ポケモントレーナー ハチマン 〜ぼーなすとらっく集〜 作:八橋夏目
前回に比べたらすごく短いですが、有識者会議から三日後の話です。
タイトル通り、次回作への伏線回となっています。
長編シリーズとなっておりますが、ご愛読いただきありがとうございました。予定より半年程長くなりましたが、ようやく一区切りつけることが出来ました。これも皆々様のおかげです。
次作はいずれ用意し投稿しようと思いますが、少しお時間をいただくことになると思います。
次回作では今回の続きに加えて、ご希望のあった月関連のポケモンたちやウツロイドが託した球体、それと度々登場したカラマネロたちについてしっかりと回収していきます。
また、pixivの方で時系列順に今作を修正しながら投稿していこうと思いますので、そちらもよろしくお願いします。
それではまた次回作でお会いしましょう。
カントーでの博士たちによる会議も終わり、一日入院して何とかカロスへと帰ってくることができた。脳にも異常はなく、至って身体は健康体。疲労は残っているものの、ウツロイドの毒も体内で上手く解毒できていたようだ。
クチバの街もジム周辺が荒れた状態になっているくらいで、民間の死傷者はゼロ。ただし………、その代償はあまりにも大きすぎた。
「帰ってきましたね、カロスに」
「ああ………」
俺はイロハに手を引かれながら空港から出た。一日ぶりの太陽光に目が焼かれる気分だ。
「………ちゃんと、報告しないとですね」
「っ……! そう、だな………」
会議は無事に終了したこと、その後にカラマネロたちに襲われたこと、そしてジュカインがアクジキングに食われたことを全て俺の口から話せと言っているのだろう。
分かっている。ジュカインはあいつらにとっても家族のような存在なはずだ。だからその最後を話す義務が俺にはある。あるのだが………。
「っ………」
やはり思い出すだけで吐き気がする。話そうとしても言葉が出てこない。口から漏れるのは息と相槌だけ。
確かにあいつがまだ生きていると信じたい。信じてあいつの帰りを待ちたいと思ってはいるが、頭と心のバランスが上手く取れなくなっている。そのせいで身体までもが拒否反応のように吐き気を催すようになった。多分、それを無視したら俺はぶっ壊れるところまできているのだろう。
やめよう、考えるのは。考えたところであいつがすぐに戻ってくるわけでもない。俺は迎えに行くとは誓ったが、この状態ではそれもまだ難しいのが事実。動けるのは俺自身の頭と心と身体のバランスが取り戻した時だ。慌てるな。まずは俺自身を落ち着かせろ。
………そうだ。それよりもバトルフロンティアの構想をもっと練るようにしよう。普段後ろ向きな性格なのは自覚しているが、今は前を向いていないと堕ちるところまで堕ちそうな気がする。そうなったら二度と戻ってこられないと、どこかで確信しているところがある。未来を、見ることにしよう。
「すー……はー………、近々ホウエン地方に行こうと思う」
「へ? なんでまた急に………あ」
何かを察したイロハだが、多分ジュカインの出身地でも思い出したのだろう。
「お墓作りに行くんですか?」
「いや、墓は作らない。作ったら、それこそあいつが本当に死んだことになっちまうだろ。それは………まだ、俺が受け入れられない」
「そう、ですか………」
「ちょっと野暮用でな。これからの身の振り方も含めて相談しに行くんだよ」
「え? それって………?」
「別にお前らを放ってどこかに行こうってわけじゃない。むしろ逆だ。全員連れていくにはどうするかっていうのを話に行くんだ」
ゆったりと歩きながら、俺の歩くペースに合わせるイロハの方を見た。その顔は置いていかれるのかという不安の目をしている。
まだバトルフロンティアのことは言えないからな。ホウエン地方へ行く理由を事細かに説明することも憚られる。とにかくずっと一緒にいようと考えていることだけは伝えておかないと。イロハだけでなくユキノたちも不安にさせてしまうだろう。
