これよりもっと早く更新・・・できたらいいなぁ。
第十話「展開作戦第一号」
3月4日
猟全共和国海軍第四艦隊。クワ・トイネ公国の軍船と遭遇。軍船の案内のもとマイハークに到着。
3月5日
マイハークにて猟全共和国とクワ・トイネ公国との間で協議が行われる。
同日公都クワ・トイネにあるクイラ王国大使館が猟全共和国がこちらとも国交を開設したいとの情報をクワ・トイネから聴き、猟全共和国外交団と接触。
3月8日
クワ・トイネ、クイラ合同使節団。猟全へ出発
3月15日
合同使節団、猟全共和国へ到着。宮都市にて猟全政府と協議に臨む。
3月27日
猟全共和国とクイラ王国、クワ・トイネ公国の間で国交が交わされる。
○●
3月30日AM07:40
クワ・トイネ公国、公都クワ・トイネ
猟全共和国大使館
この日、クワ・トイネ公国駐留大使の蜂渡は執務室の窓から射し込む朝日に照らされながら
秘書と共に今日のスケジュールを確認していた。
「今日は軍事顧問団の拠点とクワ・トイネの訓練所の視察だったな。」
「後は導入する携行兵器と兵器の製造所の確認と他の交易品についての協議と為替。
後は新たな軍事援助と輸出品目の交渉ですね。」
「確か最初は7.62mmEDF弾(.300サヴェージ改良弾)に対応した05式歩兵銃と38式軽機関銃と33式擲弾砲を輸出することになってたな?」
猟全共和国はクワ・トイネとクイラに対し、当初インフラを始めとした生活設備の輸出を行おうとしていた。しかし、両国から日本から輸入しているとのことでインフラを拒否されてしまった。
そこで猟全共和国は旧式化した軍用装備の輸出と軍事顧問団の派遣を提案。両国共にこれに興味を示し、猟全共和国から帰国する際に05式歩兵銃と38式軽機関銃と33式擲弾砲をサンプルとして
持ち帰った。両国共、帰国後の協議でこれらのサンプルを確認した上で採用を決定。
現在猟全共和国は両国に軍事顧問団の派遣準備を進めている。
予定の確認をしている途中、唐突にドアがノックされた。
「失礼します。」
「どうぞ。」
ドアから受付嬢が入ってきた。
「どうした?。」
「クワ・トイネ公国外務局のヤゴウ様から緊急に会談の申し入れがありました。」
「何?」
今日の予定にはヤゴウとの会談はない。
朝早くからアポなしで外務局のヤゴウという大物からの突然の来訪に蜂渡は秘書と顔を見合わせた。
○●
蜂渡はヤゴウとの会談を受けることにした。
何らかの火急の案件が発生したのだろう事は間違いないからだ。
応接室に赴きヤゴウとの会談に臨む。応接室では既にヤゴウが座っており、
ヤゴウの前にお茶が出されている。
「突然の来訪。申し訳ありません。」
「いえ、しかし何があったのです?。こんな朝早くから会談の申し入れとは。」
申し訳なさそうな表情を浮かべるヤゴウに蜂渡が聞いた。
「貴国の軍の派遣を要請します。現在隣国のロウリア王国が国境沿いに
大軍を集結しているのです。恐らくは我が国に攻撃を仕掛けるものと思われます。」
「なんですって?」
「このままでは貴国への食糧の輸出が不可能になります。」
蜂渡はヤゴウからもたらされた情報に表情を険しくした。これでは解決の目処がついた物資不足が逆戻りになってしまう。
ヤゴウが次の言葉を告げようとしたとき、ドアがノックされた。
「失礼します。お茶をお持ちしました。」
「どうぞ。」
受付嬢が蜂渡の分のお茶を持ってきて机に置く。蜂渡は礼を言って一口飲み気分を落ち着かせた。
ロウリア王国。現在猟全共和国が新たに国交を交わそうとしている国だ。
ロデニウス大陸で一番国力が強いが、人間以外の亜人の排除を国策としており
亜人を国民としているクワ・トイネとクイラと仲が悪く、
クワ・トイネとクイラは互いに足りない所を補い合いながらロウリア王国に対抗していた。
この為クワ・トイネとクイラは軍事援助を表明した猟全共和国と早期に国交開設を決断した。
猟全共和国はロウリア王国とも国交を持とうとしたが、門前払いされ、交渉を開始できていない。
