オリジナル国家を日本国召喚に召喚してみた。   作:ATD-X

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猟全とエクリプセの概要と兵器の設定集を並行して作っていたらいつもより文が短く、
更新が遅くなってしまった。
自分で閲覧する設定集を人に見やすいようにしてるんですが中々、難しい。
オリジナルの地図も作らないと・・・。




第六話「日本との再開」

中央歴1939年3月4日 AM09:02

猟全共和国共和国政府第一直轄区宮都市

首相官邸

 

 

「本日はお時間を頂き、ありがとうございます」

 

「こちらこそ。転移の混乱がまだ収まっていないのに来ていただき、ありがとうございます」

 

 

朝食を終えた高野首相は、応接室にて猟全に駐留している地球防衛軍武官と会談を行っていた。

マクミラン駐留軍総司令官と竹中参謀だ。

竹中参謀が切り出した。

 

 

「早速ですが、物資の供給についてどうなっているのでしょうか?。

物資の備蓄に余裕はありますが、なるべく早めに解決されるに越したことはありません。

アルタラス王国なる国家と国交を樹立したとは聞いていますが・・・」

 

「現在、国交を樹立したアルタラス王国の仲介で周辺国に国交樹立の為、

外交官を派遣しています」

 

 

竹中参謀の質問に高野首相が答えた。

マクミラン司令官が続きを促す。

 

 

「詳しい状況は? 」

 

「外交官を派遣している国の中に、クワ・トイネとクイラ王国という国があります。

クワ・トイネは現地で家畜でもうまい飯が食えると称される程に食資源が豊富です。クイラ王国は土地は不毛で貧しい物の、自然に涌き出る程石油が出るとのこと。

両国共に援助すれば資源を輸出してくれるでしょう」

 

 

猟全共和国には地球防衛軍が駐留しており、猟全共和国の転移により彼らも転移した。

地球各国に駐留する地球防衛軍は基本的に国際連合――――国際連盟は戦後に再編され、国際連合に名を改めた――――と駐留国からの二つの援助で成り立っている。

転移により猟全に駐留していた地球防衛軍は、国際連合の援助を断たれ、その活動を停滞せざるを得ない状況に追い込まれた。

猟全共和国は国民のみならず、自国のみで地球防衛軍を支援せざるを得なくなり、必死に統制と

海外の探索を行った。その甲斐あり、何とか物資の困窮から抜け出せそうな状況になっている。

猟全に駐留する地球防衛軍はイギリス、大日本帝国、ロシア帝国、アメリカ合衆国の四か国の人員が大半を構成している。

猟全共和国が転移した時に存在していた部隊は

 

地球防衛空軍、ユーラシア極東航空軍隷下

第88統合航空団、特装航空打撃群猟全派遣隊。

司令官はミード少将。

 

地球防衛陸軍、極東方面軍隷下

第11師団、第7空中旅団、第12支援飛行隊

司令官はレズノフ中将。

 

地球防衛海軍西部太平洋方面軍

第五艦隊、第二飛行集団猟全共和国分遣群。

司令官は八重垣少将。

 

ウルトラ警備隊猟全支部

指揮官は桐山中佐。

 

以上が転移時に猟全に存在していた地球防衛軍の部隊である。

転移後は猟全共和国軍と共に小規模な部隊を周辺地域の調査に繰り出していた。

周辺地域が明らかになると、活動を押さえ、物資の節約に勤めた。現状では猟全共和国のみでは

駐留する地球防衛軍が活動を押さえている現在はともかく、活発に活動するようになると

必要十分な物資を供給するのは難しい。しかし、国交の目処が立ちつつある今、物資の供給も

滞りなく進むことになるだろう。

 

 

「しかし、そちらで運用している一部の兵器についての部品の供給は現状では難しいです」

 

「それは仕方ないでしょう。軍事機密や特許等の問題もあります。それにラヴェジャーとの戦いで統一規格ができたと言えど完全な統一は未だになし得ず。問題が多すぎる」

 

 

高野首相の説明に竹中参謀がため息と共に言った。

 

 

「現在は議会で一時的に特許を棚上げし、製造可能で輸入不可能なものを製造すればよいという意見もありますが、すぐに戻るかもしれないという

意見もあり中々決められないです」

 

「我々としては一時的に棚上げしてでも、部品の製造をしてもらいたい。必要であれば弁護も厭わない」

 

 

地球防衛軍にとっては切実な問題に高野首相は考え込んだ。

しかし、その途中。部屋のドアがいきなり開かれた。

 

 

「会議中失礼します!」

 

「どうした?」

 

「クワ・トイネ王国に派遣した第四艦隊から入電です。

大日本帝国空軍の戦闘機と接触したとの事です!」

 

「何ぃ!?」

 

 

 

 

 

○●

一時間後

沖縄県石垣島南西300km海域

猟全共和国海軍第四艦隊旗艦

ムラクモ型航空母艦一番艦ムラクモ艦長室

 

ムラクモ型航空母艦は猟全共和国が大戦前に建造した航空母艦だ。猟全海軍の空母は前型から

補給艦と輸送艦としての能力を付与し、予算の圧縮を試みた。試みは成功し、海軍上層部は更なる発展型を求めた。そして建造されたのがムラクモ型航空母艦だ。

戦前生まれながら余裕を持った設計により改修が容易で戦後の改修により補給能力、輸送能力を

低下させつつもジェット機を運用している。

 

空母ムラクモから哨戒任務で発艦した戦闘機部隊――ソード隊の二機編隊が大日本帝国の戦闘機と接触したとの報告を受けた艦長の片桐は、報告を直ぐに猟全へ伝達。更なる情報を得るために哨戒から帰還したばかりの編隊長を艦長室に呼び出した。