「僕はいいと思うよ。今回のことで君が如何に狙われやすい存在なのか、改めて身に染みたからね。君だけが損するような、そんな生き方は僕はして欲しくない。それこそ、僕たちが足枷になっていたのなら身を引くことだって視野に入れているくらいにはね」
「博士………」
「いや、それをやるんだったら社会的にってところだけにしておくつもりだ。物理的にまで今の関係を切るくらいなら、俺は悪を潰す方を選ぶ」
流石は大人な対応と言っておくべきか。
だが、昔の俺なら即行で関係を絶ってただろうが、カロスに来て人との繋がりを手にしてしまった今の俺には、関係を絶つことなんて頭の片隅にもない。そこまでしてフェードアウトするのなら、いっそ狙ってくる奴らを根絶やしにした方がましだ。
「ただ、やはり俺は表舞台に立つべき人間ではなかった。選択を間違えたんだ。裏社会に名前が売れている奴が表社会でも名を轟かせたら、そりゃ狙われるのも理解できる。俺はここにいる。やれるものならやってみろ。そう捉えられてもおかしくなかったんだよ」
あの日。
独立しないかと言われた日、俺はユキノシタ家を取り込む以上、俺もそれなりの地位を確保する必要があると思った。それと同時にポケモン協会理事という最高権力を手に入れれば、いずれユキノたちとも結婚ができるのではないかという野望を抱いてしまった。
多分、その二つの野望が俺を破滅へと導く甘い誘いだったのだ。俺はそれに気づかず、まんまと表舞台の地位を手に入れてしまった。そして、その結果がロケット団の内争やギラティナとデオキシスの襲撃を呼び寄せてしまい、終いにはジュカインがウルトラビーストに食われるという最悪の結末を生んだのだ。
「いつかは、とは考えていたけど、こうも展開が早いと何のために表舞台に立ったんだかと嘆きたくはなる。だけど、そうも言ってられないのが現状だ。俺は今までにお前らの人生を歪めて来ているし、そのせいでお前らをいざこざに巻き込まれやすくしてしまったんだ。だから、ポケモン協会という組織的テリトリーじゃなくて、もっと大きな物理的テリトリーが必要なんだ。守るためにはそれしか浮かばない」
物理的なテリトリー。
要するに俺の国だな。けど、それは無理な話だから、せいぜい島がいいところか。人工島なら色々システムを導入すれば海上移動もできたりしてな。
「散々振り回して悪かった。けど、もう一度だけ俺にチャンスをくれ。今度こそ、俺はお前たちを守ってみせる」
ちょっと力んでしまい、繋いでいるイロハの手をぎゅっと握りしめてしまった。
だが、イロハはそんな俺の手を優しく握り返しながら言葉を続けた。
「………はあ、先輩はおバカさんですね。別に私は、いや私も含めてみんな先輩に守ってもらおうとは思ってませんよ」
「え………? は? あれ? 俺嫌われてる?」
「違いますよ! 逆に今まで守られてばかりだったんだから、今度は私たちが先輩を守る番なんです! それを先輩が先に動いちゃうから、結局私たちが守られちゃうんですよ!」
「それは、なんというか………すまん」
何故俺が謝る必要があるのかはさておき、思い返せば俺も結構守られていると思うんだよなー。特にユキノには。あいつの場合、リザードンが暴走した時の唯一の対処できる存在だったし、あいつらがいるからこそ俺は戦えていたって面もある。そうじゃなきゃ普通に逃げていると思うぞ。
「けど、じっと見てるってのも無理だろ。俺には対処できるだけの力があって、それを行使すれば状況を一変できるんだ。ただ見てるだけなんてことはできねぇよ」
「そういうところですよ。先輩のいいところは」
「………そうか。ありがとな」
「でも、だからこそ。私たちも守りたいって思っちゃうんです」
…………。
じっと見上げてくるイロハの目は何かを決意したような、そんな強い眼差しをしていた。
敵わねぇな、イロハたちには。
『ッ!? ハチ、止まれ!』
ッ!?
あ、ちょ、………と!
あっぶな……、斬られるところだったわ。
それにしても。
「………ゲッコウガ?」
うちのゲッコウガさんが反応したのはこちらを凝視してくるゲッコウガだった。
敵か?