気分を落ち着かせた蜂渡はヤゴウに問いかけた。
「只の威嚇という事は?」
「確かにこれまでも国境沿いに兵力を集めて威嚇してきたことはありました。
しかし、今回は兵力が尋常ではありません。ワイバーンも多数確認しており、正直我が国だけでは防ぎきれそうにありません。」
蜂渡の疑問にそう答えたヤゴウ。その表情は取り繕ってはいるが、雰囲気から焦りが漏れ出ている。
「なるほど。未だ軍事援助を開始していない状況では厳しいでしょう。
それに現状、貴国の食糧の輸出が止まるのは我が国としても避けたいことです。」
蜂渡は頷き、言葉を続けた。
「分かりました。本国に連絡してみます。ただ、開戦に間に合うかどうかは分かりませんよ。」
蜂渡の言葉を聞いたヤゴウは安堵して、笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。これでなんとか滅亡から逃れられる。」
ヤゴウはお茶を一気に飲んで立ち上がった。
クワ・トイネの要請はすぐに猟全政府に伝えられた。猟全政府は要請を受諾し、派兵を決定。
受諾から二日後に援軍を乗せた船団が猟全を出発した。
○●
4月6日AM11:23
ギム防壁上
「遅すぎる。今にも攻撃が始まるというのにっ!」
ロウリア王国との国境近くに位置する都市ギムの防壁上で
西部方面騎士団団長のモイジは苛立たしげに叫んだ。
国境ではロウリア王国軍が集結しつつある一方でクワ・トイネはモイジの応援要請に対して、
現在予備役召集中と返答。そして昨日になって最近国交を結んだ猟全共和国からの援軍の先遣隊が今日到着予定との返答を返した。以降それ以外の返答はない。
「このままではギムを放棄することになるぞ。」
上層部の対応に焦るモイジ。そんな彼のもとに伝令が走ってきた。
「報告!。北の方角の空に多数の騎影を確認。ワイバーンではありませんが
向こうからの魔信で友軍と報告がありました。」
「なんだと? すぐ向かう。」
モイジは伝令と共に北門に向かった。
○●
北門に着いたモイジが見たのは、やかましい音を立てる真上に大きな風車に似たなにかを
着けている金属奇妙な形の物体とそこから荷物を下ろす見慣れない姿の兵士だ。
兵士の服装は部隊によって統一されており、モイジは傭兵団の集まりのようだと感じた。
兵士たちから階級の高そうな人物が副官らしき人物とともにこちらに近づき、
騒音に負けない大声でこちらに呼び掛ける。
「我々は猟全共和国からの援軍です!。そちらの指揮官はどちらにいらっしゃいますか!」
「私だ!」
モイジは大声で叫び、近づいた。
「私は猟全共和国クワ・トイネ救援隊先遣隊指揮官の
「私は西部方面騎士団団長のモイジだ。援軍に感謝する。」
両方の指揮官が互いに挨拶を交わす。椰子木の副官が後ろで作業する兵士たちに命令を下す。
「
許可が下り次第ギム市内へ運び入れろ。」
「避難民をあれに乗せるのか?。あんなもので避難民を乗せるのは・・・」
副官の言葉にモイジは怪しげにあんなもの――――ヘリコプターを見ながら椰子木に尋ねる。
「これで避難民をエジェイ近郊まで運びます。見た目はともかく全部合わせれば
二百人以上を三十分程度で運びますよ。」
「馬鹿な。短時間で運べるはずがない。」
モイジが信じられないと訝しげに表情を浮かべるが、椰子木は笑いながら言った。
「ご安心を。現在この場に着陸しているヘリコプターは、一番遅い機体に合わせても
時速160km程で500km以上離れた場所へ移動できます。ワイバーンと戦うのは厳しいですが、
輸送能力についてはこの兵力と資材の全てを運んだので自信を持って高いと言えます。」
この言葉にモイジはしばらく逡巡するが、ロウリア王国の軍勢のことを思い出し、
一先ずはこの猟全共和国の隊長と副官を司令部に案内することにした。
○●
椰子木率いる先遣隊はギムへ入り、市内で休息をとっている。椰子木と副官はモイジの案内のもと司令部に入った。
