〔Type M〕
雄英体育祭までの残り一週間前。
休日にて出久は一人都内のショッピングモールにあるCDショップへと足を運んでいた。
「あ、あった………って最後の一枚!?良かったぁ」
出久自身元々音楽を聴く方では無かったのだが、彼の師匠である神崎がよく特訓の時に幅広いジャソル音楽を流していたため(神崎曰く音楽はいい。リラックス出来るし曲に合わせることでリズム感覚を養えるとの事)か自然と覚え、神崎の影響で一人の時も聞きながら特訓する事も多くなり、今ではヒーロー研究と同じくらい音楽が好きになり、好きなバンドのCDを買うくらいにまでなっていた。
出久はそのショップにあったお目当てのCDを見つけてそれが最後の一枚だと分かるとすぐに向かってCDを手に取ろうとすると
「あっ」「あっ」
出久とほとんど同じタイミングでそのCDに触れる手が一つ。何者かと横を向くと見慣れた顔が一つ。
「緑谷じゃん。……もしかして緑谷も?」
「耳、耳郎さん!?も、もしかして耳郎さんも?」
出久はその日同じクラスの耳郎響香と鉢合わせた。
――――――――――――――――――――
「まさか緑谷が音楽好きで、このバンドのファンだったとはね」
「う、うん。個人で特訓してる時によく聞いてるんだ。いろいろ聞いてるけどやっぱりこのバンドの曲が一番勇気を貰えるんだ」
「それウチもわかる!」
時刻は十二時。
あの後見知った顔ということもあってお互いに譲り合いが発生。店の中でそうこうしてても話が進まないということになり、出久が買って後日耳郎に貸すという形でCDを買ってショップを出た。
その時丁度お昼時ということもあって出久と耳郎はショッピングモールの中にあるカフェにて昼食を取りながら買ったCDのバンドについての話から始まり、
「ロックと言えばこっちバンドの新曲聞いた?」
「聞いた聞いた!初めはいつもと違うと思ってたけど最後の、ね?」
「うん!ここでおとなしめの曲出してきたか〜って思ってたら終盤での盛り上がり、やばいよね!!」
「やっぱりそこだよね!分かってんじゃん!!」
お互い好みの音楽の系統がロックだった事もあり話は噛み合いに噛み合って、お互いに同意を放ち続けている。それから音楽性の話になり耳郎から
「折角だから緑谷も楽器やってみない!?」
「ぼ、僕!?た、確かに師匠から貰ったエレキギターがあって師匠から基礎は叩き込まれているけど………」
「マジ!?緑谷の師匠何者なの!?」
そんな提案を受ける。出久は基礎なら分かると耳郎に返し、改めて出久の師匠が凄いと驚く耳郎。
「ならたまに一緒に練習しようよ!わからない所ならウチのわかる範囲で教えるからさ!」
「……お言葉に甘えて!いい息抜きにもなるだろうし!!」
「よし!じゃぁライン教えて!持ってるギターが何かも知りたいからさ!」
「あ、えっと……お願いします」
「携帯そのまま渡す!?」
それからライン交換等をしていたら時間は瞬く間に過ぎていき、いつしか日が暮れていた。
「ってもうこんな時間!?送っていくよ耳郎さん!」
「ウチもまだ話し足りないし家も近いからお願いしようかな………緑谷は大丈夫?」
「大丈夫。今お母さんに連絡入れた。気をつけてって」
こうして道中は目指すヒーローの話をしたりして出久は耳郎を
「ありがと、また明日」
「また明日」
家まで送った後帰路につく。
――――――――――――――――――――
その帰り道
海浜公園を経由して自宅に戻ろうとした出久に耳鳴りと共に誰かの悲鳴が聞こえる。出久は一目散に駆け出すと、公園の建物の鏡から出た触手が女性の首に巻きついて鏡の中へと引き込もうとしている。女性は必死に抵抗しているがモンスターの力の方が強く引っ張られている。
「「まずい!!」」
飛び出して触手を掴む。その出久の声と誰かの声が重なる。見ると出久と同じように触手を掴んでいる男子がいた。
「任せる!」
男子は出久に触手を任せ、個性なのか手から鎌を生み出して触手をぶった斬った。触手が切られたことにより拘束が緩み女性は解放される。
