オリジナル国家を日本国召喚に召喚してみた。   作:ATD-X

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お待たせしました。気がつけば最後の更新から三ヶ月以上
執筆速度が上がらない・・・


第十四話「逆転のヒューイ」

○●

5月31日PM20:25

ギムより東7kmクワ・トイネ公国軍ギム救援隊陣地

 

 

 

ロウリア王国からギムを守り撃退するため、ギムに向かって進軍するクワ・トイネのギム救援隊。

すでにギムで上がる砲火の輝きや黒煙が視認できる距離に入り、救援隊は厳戒態勢の状態で一夜を明かしている。

その中の一際大きな天幕でクワ・トイネ軍西部方面師団将軍のノウと参謀達はいた。天幕中央の机には地図と駒と水の入ったコップが置かれ、ロウリアへの作戦を練っていた。

そこに伝令が入ってきた。ノウに敬礼し内容を告げた。

 

 

「報告。避難が遅れていたエルフ達は日本と猟全の部隊により救出され、無事エジェイに到着したとの事です。」

 

「そうか。」

 

 

 

ノウ達は報告を聞いて一息ついた。

本来なら自分達が出向いてエルフ達を救出をするべきだったが、ギムへの救援とロウリアへの反撃の為に足の速い部隊は出払っており、既にエルフ達の村はロウリア軍の勢力圏内に入っており逃げ出していたとしても救出部隊の到着前に皆殺しにされる公算が高かったため、急遽自衛隊と民間軍事会社に要請してエルフ達を救出してもらった。この事にノウは歯痒い思いを感じていた。

伝令が退去したのを確認しノウと参謀達は再び作戦会議を行う。

 

 

「エルフ達はどうにかなったがギムにはいつ頃到達する?。」

 

「先遣の騎馬隊は翌朝に到着。全部隊となりますと昼前ごろの到着になります。」

 

 

ふむと頷きながらノウは地図を見つめる。地図上で駒が動かされ、ギムへと接近する。

ノウが質問した。

 

 

「日本の動きはどうなっている。」

 

「昼前にヘリコプターにてロウリア軍に警告を行って以降はギムを空から援護するための準備を行っているようです。」

 

「全く。何故ロウリア軍に警告を行う。ワザワザ敵に情報を与えるようなものではないか。」

 

「何でも日本の法律の関係でロウリア王国を犯罪組織として認定したため警告したそうです。」

 

 

参謀が自衛隊を示す駒を地図上のギムのそばに置いた。

 

 

 

「やはり我が軍をこれ以上速くはできないか?。」

 

「難しいです。今のペースでも無理をさせていますからこれ以上となると・・・。」

 

「分かった。流石に無茶だったか。」

 

 

ノウはそう言って、地図から目線を反らして虚空を見つめる。参謀の一人が質問した。

 

 

「何もそこまで急がなくても良いのでは?。ギムは今のところ陥落する兆候は見せていません。」

 

 

参謀の質問に、少し複雑な表情を浮かべながらノウは答えた。

 

 

「確かに、ロウリアの侵攻はうまく防げている。だがギムの防衛や海戦にエルフ達の救助と日本や猟全ばかりに活躍されて、我々は目立った活躍を行っていない。これでは存在意義を疑われる。

クワ・トイネの守護は我々が担うということを示さねばならん。」

 

 

ノウはそう言いながらコップを手にし、中の水を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

●○

6月1日AM05:38

ギム第一防衛線塹壕。

 

 

「Fu○king hell!!」

 

「ちかづくんじゃねぇ!」

 

 

ジョンは罵倒しながらガーランドを突撃してくる魔獣やロウリア兵に向けて乱射した。直ぐに弾が切れクリップが排出された。傍ではアルも対空仕様の38式軽機関銃を地上に向けて攻撃している。

 

夜明けの直前にロウリアが地下を掘り進む魔物を使い、地下を経由して第一次防衛線とその後方の第二次防衛線、迫撃砲や対空火器などの支援部隊に魔物とロウリア兵による奇襲攻撃を仕掛け、更に正面には魔導師を集中投入し、障害物を魔法で排除して大攻勢を仕掛けた。空中でもワイバーンを一気に大量投入し、クワ・トイネの飛竜隊や民間軍事会社の航空部隊と激しく戦っている。