「ジュカ………チッ……リザードン、ドラゴンクロー」
タイプ相性も考慮してジュカインを出そうとし、ボールに手をかけたところでジュカインがいないのを思い出した。仕方なくリザードン のボールに手をかけ開封。
「キャーッ!?」
「に、にげろーっ!」
どうやら大衆に紛れ込んだ奴が何かしようとしているらしい。敵はゲッコウガを仲間にしている。そっちの相手はうちのゲッコウガに任せるとしても主犯を特定しないことには解決も何もない。
「イロハ、ポケモンを出しておけ。博士を頼む」
「は、はい! 出てきてマフォクシー、ボルケニオン!」
博士のことはイロハに任せて再度周囲を確認する。
すると今度はニョロボンとマリルリが突っ込んできていた。
『フン、水は任せろ!』
前に踊り出たのはイロハのボルケニオン。
二体のみずのはどうを背中のホースで吸収していった。
「ボルケニオンの特性はちょすいです! だからここは任せてください!」
なるほど、そういうことか。
それなら俺は犯人を特定するとしようか。
「ッ、……上だ。リザードン」
「シャア!」
何か音がすると思ったら太陽が隠れて、何かが上から落ちて来るところだった。
あれは………ゴルーグか?
「リフレクターを重ねろ」
重量系が落ちて来るというのは何とも対処がし難い案件だな。
しかもゴーストタイプも併せて持つゴルーグはいつ消えるかも分からない。まあ、ゴルーグが消えるというゴーストタイプ特有の能力を使うところは見たことないが、してこないとも限らない。それがゴーストタイプの恐ろしいところだ。見えなくなれば動きようがない。その隙を突かれてしまえば、こちらの終わりだ。
「サーナイト」
「サナ!」
「いつでも技が出せるようにしておいてくれよ」
俺の今の手持ちポケモンは四体しかいない。
それに、気づけば多数のポケモンに取り囲まれている。
これは俺の暗殺を企んでいるということでいいのだろうか。少なくともイロハが狙いということはないだろう。博士か俺か。
一撃目のゲッコウガは俺を狙っていたようだし、俺狙いという可能性の方が高いとは言えるが、博士やイロハも狙われないとは限らない、か。
「先輩、取り囲まれてます!」
「ああ、分かってる!」
イロハだけでなく博士までもがガブリアスを出して臨戦態勢に入っている。
これは相当手の込んだ計画ということだろう。何かの事故で野生のポケモンに異常があって、という出来事ではない。
「サーナイト、サイコキネシス。ゴルーグの動きを止めてくれ」
「サナ!」
こっちもゴルーグ以外に増えやがったか。
リザードンの数枚重ねのリフレクターを突破したゴルーグの影から鳥系のポケモンがわんさかと湧いていた。
まずはゴルーグだが、リザードンにはこのまま上空を制圧してもらうしかないな。
「リザードン、上空は任せた!」
「シャア!」
こんな街中で、真昼間から大衆を巻き込んだ暗殺計画とは、どうやら主犯は周りのことはお構いなしなようだ。
ーーー巻き込まれて怪我しようが最悪死のうが関係ない。巻き込まれた方が悪い。運が悪かったーーーそういうスタンスなのだろう。
『メタグロス! ハチの指示で動け! キリキザン、アギルダーはそいつらを始末しろ!』
おっと?
これは、メタグロスを使えということか?
なんと助かる。
「すまんが、協力してくれ」
「メダァ」
俺の方へとやってきた色違いのメタグロスに一言言っておく。ゲッコウガのポケモンといえど、やはり俺のポケモンというわけではないからな。ちょっと難しい関係ではあるが、普段から普通に接してるしオーダイルやユキメノコに近い関係というのが妥当かもしれない。
「フライゴンとカブリアスはリザードンを手伝ってきて!」
「……すまんな」
「いえいえ、言ったじゃないですか! 私たちだって先輩を守りたいんです!」
「そうだったな。よし、とにかくこいつらを叩き潰すぞ」
「はい!」
ったく、あざとかわいいやつめ。
とにかく今はこいつらを倒して主犯を捕えないとな。
「メタグロス、コメットパンチ。サーナイト、サイコキネシス」
既にカエンジシやギャラドスたちに囲まれている。というかまた増えてるな。人が逃げて減ったことで増員してきたってとこか?
