと脳無の殴り合い。殴り合いの余波で誰も近づけない。

 

「死柄木、増援がもう少しで来る。これ以上は百害あって一理なしだ。引き際も肝心だぞ?」

 

「ハァ………いいよ………脳無はくれてやるよ………帰ろう………黒霧」

 

「……分かりました」

 

巻き起こる砂埃に隠れてワープゲートを通り撤退する死柄木と青年。死柄木は帰る前にオールマイトに向かって

 

「今度は殺すぞ、平和の象徴」

 

そんな言葉を漏らし、その姿を消した。

残された脳無は急に動きを止め、止めた隙を狙ってオールマイトが力を溜め込み天井に向かって力の限り殴りつけ脳無は風に流されるようにしてドームの天井を突き破る。

 

(このタイミングだと!?)

 

(まずい………僕もかっちゃんも動けない)

 

かと思われたが脳無の飛ばされた先の鏡が不自然に歪み脳無は吸い込まれるようにして鏡の中へと飲み込まれて行ったのだった。幸いだったのはその事に気がついたのは出久、爆豪の二人。耳鳴りもその一瞬だけだった事。オールマイトは余力を出し尽くしたのかその場から動けないでいた。

 

「1Aクラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りました!!!」

 

こうして

 

雄英教師陣が到着し、事件は収束へとむかう。

 

結果としてはオールマイトが脳無を倒し、制圧された敵68名の確保、主犯格と思われる死柄木、黒霧、青年の3人は逃亡。

 

「無茶をしなければやられていた。それ程に………」

 

重症の相澤及び13号、オールマイトも無傷とは行かず血を流す。

 

 

生徒はほぼ無傷に終わりこの事件は幕を閉じた。

 

【この襲撃は後に起こる大事件の始まりだったんだけど、この時の僕らには知る由もなかった】

 

 

――――――――――――――――――――

 

死柄木はカフェのようなアジトにワープゲートで帰るなり荒れていた。

 

「あぁ、くそ完敗だ………脳無はおそらくやられた。手下も瞬殺……子供も強かった………特にあのガキ二人」

 

「爆発に音、中々面白い子達じゃないか?」

 

「そう思うのはお前だけだ………それに平和の象徴も健在だった……話が違うじゃないか」

 

死柄木が荒れているとモニターの向こう側から

 

「違わないよ。ただ少し見通しが甘かったね」

 

誰かの声が聞こえてきて死柄木は思わず悪態をつく。そんな死柄木を咎めず諭すような声でモニターの向こうの人物は語りかける。

 

「ま、でもいーんじゃねーの?今回引き際ってのを知れたわけだしさ」

 

「なるほどそれが君の見解か……今回の経験は糧になるだろう。少なくとも有象無象では子供相手にすらならなかった訳だしね。だから集めよう。ゆっくりと時間をかけて精鋭を」

 

「って事はやっぱ先生とドクターは自由に動けないのな」

 

「そうだね〝インペラー〟。だから彼のような〝シンボル〟が必要なんだ。死柄木弔!!次こそ君という恐怖を世に知らしめろ!」

 

「こっちでは〝羚羊(レイヨウ)〟って呼んでくれ。ま、精鋭なら少し宛があるけどな」

 

「……使えないゴミだったら殺す」

 

「……お手柔らかに」

 

モニター側の人物は言わずもがな、黒霧の表情も読めない。インペラーと呼ばれた青年は楽しそうに口を歪ませ、シンボルとなる死柄木はその瞳に歪んだ決意を宿す。

 

こうして悪の組織は静かに胎動をした。

 

―――――――――――――――――――――

 

USJ襲撃事件まとめ

 

USJ内に襲撃してきた敵はほぼ無力化されていたため、警察とヒーローの協力により難なく捕まえることが出来た。しかしオールマイトによって雑木林に吹き飛ばされた一人の敵、脳無。彼は何処にも見当たらないという。警察はワープの個性があること、敵の力が未知数な事を合わせて脳無を回収したのではないかと判断する。計68名の敵が逮捕され、残りの3名は今も現在逃走中。

 

また重傷を負った者は、相澤、13号、オールマイトの計三人。音使い過ぎて動けなくなっていた出久は動けるまで回復、オールマイトの咄嗟の判断で弾き飛ばされた爆豪は腰を強く強打した。いずれもリカバリーガールによって治療された。その際相澤は頭部の損傷が酷かったためか脳に何らかの後遺症が残るかもと診断された。

 

 

 

 

治療を終えミラーワールドを確認してから帰路につく出久と爆豪。彼らは先の耳鳴りについてお互い同じ意見を持ち合わせていた。

 

「ねぇかっちゃん………僕の予想が正しければだけど」

 

「あぁ、間違いなくいやがるな………クソっ動けなかった」

 

「………もっと強くならなきゃだね。こっちでも」

 

「………そうだな」

 

脳無と呼ばれた者があっちに送られたことが分かったのに何も出来なかった事、その脳無に対して自分達では太刀打ち出来なかった事を噛み締めながら、

 

「師匠に聞かないとね……ライダーの事」

 

「あぁ。情報が足りなすぎる」

 

互いに拳を強く握り、いいタイミングできた耳鳴りに従ってモンスターに襲われていた人を

 

「早く逃げて!!」

 

助けて変身する。出久と爆豪はやり切れない気持ちをぶつけるようにモンスターを倒した。




原作で72名だったのが68になってるのは………捕食(ry
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