オリジナル国家を日本国召喚に召喚してみた。   作:ATD-X

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ゆゆゆの二次創作にはまり、いつの間にかこんな時間に。


第十一話「ロウリア軍を撃て」

4月12日AM05:24

クワ・トイネ公国――ロウリア王国国境周辺

第五監視掩体、ポスト5

 

 

「アル。何だか嫌な予感がするぜ」

 

「その台詞を聞いたのは六度目だぞ。ジョン」

 

 

ヘルメットを被っている中年の白人男性がアルと呼ばれた熊の獣人にそう突っ込まれた。

 

国境を監視するために作られた掩体で二人の男が銃を構えながら警戒を行っていた。

ジョンは無線電話の傍でM1ガーランドを、アルは38式軽機関銃(ブレンガン)をそれぞれ構えている。

 

ジョンは援軍として派遣された民間軍事会社所属の傭兵で

アルはクワ・トイネ公国ギム守備隊の兵士だ。

 

何故クワ・トイネの兵士と猟全の傭兵が組んでいるのか?

それはクワ・トイネの兵士が科学で製造された通信機器の取り扱いになれていないからという

単純な理由だ。

当初は不安視された組み合わせだが特に問題なく、現状に至る。

 

 

「俺には息子がいるんだが、ジョンは何人いるんだ?」

 

「娘と息子がいる。今は女房と別居中で別に暮らしてるがな」

 

そう言って憂鬱そうにジョンはため息をついた。アルが話しかける。

 

 

「別居? 何でまた。」

 

「女房はナカトミって貿易商社の猟全支社に子供を連れて配属。俺は失敗してすぐ戻ると

高をくくってそれについていかず傭兵として働いて・・・そしたら女房が成功して

俺より稼ぐようになって。俺は意地張って猟全に行かず。

それで実質別居中になっちまったわけさ。暫くして乗ってた船が猟全の転移に巻き込まれた。」

 

 

ジョンは再びため息をつく。そんなジョンをアルは笑って慰めた。

 

 

「良かったじゃないか。」

 

「ああ?」

 

 

アルの言葉にジョンは怪訝そうにアルの方へ向いた。

 

 

「転移に巻き込まれなかったら一生家族と再会できないままだったかもしれないからな。」

 

「・・・それもそうか。」

 

笑みを浮かべ、ポジティブな発言をするアルにジョンも釣られて口角を上げる。

さらにアルが言葉を続ける。

 

 

「今度家族と一緒に遊びに来いよ。歓迎するぞ」

 

「ああ。子供とも遊ばせてやりたいな」

 

 

二人の間に和やかな空気が流れる。二人とも妻子持ちな為に会話が弾む。

笑いながら会話をするジョンとアル。アルが国境を見ながら喋る。

 

 

「それで子供たちと一緒に俺とお前の女房の料理――待て。」

 

 

不意にアルが言葉を途切らせ、国境を見つめた。

 

 

「どした?。うちの女房の飯が不味そうってのか?」

 

「違う!。国境を見てみろ。」

 

 

アルの言う通りに国境を向いて双眼鏡を覗く。

 

 

「何々?。・・・お客さんの来訪か。」

 

 

ジョンは電話の受話器を取った。

 

 

「CP、CP。こちらポスト5。」

 

『CP。ポスト5、何があった?』

 

「敵だ。奴さん方ついにおっ始める気だぞ。ロウリア軍が真っ直ぐ此方に向かってくる。

ワイバーンも一緒だ!」

 

『了解、直ちに防衛線まで退避せよ。通信終わり。』

 

「了解。終わり。」

 

 

ジョンはアルの方へ向いた。

 

 

「本部から退避せよだとよ。ずらかるぞ。」

 

「あいよ。」

 

 

二人は掩体の中の資料と無線電話を持って、近くに停めてあったジープに向かう。

ジョンが運転席に座り、アルは機関銃をジープの銃架に取り付け構える。

ジープは防衛線へ向かった。

 

 

 

○●

ギム第一次防衛線塹壕

 

 

防衛線に設けられた塹壕内部ではロウリア王国東方討伐軍の接近を今か今かと

多数の部隊が待ち構えていた。既に小銃や機関銃といった小火器や迫撃砲等の重火器が、

戦車や装甲車、対空自走砲等の機械化部隊が敵方に向けられている。

 

 

「隊長。司令部より入電。航空隊が敵のワイバーンと接敵。

それと全歩哨の後退を確認したとのことです。」

 

「わかった。」

 

 

塹壕の内部に幾つか設けられた小隊指揮所の一つで伝令の報告を受けるとある小隊長。

彼は塹壕から頭を出して双眼鏡を覗き込み、接近するロウリア軍を観察した。

上空では自軍のレシプロ戦闘機とロウリアの飛竜隊が先んじて戦っている。

数はロウリアが勝っているものの、撃墜されているのはワイバーンのみでレシプロ戦闘機は物量をものともせずにロウリアの飛竜隊を翻弄している。

地上ではロウリア軍の歩兵や騎兵が前進してくる。その後ろに攻城兵器が追従している。

 

