第四話、お楽しみください
お墓に手を合わせてから1時間後、エリスさんたちの準備が終わって俺はエリスさんが率いるクロスフォード騎士団の方々と近くにある大きな町にいく事になった。
「龍馬様、あの・・・・・・また、この村に来てくれますか?」
村を出て行く前に頬を少し赤く染めたレナさんに手を握られて俺はドキドキしてしまった。
「え、ええ落ち着いたらまたこの村に来ます」
「ほ、本当ですか!?」
恥ずかしさで噛んでしまったが、またこの村に来ることは伝えられた。
レナさんは顔を太陽のように輝かして嬉しそうにする。そんなに嬉しいんだ・・・・・・
「はい。しばらくは仕事をしたりと忙しくなると思いますが必ず来ます」
「そうですか・・・・・・よかった」
安心したのかほっと胸をなで下ろすレナさん。あっ・・・・・・可愛いな。
レナさんにほんわかと癒されていると何か視線を感じる。
視線の方を見るとニヤニヤしていたエリスさんがいた。
・・・・・・何でニヤニヤしているんだ?
「青春してるねー」
「いや、青春って・・・・・・」
別に青春してるわけではないのだが・・・・・・というか、異世界にも青春って言葉があるのね。
「まあ、とにかくそろそろ行こうか龍馬君」
エリスさんはせかし始めている。エリスさんのそばには大きめの馬車が駐まっていた。
「そうですね。レナさん、宿が決まったら取りあえず手紙を出します」
「は、はい! お待ちしています。龍馬様!」
俺はまた村に来ることにくわえて手紙も書く事を約束した。
「ええ、それではまた・・・・・・さようなら」
「はい・・・・・・さようなら」
レナさんに別れを告げて俺はエリスさんの後について馬車に乗り込み、馬車は村を離れていく。
「龍馬様! さようならー!」
村を離れていく馬車に向かって手を振っているレナさん。俺も窓から身を出してレナさんの姿が見えなくなるまで手を振る。
「さてと、では話をしようか」
ドーチ村を後にして五分ぐらい経った頃だろうか。エリスさんが口を開いた。
話しね・・・・・・こちらは何を聞いて何を聞かれるのか。
「ええ、あのエリスさんは俺に聞きたいことがあるんですか?」
「そうだな。村人達は突然現れた大きな赤いクリスタルに君が包まれたと思ったら鎧を纏って戦い始めたと聞いたのだが、それは本当なのか? その時、君は籠手を装備していたらしいが、今は見えないのだが」
何も付けていない俺の腕をじろじろと見ているエリスさん。あーそういえば、気絶したときに消えたんだっけ。
「はい。普段は異空間にあるんですけど・・・・・・起動アウェイクン」
俺はドラゴンナックラーを呼び出すためのキーワードをいうと、俺の右手にドラゴンナックラーが装備された。
原作のやつだと御手洗博士の研究所に保管されていて使用するときに転送される設定なのだが、この世界に御手洗博士の研究所はないし、どうなるかと思ったけど、ちゃんと転送されたようだ。
「何もないところから一瞬で、それが鎧を纏うための籠手か?」
「はい、この龍拳ドラゴンナックラーにエレメントクリスタルと呼ばれるクリスタルと、メモリスティックを合わせたものを装填すると星龍戦士ドラゴンカイザーに変身します」
エリスさんにドラグガイガーに変身するために使うエレメントクリスタルとメモリスティックを見せる。
「これがそうなのか・・・・・・」
「ええ、ですがここで変身は出来ませんね。せまいですし」
興味深そうに変身アイテムを見ているエリスさんに一応、釘を刺しておく。ここで変身したら変身時のエネルギーで馬車の中がごちゃごちゃになってしまうかもしれないから。
「そうか。それは残念だな」
「またの機会があればその時にでも」
変身できないことを伝えるとエリスさんは残念そうにしている。申し訳ないがまた今度の機会にして欲しい。
「その代わりと行っては何ですが、エリスさん、今から行く町の名前は何ですか?」
「ん? ランタビという町だが・・・・・・それがどうしたんだ?」