「「早く逃げて!!」」
出久と男子は大声で女性に指示し、異形の何かに掴まれた恐怖からかパニックになって逃げる女性。
「お前あっちの事知ってるんだよな!?」
「って事は君も!?」
出久と男子は女性が逃げたことを確認する前に手短に会話をし、お互いに事情が分かると判断して触手の出ていた窓に向けてデッキを取りだし
「言いたいことあるけど」
「とりあえず今は」
出久はデッキを持った右手とは逆の左手を胸の前で握り右手をベルト付近で構え、男子はデッキを空に投げて右足を前に出す。
「「変身」」
出久はそのままデッキを差し込み仮面ライダーデクへと変身し、男子はデッキを頭上でキャッチして空を円形に切るようにしてデッキを差し込み黒いライダーへと変身した。
それから二人は鏡の中へ入り込んだ。
鏡の中に入ると先程の触手の持ち主であろうイカを上下さかさまにしたような外見をしたモンスターが待ち構えていた。
「こいつは……バクラーケンって事は、おい!こっちは俺が」
そのモンスター突貫していく黒いライダー。出久は突貫する前に黒いライダーが言った言葉の意味を理解して周囲を見渡すと、交戦中のモンスターと似たモンスターが物陰からじっと戦いを見つめていた。
「(確かにこのイカ型モンスターはよく一緒に見かけるけど………まぁ今はそんな疑問は置いて)はあっ」
出久は疑問に思いつつ物陰に潜むイカ型モンスターとの距離を一気に詰める。イカ型モンスターは好戦的なのか出久が近づいてきた事をみるとすぐ触手を伸ばし出久よ首をつかも掴んだものの
『SWORD VENT』
レオの尻尾を型取った日本刀を装備した出久によって切られ怯む。そこを逃す出久ではなくすかさずストライクベントを使い青い炎で敵を焼く。吹き飛ばされたモンスターは満身創痍と言った感じで逃走を図るも
『FINAL VENT』
出久のファイナルベント『レオライダーキック』が炸裂し前方に蹴り飛ばされ爆発した。出久はモンスターから出た光の玉をレオが食べるのを見届けず先程の黒いライダーへと視線を向けると
「終わりだ」
丁度黒いライダーが止めを刺そうとしてる所で、黒いライダーはデッキからカードを取り出し左腕に着いた御手の様なものにスラッシュする。
『FINAL VENT』
カードが燃え尽き機械音がした後、契約モンスターと思われる半分くらいがメカメカしいモンスターがバイクになり黒いライダーがそれに飛び乗る。そこから小さな竜巻が起きるくらいに回転し、逃走を図るモンスターへと激突し、モンスターは絶叫を上げ爆発四散したのだった。
―――――――――――――――――――――
モンスターを倒してミラーワールドから帰還した二人のライダー。
「さてと、お互いに情報交換といきたけど、ちょっと遅いか?」
時間を確認すると十九時を回っていた。
「すぐにでもしたい所だけど………戻ってからでいいですか?母さんも心配しますしなにより僕の仲間にも話したい」
「仲間がいるのか………何時くらいに戻ってこれそう?」
「大切な………親友です………九時くらいですかね」
「ふむ。なら待ってるわ。多分その頃には俺の仲間も合流するだろうからさ」
「貴方にも仲間が?」
「ん、まぁな。これもそいつがいたから出来たようなもんだし」
こうして出久は黒いライダーに変身した男子と一旦別れた。別れる前
「そういや自己紹介がまだだったな。俺は物造 設計(ものづくり せっけい)。雄英高校サポート科一年だ」
「雄英!?僕と同じ………で同い年!?」
「ん?って事はお前も!?」
「うん。雄英高校1Aヒーロー科 緑谷出久です」
「うお、マジか、しかもAのヒーロー科か………っと詳しい話と自己紹介はまた後にしようか。後敬語はいいよ。同い年だし」
「………分かった。また後で」
お互い簡単な自己紹介をして同い年で同じ高校ということに驚いたのだった。
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〔Type B〕
休日。時刻は夕方、爆豪勝己は苛立っていた。
