ポケモントレーナー ハチマン 〜ぼーなすとらっく集〜   作:八橋夏目

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リーグ戦最後になります。

いよいよ来週は剣盾が発売しますね。
これで続きを練ることが出来そうなので楽しみです。


ぼーなすとらっく11『四天王ハチマン VSカルネ』

 私がハチマンにフルバトルで負けたせいで急遽決まった午後の部。

 朝と同じく私はハチマンたちと控え室にいた。

 負けて泣いて色々吐き出したらスッキリしたのか、ハチマンとは普通に接することが出来ている。それはどうやらハチマンも一目見て分かってくれたらしく、特に何かを聞いてくることもなかった。

 それよりも今、ちょっとした爆弾がいる。

 

「ねぇ、ハチマン………。彼、機嫌悪すぎではなくて?」

「あー、そのユキメノコにしてやられたのがな。なんか相当来てるらしい」

「………大丈夫かしら?」

「逆に俺はカルネさんのポケモンたちの方が心配だわ」

 

 件の爆弾ことゲッコウガは目を覚ましてからずっとイライラしているようで、ピリピリとした空気が伝わって来ている。

 触れようものなら感電しそうだわ。

 

「………蹂躙って言葉知ってる?」

「やめて差し上げろ。あいつ、マジでやり兼ねんから」

 

 怒りの矛先がこれからのバトルに走るようなら、まさに蹂躙という言葉が相応しいんじゃないかしら。

 そうなると他のポケモンたちの活躍は見ることないかもしれないわね。

 

「ラール!」

「おっと、ラルトス。今はあのお兄ちゃんに近づかない方がいいぞ。激おこプンプンだ」

「ラル?」

「あー、ちょっと分かんないかー」

 

 ラルトスがゲッコウガに無邪気に突撃しようとしていたところをハチマンが拾い上げた。子供は怖いもの知らずとはよく言ったもので、ラルトスにはいまいちピンと来てない様子。

 

「取り敢えず、ラルトスの今日の定位置はここだ」

「ラール! ラルラル!」

 

 ………なんて羨ましい。

 ハチマンの膝の上なんて超激レアよ。私でもまだ一度も座ったことがないというのに。

 

「………ラルトスに嫉妬か?」

「………いえ、ちょっと。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ羨ましいとか思ったりしただけよ」

「どんだけ強調してんの? それ、思いっきり嫉妬してんじゃん」

「うっ…………」

 

 だってしょうがないじゃない。

 あなたが珍しいことをラルトスにだけはいつもやってるんだから。私だって憧れがないわけじゃないのだから、そこに気づいて欲しいものだわ。

 

「それにしてもチャンピオンとバトルか。明日のニュースが怖いなー」

 

 そんな思いを馳せているとはついぞ知らないこの男は明日の心配をし出した。

 チャンピオンのバトルなんて早々撮影出来るものでもないし、このバトルに相当のカメラが殺到することでしょうね。そうなると対戦相手であるハチマンも相対的に映し出されるわけであって、バトル後にインタビューされるのも必至。つまり、明日のニュースにはチャンピオン共々取り上げられるのは間違いないでしょう。

 いくら大人数にも慣れて来ているとはいえ、メディアに取り上げられたのでは引き篭もりになってしまいそうだわ。

 

「明日というよりは終わってからのインタビューに駆けつけて来る記者かしらね」

「あー、それもありそうだな」

 

 一応そこは姉さんに注文しているようだから何とかなるでしょうけど。それでも押し寄せる記者は来るもので、最悪出待ちなんかもあるかもしれないわ。

 

「客船を客席にしたおかけですぐに来るとも限らんだろ」

「確かにそうね。姉さんの思いつきではあったけれど、私たちと観客が切り離されているのは思いの外楽だったわ」

「過激なファンとかいるかもだしな」

 

 バトル後に控え室に乗り込んで来る、なんてこともないとも限らないしね。まあ、ミアレでのを見る限りないでしょうけども。

 

「さて、そろそろ準備するか。さっきから笑顔で背景に溶け込んでいる人がいるし」

「……シロメグリ先輩、いたのなら声かけて下さい」

 

 ハチマンに言われてようやく気がついたわ。

 いつの間に来ていたのかしら。というかいつの間にそんな技術を身につけたのでしょうね。

 

「いやー、なんか二人の世界が出来上がってたからつい………」

「二人の世界て…………。俺たちもそこのピリピリした奴のおかけで肩身が狭い思いしてましたよ」

「あー………ゲッコウガの目がいつもよりも鋭くなってるね」

「おい、ゲッコウガ。そろそろいくぞ」

『……………』

 

 返事はない。ただのそりと動いたため聞いてはいるよね。

 ただ私にはある懸念があった。

 

「無言が一番怖いんだっつの」

「………暴走、したりしないわよね?」

「それは大丈夫だろ。ユキメノコにやられて有り余ってる力を早く開放したいだけだろうし。それに今更ゲッコウガが暴走なんて、リザードンみたく外部からの何かがない限り起きねぇって」

 

 私もゲッコウガに限ってないとは思うけれど。

 力を出しすぎてその力に呑まれる、なんてことも考え得るもの。

 

「…………頑張ってね」

「ま、あいつを見る限り負けねぇだろうけどな」

 

 っ?!

 

「いってくる」

「いってらっしゃい」

 

 ………全く、この男は。

 不意に頭を撫でてくるなんて反則よ。

 さて、私も生でバトルを見に行きましょうかね。

 

『さあ、いよいよラストバトル!! 三冠王の敗北により急遽決まったこのカード!! 果たして四天王ハチマンの力はチャンピオンを上回ることが出来るのでしょうかっ!!』

 

 控え室を出て左に曲がり、さらに左に曲がってハチマンたちの後ろ姿を遠目に見つけ、後を追う。

 渡り廊下からバトルフィールドに出る所で壁にもたれかかる。

 

『それでは登場して頂きましょう!! 四天王ハチマン!!』

 

 紹介されてハチマンが出て行くと、一帯が大歓声に包まれた。私とのバトルでさらにファンがついたのかもしれないわね。

 

『そしてカロスの最高にして最強の実力者、チャンピオンカルネ!!』

 

 こちらも負けず劣らずの大歓声。

 大女優ってこともあり、相当ファンがいそうね。

 

「まさかあなたとバトルすることになるなんてね」

「全くですよ………。俺の予定にもなかったってのに…………」

「でも嬉しいわ。あれだけの実力を見せてくれるトレーナーなんて早々いないもの」

「あれは俺じゃなくてポケモンたちの実力ですよ。俺は単に指示出してるだけですし、何ならゲッコウガはそれすらも必要としてませんから」

「それはポケモンたちにしっかりとバトルの基礎や対処法を教えているからだと思うわ。野生のポケモンたちが群れのリーダーからバトルの基礎を教わるようなものよ」

「確かにその例えは合ってるかもですね。でもこいつ、出会った頃からこんな感じでしたから、例外ってのもいるんじゃないですか?」

「例外か。そうね、あなたのゲッコウガはまさに例外だわ」

『おい』

 

 長々とチャンピオンと語っていたら、ゲッコウガが前に出てきてハチマンに催促したようだわ。

 さっさと始めろと。オレにやらせろと。そういう目をしている。

 

「はあ………、はいはい。カルネさん、どうやら時間らしいですよ」

「お手柔らかに頼むわね」

「それは…………あまり期待しないで下さい」

 

 カルネさんも分かってはいるのでしょう。

 今のゲッコウガは強いと、ずっと苦笑いを浮かべて………。

 

「ゲッコウガ、先に言っておく。心だけは、折ってやるなよ」

『…………』

 

 ハチマンの忠告にゲッコウガは無言で、目を逸らした。

 心配だわ。カルネさんのポケモンたちが再起不能にならないことを祈るばかりね。

 

「それではバトル、始め!!」

 

 バトル開始の合図。

 さて、カルネさんの一体目は………。

 