予想もしていなかった奇襲に前線ではロウリア兵が猟全とクワ・トイネの兵士の間で混戦状態で組織だった行動が阻害されており、迫撃砲等の支援火力はロウリア軍の攻撃により砲撃を停止。戦車部隊もロウリア軍と味方の距離が近すぎて砲撃が困難な状況に陥っている。

 

 

「駄目です。混線していて通信ができません!。」

 

「くそ。仕方ない、後退!。ここじゃ不利だ!。」

 

 

既に一部の塹壕を越えられており、防ぐ目処がたっていない。このままでは包囲されると判断した隊長が後退を命じた。アルが銃座から38式軽機関銃を外し箱形弾倉を装着し、その場から離れた。

 

 

「了解!。そら置き土産だ!。」

 

「釣りはいらん。取っとけ!。」

 

 

クワ・トイネ兵の一人が手榴弾を数発連続で投げた。爆発と共にロウリア兵や魔獣が吹っ飛んだ。そこに追い討ちで民間軍事会社の隊員がドラムマガジンを着けたトンプソンサブマシンガンを連射し、たちまち魔獣と兵士が怯んだ。

 

 

「よし、全員後退!。」

 

 

互いに援護しながら次々と塹壕から這い上がる兵士達。全員が這い上がり終わり、隊長が叫んだ。

 

 

「車両を使うぞ。ジープとトラックは!。」

 

「畜生!、あっちでムカデが噛ってます。」

 

 

駐車してあった車はムカデのような魔獣により無惨な姿に変わりつつある。

 

 

「ああ、なんてこった。走れ!。」

 

 

隊長が悪態をつきながら命令を下し、部隊は第二次防衛線に向けて走り出した。立ちふさがる魔獣やロウリア兵を退けつつ退却する彼らの目の前に、一際大きい熊のような魔獣が立ちふさがった。

 

 

「邪魔だ!、死ねぇ!」

 

 

兵士の一人がトンプソンサブマシンガンを連射。ドラムマガジンではなく箱形弾倉だ。しかし全弾撃ちきったのに関わらず魔獣は倒れずそのまま襲いかかった。食いちぎろうと覆い被さり顔を近づける魔獣に、咄嗟にトンプソンサブマシンガンを盾にする兵士。

 

 

「ぎぇぇぇぇ!。俺を食うなぁ!」

 

「そのまま動くな!。」

 

 

クワ・トイネの兵士が襲われている兵士を助けるため、05式歩兵銃を片手に剣を腰の鞘から

抜き出して眼孔に突き刺した。激痛で魔獣が立ち上がり悶え、その隙に覆い被された兵士は離れた。クワ・トイネの兵士は膝撃ちの体制で魔獣の喉元に狙いを定め、引き金を引いた。

放たれた銃弾は狙いどおりに喉元に飛び込み、そのまま頸椎を貫通した。更に駄目押しでもう一発撃ち込み魔獣は仰向けに倒れた。

魔獣は少し痙攣したあと力を失い、そのまま倒れて動かなくなった。

 

 

「助かった。よく当てたな。」

 

「まぐれですよ。次は自信ないです。」

 

 

クワ・トイネの兵士の手を借りて兵士は立ち上がる。隊長が背中に背負っていたソードオフの自動散弾銃―――オート5を手にしながら声をかけた。

 

 

「拳銃弾じゃ効果は薄いようだな。こいつを使え。」

 

「ありがとうございます。」

 

「バックショットにスラグが二十発ずつだ。」

 

 

隊長がサブマシンガンを失った隊員にオート5と弾薬を渡した。

熊のような魔獣を撃破した部隊は再度走り出し、ロウリア兵や魔獣を倒しながら後退を続けた。

38式軽機関銃を撃ちながらアルが叫んだ。

 

 

「おい、車が近づいてるぞ。」

 

 

