鏡とヒーローアカデミア   作:華無月

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雄英入学/個性把握テスト

「ハンカチは!?」

 

「持った!」

 

「お弁当は!?」

 

「入れた!」

 

「制服は!?」

 

「今きてるよ!?」

 

引子は話しているとたまにとんでもないことを言い出なと出久は思いつつ

 

(言えないよね、あっちの事は)

 

それだけ心配してくれるって事が伝わってくるから尚のこと死ぬわけには行かないと思う。

 

「出久!!」

 

「超カッコいいよ!」

 

「……うん!行って来ます!」

 

「行ってらっしゃい!」

 

その日、出久は笑顔母に見送られ何時もより早く家を出た。

 

―――――――――――――――――――――――

 

それから暫く歩いて雄英近くまで来ると、ある少女の姿が瞳に映る。少女は出久の事に気づいたのか

 

「おはよう、えっと」

 

「緑谷、出久です」

 

「出久君!私は麗日お茶子、宜しくね!」

 

元気よく挨拶し、お互い自己紹介をする。

それから出久は入試の時の事について改めてお礼を言って、麗日もまたお礼をいった。そんな調子で教室の前に来ると

 

「「ドアでか!?」」

 

1―Aと書かれためっちゃでかい扉の前に来て驚いた。それから恐る恐る扉を開けると

 

「机に足をかけるな!先輩方や製作者さんに申し訳ないと思わないのか!?」

 

「思わねーよ!てめーどこ中だ!端役が!!」

 

「ぼ………俺は私立聡明中学出身の飯田天哉だ」

 

「聡明〜?くそエリートじゃねぇか、殺りがいがありそうだな」

 

「殺り………なっ」

 

見慣れた顔の少年とメガネの男子が口争いをしていた。

 

「委員長タイプはかっちゃんとああなるだろうなぁ…………」

 

「緑谷君あの子知っとるん?」

 

「知ってるよ。同じ中学の幼なじみ」

 

「そうなんや」

 

そんな彼らを見ながら見慣れた光景だと思う出久。

 

「おっと、君達は」

 

そんな出久に爆豪と口喧嘩をしていたメガネの男子が気づいて話しかけて

 

「受かっていたんだな。当然か………俺は飯田天哉、よろしくな」

 

「緑谷出久です」「麗日お茶子です」

 

自己紹介をする。

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へいけ。ここはヒーロー科だぞ?」

 

そんな事をしていると何処からか声が聞こえる。気になって声のした方を見てみると

 

(な、なんかいる)

 

教室のドアには寝袋に包まれている男性がいた。

男性は壇上まで歩いていって、

 

「ハイ。静かになるまで8秒もかかりました。時間は有限だ。君達は合理性に欠けるね」

 

(………抹消ヒーローイレイザー・ヘッド。これは気を引き締めないと)

 

やっとの事静かになったので男は名乗りを上げる。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。早速だがコレに着替えてグラウンドに出ろ。急げよ?時間は有限だ」

 

担任と名乗った男のいきなりの指示。出久達は急いで更衣室へと向かい体操服に着替えてグラウンドに向かうのだった。

 

――――――――――――――――――――

 

グラウンドに到着していきなり

 

「それではこれから個性把握テストを行うぞ」

 

『個性把握テスト!? 入学式とかは!?』

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事なんて時間の無駄だよ」

 

と、相澤は言う。

 

(時間は有限……あっちの世界じゃ人は普通九分五十五秒しか居られない………うん)

 

自分以外の人間がミラーワールドで消滅する事を知っている………過去に見たことがある出久はその通りだと思う。

 

「雄英は自由な校風が売り文句だ。当然、それは先生側にも適用される。覚えておく事だな」

 

それから話される個性把握テストの内容。

 

ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横飛び、上体起こし、長座体前屈。

 

この八種で個性ありきで測定していくという。

 

「個性禁止の体力テスト。国は未だ平均点な数字を出しているが合理的じゃない。……主席入学の爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだ?」

 

「86m」

 

「じゃぁ個性使って投げてみろ。円から出なきゃ何してもいい」

 

「んじゃまぁ……(球威に爆風を乗せる)……死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

爆風によって目指できなくなる場所まで飛んでいくボール。記録は905.2m。相澤は出た記録を見せて

 

「まずは己の最大限を知る。それがヒーロー素地を形成する合理的手段」

 

生徒達に対してそう言った。それから爆豪の記録を見て騒がしくなる生徒。競技内容も含めてつい「面白そう!」と発言してしまう。

 

「面白い、か……これからの三年間でそんな腹づもりでいく気なら、そうだな。こうしようか。トータル成績最下位の生徒は見込みなしと判断して除籍処分にしてやろうか」

 

『ッ!?』

 

その発言に一同は一気に焦らされる。入学初日から理不尽にも程があるからだ。焦る生徒の中で出久と爆豪だけは違う見方をして発言をした。

 

「ねぇ、みんな理不尽って言うけどさ、世の中さまざまな災害やヴィランの暴走といった唐突な事件が発生するよね?それも自分が万全じゃない時に」

 