「いくわよ、ルチャブル!」

「チャオブ!」

 

 ルチャブルね。

 かくとう・ひこうタイプという珍しい組み合わせのポケモン。あくタイプを持つゲッコウガには効果的な選択。

 

「最初から全力よ! ルチャブル、ゴッドバード!」

 

 そしてルチャブルが覚える技の中でもトップクラスの威力を初手に選んで来た。でもゴッドバードは蓄めを必要とする技。ゲッコウガの素早さならば容易に躱せ…………なるほど、そういうこと。

 

『チッ』

 

 ゲッコウガも気づいたようだけれど、既にルチャブルは動き出している。

 

「なるほど、パワフルハーブか」

 

 ハチマンはもう既に一観戦者モードに入っちゃってるのね………。いいのかしら、こんなバトルで。まあ、でも今のゲッコウガにはハチマンの指示は不要よね。トレーナーとしての視点からもバトルを見る目を養って来たのだから。それにあの二人の思考は大体同じだもの。以心伝心、言葉を不要とした信頼関係。危なくなったら口を挟むでしょう。

 

『………フン!』

 

 あれを防ぐのね。

 パワフルハーブによって蓄えを必要とせず、即座に繰り出したゴッドバードを水のベールで受け止めた。同時に自らも包み、ルチャブルを押し留めながら段々と姿を変えていく。

 

『な、なんとゲッコウガ!! ルチャブルのゴッドバードを水のベールで受け止めたぁぁぁああああああああああああっ!! しかも見て下さい!! あのパワーアップした姿に変身していますっ!!』

 

 最初からこんなに興奮していてバトルが終わるまで体力が保つのかしらね。恐らく声は枯れてるでしょけど。

 

「っ?! ルチャブル、下がって!」

 

 ゲッコウガが姿を変えているところに目が行き、誰しもがゲッコウガの攻撃を見失っていた。

 けれど、流石はチャンピオン。パフォーマンスに気を取られることはなかったみたいね。寸でのところで水のベールから変形して伸びた水手から逃げ切り、カルネさんのところまで戻っていった。水手は弾け、ゲッコウガがそれを掻き集めている。

 

「つめとぎよ!」

 

 攻撃力と精度を上げるためね。

 でも当たらなければ意味はないわ。

 

「ゲッコウガは何をして…………」

 

 その間にゲッコウガは何かしているようだけれど。後ろ姿だけでは展開が読めないわね。

 

「アクロバット!」

 

 一度後転しながら上昇したルチャブルは、空気を蹴ってゲッコウガに向けて滑空していく。

 私が知っているルチャブルはここまで精錬された動きをしていなかったはず。というか早すぎないかしら?

 あのゲッコウガが反応してすぐ懐に飛び込んでいるし。

 

『くっ………!』

 

 寸でのところで身体を逸らして躱すも、ルチャブルは躱された勢いをそのままに上昇していった。

 

『パワフルハーブを使ってゴッドバードで来たかと思えば、今度はかるわざか。また面倒な』

 

 な、なるほど………確かにルチャブルの特性がかるわざであれば、あの素早い動きも頷けるわね。

 でもそうなると少々不味いのではないかしら。

 特性かるわざは持っている物がなくなると素早さが上がる特性。ルチャブルが持っていたのはパワフルハーブ。パワフルハーブは初手のゴッドバードのチャージ時間を無くすのに取り込んでいる。つまり、ルチャブルは持っている物がなくなったことになっているのだ。そしてアクロバットという技も同じような条件で威力が上がるひこうタイプの技。特性と技の相乗効果で今のルチャブルの一撃は速くて重くなっているはず。

 さて、ゲッコウガはどうする気なのかしら。

 

『フンッ!』

 

 っ、まさかそんなギリギリな躱し方をするのね!

 ゲッコウガは目前に迫ったルチャブルを上半身を後ろに倒すことでギリギリ躱した。

 スレスレもスレスレ。ほんの数センチあるかないかの隙間だったわ。

 

「………よく躱したな」

『………そんな悠長なことは言ってられん。次が来る』

 

 技を外したルチャブルは上昇している。何か仕掛けて来そうな嫌な予感がするわね。

 

「ルチャブル、超高度からフライングプレス!」

 

 …………まさかあの位置から落ちて来るというの?

 これってほとんどリザードンが使う飛行術のハイヨーヨーじゃない。しかもアクロバットの勢いをそのままに昇っていったため、落ちて来る時には倍以上の速さになるはず。

 さすがのゲッコウガでもこれは躱せるはずがないわ。

 

『………リザードンみたいなことしやがって。フンッ!』

 

 あれはみずのはどうだんね。コマチさんのカメックスがゼニガメの時に編み出して以来、みんな偶に使ったりしているわ。波導を圧縮して放つため通常よりも威力が上がるというデータも取れたし、技は使い用だという実例にもなりそうね。

 

『………おいおい速すぎだろ、っぶね!』

 

 ルチャブルは撃ち上げられた水弾の軌道を見切り、目前で躱した。それほどまでにスピードが上がっているという証拠ね。まさか、ルチャブルがこんなに可能性を秘めたポケモンだったなんて。まだまだ私もポケモンのことを知らないというわけね。

 

「ルチャブル、もう一度上昇よ!」

「チャオブッ!」

 

 なっ?!

 ギリギリでゲッコウガに躱されてもなお、地面すれすれで切り返した!?

 やっぱりあれだけのことが出来るのだから、身体の柔軟性も高いということかしら。

 ルチャブルはもう一度上昇していった。

 

「つめとぎ!」

 

 攻撃が届かないと見越してのことか、上昇の間に両の爪を研ぎ始めた。

 

「ゲッコウガ、来るぞ」

『ああ、分かってるよっ』

 

 ハチマンもゲッコウガも次に重たい一撃が来ると悟ったのね。

 

『弾一発じゃ意味がねぇ。ならーーー』

 

 ゲッコウガは纏う水のベールを活性化させて壁のようなものを作り出していく。物理的に受け止めようってつもりかしら?

 

「ルチャブル、ゴッドバード!!」

 

 そういうことね。

 初手のゴッドバードでルチャブルの気持ちを一気に高め、アクロバットから始まる一連の攻撃は次のゴッドバードのチャージ時間を確保し、最高威力に仕上げるための布石だったんだわ。

 ルチャブルは次々と水の壁を貫き下降して来る。

 

『フン!』

 

 減速しているようには見えないけれど、ゲッコウガも水のベールを纏った。どうしようというのかしら………。

 そうこうしている内にルチャブルはゲッコウガに突撃していった。そして、ゲッコウガの水のベールがルチャブルをも覆い包んでいく。

 

『………お前の努力は認めてやる』

 

 っな?!

 ゲッコウガ、嘘、でしょ…………!?

 

「片手で、受け止めた…………?」

 

 ルチャブルの両翼から放たれるエネルギーによりゲッコウガの水のベールを霧散させたものの、その中心にはゲッコウガがルチャブルを片手で受け止める姿があった。

 

『だが、これで終わりだ』

 

 そして、その掌からはみずのはどうだんが作り出され、ルチャブルをカルネさんの目の前に打ち返した。

 

「る、ルチャブル?!」

「ルチャブル、戦闘不能!」

 

 当然、ルチャブルは戦闘不能に。

 不意を突いたとはいえ、ユキメノコが相討ちに持っていけたのは奇跡に近いことだったのかもしれないわね。絶対に二度目はない。ほんと恐ろしいポケモンだわ。

 

『ルチャブル戦闘不能ぉぉぉおおおおおおおおおおおおっっ!! 先に一勝を上げたのは四天王ハチマン!!』

『わはははっ、こりゃスゴい! 結局あやつが使った技はみずのはどうだけなんよ』

『みずのはどうの水流操作技術をあそこまで応用出来るとは。一研究者としていいデータが取れた気分ですね』

 

 確かに言われてみればそうね。

 水流操作だけで全てを払いのけてしまっていたわ。

 これがゲッコウガの本気を出した力、なのね。

 