次の瞬間、アルの38式軽機関銃より遥かに強力な掃射が魔獣やロウリア兵をなぎ払った。

その発射元であるハーフトラックが近くに停車した。

 

 

「こっちは全員無事だな。さあ、乗れ!」

 

「すまん、恩に着る!。」

 

「お礼は酒で頼む!。」

 

 

ハーフトラックのハッチが開かれ、ジョン達を収容し始める。ハーフトラックの銃座に着いていた兵士がM2重機関銃を撃ちジョン達を援護する。収容が終わるとハッチが閉鎖され、ハーフトラックは発進し、ギムへ全速で向かう。

 

 

「どけどけ!、ロレンツォ様のお通りだ!。」

 

 

装備している重機関銃や収容した部隊の銃撃で魔獣やロウリア兵を撃ち倒し、時に轢いて移動するハーフトラック。

止められるものが周囲にいないことに、全員が安堵の表情を浮かべる。しかし、銃座についていた血相を変えて兵士が叫んだ。

 

 

「ヤバい!、ワイバーンだ!。」

 

 

銃座の兵士が気付き上空のワイバーンに向けて重機関銃を撃ちまくり撃墜する。ワイバーンが錐揉みになりながら墜落する。それをみた兵士達が歓声を上げた。

 

 

「よっしゃ!。」

 

「やるじゃないか!。」

 

「おい、味方の戦闘機はどこ行った?。ワイバーンもいないぞ!。」

 

「さっきまで戦ってたのに・・・墜とされたか?。」

 

 

兵士達が上空の戦況に気づいた。

開戦当初からロウリア軍は多数保有するワイバーンによって物量に任せた航空攻撃を仕掛けた。

民間軍事会社連合とクワ・トイネはこの数的不利を補うため、質で勝る民間軍事会社の航空部隊をクワ・トイネの飛竜隊を支援する形で戦わせることでロウリア軍と立ち回る作戦に出た。

最初の航空戦であえて航空部隊を積極的に前に出すことで、ロウリアの飛竜隊に対し戦闘機という強力な戦力を認識させ飛竜隊にプレッシャーをかけた。その後航空部隊は上手くローテーションを続けクワ・トイネの飛竜隊を援護することで数の不利を補っていたが今回の大攻勢により民間軍事会社の航空部隊は弾薬を欠乏。クワ・トイネの飛竜隊も航空部隊の援護を受けられなければロウリアのワイバーンの物量に壊滅することが一目瞭然であったため撤退。ロウリアはギムの航空優勢を遂に確保した。

 

 

 

「対空戦闘用意!。戦闘機は弾薬の補給だ。これからは俺たちだけでトカゲどもの料理だ。好き嫌い言わずに全部平らげて見せろ!。」

 

「「「了解!。」」」

 

 

荷台で隊長が檄を飛ばして命令する。兵士達は魔獣やロウリア兵自分達の銃を地上からワイバーンに向けた。

ふと、アルの耳が何かの音を捉えた

 

 

「ん?。なんだこの音は・・・音楽?。」

 

 

アルの耳がピクリと動き、アルはギムの方へ視線を向けた。

 

 

 

 

 

◯●

同時刻ロウリア軍本陣

 

 

 

「ヒャッハハハハ、遂にギムを落とせるぞ。亜人どもめ散々手こずらせてくれたな!。」

 

 

航空優勢を取られ徐々に押され始めたギムの守備隊を見て、アデムは高笑いした。

初戦から敵の未確認の攻撃や陣地で激しく損耗したが、回を重ねる毎に少しずつ経験を重ね対策を練った。

そして遂に本隊と直掩の飛竜隊や自らの配下である魔獣を地中、地上、空の三方面から奇襲をかけて敵の対応力の飽和を試みた。障害物も度重なる攻撃である程度除去しておりその能力を減退させている。ロウリア軍はこの大攻勢で完全に防衛線を突破し、ギムを陥落させるつもりだ。

 

 

「一時はどうなるかと思いましたが、ようやくギムを落とせますね。」

 

 

一息ついた状態で参謀がパンドールに声をかけた。

 

 