 

 

「雪野大尉。その情報は確かなのか?」

 

「間違いありません。哨戒中の我々に日本の戦闘機が呼び掛けたとの報告は事実です」

 

「誤認ではないのだな?」

 

 

片桐の言葉に編隊長である雪野大尉は頷き、反論した。

 

 

「向こうから、こちらは日本国航空自衛隊。と名乗り、現像は終わっていませんが、

撮影した戦闘機の主翼には確かに日本の国籍マークが有りました。間違いありません」

 

 

雪野の言葉に、片桐はさらに唸った。

信じられないことに、大日本帝国もこの世界に転移したのかもしれない。

二人とも、大日本帝国の戦闘機との接触に困惑している。

 

 

「日本も転移していたとは思わなかったが・・・航空自衛隊なんて組織は聞いたことがないぞ。

空軍隷下の民間防空隊か?」

 

「私も航空自衛隊という組織は聞いたことがありません。レシプロ機ならその可能性は有ります。しかし、遭遇したのはジェット戦闘機なので民間防空隊ではないのは間違いありませんし、

その戦闘機も全く見たことのない機種でした」

 

 

因みにソード隊の使用機材はデ・ハビランド シーベノムだ。

イギリスが開発した艦上戦闘機で全天候能力を付与されている並列複座型戦闘機だ。

 

現状ではなんの情報も得られないと判断した片桐は一先ずパイロットを退室させることにした。

そこで唐突に机の内線電話が鳴った。

 

 

「もしもし」

 

「艦橋です。艦隊司令がこちらに来てほしいとの事です」

 

「すぐ行く」

 

 

内線電話を切った片桐は再び雪野大尉に視線を向けた。

 

 

「もう戻っていい。今のうちに休んでおけ」

 

「はっ。退室します」

 

 

退室を見届けた片桐は、自らも準備を整えて艦橋へ向かった。

 

 

 

○●

 

艦橋に到着した片桐は司令官の深沢中将、他参謀らと日本への対応について話し合っていた

 

 

「片桐准将。私は艦隊をクワ・トイネと日本の二つに分けたいと思う」

 

「賛成です。やはり日本をこのまま放置するのは悪手です」

 

 

片桐の言葉に深沢は頷き言葉を続けた。

 

 

戦艦(キリタチ)とムラクモをそれぞれの旗艦にするのは決まりですが、編成をどうするか・・・」

 

 

参謀の一人の言葉に司令部が意見を交わす。暫くの議論の末、参謀の一人が発言した。

 

 

「空母より戦艦の方が攻撃的な外見ですからムラクモをクワ・トイネに。キリタチを旗艦とした

分遣艦隊には重巡二隻と軽巡一隻と駆逐艦四隻を日本に向かわせてみてはどうでしょう?」

 

 

この参謀の発言により議論が一気に纏まった。

 

 

「ふむ・・・。片桐准将、君は外交官と共にクワ・トイネへ向かえ。

私は戦艦に移乗し、日本へ向かう」

 

「司令は確か日本へ留学していましたね」

 

「運良く同期が出てくれれば多少は話しやすくなるはずだ。オオタチの方へ伝えてくれ。

私は移乗の準備に入る」

 

「了解」

 

 

 

○●

沖縄県石垣島南西100km

猟全共和国海軍第四艦隊分遣隊旗艦

オオタチ型戦艦四番艦キリタチ艦橋

 

オオタチ型戦艦は1917年に竣工した猟全共和国が初めて建造した超弩級戦艦だ。

猟全の戦艦の設計思想は概ね防御力と速力を重視し、

火力は他国の戦艦と比べて控えめとなっている。

オオタチ型戦艦の主砲は35.6cm連装砲が前部二基と後部一基の計三基。副砲も同規模の戦艦と

比べ半分程度しかない。

艦隊はキリタチを中心に輪形陣を組んで海原を進んでいた

 

 

「前衛の駆逐艦(アオナミ)より入電。方位四十度に船影を確認!。

日の丸と・・・見たことのない旗を掲げています!」

 

 

見張りの報告が艦橋へ届いた。深沢司令官が双眼鏡を見張りの告げた方向に向けた。

そこには白い艦がいた。機関砲を装備していたので恐らくは哨戒艦であろうと推測したが、

日の丸と一緒に掲げている旗は何なのだろうか。

 

 

「前方の艦に打電。本艦は猟全共和国海軍。第四艦隊分遣隊旗艦キリタチ。我が国の転移により

連絡が途絶えた筈の同盟国、大日本帝国の痕跡が確認されたために、その正体の確認が目的なり。

本艦に交戦の意図なし。貴艦の所属を名乗られたし。以上」

 

「了解!」

 

 

通信士が前方の艦に通信を送る。暫くして哨戒艦から返信が返ってきた。

 

 

「哨戒艦より返信!。読みます。

 

本船は日本国海上保安庁第十一管区隊、石垣海上保安部所属、巡視船あぐに。大日本帝国という

呼称は第二次世界大戦で敗北したことにより使われておらず。また、我が国に猟全共和国なる

同盟国は存在せず。説明求む」

 

 

艦橋内に困惑と疑問の空気が流れた。同盟国の旗を掲げながら

自分達の国を知らないという哨戒艦。

状況から見ていたずらとは思えず本当に知らないのかもしれない。

 

 

「・・・こりゃ思ったより複雑そうだな」

 

 

深沢の言葉が艦橋内に響いた。




サブタイトルの元ネタはウルトラマンコスモスより
第一話「光との再会」。
21世紀最初のウルトラマンが元ネタです。自分の初めてのウルトラマンでもあります。
記憶に殆どないですが・・・。

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