オリジナル国家を日本国召喚に召喚してみた。   作:ATD-X

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お待たせしました本編です。


第十三話「エルフSOS」

四月三十日PM13:20

クワ・トイネ政治部会

 

「以上が本海戦の概要になります。」

 

 

ブルーアイは報告をしながら政治部会に座っている閣僚を見た。

全員ブルーアイの報告に信じられない表情を浮かべている。

 

 

「では何か。日本と猟全はたった二十隻の艦隊で四千四百隻のロウリア艦隊に挑み

二千三百隻を海の藻屑にすることで戦意を喪失させ撃退。挙げ句の果てにワイバーン二百騎の

空襲を僅かな航空支援と共に全て撃墜し、無傷で戦いを終わらせたということか?。」

 

「いえ、日本の軍船みょうこうが火矢で塗料が剥がれてます。」

 

「そんなものが損害に入るわけないだろう。」

 

 

ブルーアイも困った顔を浮かべながら内心で同意した。

損害が白紙のままでは報告書を信じてもらえないと思い、ダメ元で書いたのだ。

 

 

「日本と猟全の死者はゼロで我が艦隊は出る幕さえなかったようだがそれでこんな戦果を?。

君が嘘を言うことも思えないが、こんな戦果お伽噺でもあり得ない。あまりに現実離れしすぎて

信じられないのだよ。」

 

 

外務卿リンスイの言葉はこの場にいる閣僚全員の気持ちを代弁していた。

 

 

「報告書には大規模爆裂魔法で敵の船とワイバーンを撃滅したとあるが、

日本と猟全は魔法が使えないのでは?」

 

 

「大規模爆裂魔法の()()()ものです。あの攻撃は魔法とは思えませんでしたが、

私の知る限りあれに類似するのは大規模爆裂魔法だけなのでこのように表現しました。」

 

「魔法なしでこんな戦果挙げられるか。」

 

 

ブルーアイの言葉に出席している閣僚たちはヤジを飛ばす。本来なら亡国の危機を凌げたから

喜ばしい状況なのだが、日本と猟全が挙げた前代未聞の戦果により、戸惑いや恐怖の感情が

大きくなっている。

 

 

「いずれにせよ、海からの侵攻はこれで防げた。これだけの大被害を被ればロウリア王国でも

海から電撃戦を仕掛ける事は時間が掛かるだろう。」

 

 

カナタ首相の発言に軍務卿が答える。

 

 

「そうなります。陸の方もギムでモイジ団長や猟全の傭兵が寡兵ながら

善戦して持ちこたえております。ただ、海からの侵攻を阻止した以上、ロウリアは地上侵攻の

足がかり確保のためギムへ攻撃を集中させるでしょう。」

 

「早急に援軍を送ってくれ。あの軍隊を用意するのに相当の負担を負っているはずだ。

海からの侵攻に備える必要がなくなった今、ギムの敵さえどうにかすればロウリアは当面

我が国への侵略を行えないだろう。」

 

「了解しました。」

 

 

軍務卿の言葉にカナタ首相は指示を送る。カナタ首相はこの援軍の到着をもってギム近辺の

ロウリア王国軍をクワ・トイネ領土から叩き出すつもりだ。

軍の動向について一段落した後、今度は外務卿リンスイが発言した。

手元には大陸共通語で書かれた申請書が握られている。

 

 

「日本の動向ですが、我が国に城塞都市エジェイの東側のダイタル平野に設立された

猟全の基地への駐屯と増設および拡張の許可を求めています。

尚、猟全にも同様の要請がされているようです。」

 

「猟全の基地?。あれだけ広いのにまだ大きくすると言うのか。」

 

 

カナタ首相に申請書が回される。回されたのは土地の貸し出し申請書で、すでにサイン欄は

埋まっており、後はカナタ首相のサインだけとなっている。

猟全が建設した仮設基地は、クワ・トイネの基準からすれば大規模な基地に相当する。

カナタ首相は拡張に疑念を抱いたが、すぐに軍務卿が答えた。

 

 

「日本へ行ったハンキ将軍の報告によれば

現在の猟全の基地の規模では日本の鉄竜を運用するのは難しいそうです。」

 

「なるほど。外務卿、日本に全て許可するように伝えてくれ。」

 

「了解しました。」

 

 

本来ならある程度の反発が起きそうな提案だが、誰もが猟全と日本の手を借りなければ

ロウリアとの戦争を乗り切ることができないと分かっていたため。

そして強大な二カ国が自分たちに牙をむくことを恐れたため、反対意見は出なかった。

許可から数日後、未舗装の短い滑走路、掘っ立て小屋のような航空機格納庫と車輌格納庫、

そして簡素な管制塔から構成された猟全の仮設基地は、自衛隊の手により短期間で

大規模な陸空の複合基地に生まれ変わり、クワ・トイネと猟全の兵士を唖然とさせた。

 

 

 

 

 

●○

 

 

 

 

