オリジナル国家を日本国召喚に召喚してみた。   作:ATD-X

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第二話です。どうぞ。


第二話「故郷は猟全」

アルタラス島 西部海域

1月25日

アルタラス王国海軍

フリゲート、リガ

 

二日前の未確認機侵入事態を重く見たアルタラス王国海軍はフリゲート、コルベットを中心に編成した哨戒艦隊を派遣。

西部海域に分散配備し、警戒に当たらせた。

そして、青年将校のユーショが艦長を勤めるフリゲートのリガが

機械動力船と思しき艦隊を発見した。

 

 

「総員、戦闘配置につけ!」

 

ユーショの命令にリガの船員は持ち場につく。その光景を見たあとに未確認艦隊の方を見た。

 

自らも武装を整えたユーショは、見たこともない艦隊に困惑していた。

艦隊の数は六隻。編成は大型艦と中型艦が各一隻、小型艦が四隻。いずれも鋼鉄製に見える。

大型艦は武装らしきものは舷側の上部に小さな砲のようなものが並んでるだけだ。

甲板は平らで甲板上には飛行機械らしきものが整列していることから

機械竜母のようなものと推定する。

中型艦と小型艦は大きさは違えど、両方とも甲板に大型艦の舷上部に並んでいた砲が装備されている。さらに砲塔が前に一つ、後ろに二つ確認でき、形は概ね一致している。

 

 

 

「艦長。戦闘配置、完了しました 」

 

「よし。なにが起きるかわからん。注意しろ!」

 

 

副長が了解の声をあげ、ユーショとともに未確認艦隊を監視する。

距離はリガの装備する魔導砲の射程内だ。

一番の脅威は中型船だろうと辺りをつけて中型船を監視する。

 

 

「大型未確認船から発光を確認!」

 

「何だと!?」

 

見張りの声に大型船に注目する。確かに大型船が発光している様子が確認できた。

 

 

「攻撃・・・なのか?」

 

「わかりません」

 

 

何をしたいのか全然見当がつかない艦長と副長。

しばらくして発光を止めて、大型船が接近し、右舷を見せるように停止した。攻撃か!

と身構えたが停止直後に何かを口に当てた大型船の乗員がリガに向けて大声を出した。

 

 

「こちらは猟全(りょうぜん)共和国海軍外交官護衛艦隊、旗艦カラス。艦隊に攻撃の意思なし。本艦にて貴艦指揮官との会談を望む」

 

 

 

「艦長。どうやらこちらを攻撃する気は無さそうですが・・・ずいぶん大きな声ですね」

 

「声が大きな種族を使役してるんだろう。にしても俺を御所望か」

 

 

ユーショはしばらく考え込んだ後、命令を下した。

 

 

「奴らの提案に乗ろう。副長。

戦闘科から腕っぷしに自信のあるやつを何人か出してくれ。臨検隊を出す」

 

 

ユーショの命令に副長が反論した。

 

 

「それは危険です! リョーゼンとやらが何を考えてるのかさっぱりわかりません。

領空を侵しながらなぜ交渉するのです!」

 

「何を考えてるのかわからないからこそ乗り込む。危険だからといつまでも尻込みしてれば好機を失うぞ」

 

「ならば私が行きます。わざわざ艦長を危険にさらすことなど出来ません」

 

「向こうは俺をご指名だ。それに攻撃するなら最初からやってるさ。

相手はうちらよりでかい船六隻。こちらは一隻。沈められないわけないさ」

 

 

ユーショの言葉に副長は唸った。確かに艦長の言う通り攻撃するならとっくに行っている。それに艦長が行けばかなりの情報が手に入るだろう。

副長は近くにいた見張りの水兵に命令を下した。

 

 

「戦闘科に向かい臨検隊を編成して出すように伝えてくれ」

 

「了解しました。戦闘科に向かい、臨検隊を編成して出撃させることを伝えます!」

 

「頼んだ。」

 

伝令の水兵は敬礼し、甲板下の戦闘科へ向かった。

 

 

●○

 

 

暫くして伝令が戻ってきた。

すでにボートは海面に下ろされており、護衛兼任の櫂手と指揮官が九名乗り込んでいる。

ユーショはボートに乗り込んだ。

ユーショが乗り込んだことを確認した指揮官はボートを発進させた。

 

指定された大型艦に近づけば近づくほど大型艦や他の艦艇の異様さが強くなる。

軍艦は通常舷に魔導砲を並べて装備する。

しかし、視認できる範囲で武装は舷上部の小型魔導砲らしき物しか存在しない。

護衛の艦艇に至っては甲板にしか武装は確認できない。

砲門が開閉式で閉じた状態なのかと推測したがそれらしきものは確認できない。

 

 

「艦長。大型艦の舷梯に人が見えます」

 

「案内の人間だろう。あそこに着けてくれ」

 

 