「被害が大きいがな。ギムを占領し次第略奪を許可しよう。」

 

「はい。しかし足りますかね?。」

 

 

参謀がパンドールの言葉に物資の状況を思い出す。そしてギムに貯蔵しているであろう物資の量を推定し、その合計を算出する。

 

 

「ここまで長期間粘られると女もいなさそうですし、どれだけ物資が残っているか。」

 

「最悪持ってきている物資も開放するしかあるまい。ここまで苦戦したのだ。褒美がなければ兵達の士気が下がるだろう。」

 

「わかりました。その様に。」

 

 

既に勝利を確信しギムの占領について話し合うパンドールと参謀。物資の算定を話し合っていると戦場を観測していたロデムが戻ってきた。高揚した様子でアデムが戦場の状況を報告する。

 

 

「将軍、もはや勝機は完全に決しました。最前線の防衛線は勿論後方の防衛線も徐々に制圧しつつあります。」

 

「ああ。そのようだな。当初の予定と全く違うが、どうにか橋頭堡のギムを確保できるな。」

 

 

パンドールが安堵しながら言った。アデムが続けて自分の要求を告げた。

 

 

「つきましては将軍。ギムへの一番乗りは我々の部隊に。」

 

「アデム。貴様の部隊は魔獣使いだ。一番乗りなど出来るわけが無いだろう。」

 

 

アデムの要求に参謀が反発するもそれを制して将軍が答えた。

 

 

「良いだろう。今回の功労者は間違いなくアデム君の部隊だ。一番乗りを認めよう。」

 

「・・・わかりました。」

 

 

渋々参謀がアデムの一番乗りを認めた。アデムはほくそえんだ。今まで差別されてきた自分たちが漸く認められたからだ。

ここから出世を果たし、自分たちを見下してきた相手を逆に見下してやる。そうアデムは思ったが、今は目の前のギムだ。ギムに入り次第ギムの守備隊の指揮官であるモイジを捕らえ、ついでに猟全の指揮官も捕らえてどう拷問するか。

アデムがそう考えていると、突然上空で爆発音が立て続けに起きた。

爆発音に反応しその場にいた全員が空を見上げると、東の空から光の矢が飛んできてワイバーンに次々と直撃し爆発していた。

 

 

「な・・・あれは?。」

 

「そ、そんな・・・こんなことが。」

 

飛竜隊が慌てて回避を試みる。しかし飛んでくる光の矢は全て寸分の狂いもなく直撃している。

余りの光景に本陣にいた将軍らや地上で戦っていたロウリア兵は絶句した。

 

 

 

 

 

◯●

同時刻

陸上自衛隊クワ・トイネ公国派遣隊

第二戦闘団

 

クワ・トイネ救援の為に派遣された自衛隊が現地で編成した空中機動部隊である第二戦闘団が東の空が白みがかっている景色の中をギムの救援の為全速で向かっていた。

 

 

「目標まで後五分!。」

 

 

エンジン音に負けない大声で隊長機の副操縦士(コパイ)が無線で第二戦闘団全体に向けて報告した。

無線を受信した戦闘団は纏う空気を鋭くし、戦闘に備える。

 

第二戦闘団はUH-1、AH-1、OH-6の旧式の機体で構成され、この三機種はロウリアとの戦争の

主力ヘリコプターとして派遣されている。

日本と比べ物量で圧倒的に勝り装備では遙かに劣るロウリア軍に対応するため、数が揃えやすく運用コストが安い三機種が選定されたからだ。

一部のUH-1とOH-6には武装が施されておりドアガンにM2重機関銃や74式車載機関銃といった従来の兵装の他に、一部の機体に96式自動てき弾銃が新たにドアガンとして装備されている。

降着装置の外側に正面に向けてハイドラ70ロケット弾ポッドや機関銃を装備している機体もいる。

 

 