「先輩、私たちはビークインやルンパッパをやってきます!」
「了解」
あっちはあっちで取り囲込まれてるし。
さて、どうするか。
こんな街中で襲撃とか正気の沙汰じゃない。だが、それを逆手に取られてリザードンのぼうふうを使えないでいる。あれを使うと後の被害の方が怖いからな。こんな街中で使えば建物を壊す可能性が高い。それで中の人や外の逃げている人たちに死傷者が出れば、正当防衛だとかも言ってられないだろう。社会とは面倒で理不尽な世界だ。英雄から大罪人に成り下がるのなんて一瞬である。
「リザードン、ペンタグラムフォース!」
ならば、あのピジョンやピジョット、ファイアローを落とすためには他の技で代用するしかない。
んで、次はこっちだな。
「エル!」
斬りかかってきたのはエルレイド。父ちゃんではないエルレイドだ。
「サーナイト、エルレイドにシンクロノイズ」
まあでも、その父ちゃんのおかげで対処法は完成している。
「メタグロス、シャドーボールで吹っ飛ばせ」
エルレイドがノイズに怯んだところをメタグロスの黒紫の弾丸で吹っ飛ばした。エルレイドはフーディンやフラージェスを巻き込んでいったが、その両脇からヒトツキやニダンギルが飛び出してきた。あの集団には恐らくギルガルドもいることだろう。なんて厄介な。一月前にザイモクザとバトルをしたせいで、余計に面倒なイメージがついてしまっている。ああはならないだろうが、俺たちに敵意を向けている以上、何をしてくるのか分からないため、こっちの方が恐ろしいまである。
「サーナイト、シャドーボール」
ヒトツキとニダンギルに黒紫の弾丸を放ち、吹っ飛ばしていく。
「ああもう、面倒くさい! デンリュウ、メガシンカ!」
あ、イロハがイライラし始めた。
分からなくはないが、目的を見失うことだけはやめてくれよ。
『テメェとの格の違い、見せてやるよ』
ゲッコウガもお怒りモード、姿を変えやがった。
それ程、あのゲッコウガもやるということか。主犯は俺たちを襲撃するために、ゲッコウガにゲッコウガを当てることで足止めしようって魂胆なのだろう。しかも相当強いゲッコウガを仲間に引き寄せられるだけの何かを持ち合わせている強者だ。
「俺も、と思ったが………ジュカインがいないんじゃ意味ないな………」
今はヘルガーもボスゴドラもいないためメガシンカ枠が一体もいなくなってしまっている。
やっぱりジュカインは俺のパーティーにとって重役を担っていたんだな。寂しさが募るばかりだ。
「メタグロス、ゴルーグにコメットパンチ」
いつの間にか再起していたゴルーグがノッシノッシと歩いてきている。
あれは何気にヤバい気がする。強いというよりは無作為に攻撃しそうな雰囲気がある。ビームでも出されれば被害は相当なものになるだろう。それだけは避けなければならない。
「サーナイト、リザードンが落としたピジョットたちをサイコキネシスでゴルーグの前に出してくれ」
盾がないため、相手の仲間と呼べるのか怪しいピジョットたちを盾に使わせてもらうことにした。
これでゴルーグが攻撃してきたら、野生のポケモンが操られている可能性が高くなる。
「そのまま防壁を張ってくれ」
「サナ」
防壁を張ってゴルーグの反応に備える。
「グルーガァァァアアアアアアアアアッ!!」
はかいこうせん。
一緒に襲ってきているのは仲間ではなくただの同業者というわけか。つまりは操られてると見た方が良さそうだ。
「バォ!」
「ムアー!」
おいおい、オンバーンにエアームドって。こいつらは空担当じゃねぇのかよ。
「メタグロス、コメットパンチ。サーナイト、サイコキネシス。オンバーンとエアームドを通させないようにな」
はかいこうせんで防壁は壊れてしまったため、ゴルーグを意識しながらも先にオンバーンとエアームドを落とすことにする。
メタグロスの両前脚がオンバーンを吹っ飛ばし、その間にサーナイトが超念力でエアームドを押さえつけていく。
「メタグロス、そのままエアームドにかみなりパンチ」
このメタグロス、ダイゴさんのポケモンから生まれただけあって超優秀だな。ゲッコウガめ、いいポケモンをもらいやがって。
動かない的となったエアームドに電気を纏った前脚を振りかざし、飛ばしたオンバーンの方へと突き飛ばした。
「「ニャス!」」
「チッ、次はニャオニクスたちかよ。キリがねぇな………。一体どんだけ用意してるんだ?」
主犯は現れないし、倒しても倒しても次のポケモンが襲ってくる。やはり何というか操られている? そんな感触が肌に触る。
さて、ニャオニクス二体を生身でどうにかできるわけではないし、引き付けてから躱すか?