「ちょっと、この籠手の力を見せようと思いまして・・・・・・ドラゴンナックラー、サーチ!」
俺はドラゴンナックラーのパネルをタッチしてサーチの能力を使う。取りあえず、現在地からランタビという町までの地図を出そうか。
検索ワードを入力してエンターを押すと、現在地からランタビまでの道が書かれた地図がディスプレイに表示された。
ずっと道なりでだいたい30㎞ぐらいか・・・・・・二、三時間ぐらいでつくかな? 馬車についてよく知らないけど。
「むっ? 地図が表示された? これは面白い魔導道具だな」
「えええと、たぶん、似たような物だと思います」
地図が表示されたドラゴンナックラーを眼をキラキラと輝かせながら見ている。
魔道具がどういったものかよく分からないが、否定するのも面倒なので魔道具ってことにする。
「そうか・・・・・・偶然、通りすがったと聞いていたがこの力で村に向かったのか?」
「ええ、この力で地図を検索して村に向かったらあの事件に遭遇しました」
「そうなのか。君はどの国から来たんだい? 最薙の国の出身ではないって言っていたが、ならどこの国の出身なんだい?」
「ええと、日本って国なんですけど、聞いたことないですか?」
エリスさんは俺の出身地が気になっていたのか、聞いてきたので、知らないと思うけど、俺のいた国の名前を言ってみた。
「ニホンか・・・・・・すまない、聞いたことがない国だな」
「そうですか・・・・・・実は、俺は何であの場所にいたのか分からないんです。気づいたら森の中にいて、どうしたらいいか途方に暮れていて、ドラゴンナックラーの力で村を探して情報を得ようとしたらドーチ村が襲撃されていた所を遭遇しました」
「成る程、転移魔法か何かで転移してきて衝撃で記憶が消えてしまったのか?」
俺の話を聞いてエリスさんは原因について、考える。転移魔法・・・・・・そんな魔法があるのか。
「もしかしたら・・・・・・そうかもしれませんね」
「そうか。まあ、とにかく君は知らないことが多いのか。では、取りあえず、我が国の事を教えよう」
「お願いします」
地図を出してエリスさんは説明を始める。
この国はどんな国なんだろう。
エリスさんの話ではこの国の名前はビドルラード王国。人口二千万の国で、四方を国に囲まれている国らしい。
東をリスグザード帝国、西をマグローズ皇国、北をゲンリュウ国、南をフルシューの大森林。この四つに囲まれている。
マグローズ皇国とは同盟を結んでいてかなり仲が良くて、リスグザード帝国とは百年前から戦争していてここ二十年ぐらいは休戦状態のようだ。
ゲンリュウ国は獣人と言われている人型に動物の特徴を持った種族の人間が住んでいる国で、国の形が中国に似ている。ゲンリュウ国に面する海を渡ると最薙の国に着くようだ。最薙の国の形も日本に似ていた。
フルシューの大森林はアマゾンのような感じの場所のようだ。広い大森林の中に二つの国がある。
エルフ達の国ラムログ、女性中心の狩猟民族アマゾネスの国、アルネス。女性中心というのは昔から男性が少なく、女性が多いかららしい。
昔はラムログとアルネスはフルシューの大森林の支配権を巡って戦争をしていたらしいが今は言い同盟関係を築けているらしい。
「と、まあこんな感じなんだが・・・・・・どうだ? 分からないことはあるか?」
「ええと・・・・・・すいません、字が読めないです」
地図を見せながらエリスさんが説明してくれたが、地図に書いてある文字が全く読むことが出来なかった。ドラゴンナックラーの翻訳機能でも翻訳できなかったか・・・・・・会話するのと読むのは違うんだな。
「そうなのか? でも、我々と君は会話できて居るではないか? なのに読めないのか?」
「ええと会話できているのはドラゴンナックラーの力で、会話できてたみたい何ですが・・・・・・どうやら読み書きは出来ないらしいんです」
「そうなのか・・・・・・それは困るんじゃないか? 冒険者になったら依頼書とかも読まなければいかないだろ?