「戻りなさい、ルチャブル」

『ハチ』

「ん?」

『片腕持っていかれた』

「はっ? マジで?」

『ああ、しばらくは使えそうもない』

「そりゃすげぇな。どんだけの威力だったんだよ」

『咄嗟に片腕にして正解だったんだろうな。両腕持っていかれた可能性もある』

「おいおいおい………」

 

 えっと、これは本当………なんでしょうね。ゲッコウガを見る限り左腕を抑えているし。

 そこまでの威力があのゴッドバードにはあったってことなのね。

 

「想定以上の強さね」

「そりゃこっちのセリフですよ。正直ゲッコウガに蹂躙されるくらいに思ってましたから」

「言ってくれるじゃない。でもそうならないようにこっちだって必死なのよ」

「ではその必死さをもっと見せてもらいましょうか」

「ほんと挑発がうまいわね。………ヌメルゴン!」

 

 チャンピオン相手に挑発なんて、しようと思うのはあの二人くらいでしょうね。

 さて、次の相手はヌメルゴンか。

 ドラセナさんも連れていたけれど、あっちのヌメルゴンとはまた違ったバトルになるのでしょう。それかその前にゲッコウガに圧倒されるか。

 見た限り、そうも見えないのだけれどね。

 

「あまごい!」

 

 えっ………?

 みずタイプのゲッコウガにそれは悪手なのでは………?

 それとも何か仕掛けが…………あるからこそか。それくらいカルネさんは分かっているわよね。

 

『雨か………。少し利用させてもらおう』

 

 利用?

 この降り出した雨はみずタイプの技の威力を上げることにはなるけれど。

 それでもヌメルゴンには効果はいまひとつ。

 他に何か仕掛けるつもりなのかも知れないわね。

 

「かみなり!」

『フン!』

 

 これはゲッコウガが読んでいたわね。

 呼び寄せた雨雲から突如雷撃が落ちて来たが、水のベールでそれを分散させた。

 

「不純物が含まれない水に電気は通らない。それは午前のバトルで見せてもらったわ。けれど、これならどうかしら! ヌメルゴン!」

 

 落雷が、止まらない………。

 何度も何度も雷撃が水のベールに打ち付けていく。

 

「………水を電気分解させる気かしら」

 

 液体としての水が気体に分離すれば、空気中に漂う塵に触れ…………!?

 違う、そうじゃないわ!

 もっと簡単に出来ることがあるじゃない!

 

『チッ』

 

 ゲッコウガも異変に気付いたようだけれど、もう手遅れみたいよ。

 落雷は空気中の塵を伝い地面に落ちてくる。そのため軌道はジグザグとなる。そしてそれは水に含まれる不純物も同義を為すが故に、水は電気を通すとされ、純水は電気を通さない。ならば、雷撃をいくつも落とすことで空気中の塵が動き、純水に混ざれば………?

 ゲッコウガ、あなたはここからどう切り抜けるの?

 

「ゲッコウガ、下だ」

 

 っ!?

 そう、ね………そういえばゲッコウガはあなをほるを覚えていたわね。

 

「…………さて、ここから何をしてくれるやら」

 

 ハチマンてば楽しそうね。

 ゲッコウガには好きにバトルさせているくせに、ここぞという時は声をかける。それまでもゲッコウガがやろうとしていることを理解しているみたいだし。以心伝心、まさにこの言葉通りね。そしてこれがポケモンとトレーナーの最高の形。

 

「っ!? いない?!」

 

 落雷により水のベールは霧散し、雨も止んだ。

 だけど、そこにはゲッコウガの姿はない。

 

「ヌメルゴン、落ち着いて! どこかにいるはずよ!」

 

 すると、突如地面が水の柱が五本も立ち上がった。

 位置から察するに五芒星のそれぞれの頂点あたりね。

 

「ッ、ヌメルゴン、りゅうせいぐんを打ち上げて!」

『打ち上がるのはお前だ』

 

 ヌメルゴンが首を上に向けた瞬間、身体ごと打ち上げられた。足下からの水柱によって。

 

「くくくっ、お前何なの。ほんとに伝説のポケモンの仲間入りでもする気か?」

 

 その水柱からはゲッコウガが神々しく出てきた。

 え、何これ。本当に彼は何をやっているのかしら。

 

「パワーウィップ!」

 

 何とか着地し態勢を立て直したヌメルゴンは、頭の触覚にパワーを溜めてゲッコウガへと突撃していく。

 

『フッ、終わりだ』

 

 出てきた穴より後ろに下がったゲッコウガは不敵な笑みを浮かべ………ーー。

 

「ヌゴッ!?」

 

 上空より水の塊が一閃を描き、ヌメルゴンを撃ち抜いた。

 水はそのままゲッコウガが開けた穴へと流れでいく。

 

「ヌメルゴン!?」

「ヌ、ゴ………」

 

 ゲッコウガの攻撃にも驚きだけれど、ヌメルゴンがまだやれるということの方がもっと驚きだわ。なんて耐久力なの。

 

『まだやれるのか。なら、これがトドメだ』

 

 そう言うとゲッコウガは背中から手裏剣を抜き、一直線に投げた。

 

「ヌメルゴン、戦闘不能!」

 

 躱すことの出来なかったヌメルゴンはそのまま戦闘不能となった。

 

『ヌメルゴン、戦闘不能ぉぉぉおおおおおおおおおおおおっっ!! あわやという場面もありましたが、トレーナーの機転により回避してしまいましたっ!! さすがは四天王!! さすがはゲッコウガです!!』

『カルネのやつも上手く流れを引き寄せてはいるんよ。ただ………』

『相手が悪すぎますね。ゲッコウガにはトレーナーとしての観点からバトルを組み立てる頭脳もある。そこに奇想天外な本来のトレーナーの頭脳が合わされば、今後の展開がもっとすごいことになりますよ』

『心配じゃのう。フィールドが壊れんといいが』

 

 コンコンブルさん、心配するのそこなのね。

 確かにあのままのペースだとフィールドが壊れそうだけれど。

 さ、さすがにそこまでやろうなんて考えているわけないわよね?

 

「お前もえげつないな」

『………まだまだだろ』

「そりゃ折角下も使えるようになってるんだからな。やらない手はないだろ」

 

 ハチマンもゲッコウガも今以上のことをしようとしているっていうの?

 

「戻りなさい、ヌメルゴン。……一応確認しておきたいのだけれど、いつから上空に水を溜めていたの?」

「ルチャブルとバトルしてる時ですよ。カルネさんの意識が攻撃に行っている間に少量の水を上空に送り込んでました。ゲッコウガの纏う水を切り離すようにすれば、ほぼ見えないでしょうからね」

 

 ヌメルゴンとのバトル中には一度見えたけれど、その前からずっとやっていたのね。なんて器用なことをやってくれるのかしら。

 

「フィールド、空、地面。今のゲッコウガは全部守備範囲ですよ」

「………そう。でもそれはどうかしらね。行きなさい、パンプジン!」

 

 カルネさんの三体目はパンプジンか。

 くさ・ゴーストタイプ。くさタイプは有利だけれどゴーストタイプが逆に弱点を突かれる。しかもゲッコウガはまだ一枠空いている状態。あくタイプの技を使われれば致命傷になる可能性も秘めているわ。

 

「にほんばれ!」

 

 なるほど、まずはみずタイプをとことん無力化させるつもりね。

 

『あいつはオレを干からびさせるつもりか? フン!』

 

 みずしゅりけんを投げ、追撃を牽制。

 

「パンプジン、ゴーストダイブ!」

 

 かと思いきや、パンプジンが影の中に潜り込んでしまった。これならフィールドも空も地面も関係がない。カルネさんも考えたわね。

 

「影なら空も地面も関係ない、ですか」

「ええ、それにゲッコウガもさすがに影の中にまでは攻撃できないでしょ?」

『ほう』

 

 これは挑発ね。

 ゲッコウガに出来ないだろと煽ることで敢えてその動きを引き出す。

 どうせあの二人はそれを承知で挑発に乗るんでしょうね。そうでないとバトルは楽しくないとか言い出すような人たちだし。

 

『フン!』

 

 突然、ゲッコウガは何もないところにみずしゅりけんを投げた。すると一瞬ラグが起きた、ように見えたのだけれど…………まさか見えてるというの?