 

 

「もうちょいで有刺鉄線に接触しそうだな。」

 

「隊長。司令部より迫撃砲で催涙弾を敵集団に撃ち込むとのことです。」

 

「了解。」

 

 

双眼鏡を覗き込みながら通信兵に返事をする小隊長。

暫くして後方から炸裂音が響き渡り迫撃砲弾が敵集団の半ば辺りに撃ち込まれる。着弾したところから白煙がもうもうと舞い上がった。それに巻かれた騎兵の馬がパニックを起こし暴れ出し、

騎手や周囲の兵士達が巻き込まれた。兵士達も咳き込みながら堪らず走り出す。

一方で範囲外にいた最前列の兵士達も後ろの異変に気付き、走り出す。

しかし、走り出した先には通電された有刺鉄線が張り巡らされている。

有刺鉄線に気付いた兵士たちは止まろうとするも、後ろにいたために気づかなかった

兵士達に押され、或いはぶつかり合い転倒するものが続出する。中には有刺鉄線を乗り越えようとするものもいる。が、大電流により感電し、バタバタと倒れる。

有刺鉄線が危険な物だと気付いた兵士達は後退しようとするも、催涙ガスから逃げようとする

兵士達と衝突し身動きができなくなる。

 

 

「釘付けになったぞ。」

 

「射撃命令が来ました!」

 

「よし。射撃開始!」

 

 

塹壕から機関銃と小銃が、迫撃砲に一部の対空機関砲が一斉に射撃する。曳光弾を交えた弾幕が

ロウリア軍に殺到する。有刺鉄線により身動きができないロウリア兵達がバタバタと薙ぎ倒され、或いは砲撃により弾け飛ぶ。

僅かに弓矢や攻撃魔法で反撃を行うものや治癒魔法を詠唱するものもいるが、反撃として放たれた攻撃は塹壕には届かず、治癒魔法も余りの負傷者に対応しきれていない。

 

 

「敵飛竜接近!」

 

「対空戦闘用意!」

 

 

地上の様子を確認したワイバーン部隊の一部が戦闘機を振り切って防衛線に突撃する。ロウリア軍の兵士達が突撃するワイバーンを見て、戦意を再び滾らせ前進を再開する。

小隊長の命令で一部の歩兵が小銃をワイバーンに向ける。そして小隊内の対空火器――対空銃架に備え付けられ、百発入りドラム弾倉を装着した38式軽機関銃がワイバーンに対し向けられる。

塹壕にいる他部隊も対空機銃やロケットランチャーを向け、塹壕の後方に控えている対空自走砲や戦車の対空機銃もそれぞれの指揮官から命令を受け仰角を上げ、ワイバーンを狙う。

 

 

「撃てぇ!」

 

38式軽機関銃がワイバーンに対し銃撃を加える。

それとほぼ同時に塹壕の後ろで待機していた自走対空砲が射撃を開始。弾幕を張る。

歩兵部隊から放たれた小銃弾と優秀な照準機を備えた多数の機関砲による

曳光弾や時限信管やVT信管を備えた炸裂弾を交えた濃密かつ精密な弾幕にからめとられて

次々と墜ちていくワイバーン。墜ちていくワイバーンを見たロウリア軍は恐慌状態に陥る。

常識ではワイバーンは十騎もいれば一万人の歩兵を足止めできると言われるほどの強力な戦力だ。そのワイバーンを敵が容易く撃ち落とす光景は、ワイバーンを最後の頼みとしていた

兵士達の士気を完全に破壊した。

指揮官が大声で指示をするも、恐慌状態に陥った兵士たちには届かずロウリア軍は完全に

統制を失ってしまった。

 

 

「敵は逃げ腰だ! 火力で圧倒しろ!」

 

「情け容赦無用。Fire!」

 

 

統制を失ったロウリア軍に追い討ちを掛けるように激しさを増す弾幕。激しい弾雨はロウリア軍が戦場からいなくなるまで続いた。

その後も幾度とロウリア軍は防衛線を食い破ろうと果敢に攻撃を行うも、その度に撃退された。

この日のロウリア軍の戦果は一部のワイバーンが民間軍事会社の戦闘機部隊を振り切り、

火炎弾で塹壕に直撃弾を数発当てただけだった。

クワ・トイネ・猟全連合とロウリア軍との最初の戦闘はロウリア軍の敗退で終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○●

 

ギム役所司令官室PM19:08

 

市民の避難が終わり、民間人がいなくなったギム市内では兵士たちが

初戦での勝利を喜びあっていた。

ギムの役所内の司令官室でモイジと猟全側の指揮官である柴山大佐も

初戦での勝利を喜び合うと共に今後の状況について話し合っていた。

 

「あの軍勢に一歩も防衛線を退かずに撃退できるとは。心から感謝します。」

 

「まだまだ戦いはこれからですよ。」

 

 

そう言って柴山大佐は手元のお茶を口に含む。

 

 

「現状の戦力でギムを守りきれると思いますか?」

 

「いや、何とも言えません。航空戦力の差が痛いですね。」

 

