鏡とヒーローアカデミア   作:華無月

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麗日VS爆豪

八百万戦の後くらいに、飯田が自分の不快なさを悔やみ反省をしてから控え室に戻ると…

 

「飯田くん…お疲れ」

 

「お、うらら……かじゃないな!シワシワだぞ眉間が!」

 

「眉間が?」

 

いつも元気盛んで表情豊かに笑顔を浮かべる麗日………ではなく、いつもとは様子が違う様子の麗日がいた。飯田の反応を見て自分がどういう状態なのか察する麗日。

 

「あー、ホラ…緊張でね、眉間に来てたね…」

 

「緊張…?ああ、麗日くんの相手、爆豪くんだもんな!」

 

麗日の言葉で飯田は、なぜ麗日がいつになく緊張してるのかを察し納得する。確かに相手があの爆豪となると訳が違う。

 

「うん…超怖い……でもね………飯田くんのあのやつとか見ててね……」

 

「?」

 

自分を指した麗日の言葉に飯田は何のことかと首を傾げる。その時だった。

 

「麗日さん!」

 

控え室の扉が開きノートを手に持ってる出久がやって来た。本来なら分析をしているであろう人物の登場に麗日は当然疑問に思う。

 

「あれ?デクくん?会場は?他のみんなの試合見てなくても良いの?」

 

「あの後常闇君が攻め続けて勝利を収めて、今切島くんとB組の人がやってるとこだよ」

 

「じゃぁ、もうすぐ……」

 

麗日の纏う雰囲気が一層重いものになる。

 

「しかしまぁさすがの爆豪くんも女性相手に」

 

「するよ。かっちゃんは。どんな相手、どんな状況でも全力で勝ちに行く。それがかっちゃんだから」

 

飯田はそう言うものの、緑谷は首を横に振る。そもそもここでは皆んな夢を追い、全力で戦っている。それは爆豪でなくとも手加減はまずない。

 

「だからさ…麗日さん………付け焼き刃でかっちゃんに対抗する策ノートまとめてみたんだけど………………いる?」

 

顔を一層曇らせる麗日。そんな彼女に緑谷はノートを開き、渡そうとする。

 

「おお!それは良いな…!良かったじゃないか麗日くん!」

 

「ありがとうデクくん………でもいい」

 

「そっか。でも一つだけ………それくらいならいい?」

 

「…………うん」

 

「僕に出来ることをかっちゃんが出来ないわけない。だから気をつけて」

 

「………分かった」

 

意志を持って麗日は出久の提案を断った。出久もそれを予想していたのか一つだけ麗日に言ってそれ以上は何も言わず、飯田もまた、空気を察して何も言わない。

 

「私も皆とライバルだから」

 

重い空気の中、麗日が立ち上がり

 

「決勝で会おうぜ!」

 

震える手で親指を立てながら少しぎこちない笑顔で出久と飯田に言った。

 

「…………頑張って」

 

控え室を後にした。残された二人はその背中を応援の言葉と共に見送ったのだった。

 

 

 

麗日が出ていった丁度その頃、真っ向勝負の殴り合い対決をしていた個性ダダ被り組は

 

『個性ダダ被り組その2!!鉄哲VS切島 真っ向勝負の殴り合い!!!制したのは』

 

「両者ダウン!!!!引き分け!!」

 

実力もほぼ同じだったため両者ダウンの引き分けという結果に落ち着き、決着は回復後に簡単な勝負で付けることとなったのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

『さぁて!いよいよ一回戦最後の一組!中学からちょっとした有名人!!ヒーロー科、爆豪勝己!!対バーサス・・・俺こっち応援したい。ヒーロー科、麗日お茶子!!』

 

実況であるプレゼントマイクの公私混同した紹介があり、向かい合う二人。

 

「おい麗日、クソデクから対策は貰えたか?」

 

唐突な爆豪の問いに麗日は首を横に振る。

 

「そうか……全力で来い」

 

爆豪はその返答を見て顔をより一層引き締める。

 

「そう言えば緑谷君、先程言ってた対策とは何だったんだい?」

 

「本当にたいしたことじゃないよ。…かっちゃんは強い。みてから反応できる反射神経を持ってるかっちゃんは本気の近接戦はほとんど隙無しで、更に個性は動くほど強力になってく。空中移動も持ってるけど……初日の屋内戦闘で無重力の状態だとバランスが取れていなかった」

 

「ってことはつまり、浮かしさえすれば主導権を握る事ができるという事か」

 

そこまで言われて飯田も気づく。その上で出久と顔を見合わせてから麗日へと顔を向ける。丁度マイクがスタートの合図を出し、試合が始まった。

 

開始直後姿勢を低くして爆豪へと全速力でかけていく麗日。そんな麗日に対して爆豪は回避では無く迎撃を選び構える。

 

「(右!………ここを避けて)ぶわっ」

 