 

「へぇ」

 

 カルネさんも驚いてはいるけれど、笑っている。

 やっぱり見破って来ること前提で事を進めているのね。

 

『次は、そこか!』

 

 もう一度みずしゅりけんを投げた。

 

「ふふっ、ソーラービーム!」

『なっ?!』

 

 だけど、距離を見誤った?

 飛んでいく手裏剣よりも前にパンプジンが現れ、ゲッコウガの懐に入っていく。

 そしてゼロ距離でソーラービームを放った。

 ゲッコウガは咄嗟に身を捻り急所を外すも、またしても左腕が犠牲になった。あれだけ集中的にダメージが蓄積していたら、左腕は治らないかもしれないわね。まあ、それはないでしょうけど、それくらい左腕ばかりに攻撃が入っているように見えるわ。

 

「やどりぎのタネ!」

 

 そして間髪入れずにゲッコウガにタネを植え付けて来た。ゲッコウガに命中したタネは開花し蔓が伸びて、どんどんゲッコウガを絡め取っていく。

 

「コウガァァァアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

 悲鳴というよりは雄叫びかしら。

 ゲッコウガも無抵抗でやられるわけがなく、すぐに水のベールを纏い、水圧で絡まる蔓を切り裂き始めた。

 

「パンプジン、ソーラービーム! 攻撃の手を緩めないで! ゲッコウガに防御を専念させるのよ!」

 

 カルネさんの指示でソーラービームが連射されていく。水のベールを貫いたりもしているため、ゲッコウガにダメージが入っているのだとは思うけれど、流石にここまで攻撃されていれば既に戦闘不能になっていてもおかしくはない。なのにその気配がないのだから、やはり何かしていると見て間違いないわね。

 

「ゲッコウガ、みずしゅりけん」

 

 突如、地面が割れパンプジンの背後に背中の手裏剣を構えたゲッコウガが現れた。

 いつの間に地面に潜って…………っ?!

 

「さっき開けた穴…………!」

 

 ゲッコウガはヌメルゴンとのバトルで地面を掘って移動していた。その時に出来た穴に空から落とした水の塊が流れ込んでおり、水道が出来ていたわね。

 つまり、みずタイプであることを大いに活用して、水道を移動してパンプジンの背後を取った。しかも水のベールを水柱として維持し、あたかもゲッコウガがまだそこにいるように見せることで、移動していることを悟られないようにして。

 彼らの好きそうなトリックね。こちらも見ていて飽きないわ。ほんと、追いかけ甲斐のある背中よ。

 

「くっ、パンプジン、にほんばれ!」

 

 いつの間にか日差しが元通りになっていたのね。

 パンプジンは再び日差しを呼び込み、自分の有利なバトルフィールドへと作り変えた。

 

「やどりぎのタネ!」

 

 今度は自分の周りにタネを蒔いた………?

 急速に成長させて要塞にでもする気かしら。

 

「ゴーストダイブ!」

 

 そしてパンプジンはすぐさま姿を消した。

 やどりぎのタネは何だったの? 成長して要塞になるわけでもゲッコウガを襲うわけでもない。ただ蒔いただけ。

 

『フン!』

「プジ!?」

 

 当てた!?

 二度目にしてもう見えているというの!?

 ゲッコウガは左脇をすり抜けるパンプジンを水で弾き飛ばした。衝撃で消えていたパンプジンも姿を見せ、奇襲は失敗に終わる。

 

『………水がない………? ふっ、そういうことか』

 

 水?

 ゲッコウガはみずタイプなのだから自ら生成出来るし、なくなることはないんじゃ…………。

 

「ソーラービーム!」

 

 その間にパンプジンは態勢を立て直してすぐさま太陽光線を放って来た。それをゲッコウガは斜め後ろに下がり躱す。

 だが突如地面から根が伸び、光線の軌道を変えた。そのまま根は伸び、光線は方向を変えた先でも同じように根が伸びて軌道を変えていく。

 ゲッコウガ包囲網でも言えばいいのかしら。光線はゲッコウガを囲むように次々と方向を変えていき、段々と間合いを詰めていく。

 

「今よ、パンプジン! ソーラービーム!」

『チッ』

 

 とうとうゲッコウガが四枚目のカードを切った。

 かげぶんしん。

 前後を挟まれたゲッコウガは影を残して緊急回避。そのままパンプジンの懐へと飛び込んでいった。

 

「ゴーストダイブ!」

『遅い!』

 

 すかさず応戦態勢を取るもパンプジンはみずしゅりけんにより吹き飛ばされた。

 

「パンプジン!」

 

 あ!

 根が動き出し、ゲッコウガの背後から襲いかかっていった。パンプジンもエネルギーが充填されたのか光っている。

 

『残念だが、効果切れだ』

 

 けど、ゲッコウガの方が早かった。

 みずのはどうだんで先にトドメを刺し、ソーラービームも背後からの根も届くことはなかった。

 …………日差しが戻ってる?

 なるほど、だから効果切れなのね。日差しがまだあればソーラービームで相討ちくらいには持っていけたはずだわ。

 

「………パ、パンプジン、戦闘不能!」

 

 早くも三体目を撃破。

 でも既に技は四枠全て使い尽くしている。残りはサーナイトと他二体、出てくるポケモンによっては苦戦を強いることになるでしょう。とは言っても今のハチマンとゲッコウガのコンビがおいそれと負けるとは思えないわ。確かにここまでの三戦でゲッコウガにもダメージは蓄積している。何なら片腕は使えない状態だ。でもだからこそ、あの二人は頭を使っている。しかもトップクラスのトレーナーとしての頭脳をだ。

 

『パンプジン戦闘不能ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおっっ!! ゲッコウガ、これで三体目を撃破ぁぁぁぁぁぁああああああああああああっっ!!』

『しかしゲッコウガに全て技を使わせたのは大きいですよ。ポケモン次第ではゲッコウガは何も出来ない可能性だってある』

『まああの男がそれを許すとも思えんがな』

 

 ゲッコウガが出した技全てにパンプジンは相性では有利だった。だけど。結果は敗退。カルネさんにはちょっと焦りが出ていそうね。

 

「パンプジン、戻りなさい。………やっぱり強いわね」

「そりゃ、自分でバトルを組み立てることも覚えましたからね。トレーナーとしては助かる反面、ついていくのは大変ですよ」

「あら、そうは見えないのだけれど」

「偶々ですよ、偶々。予想が当たってるだけです」

 

 その予想が出来るだけでも相当違うと思うのだけれど。

 トレーナーの中にはポケモンに好きにバトルさせるっていう人もいるみたいだけれど、大抵の人はポケモン側が暴走したりしている。好きにバトルなんて聞こえはいいけれど、その実ただの本能任せの粗いバトルでしかない。半端な本能は力を暴走させるだけであり、その身を滅ぼすと言ってもいいくらいだわ。だからこそ、ポケモンバトルにはトレーナーを必要とし、客観的視点から冷静に判断を下すことでポケモン側が理性を保ってバトルに臨むことが出来るのよ。

 ただ、ハチマンの場合はその段階を経た上で好きにバトルさせているため、ゲッコウガも含めてポケモンたちは戦い方を身体で覚えている。だから暴走することもないし、危険だと判断すれば即座にハチマンが介入する。

 それを分かってない人が真似をすれば忽ち崩壊するでしょうね。

 …………このバトル、良い子は真似しないでねと注釈入れるべきかしら。

 