「これで終わりだ、忠犬ハチ公。死ね」
ッ!?
意識がニャオニクスたちにいった瞬間、背後から怪しい声がした。
「ーーーぐぁッ!?」
な、なんだ………?
背中が、熱い……………?
それに急に全てが止まっているように見えてきた。
あ、倒れる………。けど、力が……………。
「先輩?!」
イロハが、俺の異変に気付いた、のだろう………。
ああ………俺、刺された、のか………?
一体誰に………?
「イロハちゃん、行きなさい!」
「先輩!!」
『あいつは………カラマネロッ?! それにあの男………!』
イロハの声が聞こえる。
そりゃそうか。叫んでるんだもんな。
でも、何で叫んで…………?
『クソ、邪魔だこのボンクラァァァ!』
「ぁ、ぅ………っ!?」
まだ、だ。
ゲッコウガが敵のゲッコウガを倒した背後から、今度は人間じゃなくて触手が伸びてきている。
視界がぼやけてくっきりとは見えないが、それでもイロハが俺のところへ飛び込んできているのは、なんとなく見える。一番距離が近いからだろうか。
ーーー多分、狙いはイロハだ。
「ぃぉ、ぁ………!」
声もまともに出ない………。
けど、それを気にしていたらイロハが、刺されるーーー!
「ぁぅぁ………っ?!」
何とかイロハと触手の間に割って入るのに成功した、けど………今度は、腹に、かよ…………。
何かの触手が俺の腹を貫いた。最早痛いとか熱いとかの感覚も麻痺しており、そういう刺激が薄い。
「がはっ!!」
多分、今血を吐いてる、よな。腹からも血がブシャッ! と吹いているだろう。
つか、なんで俺はこんな冷静に分析してるんだよ。もっとやること………ああ、もうそれすらも、無理、なのか………。感覚が………あ、もう無理だーーー。
「先輩!? 先輩!! しっかりしてください!! 先輩!!」
その場に倒れたであろう俺の身体を何かが受け止めたような気がした。十中八九、イロハだろうな。
ぼんやりとした目に映るのは青い空。まだ色の判断はできているようだ。
…………俺、このまま死ぬのか?
はは……、ジュカインがアクジキングに喰われたのも俺の最後がこんな形なのも、全て俺の行いに対する報いか。天が俺を裁きに来たんだな。それだけのことをして来たと言われれば認めるくらいの自覚はある。
けどな、そんなことで諦められるかよ。俺だけならまだいい。それをジュカインまでも連れて行くとか言語道断だ。神だろうが運命だろうが、俺以外までもを巻き込んで裁こうっていうなら、俺は抗ってやる。
「ウツ、ロイド………」
「しゅるるるぷぷ、しゅるるるぷぷ」
何とか絞り出した声と力でウツロイドを召喚した。もう指を動かすのも感覚がなくなってきていて難しくなっている。今ので最後だろうな。
「ちょ、あ、せ、先輩!? か、返して! 返してよっ!」
「お、おい………! あれヤバくね?!」
「ポケモン協会の人だろ? あの人」
「人が、ポケモンに呑み込まれてる!?」
恐らくウツロイドは俺に寄生しているのだろう。何かに包まれていく感触がある。イロハは突然の奇行に俺を取り戻そうと必死なようだ。
ーーーああ、きたきた。身体が軽くなっていく。ウツロイドの毒が回ってきたのだろう。
さて、この後どうするかはウツロイドに委ねよう。取り敢えずはこれで死ぬことはないはずだ。なんせウツロイドは俺を死なせるメリットがないからな。よく分からない球体を託してくるくらいだ。毒を以ってギリギリのラインを保ってくれさえすればいい。さすがに傷口を塞げとか言ってもできるわけないんだからな。
………ああ、そうだ。ウツロイドに託されたあの球体のことも何も解決してなかったな。俺にはまだまだやるべきことがたくさんある。それに帰りを待ってくれている奴らもいるんだ。だから俺は死ねない。死にたくない。あいつらの想いにまだ何一つ応えてやれてないんだ。絶対に、生きて帰ってやる。
ただ今は………。眠い、ひたすら眠い。意識が遠のいていくのが分かる。
「ーーーライ」
んがっ!?
な、んだ、この引っ張られるような感覚ーーー!