現在西部方面騎士団の司令部が置かれているのはギムの役所の大会議室だ。
大会議室にはモイジを筆頭に西部方面騎士団の将官が待機していた。
机の上にはギムと周辺を表した地図が設置されている。
地図の上にはクワ・トイネ軍とロウリア王国軍を示す駒がそれぞれ
ギム周囲と国境方面に置かれている。そこに北の海とギムに猟全共和国軍を示す駒が置かれた。
「本隊は十日に到着すると言うことか。」
「はい。我々と同時に船団を発ったヘリ部隊と船で運ばれている一部の部隊は
エジェイ近郊で今回の我が国の拠点となる特設飛行場の建設と管理等でそこに常駐しますが、
他はギムに向かいます。」
モイジら西部方面騎士団の面々が椰子木から援軍の状況の説明を受ける。地図上のエジェイ近郊に猟全が建設予定の飛行場を書き記された。
「なるほど。ところで一つ確認したいのですがよろしいでしょうか?」
「何でしょう?」
「先ほど見た兵士たちは服装が統一されていないようですがあれは一体?」
クワ・トイネの将官の一人が質問をする。椰子木の副官が答える。
「今市内で展開している援軍は民間軍事会社――――こちらだと
傭兵に相当する者たちが主力として参加しています。」
「傭兵か・・・」
傭兵と聞いてクワ・トイネの面々が顔をしかめる。
傭兵と言えば早急に手練れを用意できる利点があるが、戦場に於いては略奪を行い
戦争を長引かせる要因の一つになる。
「傭兵と言っても、全員軍の指導を受けており、高い規律を持っていますので市内での犯罪行為は行われませんよ。」
椰子木が説明したが、騎士団の面々は疑念を解消せずに難しい表情を浮かべ続ける。
騎士団の一人が質問した。
「国軍はどうしたのだ?」
「我が軍は現在戦力が整っておらず、戦力が整い次第ロウリア王国西部沿岸から上陸し、そこから首都に直接向かいます。」
「なるほど。」
椰子木の説明に質問をした騎士が納得する。現在国境に展開しているロウリアの部隊は
かなり大規模で恐らくは主力となるだろう。
逆を言えば国境と正反対の西部沿岸部は無防備かかなりの手薄だ。
そこを攻撃すれば挟み撃ちにできる。猟全軍の動きは合理的と言える。
猟全の動向を聞いたところで、議題がギムの防衛策に移行する。
騎士団と先遣隊の会議の末に決まった内容はこうだ。
まず通電した鉄条網と地雷から構成される障害物を設置。その後方に自爆用の爆薬を設置した陣地を配置しこれを障害物と合わせ一つの防衛線を構築。
この防衛線をギムの城壁と合わせて三つ構成する。エアカバーはクワ・トイネの飛竜部隊に加え、後続部隊の対空自走砲と戦闘機が担う。
「今言った罠は効果があるのか?」
「はい。我が国でも実際に使用し高い効果を得ています。」
椰子木の言葉にモイジは顎に手を当てた。現時点でクワ・トイネにロウリア王国の展開している部隊がないことはモイジは理解している。
猟全共和国は未知の塊であるが、ロウリア軍を撃退できる可能性があるならこの際猟全共和国の
作戦に乗る方がいいかもしれない。モイジは決断した。
「防衛作戦はこれにする。異論はないな」
モイジの言葉に誰も意見を言わない。全員この作戦に異論はないようだ。
「よし。各自これを元に行動してくれ。」
「「「了解!」」」
騎士団の面々が自分達の受け持つ場所へ移動する。
「椰子木殿も頼みました。」
「任せてください。」
椰子木達も部隊に戻っていく。
斯くてギム防衛作戦の準備が始まった。
元ネタは「ウルトラ作戦第一号」
いよいよ異世界での戦争ということで言わずと知れたウルトラマンの記念すべき
第一話を使いました。
まだ戦っていませんが、次回には戦わせます。
ウルトラマンの過失致死から始まった物語がここまで続くとはなんとも感慨深いです。
どうでもいいですけど昭和ウルトラシリーズで最初から防衛チーム所属なのって
ハヤタだけなんですよね。
後は古い順から風来坊、自動車整備士、パン屋と看護婦、ボクサー志望、
スポーツセンター指導員、宇宙ステーション職員、教師。
防衛チームの人事って一体・・・