これらの自衛隊のヘリコプターが地球にいた頃と比べ、重武装なのには訳がある。

転移の混乱から抜け出した日本はクワ・トイネとクイラ。そして猟全共和国から周辺の情勢を断片的にではあるが取得していた。

情報を分析するとこの世界は元の世界と比べて文明水準が低く紛争が頻発しており、平和とはとても言いがたく国際法に相当するものもない無法地帯だ。ただ文明水準相応に戦闘力も低いため、日本が紛争に巻き込まれることがあっても十分に対処は可能で深刻な状況にはならないと日本政府は考えた。

しかし、有事が発生して中世程度の軍隊と戦うとき、元の世界と同じように少数精鋭で最新鋭の装備を用いるのはあまりに効率が悪いと意見が出された。むしろ大軍で押し寄せてくると想定される敵に対してはある程度装備の質を落としこちらも数を揃えて対抗した方が効果的と判断された。この為政府は自衛隊の拡大を決定した。しかし決定したからと言ってすぐに拡大できるわけではない。

生産中の兵器が前線に行き渡るのに時間が掛り、自衛官の教育も同じく時間が掛る。また転移のため自衛隊の装備の更新や調達が大幅に乱れたために先ず旧式の兵器の寿命向上と従来の兵器の火力の増強を決定した。

 

ヘリコプターに関しては退役が予定されていたOH-6の退役を取り下げた。また在日米軍からヘリコプターの武装化キットを借り受け試験的にUH-1、UH-60、OH-6に装着しガンシップにし、戦闘ヘリコプターの不足を補った。

その試験の真っ最中にクワ・トイネとロウリアとの戦争が勃発したため実地試験をかねて派遣された。

なお、今回に限って一部のヘリコプターには大型のスピーカーが装備されている。

 

 

 

「景気づけに音楽だ。音源の用意は。」

 

「音源はワルシャワ・フィル、リピート加工済みです。大音響スピーカーも準備完了。いつでも行けます。」

 

「パーフェクトだ。魚田二佐。」

 

「感謝の極み。」

 

 

指揮官と副官のやり取りを見て、隊長機のパイロット達が周囲に聞こえないように会話する。

 

 

「・・・キルゴア中佐の霊に取り憑かれたのか?。」

 

「自分は今のやり取りでアーカードを思い出しましたよ。」

 

 

パイロット達がそう話し合っていると、ヘリコプターの編隊の上空を空自のF-15Jから発射されたミサイルが通過する。しばらくするとポツポツと黒い煙が広がり、遅れて断続的に爆発音が鳴り響く。

 

 

「今のでどれくらい墜ちたと思う?。」

 

「案外全滅してるかもしれないですね。」

 

 

パイロット達の会話をよそに指揮官は積み込んだオーディオ機器のスイッチを操作してワルキューレの騎行を流し始めた。

前奏が大音響で流れ、いよいよ戦闘に突入する事を部隊に告げる。ギムを攻めるロウリア軍に向けてヘリコプターが太陽を背に突撃を開始した。

 

 

 

♪DhaDhaDhaDha~Dha DhaDhaDhaDha~Dha DhaDhaDhaDha~Dha DhaDhaDhaDha~

 

 

 

先頭に位置していたロケット弾ポッドを装備したUH-1の編隊が急加速し眼下のロウリア兵達にロケット弾を撃ち込む。弾頭に内蔵された炸薬が爆発し破片をまき散らしながらロウリア兵と魔獣達を吹き飛ばす。

さらに登場していた普通科隊員と側面に装備した機銃やドアガンを乱射し、5.56mmNATO弾、7.62mmNATO弾、12.7mmNATO弾、40mmてき弾の雨を降らせながら低空を通過する。

 

 

 

♪DhaDhaDhaDha~Dha DhaDhaDhaDha~Dha DhaDhaDhaDha~Dha DhaDhaDhaDha~

 

 

AH-1がギムに接近するロウリア兵をM193ガトリング砲で掃射しダメ押しでロケット弾を斉射する。人間・魔獣問わずずたずたに引き裂かれ殲滅される。

TOWミサイルが発射され大型の魔獣や攻城兵器に直撃し周囲もろとも吹き飛ばす。

 

 

♪DhaDhaDhaDha~ DhaDhaDhaDha~Dha DhaDhaDhaDha~

 

 