毒のおかげで傷口がどうなろうが、痛みがないのがせめてもの救いか。
『行け、サーナイト!』
「サナァァァーッ!!」
「うぇ?! サーナイト!?」
ウツロイドが何かに引っ張られ、俺の身体も強引に引っ張られている間。
ウツロイドの毒が全身へと回って行き意識を失う直前、サーナイトがウツロイドの触手に飛びついてきたのが見えた………。
「ーーーうそでしょ、ハチマン………間に、合わなかった………ッ!」
行間
ヒキガヤハチマン 持ち物:キーストーンetc………
・リザードン(ヒトカゲ→リザード→リザードン) ♂
特性:もうか
覚えてる技:かえんほうしゃ、メタルクロー、かみつく、おにび、えんまく、はがねのつばさ、かみなりパンチ、ドラゴンクロー、シャドークロー、つばめがえし、りゅうのまい、かみくだく、カウンター、じしん、フレアドライブ、ブラストバーン、げきりん、じわれ、だいもんじ、ソーラービーム、リフレクター、はらだいこ、ぼうふう、ねっぷう、あなをほる、れんごく、かげぶんしん、ブレイズキック
飛行術
・ハイヨーヨー:上昇から下降
・ローヨーヨー:下降から上昇
・トルネード:高速回転
・エアキックターン:空中でターン
・スイシーダ:地面に叩きつける
・シザーズ:左右に移動して撹乱
・ソニックブースト:ゼロからトップに急加速
・コブラ:急停止・急加速
・ブラスターロール:翻って背後を取る
・グリーンスリーブス:連続で攻撃して空中に釣り上げる
・デルタフォース:空中で大きな三角形を描くように連続攻撃
・ペンタグラムフォース:空中で五芒星を描くように連続攻撃
・バードゲージ:スピードを活かして相手の動きをコントロールしていく
・スモール・パッケージ・ホールド:背面飛行で相手の下を飛行する
・ゲッコウガ(ケロマツ→ゲコガシラ→ゲッコウガ) ♂
特性:きずなへんげ(へんげんじざい→きずなへんげ)
覚えてる技:みずのはどう、あなをほる、かげぶんしん、れいとうパンチ、れいとうビーム、つばめがえし、ハイドロポンプ、くさむすび、グロウパンチ、えんまく、がんせきふうじ、いわなだれ、まもる、かげうち、みずしゅりけん、どろぼう、つじぎり、ハイドロカノン、めざめるパワー(炎)、とんぼがえり、とびはねる、ほごしょく、けたぐり、ぶんまわす、あくのはどう、どろあそび、ふぶき、たたみがえし、ダストシュート
・サーナイト(ラルトス→キルリア→サーナイト) ♀
特性:シンクロ
覚えてる技:リフレクター、ねんりき、まもる、テレポート、マジカルリーフ、シャドーボール、マジカルシャイン、トリックルーム、シンクロノイズ、サイコキネシス、いのちのしずく、しんぴのまもり
・ウツロイド
覚えてる技:ようかいえき、マジカルシャイン、はたきおとす、10まんボルト、サイコキネシス、ミラーコート
控え
・ヘルガー ♂
持ち物:ヘルガナイト
特性:もらいび←→サンパワー
覚えてる技:かみつく、ほのおのキバ、ふいうち、おにび、かえんほうしゃ、かみくだく、れんごく、ほえる、はかいこうせん、アイアンテール、あくのはどう、みちづれ、だいもんじ、ハイパーボイス、ヘドロばくだん、ちょうはつ、ほのおのうず、まもる
・ボスゴドラ ♂
持ち物:ボスゴドラナイト
特性:がんじょう
覚えてる技:ロックブラスト、あなをほる、なげつける、メタルクロー、アイアンヘッド、アイアンテール、てっぺき、メタルバースト、ボディパージ、ヘビーボンバー、ロックカット、ほのおのパンチ、もろはのずつき、ラスターカノン、ドラゴンダイブ、でんじふゆう、だいちのちから、カウンター、ばかぢから
不明
・ジュカイン(キモリ→ジュプトル→ジュカイン) ♂
持ち物:ジュカインナイト
特性:しんりょく←→ひらいしん