「それにしても考えましたね。地中に開けた穴に流した水をやどりぎのタネに吸収させるとは。しかもそのままタネを成長させて根を張り、地上に伸ばして攻撃の軌道を変えるために使うなんて、さすがチャンピオンというところですかね」

「お褒めに預かり光栄だわ。でも倒せないんじゃまだまだよ」

「そりゃ、コイツにもプライドがありますからね。ユキメノコにやられたのが相当キテるみたいですよ」

「あまり聞きたくなかった情報ね。憂さ晴らしの相手ってだけにならないよう気合いを入れ直さないと」

 

 まあ、あとで姉さんに相談してみるとして。

 なるほど、だから水が消えてゲッコウガが驚いていたのね。何かあるとは思っていたけど、そういう使い方をしていたなんて。

 

「行きなさい、アマルルガ!」

 

 さて、四体目のポケモンはアマルルガね。

 いわ・こおりタイプの化石から復元されたポケモン。みずタイプは有利ではあるけれど、技次第では逆にってこともあるわ。

 

「まずはめいそうよ!」

 

 自ら仕掛ける気はないようね。身軽に動くゲッコウガに対してアマルルガは余りにも重い。能力を高めてゲッコウガの攻撃を待つつもりでしょう。

 

『フン!』

 

 動かないと悟ったゲッコウガは背中の手裏剣をアマルルガに向けて投げ放った。

 躱そうと思えば躱せるスピード。技で対処しようと思えば対処出来る威力。抜群の様子見の技って感じね。

 

「アマルルガ、ほうでん!」

 

 それをアマルルガは身体から放電して水を気体に変えてしまった。

 

「フリーズドライ!」

 

 と思いきや、その気体の温度を下げゲッコウガへと送り込んだ。

 ゲッコウガは目を見開き驚いている。咄嗟に左腕を前に出してガードの態勢を取ったものの、左腕は真っ赤に腫れ上がった。

 そりゃそうでしょう。フリーズドライはこおりタイプの技ではあるものの、みずタイプにも効果抜群という変わった技なのだから。

 それにしてもゲッコウガって利き手が左手なのかしら…………。

 

「メロメロ!」

 

 …………え?

 今メロメロって言った?

 ゲッコウガにメロメロ?

 そんなの例え相手がメスであっても効果は…………。

 

『あざとさが丸見えの技にかかるかよ』

 

 やっぱり効かないのね。

 

「えっ?」

『フン!』

 

 恐らくアマルルガはメス。なのに、オスのゲッコウガにメロメロが効かなかったことに言葉を失っている一瞬を突き、ゲッコウガはアマルルガの背後へと移動し、みずしゅりけんを投げ放った。

 

「フリーズドライ!」

 

 何とか当たる前に背後の手裏剣を氷漬けにし、地面に落とした。

 

「そのままほうでんよ!」

 

 そしてそのまま放電し、ゲッコウガは影を増やして回避していく。

 ………あ、また地面に潜ったわ。

 

「…………アマルルガ、めいそう」

 

 どこから来るのか見極めるためには心を落ち着かせる必要がある。その点で言えば、めいそうはいい判断ね。心も落ち着き、能力も上がる。

 

「マルル!」

 

 アマルルガは突如その場でジャンプした。そのすぐ後に地面からゲッコウガが現れ、攻撃が失敗に終わる。

 

「ほうでん!」

 

 すかさず放電し、ゲッコウガを攻撃していく。

 

「っ!?」

 

 けれど、ゲッコウガは霧散した。

 あれは影ね。対処としては正しい判断だったけれど、ゲッコウガの読みの方が上手だったみたい。

 

『フン!』

 

 背後から地上に出てきたゲッコウガは背中の手裏剣を投げ放った。今度こそアマルルガは対応出来ず、効果抜群の攻撃を受けてしまった。

 

『これで終わりだ』

 

 さらに次々と地面からゲッコウガが現れてみずしゅりけんを投げていく。

 

「アマルルガ、そのままほうでんして!」

 

 放電し、何とか手裏剣を分解しているけれど防ぎ切れていない。

 そして、アマルルガの目の前に一体のゲッコウガが現れた。

 

「くっ、フリーズドライ!」

 

 そのまま水で出来た手裏剣が振り下ろされた。瞬間、手裏剣は凍りついたが、砕けることはなかった。恐らくは威力不足。既に技一つ放つ余力すらなかったということね。

 

『…………最後までよく足掻いたじゃねぇの』

 

 ゲッコウガはゆっくりと倒れるアマルルガを受け止めた。でもその左腕は凍りついており、最後の一瞬の攻撃が届いていたようだわ。

 

「アマルルガ、戦闘不能!」

 

 その光景に会場からも拍手が送られてくる。

 これまでゲッコウガの強さを目の当たりにして来た観客はとても正直よ。だから本当に皆がアマルルガを称えているのがよく分かる。

 

『アマルルガも戦闘不能ォォォォォォオオオオオオオオオオオオッッ!! 強いっ! 強すぎるぞ、ゲッコウガ!!』

『一つとして同じ手を使いませんね。入り口は同じでも結果はまるで違う。彼らのバトルは観ていて飽きませんよ』

『けど、カルネのポケモンたちの攻撃は着実に入っておる。初戦で左腕をやられておるし、その後も身体を捻って負傷した左腕でガードしておる。一度やられた場所なら惜しくないという考えなんだろうが、そろそろゲッコウガにも限界が来ているはずだよ』

 

 確かに最初のルチャブルの時から無傷ではない。初戦で片腕を奪われてなお、ここまでやれていることの方が奇跡と言えよう。それからもヌメルゴンやパンプジン、アマルルガから効果抜群の技を一撃以上それぞれからもらっている。急所は外れているものの、ゲッコウガという種族そのものの耐久性を考えると特性がげきりゅうであったならば発動していてもおかしくない状態だわ。

 

「お疲れ様、アマルルガ」

 

 そんな相手に一歩も逃げ腰にならなかったアマルルガはよくやったと思うわ。

 

「………そろそろゲッコウガにはご退場願いたいところだけれど」

「どうでしょうね。コイツ、まだやれるみたいですし」

 

 このままゲッコウガだけでカルネさんを倒してしまうことだってあり得るのでしょうね。

 

「ガチゴラス、ゲッコウガを退けるわよ!」

「ガチゴ!」

 

 五体目のポケモンはガチゴラスか。

 何気に化石ポケモンを二体も連れているなんて、さすがチャンピオンってところかしら。そういえばホウエン地方にもいたわね、石マニアの人が。

 

「りゅうのまい!」

 

 先に動いたのはガチゴラスの方。炎と水と電気を三点張りで頭上に生成し、それを練り上げ竜の気を纏った。これで攻撃力と素早さが上がり、あの牙が猛威を振るうのでしょう。

 

『ほう』

 

 ゲッコウガはその竜気を確かめるべく、みずのはどうだんを撃ち込んだ。

 

「ガチゴラス」

 

 けれど、ガチゴラスは右腕で弾き飛ばした。

 右腕にダメージも入った様子もなくピンピンしている。

 

『ふっ』

 

 ゲッコウガも予想はしていたらしく、弾き飛ばされた水弾を操り、ただの水に戻してガチゴラスに巻きつけていく。

 今度は何の抵抗も見せない………。水弾は弾けても纏わりつく水には為す術がないのかしら。

 

「ガチゴラス、りゅうのまいよ!」

「『っ!?』」

 

 っ!?

 ど、どういうこと?!

 水に囚われていたガチゴラスは一瞬で消えてしまった。そしてカルネさんの視線を辿ると空から降って来ている。

 今、何が起きたというの?!

 時間的にもガチゴラスの特徴的にも一瞬で消えるような動きは出来ないはず。ジャンプをしようにもあの身体は踏み込むためにも一度態勢を低くしないといけないわ。なのに、そんな動作は一つも見当たらなかった。

 カルネさんがそういう風に育てて来たということも考えられるけれど、それならばジャンプするガチゴラスが見えるはずよ。それすらもなかったのだから、ガチゴラスは何かしたに違いないわ。

 

「見た目に反して策士だな」

 

 ハチマンも感心しているみたいだけれど。まだカラクリは分かってないのよね?