舷梯にはこちらに向けて手招きをしている水兵がいる。

ボートを舷梯のそばに寄せて停船する。

ボートに最低限の人員を残し、機械竜母「カラス」に移乗する。

 

カラスの水兵の案内のもと舷梯を上り甲板へ向かう。

甲板では資料で見たムーの戦闘機という飛行機械と比べよく似てるが少し大きい飛行機械と

主翼が一枚の飛行機械が並んでいる。

甲板の中央右端には建物があり、上部で回転している部分がある。

到着した臨検隊を迎えたのは見慣れない格好をした男だった。

 

「私はフリゲート艦、リガの艦長のユーショです。

この海域は我が国の領海に近い。貴船らの航行目的を知りたい」

 

ユーショがそう告げると相手は驚いた様子でこう告げた。

 

 

「日本語を話すのですか!?。驚きましたね。私は猟全共和国外務省。外交官の蜂渡(はちど)と申します。ようこそ護衛空母カラスへ。あなた方を歓迎します」

 

「日本語?。私には大陸共通語に聞こえるが・・・」

 

言語が通じることに驚いた蜂渡の様子にユーショは首をかしげた。

ユーショ達から見れば流暢に大陸共通語を話している。

未開の蛮族では言葉すら通じないことが多く内心ユーショは言葉が通じることに安堵する。

 

 

「大陸共通語ですか?。いえ、言語が通じるなら話が早い。

二日前、我が軍の戦略爆撃機富嶽が哨戒中に誤ってあなた方の国の領空に侵入してしまったのですが、何か心当たりはありませんか?」

 

 

蜂渡の言葉にユーショは二日前の未確認機侵入の件を思い浮かべた。

カラスやその護衛が掲げている旗が報告に描いてあった未確認機のマークに似ていた

 

 

「我々は風車が翼に六つついている大きな飛行機械が

領空に侵入したのが原因で今この海域にいます。その飛行機械が貴国のフガクになのですか?」

 

「はい。我々はその事で貴国に対し謝罪を行うことと

国交の開設を要求することを目的にしています」

 

 

蜂渡の要求にユーショは、非現実的で司令部が信じてくれるか怪しいが、この場で返答を行う権限もないため、一端本国に報告することにした。

 

 

 

「我々の権限ではあなた方の要求に返答することはできません。一旦本国に報告します」

 

「わかりました。返事までどのくらい掛かりますか?」

 

「魔信を使うのですぐに返事が来ると思います」

 

 

蜂渡は不思議そうな顔をしながら質問した。

 

 

「魔信? 通信機の一種ですか?」

 

「そのように考えてもらえればよろしいかと。では暫しお待ちください」

 

 

機械文明とはいえ魔信を知らないことを不思議に思いながらユーショは司令部に報告した。

 

 

 

 

○●○

 

ル・ブリアス

アテノール城、会議室

 

リガからの報告を受け取ったアテノール城では報告の内容に困惑していた。

リガからの報告を受けたターラ14世は言葉を発した。

 

 

「新興国にしてはおかしなことだな。報告が本当なら我が国どころか文明圏・・・いや、列強並の技術力を持っていることになるぞ」

 

一般的に新興国は文明の程度が低く、報告にあった鋼鉄の艦隊などは絶対に編成できない。

手こぎと帆で進むガレー船が新興国の主力というのが常識だった。

 

 

「内容から察するに敵対の意思はなさそうですが

・・・そもそもこの報告にあるような大型艦がいきなり出てくるなど考えられません。

何かの誤認ではないのですか?」

 

内務大臣の言葉を防衛大臣が否定する。

 

 

「いや、乗組員全員が誤認するとは考えにくい。

しかも艦長が実際に乗り込んで、報告もそこからしている」

 

防衛大臣は一旦言葉を区切りこう続けた。

 

 

「軍としては一度は接触してみるべきです。

もし彼らの技術を吸収できれば我が国の利益となります」

 

「侵略する気もないみたいですな」

 

「いや、もしかしたら我らを騙し討ちしようと考えているのでは」

 

「作用。リガに幻惑魔法を掛ければこのような報告をしても不思議ではない。

鋼鉄の艦隊とはあまりにも非現実的すぎる」

 

喧々諤々と意見が交わされるなかターラ14世は大臣達を静めてこう告げた。

 

 

「私は彼らと接触しようと思う」

 

「大丈夫でしょうか?。騙し討ち何てことは・・・」

 

「報告通りの船なら騙し討ちせずにリガを沈めて直接こちらに殴り込んでくる。

その心配はないだろう」

 

「大型艦と報告にありましたな。

ログマ伯爵の領地の港湾都市ロートーが喫水も深く距離が一番近いかと」

 

「よし。そこで会談を行おう。確か、ルミエスが近くに視察で訪れていたな。彼女にも会談に参加してもらおう」

 

かくて一番近い港湾都市ロートーで会談が行われる運びとなった。

 

 

○●

 

 

港湾都市ロートー沖合い

 

 