覚えてる技:でんこうせっか、リーフストーム、リーフブレード、ドラゴンクロー、タネマシンガン、ギガドレイン、かみなりパンチ、スピードスター、くさむすび、ソーラービーム、エナジーボール、シザークロス、くさのちかい、マジカルリーフ、タネばくだん、こうそくいどう、つめとぎ、いやなおと、こうごうせい、くさぶえ、やどりぎのタネ、グラスフィールド、なやみのタネ、ハードプラント、つばめがえし、ものまね、みがわり、じならし、アイアンテール、けたぐり、つじぎり、グロウパンチ、まもる、ぶんまわす、あなをほる
ゲッコウガ
・ニダンギル(ヒトツキ→ニダンギル)
特性:ノーガード
覚えてる技:ラスターカノン、せいなるつるぎ、つばめがえし、かげうち、つじぎり、シャドークロー、きんぞくおん、いわなだれ、かわらわり、まもる
・キリキザン
特性:まけんき
覚えてる技:つじぎり、くろいまなざし、ロックカット、メタルクロー
・アギルダー
特性:うるおいボディ
覚えてる技:スピードスター、むしのさざめき、ギガドレイン、みずしゅりけん、こうそくいどう、かげぶんしん、こころのめ、はたきおとす、バトンタッチ
・メタグロス(ダンバル→メタング→メタグロス)(色違い)
覚えてる技:ラスターカノン、じならし、ひかりのかべ、サイコキネシス、メタルクロー、コメットパンチ、まもる、かみなりパンチ
イッシキイロハ 持ち物:キーストーン、りゅうのウロコ
・マフォクシー(フォッコ→テールナー→マフォクシー) ♀
特性:もうか
覚えている技:かえんほうしゃ、ほのおのうず、ソーラービーム、にほんばれ、ワンダールーム、スキルスワップ、メロメロ、ニトロチャージ、マジカルフレイム、シャドーボール、ブラストバーン、だいもんじ、サイコキネシス、トリックルーム、まもる
・フライゴン(ナックラー→ビブラーバ→フライゴン) ♂
特性:ふゆう(ちからずく→ふゆう)
覚えている技:ギガドレイン、かみくだく、むしくい、じならし、すなじごく、がんせきふうじ、りゅうのいぶき、ばくおんぱ、だいちのちから、りゅうせいぐん、ドラゴンダイブ、ストーンエッジ、じわれ、げきりん、ソーラービーム、はかいこうせん、にほんばれ
・デンリュウ(モココ→デンリュウ) ♀
持ち物:デンリュウナイト
特性:せいでんき←→かたやぶり
覚えてる技:ほうでん、シグナルビーム、わたほうし、コットンガード、エレキネット、でんじは、パワージェム、でんじほう、アイアンテール、りゅうのはどう、こうそくいどう、じゅうでん、げきりん
・ガブリアス(フカマル→ガバイド→ガブリアス) ♂
特性:さめはだ
覚えてる技:あなをほる、りゅうのいかり、ドラゴンクロー、りゅうせいぐん、ステルスロック、ドラゴンダイブ、げきりん、アイアンヘッド、アイアンテール、メタルクロー、がんせきふうじ
・ラプラス ♀
特性:ちょすい
覚えてる技:れいとうビーム、フリーズドライ、あられ、ぜったいれいど、でんじほう、げきりん、みずのはどう、ほろびのうた
・ボルケニオン
特性:ちょすい
覚えてる技:スチームバースト、ハイドロポンプ、オーバーヒート
控え
・ヤドキング ♂(校長からの贈り物)
覚えてる技:サイコキネシス、みずでっぽう、パワージェム、まもる、うずしお、ずつき、トリックルーム、シャドーボール、でんじほう、かえんほうしゃ、きあいだま、いやしのはどう、ふぶき
・ガチゴラス(チゴラス→ガチゴラス) ♂
特性:がんじょうあご
覚えてる技:げきりん、かみくだく、ドラゴンテール、ふみつけ、いわなだれ、アイアンテール、ストーンエッジ、りゅうのまい
・シードラ(タッツー→シードラ) ♀
持ち物:ピントレンズ
特性:スナイパー
覚えてる技:げきりん、シグナルビーム、ハイドロポンプ、ラスターカノン、こうそくいどう、えんまく、きあいだめ
・コドラ(ココドラ→コドラ) ♂
特性:いしあたま
覚えてる技:ドラゴンダイブ、じならし、メタルクロー、みずのはどう、がんせきふうじ、アイアンヘッド、ロックカット