ロウリア王国

王都ジン・ハーク、ハーク城

 

 

王城ハーク城の一室で、国王ハーク・ロウリア三十四世は

将軍パタジンから戦況の報告を受けていた。

報告を聞いた王は激怒しながらも、冷静に詳細を聞いていた。

 

「あれほどの大兵力をもってしても未だギムを落とせず海軍も負けるとは・・・。」

 

 

開戦劈頭のギムの奇襲では猟全という新興国家の傭兵部隊が参戦。

三万もの先遣隊の猛攻を防ぎきり、本隊が到着した現在でも攻撃を防ぎ続け

戦況は膠着状態に陥った。

先のロデニウス沖大海戦では猟全に加え日本という新興国家が参戦し、航空支援のために出撃した王都防衛騎士団に所属のワイバーン二百五十騎全てが撃墜され、艦隊も半分ほどの二千三百隻が

撃沈され、指揮官の海将シャークンも戦死

――――実際は捕虜になっているがロウリアは知る由もない――――してしまった。

 

 

「申し訳ありません。まさか日本と猟全が此処までの戦力を保有していたとは・・・。」

 

 

将軍パタジンは謝罪しながら日本と猟全の情報を集めることを誓う。

ロウリア王国が日本と猟全共和国と初接触したのは日本と猟全が国交を求めてロウリア王国に来訪したときだ。来訪時はクワ・トイネと友好関係を結んでいるとの理由で門前払いをしているが、その時の外交官の反応で両国ともにワイバーンを保有していない

事から、蛮国と見なされ、ロデニウス大陸統一には支障がないと判断された。

実際はかなりの軍事国家だったのはロウリア王国の致命的な誤算だろう。

 

 

「彼らはワイバーンも知らぬ野蛮な国家ではなかったのか?。

いや、そもそもこの報告は誤報ではないのか?。」

 

「軍の被った被害は本物で目下詳細を調査中であります。

戦闘の経緯も精査中ですが余りにも非現実的な証言が多く・・・。」

 

 

パタジンの言葉にハーク・ロウリアは瞑目しながら米神を押さえる。ロデニウス大陸統一計画が

破綻しかけている状況にハーク・ロウリアは頭痛を引き起こした。

米神から手を離したハーク・ロウリアは指示を出した。

 

 

「とにかくギムを落とせ。海上からの侵攻が失敗した今地上の大軍をもって

クワ・トイネを叩くしかないが、ギムを落とさねばそれすら出来ん。」

 

「はっ。」

 

 

ロウリア王国は被害を堪えつつギムに更なる大軍を送り込み制圧することを決定した。

 

 

 

○●

五月二一日

ギムより東10km

 

クワ・トイネの政治部会が自衛隊の受け入れを決定し、ダイタル平野の基地が拡張している頃、

ギムから離れた平野部でエルフの一団が必死の形相で歩いていた。

荷物は最低限の手持ちの品のみで最後方では若いエルフが後ろを警戒している。

彼らはギムの近くに存在する農村に住むエルフだ。元々閉鎖的な環境だった事が災いし、

ロウリア王国との開戦の情報の伝達が遅れ、

気付いた時には既にロウリア軍がギムに攻め混んでいた。

慌てた村民は、持てるだけの荷物を持ってエジェイへ避難していた。

 

 

「大丈夫だ。兄ちゃんが付いてるからな。」

 

 

避難民の一人である少年のパルンは妹のアーシャに声をかけた。兄妹の両親は母親は亡くなり、

父親はロウリア王国との緊張が高まった時に予備役として村の男達と共に召集されている。

 

「俺がいない間はアーシャを頼んだぞ。」

 

パルンは父親の言葉を反芻しながら前へ進む。

今進んでいる平野部は見通しが良く歩きやすい為、進みやすいが、それは敵にとっても同じだ。

一度捕捉されれば逃げるのは困難だろう。

見つからないように必死に祈るエルフ達。だが、祈りは天に届かなかった。

 

 

「まずい!。ロウリア軍だ!。」

 

 

後ろを振り向けば三キロほど離れた場所からロウリア軍の騎兵が土煙をあげながら迫っていた。

彼らに迫っているのはロウリア王国ホーク騎士団第十六騎馬隊だ。

隊長は赤目のジョーヴという男で元は山賊だったが、王国が勢力を広げた際に頭角を表し、

そのまま召し抱えられ、王国の騎士となった。

但し、素行は山賊のまま変わらず凶悪で気に入らない部下を戦死に偽装して殺害するなど

かなりの悪行を行っている。

 

「ギムが未だ落ちねぇからもて余してたが・・・まぁ、悪くない獲物だ。野郎共いくぞ!」

 

「「「ヒャッハァー」」」

 

 

野蛮な叫び声を出しながらエルフの避難民に突撃する騎馬隊。

エルフ達は恐慌状態に陥りながら逃げ出した。パルンは咄嗟に近くの荷車に積んでいた

手斧を片手にとり、もう片方の手でアーシャの手を万力のように

握りながら走り出した。アーシャが悲鳴を上げるもそれを無視ながら必死に逃げる。

しかし、騎馬と徒歩ではあまりにスピード差があり、徐々に距離が縮まる。

 