「待ってってば!」
「うっせぇ!」
原因は先程から爆豪の後ろを付いてきている赤髪の少女。名前は雄英高校一年ヒーロー科B組拳藤 一佳。
「お前は何も知らねぇ!何も見てねぇ!それでいいだろ!!」
「そういう訳には行かないよ。その……モンスターが人を襲ってるの見ちゃった訳だしさ……それにあんたが鏡の中に入ってるの見たんだ……」
事の発端はこの日の朝に遡る。
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この日爆豪は朝早くに起きてトレーニングを兼ねてランニングをしていた。
ランニングを終え昼食を取ろうとしたタイミングで耳鳴りがしたため爆豪はすぐさま駆けつけるとそこには鏡の中から出ている糸に首を巻き付けられた男性とそれを助けようとする赤髪の少女の姿があった。モンスターは中々引き込め無かったからかその脚を鏡から露出させる。
「何………あれ」
「チッ」
男性はそれを見て絶望的な顔を浮かべ、少女は意味がわからないという顔をする。爆豪はそんな苛立ちながら先に敵の糸を爆破し糸を断ち切った。
「そいつ連れて早く逃げろ!!」
「え、でもあんたは」
「いいから早く行け!!死にてぇのか!!」
鬼気迫る状況。少女は状況が掴めずわけがわからないながらも、優先するべきなのはこっちだと判断し恐怖で気絶した男性を抱えその場を後にする。
「変身」
爆豪は少女が行く様子を見たあとデッキを鏡にかざし、腰あたりでデッキを強く握りしめた後ベルトに差し込み変身し、鏡の中へと入っていく。
「一体………どうなってるの………?」
その様子を男性を抱えながら確認した少女はさらなる疑問に襲われた。
――――――――――――――――――――――――
それから危なげなくモンスターは倒し、昼食を終えランニングを再開したものの、
(あれは一体………それにあいつ爆豪だよね?A組の)
「あっ」
「あっ」
悩む少女と爆豪は出会ってしまい、事情を説明してくれと付きまとわれているという訳だ。
「待ってよ、あれはなんなの?あんたは何者なの?」
「知るかよ。つーかお前こそ誰だよ」
「今更!?私は拳藤一佳。あんたと同じ雄英の一年B組だよ!」
「そうか」
立ち去ろうとする爆豪の腕をガシッと掴む拳藤。
「待って待って、私も名乗ったんだから」
「爆豪勝己。A組。…これでいいだろ」
「うん………って違う!」
「るせぇ!!(だぁぁぁぉくそっ。めんどくせぇ!!)」
何としてでも食い下がろうとする拳藤に苛立ちを募らせていく爆豪。そんな爆豪だが別に拳藤の気持ちがわからない訳ではない。もし自分が同じ立場だったら爆破してでも聞き出してるだろうからと納得する。納得はしているが事が事だけにどうあしらっていいかがわからない。
「あーもう。ったく仕方ねぇ。お前今から時間あっか!?」
「え、あ、あるけど」
「だったら行くぞ」
「行くって何処に」
「俺より詳しい奴のとこだ」
考えた結果爆豪はこのままだと苛立ちが募るし、このタイプだと自分から危険に突っ込んできそうだと諦めて、全部幼なじみに任せる事にした。決めた所でタイミングよくスマホが鳴り出し、相手がデクと分かるや否や
『かっちゃん!実は話』
「おいデク!一人連れてくいつもんとここい」
『へ?一人!?………もしかしてかっちゃんもライダーにあったの!?』
「…ちげーが、『も』?ライダー……ってお前まさか」
『うん。出会った。九時くらいにいつものとこに来てくれるらしいから情報交換も兼ねてかっちゃんを呼ばないとって………って違うって一体誰を連れてくる気なの!?』
「気にすんな。すぐに分かる」
電話越しで気にすると返してくる幼なじみとの電話を容赦なく切る。
「えっと…?」
「九時に海浜公園だとよ。メシ食ってくか?」
「え……あ………はい?」
それから爆豪は拳藤を連れて一旦自宅に戻ってから海浜公園に向かった。母親にはいろいろ詮索されたがただの同級生と説明し、それが中々受け入れられなかったのでますます苛立ち募らせたのだった。