「んの度に迅速対応して被害を抑えて、敵を倒すのがヒーローだろ?……この程度を理不尽と思うならヒーローになんざ向いてねェよ」

 

「ヒーローに向いてないは言い過ぎだよ!?かっちゃん!?」

 

「あぁ!?事実だろうが!!」

 

まるで理不尽を経験した事のあるかのような心のある発言にたじろぐ生徒達。そんな緊張は二人のコントのようなやり取りで少し緩和される。

 

(……………この二人他とは意識が違うな。しかも今の発言、まるで自分が理不尽にあった事があるような………)

 

担任の相澤はその様子を見て二人の評価を改め始めたのだった。

 

それから

 

緊張の中個性把握テストが行われていく。中でも入試首席の爆豪はどの分野でも他とは違い優れた結果を出していた。次いで目立ったのは緑谷出久。彼は個性持ちに劣らず個性使わない記録の平均以上、下手したら世界記録に近い数字を出していく。

 

(抹消を使っても記録は変わらなかった……つまりあれが奴の素の身体能力………)

 

緑谷出久が無個性という事に懐疑的だった相澤も自身の個性で変化なかったため、及び鍛えられた肉体を見て素の身体能力と納得した。納得してはいるのだがもう一つの方はまだ裏が取れていないので、相澤は最後にソフトボール投げをしようとした出久へと声をかける。

 

「おい、緑谷」

 

「何でしょうか?」

 

「お前、なぜ入試で見せた音を使わない?」

 

「それは私も気になってた」

 

相澤の質問に入試の時に彼が音で巨大な敵を倒しているところを目撃した麗日と飯田もどうしてだろうと首をかしげた。それに連なって

 

「そう言えば彼、個性を使っていないように思えるのですが」

 

「ったりめーだ。デクは無個性だからな」

 

他の生徒もそれぞれ疑問を浮かべ、爆豪が代わりに答える。無個性と聞いてザワつく生徒達。それを相澤が眼力で一蹴にして出久の回答を待つ。

 

「それは………〝声帯砲〟は使うと音の程度にも寄りますが使った直後、一時的に身体能力が低下するからです。それに今出せる最大音量を出すと身体が硬直して……すぐには動けなくなるんです。だから素の身体能力が求められかつ動かなきゃ行けない状況で使うにはリスクが高い。自分との戦いなら尚のことです」

 

「………なるほどな。おおよそマイクの予想通りだ。だが俺はお前のそれが個性じゃないかと疑っている。俺の個性を使うから次は……動けなくなってもいいから全力でやってみろ」

 

「先生の、個性?」

 

誰かがふと漏らした言葉に爆豪が、ヒーロー名、イレイザーヘッド。個性抹消だと言うことを端的に解説する。

 

「…………はい……みんな、耳塞いでてね」

 

「でもよぅ、ほんとに出るのか?先生の個性使ってんだろ?」

 

「出る。だから耳塞いでろ。特にてめぇら、耳いいだろ?ちゃんと塞いどけ」

 

こうして普通にソフトボールを投げる出久。相澤は個性が消えたのだも思ったが、次に出久が思いっきり息を吸いこんだのを見て静観する。

 

「〝爆ッッッッッッッッ〟」

 

投げたソフトボールが落下し始めた頃、出久は思いっきり息を吸いこんでから、音を出して衝撃波を生み出しボールをさらに高く飛ばす。

 

(…605m……個性も消えなかった。マイクの言った通りか)

 

相澤は自身の個性で消えなかった所を見てこれが個性では無いと確証を得る。

 

「あれ個性じゃねーのか!?」

 

「努力の結果だ。無個性だからってアイツの事舐めてっと手ェ届かねぇ場所に行くぞ。アイツは」

 

それから出久の方を見ると出久は息を切らした様子で身体をこわばらせていた。見るからに動けそうにない

 

「ハァ………ハァ…………」

 

「すまない。……無理をさせたか?」

 

「い゛や゛だいじょ………う゛ぶでず」

 

(喉を使う………か)

 

相澤は動けない出久を壁際へ休ませ個性把握テストはつつがなく進行していく。全項目が終わった所で相澤が順位を発表してそれから

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

『……!?』

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

と、乾いた目で笑う相澤。

 

「はぁーーーー!?」

 

それに一部の者が叫び声を上げる。

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない……。ちょっと考えれば分かりますわ……」

 

叫んだ者達にポニーテールの女子が呆れた顔で突っ込んでいたが、

 

「いや多分結果的に嘘になっただけだ。見込みがないか、デクの音が個性だったら多分切り捨てられただろ。ま、ヒーローは夢だけでなれるもんじゃねぇってことだな」

 

それを否定した爆豪。出久も同じ意見だったのか、首を縦に振っている。

 

「(やっぱあの二人………他と違うな)さてお前ら、明日からビシバシ鍛えてくから覚悟しとけ?振り落とされないようにな」

 

こうして入学初日のテストは終了した。

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