 

『フン!』

 

 ゲッコウガはすぐに影を増やしてガチゴラスに向かわせたが、竜の気に悉く消され、何とか水の壁を作りギリギリのところで防ぐことに成功した。

 

「かみなりのキバ!」

 

 だけど、それも束の間。

 ガチゴラスは電気を帯びた牙で水の壁に噛みついた。ゲッコウガも予想していなかったのか、水の壁に電気が流れそのままゲッコウガへと伝っていく。

 

『くっ!?』

 

 ピリッと電閃が走ったところで、ゲッコウガはその場から切り抜けたけれど、ダメージも蓄積されてしまったようね。

 

『ちょっと借りるぞ』

 

 ん?

 借りる?

 ゲッコウガも何かする気?

 

「…………」

 

 特に変化はないわね。

 態勢を立て直す際に背中の手裏剣を投げ放ったくらい。

 

「もう一度、かみなりのキバ! 受け止めて!」

 

 ガチゴラスは自分に向けられた手裏剣に噛みつき、受け止めてしまった。あの頑丈な顎は何でも噛み付けるのね。

 

『がんじょうあご………チッ!?』

 

 そして遠心力を加えて投げ返して来た。もちろん電気を帯びている。

 ゲッコウガは穴を掘って地中へと避難した。

 

「またあなをほるね。ガチゴラス、足元を中心に集中するのよ!」

 

 これはじしんを覚えてないと見てよさそうね。ガチゴラスはじしんを覚えられるのだし、地中にいる相手には威力が上がる。使わない手ではないのに使わないということは覚えてないのでしょう。

 

「チゴ?!」

 

 地中の中ではまた同じようなことをしているのね。既に空いていた穴から水の柱が立ち登り、それにガチゴラスが驚いてしまった。

 そしてそれが仇となり、ガチゴラスの足元にヒビが入るのに気づいていない。

 

「ガチゴラス、みがわり!」

 

 っ?!

 みがわり!?

 ガチゴラスは地面から飛び出したゲッコウガの攻撃をモロに受けて…………消えた!?

 

『そういうことかッ!』

 

 いち早く気づいたゲッコウガは頭上に水の触手を伸ばした。どうやらゲッコウガには見えたらしい。

 

「ばかぢから!」

 

 けれど、重力に引っ張られて落ちて来る牙竜に触れた瞬間水は弾け分散していく。

 

『チッ』

 

 無理と悟ったゲッコウガは即その場から離れた。着地したガチゴラスの足元にはクレーターが出来上がり、下がるゲッコウガを追いかけるために踏み込むとさらにヒビが入っていく。

 ゲッコウガは影を増やしてガチゴラスを撹乱させるも………。

 

『なッ?!』

 

 あちらもみがわりで撹乱して来ており、逃げた先でガチゴラスに左腕を噛み付かれた。あの腕、大丈夫かしら。再起不能になっていなければいいのだけれど。

 

『こ、の………ッ!?』

 

 このバトルで初めて苦しそうに呻くゲッコウガを見たわね。ルチャブルに左腕をやられた時でさえ、あっさりしてたというのに。

 

「ガチゴァッ?!」

 

 頑丈な顎から解放されるために、口の中で水を放つのはどうかと思うわよ。やり方がいちいちエグすぎ。

 

『はぁ………はぁ………、これで、終わりだ』

 

 カルネさんの前にまで吹っ飛んでいくガチゴラスを見ながら、ゲッコウガは右腕を天へとかざした。その手には手裏剣があり、牙竜に消されなかった影をどんどん取り込んでいく。手裏剣の回転速度も上がっていき、巨大化し始めたところで色が青からオレンジへと変化した。エネルギーが相当数溜まり熱を帯びたのかと思えるくらい、湯気すら出ている。

 

『フン!』

「ガチゴラス、ばかぢから!」

 

 ガチゴラスは竜気を活性化させて全力で地面を蹴り上げた。けれど、巨大水手裏剣の効果範囲内からは出ることが出来ず弾ける水の中に呑み込まれていった。

 

「ガチゴラス!?」

 

 本当に熱を持っていたのか爆発まで起こり、さすがにカルネさんも慌てている。

 これはちょっとやり過ぎなんじゃ………………。

 

「けほっ、けほっ!」

 

 まさかのこっちにまで砂埃が飛んで来たわ。威力、範囲どちらも最大規模ね。

 

「……………けほっ、けほっ! ガ、ガチゴラス、けほっ、戦闘不能!」

 

 煙が晴れてガチゴラスに駆け寄っていった審判が判定を下した。何気にすごいわね、あの審判。こんなめちゃくちゃなバトルからも逃げ出さないなんて。肝が据わってるわね。

 

『……はっ! ガ、ガチゴラス戦闘不能ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!』

 

 ………今完全に固まってたわね。

 実況ですらアレなのに。本当にあの審判はすごい人だわ。

 

『………ふぅ、スッキリした』

「お前、容赦なさすぎ………」

『いいだろ、バトルなんだから。つか、リザードンはさらにもう一体倒してんだろ? あいつ本当に化け物なんじゃねぇの?』

「安心しろ。お前も充分化け物だから」

『褒め言葉と取っておく。んじゃ、あとはリザードンででも綺麗に飾ってくれ。オレはもう無理。見ての通りボロボロだ』

「はいはい、お疲れさん」

 

 本当にボロボロね。

 まさかあのゲッコウガですら、こんな状態になるなんて。チャンピオンだった時の姉さんとバトルしたリザードンが改めてすごいことが分かるわね。

 

「ほれ」

『ん?』

「お高い方の傷薬。ラルトス、手当て手伝ってやってくれ」

「ラル!」

『そりゃ助かる』

 

 ハチマンはゲッコウガに回復薬を渡してラルトスに手伝わせている。

 

「ガチゴラス、お疲れ様。………今の、何だったの?」

「ゲッコウガの全力のみずしゅけんですよ」

「それにしては大きすぎるわ」

「そりゃ一発しか撃てませんからね。あれを何度もほいほい使われたら、俺も嫌ですよ。会場どころかカロスがなくなりますって」

「それはカロス地方をも手にかけられるということかしら?」

「今のコイツなら出来そうなのが怖い」

「………本当に恐ろしいわね」

「俺も驚きましたよ。まさか、みがわりを使って来るなんて」

「私のガチゴラスは化石を復元させたわけじゃないのよ」

「………へぇ、それは興味深い」

「まあその話はまた今度ね」

「そうですね。ラストバトルといきますか」

「これで終わりにするつもりはないけれど、そうね。みんなも待っているようだし」

 

 いよいよラストバトルね。

 ハチマンのことだから、負けることはないでしょう。それにゲッコウガが下がったということは、彼の言葉通りリザードンが出てくるはず。

 

「サーナイト、いくわよ!」

「すー………はー………」

 

 先に出したのはカルネさんだった。

 相棒のサーナイト。額にはメガストーンのついた髪飾りをしている。

 

「カルネさん、最初に謝っておきます。ゲッコウガのバトルに看過された今のコイツはヤバいですよ。それに俺も先輩トレーナーとしてゲッコウガには見せないといけないんで」

 

 ッ!!

 あの目、リーグ優勝した時と同じ………まさかっ!?