フリゲート艦リガは政府からの命令により猟全皇国の艦隊を会談場所として指定された港湾都市ロートーまで案内していた。

ユーショは猟全の旗艦であるカラスに魔信と連絡用員を残してリガに戻り、艦長室に戻り執務作業を行っていた。

 

艦長室の扉がノックされる。

 

「失礼します」

 

「入れ」

 

副長が艦長室に入室してきた。

 

 

「艦長。カラスから連絡がありました」

 

「内容は?」

 

 

執務をやめ、カラスに残した連絡用員からの報告を聞く

 

 

「どうやらリョーゼンの艦隊はあそこで停泊するらしいです」

 

「なぜだ? まだ距離があるが」

 

「どうやら船が大きすぎて桟橋に着けるのが難しいらしいです。

あそこからはボートで向かうそうです」

 

 

副長からの報告にユーショは驚いた。

 

 

「あいつらの船はそんなに大きいのか」

 

「みたいですね。一体いつの間にあんな国ができたのでしょう?」

 

 

ユーショは視線を窓の方に向ける。外ではカラスから小型艇が下ろされているのが見える。

 

 

「交渉がうまく行くと良いな」

 

 

ユーショはそうつぶやいた。

 

 

 

○●

 

 

「これより猟全共和国とアルタラス王国の会談を行います。司会進行は私ログマ伯爵が勤めさせていただきます」

 

会談に指定された屋敷の一室でロートーの領主を司会に

猟全共和国とアルタラス王国の会談が行われていた。

猟全共和国側の蜂渡とその補佐を合わせて四人。

アルタラス王国側は、政府から派遣された外交官、ロートーの市長、ロートー警備隊の司令官。

さらにルミエス王女が会談に参加していた。

 

 

「初めまして。私は猟全共和国の外交官の蜂渡と申します。この度は会談に応じていただき

ありがとうございます」

 

 

「我々も新しい国と会談できることを好ましく思っています。私はアルタラス王国王女のルミエスと申します。よろしくお願いします」

 

 

蜂渡は驚いた。まさか王女が出るとは想定外だったのだ。すぐに姿勢をただした。

 

 

「王女自ら出られるとは・・・光栄に思います」

 

「我々はそれだけあなた方の事を重要視しているのです」

 

「そうですか。・・・それでは早速資料を配布させていただきます。君、例の資料を」

 

 

蜂渡がそう言うと補佐官が資料を配り始める。

アルタラス王国側に資料が行き渡る。

資料は言語が通じないことを想定し、

ほとんどが極力文字を使わずに図や写真、絵などで表現されている。

資料が行き渡ったことを確認した蜂渡は自国である猟全共和国の説明に入った。

 

 

「それでは我が国について説明します。

我が国はアルタラス王国から西へ2000Km程の場所に位置する島国で、本島と近くの島々を領土とし、面積は142,816K㎡。総人口は3000万人になります」

 

 

ここで外交官から質問が飛ぶ。

 

 

「待ってください。そんな国は聞いたことがない。仮にあなたたちの話が本当だとしてもそんな島があればとっくの昔に我が国と国交を結んでいるはずです」

 

 

外交官以外に出席していたアルタラス側の者も聞いたことのない国に疑問を抱き困惑した。外交官からの質問を予想していた蜂渡は当然のように答えた。

 

 

「ええ。普通ならあなた方のおっしゃる通りです。

ですが、今回の場合はそれが当てはまらないのです」

 

 

一呼吸置いて蜂渡は告げた。

 

 

「我々の国は地球と言う星からこの世界へ何らかの原因で転移したのです」

 

蜂渡の言葉にアルタラス側に困惑した空気が流れた。

 

 

「そんなばかな。神話でもあるまいし」

 

「そうおっしゃるのも無理はありません。我々も逆の立場なら信じられないです」

 

 

あまりにも突拍子もない発言にアルタラス側は沈黙した。

その沈黙を破るようにルミエス王女が質問した。

 

「あなた方は何を望むのですか?」

 

「国交を結ぶことと他の国への仲介です。我が国は元の世界では食料と資源を主に輸入していたのですが、転移により輸入先を失ったので新たに輸入先がほしいのです」

 

 

想定していたものとは違いかなり穏当な要求にルミエス王女は安堵した。

軍事力の強い国家は大概領土などを横暴な態度で要求してくるのでそれらの対応にはかなり苦労する。

 

「わかりました。あなた方の要求を受け入れましょう」

 

「ありがとうございます」

 

「ただ我が国もそちらに使節団を送りこみたいので許可をお願いします。仲介するに当たってどのような国か直接調査を行いたいのです」

 

「わかりました」

 

 

こうして会談はアルタラス側が国交に先立ち一先ず使節団を送ることで双方合意。

この会談の三週間後にはアルタラスの使節団が旅立った。

 




ちなみにここで登場したカラスの艦載機は
ハリケーンをベースにしたオリジナル架空機とソードフィッシュです。
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