観測ヘリのOH-6がロウリア兵の動きを逐一報告し、ヘリコプターを誘導する。武装しているOH-6は軽快な運動性を活かしてロウリア兵を逃がさないように射撃し、機敏立ち回る。

ワルキューレの騎行を大音量で流しながら行われる自衛隊の派手な攻撃にクワ・トイネと猟全の兵士と後方から見ていたロウリア兵達が呆気にとられるもすぐにクワ・トイネと猟全の兵士達は反撃に転じる。

戦車部隊が破城槌として自衛隊の攻撃で数を減らしたロウリア軍に突撃。そこから兵士たちも突撃し、ロウリア兵を攻撃する。ギムや上空から攻撃を受け次々と倒れるロウリア兵達。しかし、到着したのは自衛隊だけではなかった。

 

 

「日本に後れをとるな!。全騎突撃ィィーー!」

 

 

クワ・トイネの騎兵隊が到着しそのまま第一次防衛線の外側にいたロウリア軍の攻城兵器とその護衛にクワ・トイネの騎兵隊が突撃した。

クワ・トイネの騎兵は従来の槍と剣ではなく猟全から供給された銃器類や手榴弾で武装している。取り回しの良い騎兵銃や短機関銃に拳銃を装備し、刀剣類は腰に吊るしたものか騎兵銃の先に着けた銃剣しかない。

 

側面を突かれた形となったロウリア軍は混乱状態に陥った。反転しようにも動きの遅い攻城兵器はすぐに動けない。

反撃しようにも射程外の距離から浴びせられる銃撃によってロウリア兵はバタバタと倒れていく。

盾を重ねて密集陣形を組めばそのまま蜂の巣にされるか手榴弾を投げられた纏めて吹き飛ばされていく。

 

 

「も、もうダメだ!。逃げろぉー!。」

 

「死にたくない!。死にたくない!。」

 

「こら、逃げるな!。」

 

 

遂にロウリア軍が統制を失った。降伏したり逃げ出したりする兵士を指揮官が止めるが全く効果がない。それどころか指揮官もろとも降伏する部隊も出ていた。第一次防衛線の外側にいた部隊は攻城兵器を置いて敗走し、内側にいた部隊は降伏するか殲滅されたかのどちらかの結末を迎えた。

 

 

 

「降伏する!。殺さないでくれ」

 

「頼む!、奴隷でも何でもいいから!。」

 

「撃ち方止め!。」

 

 

 

続々と降伏するロウリア軍に遂に攻撃を止める自衛隊。ラペリング降下で次々と普通科隊員達が降り立ち装備を手放したロウリア兵を拘束する。

 

 

「・・・未来の日本軍はやることが派手だねぇ。イカシテるぜ。」

 

「うちの日本も半世紀以上経てばああなるのか?。」

 

「君たちから聞いた日本軍とだいぶ違うが・・・。」

 

「いや、俺の知ってる日本軍と違う。」

 

 

自衛隊の様子を見ながらクワ・トイネの兵士と猟全の傭兵が語り合う。特に日本出身の傭兵達が未来の日本の様子を見て困惑している。

ジョン達の近くにも自衛官が降下し、負傷者の救護やロウリア兵の捕縛や掃討を行った。ジョンは近くで作業を行う若い自衛官に声をかけた。

 

 

「よう。戦場は始めてかい?。」

 

「はい。・・・って日本語?」

 

「そりゃ猟全にいるんだから日本語位は喋れるさ。しかし、えらい攻撃だな。ワーグナー流しながら攻撃なんて。」

 

「映画の真似らしいです。」

 

「へぇ。未来の日本の映画は中々キメてきてるじゃないか。」

 

「いや、我が国じゃないらしいです。」

 

「どこの国だ?。」

 

 

若い自衛官が答えようとした時、上官が呼び掛けた。

 

 

「東ー!。ちょっと来てくれ!。」

 

「了解!、今行きます!。」

 

 

ジョンと話していた東と呼ばれた自衛官が離れていった。

こうしてギム防衛戦はクワ・トイネ、日本、猟全の勝利に終わった。

 


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