麗日は爆破を避けようと集中するが避けきれず爆破をモロに受けてしまう。怯んだ麗日に爆豪は近づき爆破を仕掛けようとするも

 

(囮、後ろか)

 

『上着を浮かせて這わせたのかぁ。よー咄嗟に出来たな!』

 

爆煙の中見えた体操服に人の気配を感じなかったため、背後に回る麗日に気づき地面を削るように爆破し、麗日を吹き飛ばす。

 

「麗日さん。頑張って」

 

麗日が体制を立てる間も無く、爆豪の爆破が麗日を捉える。麗日は何とか吹き飛ばされないように体制を維持するも休むまもなく爆破をされ後方へと吹き飛ばされる。それでも立ち上がる麗日。それから果敢に三、四度と突撃するもすべて後手に回っていく。それから六度目の突撃の後

 

「ッ、後ろ!?しまっ」

 

体制を崩した麗日が立ち上がる前にいつの間にか背後へと回っていた爆豪の手刀がその首を捉え

 

「………わりぃな。お前の策油断ならなかった」

 

麗日の意識を刈り取った。

 

「んだよ、あれ。そんなんあるなら最初からやれよ!!」

 

「女の子いたぶって遊んでんじゃねーぞ!!」

 

麗日の意識が落ちたのをみて会場から凄まじいブーイングが入るが、

 

「ヒーローの質が落ちてる、ね」

 

「馬鹿だね。あいつら」

 

麗日の意識が落ちたと同時に麗日が空中に必死に貯めていた石が

 

『ここに来て流星群!!!?』

 

流星群のように降り注ぐ。それを爆豪は麗日が吹き飛ばないように片手で抱えてから、反動のでかい大技を片手でぶっぱなし全てを撃破する。会場が沈黙し、麗日を抱えたまま呼吸を整える爆豪にどこからかマイクが飛んできて爆豪はそれを受け取る。

 

『女の子相手に………か。だからテメェらはダメなんだよ!テメェら、敵が女や無個性でも油断すんのか?全力を出さねぇのか?………だったらもうこれ以上試合を見る必要はねぇ!帰って転職サイトでも見てやがれ!!』

 

『爆豪の言う通りだ。ここまで上がってきた相手の力を認めてるからこそ警戒してんだろ。本気で勝とうとしてるからこそ手加減も油断も出来ねぇんだろうが』

 

爆豪とイレイザーの言葉に会場全体の空気が沈む。そんな中爆豪はミッドナイトナイトに抱えていた麗日をリカバリーガールの元へと送るように頼んで、掛け声のタイミングを完全に逃したミッドナイトはここで爆豪の勝利宣言をしてこの戦いは爆豪の勝利で幕を閉じた。

 

その後行われた腕相撲にて引き分けだった切島、鉄哲が鉄哲の鉄分切れでスティールが切れたところを切島が攻め、切島の勝利で一回戦の勝者が決定したのだった。

 

第七試合 勝者切島鋭児郎

第八試合 勝者爆豪勝己

 

 

―――――――――――――――――――――

 

「轟君、話って何?」

 

切島と鉄哲が腕相撲を開始した頃、出久は轟に呼び出されていた。轟は構える出久に

 

「お前らオールマイトに目かけられてんだろ」

 

「否定はしないよ」

 

答えにくい質問をする。出久は否定はせず轟の返答を静かに待つ。

 

「………個性婚。知ってるよな?」

 

個性婚。超常が起きてから問題になった、自分の個性を強化するために配偶者を選び子供を作る倫理観を無視した発想。それをもちろん知っている出久は何となくだが轟が言わんとしてることを察する。

 

「おまえの左側が醜いと母は俺に煮え湯を浴びせた」

 

が、想像以上のものに出久は思わずゾッとする。

 

「つまるところ、俺がお前らに突っかかったのは見返すためだ。オールマイトに目かけられてるお前らを倒して………いや、クソ親父の個性を使わず一番になることで奴を完全否定する」

 

「……………」

 

憎しみ混じりの覚悟を決めた眼。その様子から出久は轟の覚悟を肌で感じると同時に言いしれないものを胸の奥に抱え込む。

 

「時間取らせたな」

 

「轟君………僕からもひとつ、僕は師匠に恵まれた。師匠だけじゃない。今の僕はいろんな人に助けられたからここにいる…………だから僕も君に勝つ」

 

それでも出久は轟に対し覚悟を決めて宣戦布告を行ったのだった。

 

 

同時刻

 

念の為リカバリーガールの元で治癒を受けていた爆豪は既にある程度回復していた麗日に対して

 

「………麗日。お前は強かった」

 

それだけ言い残して出張保健室を後にする。

 

「なんや……それ」

 

麗日はその言葉に思わず苦笑し、いいタイミングで携帯が鳴り出す。麗日リカバリーガールに目を合わせリカバリーガールの了承を得てから電話に出る。

 

「父ちゃん________」

 

その後ヒーローを目指す一人の少女が流した涙を知るものはリカバリーガールしかいない。

 

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