 

「リザードン、トルネードメタルクロー」

 

 ボールから出て来た勢いのままリザードンが一気に距離を詰め、高速回転で前に突き出した鋼の爪を突きつけた。

 

「………え?」

 

 完全にカルネさんは棒立ち。

 

「………すごい」

 

 あの目、本気を出した時のハチマンの目。

 全身に震えが走るのが分かる。

 ゾクゾクするわ。

 

「サーナイト、大丈夫?!」

「さ、サナ………」

 

 効果抜群の技だったけれど、一撃では倒れないのね。そこはやはりチャンピオンのポケモンということかしら。

 

「メタルクローでこの威力………。オーダイルとのバトルは逆にオーダイルが凄かったというわけね。反撃するわよ! サーナイト、メガシンカ!」

 

 早速来たわね。

 でもそれくらいしないとあのリザードンは止められない。いえ、それだけしても止められるか分からない相手というべきね。

 サーナイトは額のメガストーンとカルネさんが持つキーストーンのエネルギーにより白い光に包まれると姿を変えた。それはまるで白いドレスを着たかのような美しさで、会場はその光景に一瞬息を飲んだ。

 

「リザードン、はらだいこ」

 

 はらだいこ?

 激しくお腹を叩きつけて攻撃力を最大限に上げる技だけれど。今まで使ったところ見たことがないような…………。

 

「サイコキネシス!」

「リザードン」

「シャアァァァァァァアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

 サーナイトの超念力で一瞬動きが止まったリザードンだったけれど、雄叫びを上げると強引に見えない拘束を破ってしまった。昔姉さんとバトルした時もやっていたわね。普通こんなことが出来るポケモンなんてそういないのだけれど、身近にいると感覚が麻痺して来そうだわ。

 

「フレアドライブ」

「リ、リフレクターよ!」

 

 これはさすがのカルネさんでも焦るわよね。

 最大限に高まった攻撃力から繰り出されるフレアドライブは、聞いただけで震え上がるもの。あんなの一撃くらうだけで戦闘不能になってもおかしくないわ。

 

「サナッ!?」

「なんて威力なの………!? リフレクターが壊れるなんて」

 

 最悪の事態まではいかなかったけれど、作り出したリフレクターは粉々に砕けサーナイトはカルネさんの後ろまで吹っ飛ばされてしまった。でもリザードンも反動のダメージを受けるのね。もしかしてと思ったけれど、さすがにそれは無くて一安心だわ。

 

「シャドーボール!」

 

 すぐに態勢を立て直したサーナイトは影球をリザードンへと放つ。

 

「メタルクローで打ち返せ」

 

 だけど、リザードンはあっさりと弾き返してしまった。撃ち出し速度を倍返しというおまけ付きで。

 咄嗟に躱したものの、サーナイトはその速度に目を見開いている。

 

「サーナイト、ムーンフォース!」

「リザードン、防げ」

 

 え?

 リザードンの素早さなら躱せたでしょ?

 

「シャアァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

「ようやく来たか」

 

 っ!?

 リザードンの身体から赤いオーラが…………これは特性もうか!

 まさか最初からそれを狙って?

 はらだいこで攻撃力を最大限にして代わりに体力を削り。フレアドライブで攻撃しながら、反動ダメージを受け、効果いまひとつの技を敢えて受ける。そうして自ら特性のもうかを発動させるなんて。これは確かに中々見られないわね。はらだいこも使う機会が少なさそうだし。

 

「リザードン、今のお前の全力を見せてやれ。ブラストバーン」

 

 そしてリザードンは拳を地面に叩きつけ、獄炎を走らせた。衝撃波と黒い煙がフィールドから会場全体へと拡散していく。

 

「………サーナイト、けほっ、戦闘、不能! けほっ、けほっ!」

 

 しばらく各々に咳き込んでいるとようやく、という感じに煙が晴れた。…………船の方にまでは煙がいかなかったようね。海風が攫ってくれたのでしょう。

 煙が晴れたフィールドではサーナイトのメガシンカが解除されていた。煉獄の炎に為す術なく呑み込まれたのね。

 

「よって勝者、四天王ハチマン!」

『………さ、サーナイト戦闘不能ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!』

 

 ッッ!!

 何かしらこの感覚。無性にゾクゾクする。こう内から何かが溢れ出すような………。実況の人が色々叫んでいるようだけれど、何も聞こえない。それどころじゃ、ない!

 

「さすがヒキガヤ君だねー。…………ユキノシタさん?」

 

 なんか無性に身体が熱い! 熱くて胸が苦しい。張り裂けそうだわ!

 

「おーい」

 

 ッッ!?

 ハチマンが戻って来た?!

 

「おーい」

 

 あ、あ、ダメ………、何か、来る…………!

 

「これダメそうだね………」

「お疲れ様です、メグリ先輩」

「ヒキガヤ君もお疲れ様」

「………と、やっぱりユキノもいたか」

 

 ッッ、もう………無理っ!!

 

「おわっ!? ユ、ユキノ……?」

 

 ハチマンと目があった瞬間、その胸に飛び込んでいた。

 

「………好き」

 

 ポツリと出た言葉は、いつも言っているはずの言葉なのに、どこか違う。声にしたらさらに身体が熱くなっていくのが分かる。

 

「へっ?」

「私はあなたが好きよ。ずっとずっと前からあなたのことが大好きよ」

 

 ぎゅっと抱きしめて、おでこを彼の胸にぐりぐりと押し付けながら私はそう言った。

 

「お、おう、そうか。まあ、俺も、好き、だぞ?」

 

 しどろもどろながらもハチマンも抱きしめ返してくれた。それだけで心地よくなってしまうなんて、なんて単純なんでしょう。

 

「えと、これは何なんですか?」

「いやー、多分ヒキガヤ君のバトルを見て感情的になっちゃったんじゃないかなー…………」

「何でまた急に…………」

「恋する乙女心ってやつだと思うよ。ヒキガヤ君が戦ってる姿はかっこいいから燃えあがちゃったんじゃないかなー」

「マジか………」

 

 燃え上がる………確かにそうかもしれない。私の身体というか、心が猛烈に燃え上がっているような感覚だわ。

 

「………ユキノ?」

 

 ふぁ!?

 ば、バカぁ、今そんな風に撫でられたら………私、わたし………!

 

「明確な愛が欲しいわ………」

「ぶっ?!」

 

 もう自分が何を言っているのか分からない。

 

「お、おおお落ち着けっ………?」

「ヒキガヤ君が一番動揺してるよー」

「そ、その、明確な愛というのは…………」

「ハチマンの子供………」

 

 口の動くままに。勝手に出てくる言葉のままにそう伝える。

 

「…………それは、今すぐに、か……?」

 

 再度おでこをぐりぐりと胸に押し付けて首を横に振った。

 

「そっか。なら、俺が十八になるまで待ってくれないか? ポケモン協会の理事になっちまった以上、ミアレとヒャッコクの復旧作業で忙しくなるだろうし、その後で結婚しよう。それまでに俺も全員を背負う覚悟を決める」

 

 っ!?

 

「………いいの?」

 

 ゆっくりと自分の言葉が反芻してきて、内容を理解した。だからこそ、すんなり受け入れられるなんて、しかも結婚なんて言葉が出てくるなんて思いもしなかったため、思わずハチマンを見上げてしまった。

 

「いいも何も、ずっと考えていた。こんなハーレムみたくなっちまったが、みんなを孕ませるならやっぱ結婚ってものがチラつく。けど、世間的に重婚なんてタブーだ。だから英雄色を好むってわけじゃないが、誰も文句のつけられない絶対的な存在にでもなれば、問題の解消くらいにはなるじゃないかって」

「解決じゃなくて解消なのね………」

「ああ、解消だ。地位はポケモン協会の理事、ポケモンバトルはチャンピオン以上。こんな奴誰も絡みたくないだろ?」

「………バカ」

 

 タブーを犯す者が最強のポケモントレーナーでは誰も何も言えない。言ったところで何をされるのか分かったもんじゃないわ。ハチマンは、その道を選ぶというのね。

 

「俺だって何の問題もなければ今すぐにでも全員孕ませたいっての」

「そ、そう………。なんだかそう言われると、恥ずかしいわね」

「あのな、唐突に明確な愛が欲しいとか言われる方が気恥ずかしいからな? しかも高揚した顔で言われたら、乱れたユキノを想像しちまうっての」

 

 っ!?