 

 

ギムの防空は敵の上空に猟全から派遣された民間軍事会社保有の戦闘機部隊が展開し

後方は対空自走砲とクワ・トイネの飛竜隊が担ってる。戦闘機部隊は個々の性能ではワイバーンに勝っているものの、数では敵が勝るためどうしても戦闘機を突破するワイバーンが出ていた。

最も突破されたとしてもクワ・トイネの飛竜隊や猟全の対空火器で迎撃可能なため現時点では

致命的な被害は無い。

 

 

「せめて日本が早期に参戦してくれればギム防衛どころか

ジン・ハークまで一息に制圧できるのですが。」

 

「日本はそこまで強いのですか?」

 

「我々から見れば五十年も先の技術水準ですから。

まあ、平行世界なので我々の知る日本とは違うところもありますね。」

 

 

日本大使館や猟全からの情報によれば、日本は食糧難の危機に関わらず

未だに自衛隊の派遣を決定していない。平和憲法を制定しているためか自分達の知る日本と比べ

戦争への介入にあまり積極的ではない日本に猟全政府や軍は辟易としている。

 

 

「腰に鉄塊でも入れてんのかねぇ。」

 

「腰に鉄塊?」

 

「いや、何でも。ところで我々の武器を装備した貴国の兵士についてなんですけども――――。」

 

 

司令官室では、二人の指揮官による話し合いが夜遅くまで行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○●

4月22日クワ・トイネ公国政治部会

 

 

「現状を報告せよ。」

 

 

カナタ首相の命令に軍務卿が答える。心なしか顔が蒼い。

 

 

「現在ギムはロウリア軍に包囲され、猟全共和国の援軍と西部方面騎士団が防衛戦を行っており、すぐ陥落するような状況ではないですが、早めに状況を打破する必要があります。

民間人は先んじて避難しており被害はございません。しかし、奴等の先遣隊は三万。

更にスパイからの報告では五十万もの兵力が主力として控えており、水軍も四千隻以上の艦隊が

マイハークに向けて出港したとの事。また、列強国のパーパルディア皇国が、

彼らに軍事支援をしているとの未確認情報もあり、現にロウリアは今回五百騎のワイバーンを

投入してきております。」

 

 

軍務卿からの報告に政治部会のメンバーが言葉をなくす。

猟全共和国という強力な友軍ががら空きとなっているロウリア沿岸部を攻めるとはいえ、

予備を含めたクワ・トイネの総兵力の十倍の兵力が。

さらに五百騎ものワイバーンと四千隻の水軍が加わる。

あまりの戦力にクワ・トイネの政治部会は絶望に包まれた。

しかし、それを気にしていないかのように外務卿のリンスイが手を挙げた。

 

 

「まだ凶報があるのか?」

 

「いえ、吉報です。絶望に沈むには早いですよ。」

 

「何だと?」

 

 

リンスイの言葉に政治部会にいる面々がリンスイに注目した。

 

 

「実は政治部会が始まる直前に日本大使館から連絡がありました。」

 

「内容は?」

 

「全文を読み上げます。

日本政府は武装勢力によるクワ・トイネ並びに駐留する猟全人へのテロ行為は容認できない。

クワ・トイネ政府に徹底した取り締まりを要望する。尚、クワ・トイネ政府から要望があれば

武装勢力排除の為の自衛隊を派遣する用意がある。との事です。」

 

 

リンスイの読み上げた日本の声明に政治部会にいる面々は当初は首を傾げるものの

徐々に内容を理解し、目を見張った。絶望が薄れていく。

 

 

「援軍を送ってくれるということか!?」

 

「遠回しではありますが。彼等は武力で紛争を解決することを憲法で禁止しておりますので、

かなり無理矢理ですがロウリア王国を国家と認めず武装勢力と表記したと思われます。

こちらから要望すれば援軍を送る意味になるかと。」

 

 

リンスイの解説がなされた政治部会で絶望に沈んでいた空気が一気に明るくなった。

 

 

「よし、日本へ武装勢力排除の為の応援を要請しろ。兵糧はこちらで準備する旨と

武装勢力排除まで領土、領空、領海の往来の自由を認めると伝えろ。

軍務卿!全軍に日本へも全面協力するように伝えろ!」

 

「了解しました!」

 

 

カナタの命令に大臣や閣僚が大きく返事をする。

政治部会ではその後日猟へ供給する物資策定や軍の編成。猟全から供給された武器への習熟など

ロウリアへの反撃に向けて様々な事が決められた。

政治部会終了後に各大臣や閣僚は定められた計画を遂行するため、速やかに動き始めた。




サブタイトルの元ネタは
ウルトラマン第二話「侵略者を撃て!」
ウルトラマンとバルタン星人と人類の因縁の始まりです。
撮影スケジュールでは一番最初に制作されたエピソードだそうで。
個人的には軽いノリで核ミサイルを都心にいるバルタン星人にぶっ放して
その爆発が核とは思えないくらい小さかったのが印象に残ってます。

キエテ・コシ・キレキレテ
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