「そうですよね・・・・・・どうしましょうか」
エリスさんの言うとおり、字を読めないと依頼の内容が分からないし、読めた方が便利だよな。
「なら、私が教えよう。つくまでの間で良いのならな」
「え? 良いんですか?」
「ああ。それくらいお安いご用さ」
「では、お願いします」
俺はエリスさんに頭を下げてお願いする。
エリスさんは言った言葉を紙に書いて、俺はそれを紙にまず日本語で書いてビドルラード語で何度も書く。
これを繰り返していくことだいたい二時間ぐらいたったかな。
「ふむ、君の書いている言語だが、最薙の国の言葉に似ているな」
「そ、そうなんですか」
「うむ。王都で一度、最薙の国の使者の方にあって文字を教わり、書物をいただいたりしたんだ」
「そうだったんですか。ちょっと気になりますね」
国の形も日本に似てるし文字も似ているってことから、とても興味がある。
その書物も何が書かれているんだろう。歴史書? それとも小説かな?
「なら今度、その書物を貸そう。さて・・・・・・そろそろ着く頃だな」
後ろに振り返って窓を見るエリスさんにつられて、俺も窓の方を見ると煉瓦で出来たゲームに出てくるような建物が並ぶ町並みが広がっていた。
あれがランタビか・・・・・・どんな町なんだろ。楽しみだな。
「あっ、そうだ。龍馬君、これを渡し忘れていた。君が倒したリザードマンの素材だ」
「あっ、すいません。ありがとうございます」
そういってエリスさんは袋を渡してきた。それを受け取って、中身を見てみると牙や鱗、それにあの赤い石も入っていた。
ずっと気になっていたんだけど、この赤い石って何なんだろ。
「あの、すみません。この赤い石って何ですか?」
「うん? 魔法石を知らないのか? これは魔法石と言ってな。魔法というのは適正のある属性しか使うことが出来ないのだが、この魔法石を使えば適正が無くても魔力を注入すればその魔法石と同じ属性の魔法が使える」
エリスさんは赤い石を一つ取り出して握ると、何か念じる。すると、赤い石を握っていた手が燃えだした。・・・・・・って!?
「も、燃えている!? 大丈夫ですか!?」
「ああ。発動者にはダメージは受けない。使えると言っても火を付けられたり、水を流したりとあまり威力が高い魔法は使えないんだ。逆に適合する属性の魔法石を使う場合、威力が上がるんだ。あとは武器に付けて武器に属性を付与したり、そんな使い方をすることができる」
「成る程。かなり便利ですね」
「そうだな。ギルドで売ることで金になる。冒険に出てモンスターと戦ったら回収した方が良い」
「分かりました。ありがとうございます」
アドバイスをしてくれるエリスさんにお礼を言う。やっぱり、俺の知らないことがたくさんあるな。
「ああ。他に分からないことがあれば冒険者ギルドのアドバイザーにでも聞いてみるといい。ギルドには私の幼なじみが冒険者としているから、もしかしたら君の力になってくれるはずだ。頑張ってくれ。私は君のことを応援しているよ」
「はいっ! 精一杯がんばります!」
お互い握手してこれからの活躍を応援する。すると、馬車が止まった。どうやら着いたようだ。
「ふむ。着いたようだ。我々はこのまま本部に戻る。すまないがここからは歩いていってくれ。大通りを真っ直ぐ歩いていけば冒険者ギルドにつく」
「分かりました。ここまで送くっていただきありがとうございました」
冒険者ギルドへの道のりを聞いた俺はエリスさんに頭を下げて、馬車を降りて走っていく馬車を見送って冒険者ギルドに向かって歩いていく。
第四話、如何だったでしょうか?
更新が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。次回はもう少し早く更新できるように頑張ります。
次回 冒険者ギルドを訪れた龍馬。彼は冒険について学ぶ。
次回『冒険者ギルド』