 言いたいことを全部吐き出して段々と冷静になってきたところでこれだ。自分の乱れた姿に治ってきた熱が戻って来てしまったじゃない!

 

「…………みんな一旦あっちに行きましょうねー」

「「………………」」

 

 そうだった、メグリ先輩もいるんだった。それにゲッコウガたちも。

 今度は恥ずかしさで顔まで赤くなっていくのが分かる。

 

「あの、そんな気遣わなくてもいいっすよ」

「え、そ、そう? で、でも二人とも、その、熱いでしょ?」

「………そうですね。正直熱いですね。でも、焦らした方がもっといいものが見れそうなんで」

「ひあっ?!」

 

 ちょ、バカ、急に、耳元で…………ふぁ!?

 

「ッ〜〜〜〜〜〜〜!」

 

 視界が一瞬白くなった。

 

「………ね?」

「………ほんと、君は最低だね、ふふっ」

「そりゃどうも」

 

 ………こ、この二人、タイプ、こそ、違うけど………はぁ、はぁ………く、ドの付くSだわ。

 

「ん?」

 

 ………?

 

『第二回カロスポケモンリーグ』

 

 ハチマンの腕の隙間からチラッと会場を見ると、特大画面に次回予告のコマーシャルが流れ出したみたい。

 

『開催決定!!』

 

 この後は一年後の日付が…………。

 

『そして!!』

 

 え?

 

『優勝者にはさらにエキシビションマッチが!!』

 

 ちょっと待って?

 

『その相手はこの人!!』

 

 エキシビションマッチ?

 

『カロスポケモン協会理事!!』

 

 あ………。

 

『ヒキガヤハチマン!!』

 

 姉さん、どういうつもりなの?

 

『ポケモントレーナーたちよ、一年後に集え!!』

 

 何かハチマンは今知ったような空気だし。

 

「………メグリ先輩、これ何すか?」

「何って次回予告?」

「エキシビションマッチは聞いてないですよ?」

「言ってないもん。はるさんの指示で」

「どうすんだよ。批判殺到しますよ」

「それはどうかなー。でもこれくらいしておかないと、逆にヒキガヤ君が何者なのかってテキトーな記事書かれる可能性だってあるし」

 

 それとポケモン協会の理事ってことも公表する予定なかったはずよ。

 

「そ・れ・に! 優勝者とのエキシビションマッチだなんてチャンピオンよりも何か特別感あるじゃないってはるさんが言ってたよ!」

「…………期間は一年ってか」

 

 はぁ………また忙しくなりそうね。でも嫌いじゃないわ。ハチマンと一緒にいられるだけで私は幸せ。欲を出せば子供が欲しい。そんな単純な女よ。多分、みんなもそう。ずっと追いかけるような立場だったからこそ、今が幸せなのよ。そこにハチマンがいるってことが。

 

「世の男どもはこうやって人生設計をしていくんだろうな………」

 

 世の男どもはまずハーレムなんて作ろうとしないわよ、バカ、ボケナス、ハチマン。ふふっ、大好き!

 




行間

ヒキガヤハチマン 持ち物:キーストーン 菱形の黒いクリスタル etc………
・リザードン(ヒトカゲ→リザード→リザードン) ♂ 
 特性:もうか
 覚えてる技:かえんほうしゃ、メタルクロー、かみつく、おにび、えんまく、はがねのつばさ、かみなりパンチ、ドラゴンクロー、シャドークロー、つばめがえし、りゅうのまい、かみくだく、カウンター、じしん、フレアドライブ、ブラストバーン、げきりん、じわれ、だいもんじ、ソーラービーム、リフレクター、はらだいこ
 飛行術
 ・ハイヨーヨー:上昇から下降
 ・ローヨーヨー:下降から上昇
 ・トルネード:高速回転
 ・エアキックターン:空中でターン
 ・スイシーダ:地面に叩きつける
 ・シザーズ:左右に移動して撹乱
 ・ソニックブースト:ゼロからトップに急加速
 ・コブラ:急停止・急加速
 ・ブラスターロール:翻って背後を取る
 ・グリーンスリーブス:連続で攻撃して空中に釣り上げる
 ・デルタフォース:空中で大きな三角形を描くように連続攻撃
 ・ペンタグラムフォース:空中で五芒星を描くように連続攻撃
 ・バードゲージ:スピードを活かして相手の動きをコントロールしていく

・ゲッコウガ(ケロマツ→ゲコガシラ→ゲッコウガ) ♂
 特性:きずなへんげ(へんげんじざい→きずなへんげ)
 覚えてる技:みずのはどう、あなをほる、かげぶんしん、れいとうパンチ、れいとうビーム、つばめがえし、ハイドロポンプ、くさむすび、グロウパンチ、えんまく、がんせきふうじ、いわなだれ、まもる、かげうち、みずしゅりけん、どろぼう、つじぎり、ハイドロカノン、めざめるパワー(炎)、とんぼがえり、とびはねる、ほごしょく、けたぐり、ぶんまわす、あくのはどう、どろあそび

・ジュカイン(キモリ→ジュプトル→ジュカイン) ♂
 持ち物:ジュカインナイト
 特性:しんりょく←→ひらいしん
 覚えてる技:でんこうせっか、リーフストーム、リーフブレード、ドラゴンクロー、タネマシンガン、ギガドレイン、かみなりパンチ、スピードスター、くさむすび、ソーラービーム、エナジーボール、シザークロス、くさのちかい、マジカルリーフ、タネばくだん、こうそくいどう、つめとぎ、いやなおと、こうごうせい、くさぶえ、やどりぎのタネ、グラスフィールド、なやみのタネ、ハードプラント、つばめがえし、ものまね

・ヘルガー ♂
 持ち物:ヘルガナイト
 特性:もらいび←→サンパワー
 覚えてる技:かみつく、ほのおのキバ、ふいうち、おにび、かえんほうしゃ、かみくだく、れんごく、ほえる、はかいこうせん、アイアンテール、あくのはどう、みちづれ、だいもんじ、ハイパーボイス、ヘドロばくだん、ちょうはつ

・ボスゴドラ ♂
 持ち物:ボスゴドラナイト
 特性:がんじょう
 覚えてる技:ロックブラスト、あなをほる、なげつける、メタルクロー、アイアンヘッド、アイアンテール、てっぺき、メタルバースト、ボディパージ、ヘビーボンバー、ロックカット、ほのおのパンチ、もろはのずつき

・ラルトス ♀
 覚えてる技:リフレクター

ゲッコウガ
・ニダンギル(ヒトツキ→ニダンギル)
 特性:ノーガード
 覚えてる技:ラスターカノン、せいなるつるぎ、つばめがえし、かげうち、つじぎり、シャドークロー、きんぞくおん

・キリキザン
 特性:まけんき
 覚えてる技:つじぎり、くろいまなざし、ロックカット

・アギルダー
 特性:うるおいボディ
 覚えてる技:スピードスター、むしのさざめき、ギガドレイン、みずしゅりけん、こうそくいどう、かげぶんしん、こころのめ、はたきおとす、バトンタッチ


カルネ 持ち物;キーストーン
・サーナイト ♀
 持ち物:サーナイトナイト
 特性:トレース←→フェアリースキン
 覚えてる技:サイコキネシス、シャドーボール、ムーンフォース、リフレクター

・ルチャブル
 持ち物:パワフルハーブ
 特性:かるわざ
 覚えてる技:ゴッドバード、アクロバット、フライングプレス、つめとぎ

・ヌメルゴン
 覚えてる技:かみなり、りゅうせいぐん、パワーウィップ、あまごい

・パンプジン
 覚えてる技:ゴーストダイブ、ソーラービーム、にほんばれ、やどりぎのタネ

・アマルルガ ♀
 覚えてる技:ほうでん、フリーズドライ、めいそう、メロメロ

・ガチゴラス
 特性:がんじょうあご
 覚えてる技:かみなりのキバ、ばかぢから、りゅうのまい、みがわり
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