(誰か・・・神様。いるのなら助けてください!。)

 

 

パルンはロウリア兵が近づいてきた事に気付き、妹を背に構える。

ロウリア兵はいかにも素人感漂うエルフの構えを見て嘲笑する。

 

その時、二機の濃緑の戦闘機が空を切り裂きながら飛来し、パルンに突撃していたロウリア兵を

銃撃でズタズタに引き裂いた。

 

 

○●

 

 

「キュービリーダーより各機。攻撃開始!。避難民に当てるなよ!。」

 

「キュービ2了解。今さらそんなへまするかよ。」

 

「キュービ3了解。よっしゃー、やってやる!。」

 

「キュービ4了解。みんな、油断しないで。」

 

 

伏見機動警備所属の烈風四機が避難民を守るために展開。その後方には陸上自衛隊所属の

CH-47輸送ヘリコプターが飛んできている。彼らはパルン達エルフの村の救助に来た部隊だ。

事の発端はエジェイに避難したギムの商人が出入りしていたエルフの村の避難民がいないことを

不審に思い、クワ・トイネ政府に所在を確認したところ誰も避難していない事が発覚した事に

端を発する。

クワ・トイネの部隊では救助に時間が掛かるため、日本と猟全に避難民の救助を要請。

自衛隊からはCH-47が派遣され、万が一の護衛として予定が空いていた

伏見機動警備所属の戦闘機、烈風四機で構成されるキュービ隊が派遣された。

 

烈風には固定武装の30mm機関砲の他に、12.7mmガンポッドやロケット弾を搭載している。

12.7mmガンポッドと30mm機関砲が火を吹き、ロウリア兵を馬ごと打ち倒す。

ロケット弾が発射され、爆風でロウリア兵が吹き飛ぶ。

赤目のジョーヴが退却命令を出すも時既に遅し。赤目のジョーヴは機関砲で

バラバラに打ち砕かれ、残った騎兵もすぐに動かなくなり、あっという間に全滅した。

 

 

圧倒的な戦闘を目にし、呆然とするエルフ達の前にCH-47が着地し、後部ハッチを開放する。

中から89式小銃を構え周囲を警戒しながら自衛官達が出てきた。一人だけ拡声器を持っている。

 

「我々は日本国陸上自衛隊です。あなた方の救助に来ました。怪我人はいませんか?。」

 

 

自衛官の呼び掛けにCH-47に困惑しながら近づくエルフ達。

不安や疑問を口にするエルフ達の中で、一人の老人が上空で警戒する烈風に描かれた国籍マークに気付き驚愕した。更にCH-47にも同じ国籍マークが描かれた事に気付き目を見開き体を震わせた。

 

 

「な・・な・・・。」

 

「おじいちゃん?。」

 

「太陽神の遣いじゃ・・・。」

 

 

老人が呆然としながら呟く。老人の手を握っていた孫が首をかしげる。

老人は突然孫から手を放してエルフ達に叫んだ。

 

 

「静まれぇ!。こちらにおわす方々をどなたと心得る!。恐れ多くも古の時代に魔王の軍勢から人々を救い、そして此度も我らを救いに舞い戻ってきた太陽神の遣いであらせられるぞ!。」

 

「太陽神の遣い!?。」

 

 

若者の一人が驚きながら老人に聞き返した。

 

 

「あの空に浮かぶ鉄竜を見よ。嘗てわしが若かりし時に神森で見た太陽神の遣いの天の浮舟と全く同じ姿形。そして描かれている太陽の絵もこの浮舟と同じ太陽の絵。

すなわちこちらにおわす方々は太陽の神の遣いじゃ!」

 

 

老人の言葉にざわつくエルフ達。自衛官らは困惑しながらエルフ達の様子を伺う。

 

 

「皆のもの頭が高い。控えおろう!」

 

 

老人の言葉にエルフ達が一斉に土下座する。

これには自衛官らも慌てた。

 

「えっと、我々はそんな大したものではないので」

 

「すいません。早く乗ってください。」

 

「いやいやそんな畏れ多い。乗ることはできません。」

 

 

自衛官とエルフ達の押し問答に気付いたキュービ1がCH-47の一番機に無線を入れた。

 

 

『キュービ1よりキャリアー1、避難民の様子が妙だがトラブルか?。』

 

「あー、エルフ達に我々が神の遣いと判断されて、神の遣いの機体に搭乗する事が畏れ多いということで搭乗作業が始まらない。暫く待ってくれ。」

 

『・・・了解した。燃料に余裕はあるが、なるべく手短に終わらせてくれ。』

 

 

その後エルフ達を諌めた自衛官はエルフ達をCH-47に載せ、離陸。キュービ隊の援護のもと、ダイタル平野基地に帰還した。

 

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