異世界変身無双   作:汰灘 勇一

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第6話「宝石屋と鋼兎亭」

「ここが鋼月亭か・・・・・・・」

 

 冒険者ギルドを出て、俺はギルドマスターに勧められた宿屋に向かった。鋼月亭は二階建ての宿屋で中々良さそうな感じがする。

 

「とりあえずチェックインでも・・・・・・」

 

 宿屋に入ってチェックインしようと思ったそのとき、後ろから何か視線を感じて振り返る。すると、そこに一軒のお店があった。そのお店の名前は読めなかった。うーんまだ読めない字が多いな。

 

 看板には宝石っぽい絵が描いてあるけど宝石屋さんかな?

 

「何か気になるな・・・・・・行ってみようかな」

 

 何でだか分からなかったけどこの店のことが気になったので、行ってみることにした。この店にはいったい何があるんだろう。

 

 ドアを開けてはいると、お店の中には色々な宝石が置いてあり、お店の店長らしきおじいさんがカウンターで新聞を読んでいた。

 

 俺はふと、近くにある大きなダイヤの値段を見てみる。

 

 ええと、この大きなダイヤは金貨十枚か・・・・・・かなり高いのかな。

 

「いらっしゃいませ~」

 

 俺に気づき、店長らしきおじいさんに話しかけられるが、おじいさんはすぐに新聞に視線を戻す。

 

 さてと、他にどんな宝石があるかな。

 

 俺はあまり宝石は詳しくないから、綺麗としか言えないけど・・・・・・

 

 赤い宝石、青い宝石に緑の宝石、どれも綺麗だな。

 

 順番に見ていき、店の奥まで来た。そこは暗くてあまり人がこなさそうなところで、売れていないのか箱に乱雑に入っている宝石があった。

 

「・・・・・・何かこれ見たことがあるけど・・・・・・ってこれって!」

 

 一つ取ってみてみると、それはドラゴンナックラーで使うデータクリスタルだった。何で、ここにデータクリスタルがあるんだ?

 

 しかも数は一つ、二つじゃない。この箱の中に二十個ぐらい入っている。

 

「あの、すいません、これって・・・・・・」

 

「ん? ああ、これかこれはワシが生まれる前から置いてある宝石でな。誰も買わないし、ワシらも何故か捨てられなくて困ってるんじゃよ」

 

 おじいさんにこのメモリークリスタルについて聞くと、おそらく数十年ぐらい誰にも目を付けられてなくて誰の手にも渡っていない・・・・・・何か、都合がよすぎるような気がする。

 

「そうなんですか・・・・・・あの、この箱に入っているこの宝石全部ください!」

 

 とりあえず、データクリスタルはあるだけ買っておこうと思い、箱をおじいさんに渡す。

 

「えっ? これをかい? 良いのかい? 誰も買わなかった宝石だよ!?」

 

 この宝石を買うと言われて目を白黒させるおじさん、何十年も売れなかったんだし、当たり前かな。

 

「はい。俺にはこれが必要なんです! お願いします!」

 

俺はおじさんに頭を下げる。このデータクリスタルがあれば俺の戦い方も増えるはずだ。

 

だから俺はこれを買いたい。強くなるために。

 

「うーむ。わかった。そうだな…全部で、銀貨1枚でどうだ?」

 

「はい! お願いします」

 

 俺は銀貨一枚払って、データクリスタルを受け取る。

 

「しかし、君、これを何に使うんだい? アクセサリーでも作ってプレゼントするのかい?」

 

 使い方が気になったのか聞いてくる店主のおじいさん。使い方ね・・・・・・

 

「ヒーローの力にしようと思います」

 

「えっ?」

 

 俺の答えに目を丸くしている。まあ、そうだよな。

 

 

 とりあえず、データクリスタルを買った俺は、鋼月亭に入ってチェックインしようとした。

 

「失礼しまーす」

 

 鋼月亭に入ってみると、中は綺麗で宿屋の真ん中に階段があってそのそばにカウンターがある。カウンターには俺と同い年ぐらいの女の子が座っていた。

 

「いらっしゃいませーお泊まりですか?」

 

 俺が入ってきたのに気がついた女の子が話しかけてきた。

 

「はい、お願いします」

 

「素泊まりで銅貨三枚、朝晩二食付きで銅貨五枚。どちらにしますか?」

 

「じゃあ、朝晩二食付きでお願いします。ええと、金貨一枚で泊まれる分って何日ですか?」

 

 俺は一枚金貨を取り出して渡す。

 

「金貨一枚ですね・・・・・・二十日分になります」

 

「じゃあ、銅貨五枚足して二十一日分お願いします」

 

 さらに銅貨五枚を渡してキリの良い二十一日分にしてもらう。

 

「はいっ、ちょうど受け取りました。ありがとうございます。では、こちらにお名前を書いてください」

 

 女の子は宿帳を渡してきたので受け取って名前を書いて、女の子に返した。

 

 書かれた名前をまじまじと女の子は見ていた。

 

「ええと、リョウマ・ミツルギ。最薙の国の出身ですか?」

 

「いえ、違う国の出身です」

 

「そうなんですかー。あっ、ミツルギさんって冒険者様ですか?」

 

「あっ、はい。ギルドマスターのイキョウさんから紹介を受けて、この宿にきました」

 

 冒険者であることを認めて、イキョウさんから紹介であることを言う。

 

「あー、イキョウさんの紹介ですね。ちょっと待ってください。今鍵を出しますね」

 

 イキョウさんの紹介と聞いて納得して、俺が泊まる部屋の鍵を探している。

 

「いらっしゃいませー!」

 

「ぐふうっ!」

 

 突然、腰に強い衝撃が当たった。えっ!? 何!?

 

 腰の方を見てみると、そこには四、五歳ぐらいの女の子が抱きついていた。

 

 ええと、誰だろう。カウンターの子に似ているけど、姉妹かな?

 

「ええと、お嬢ちゃんは誰?」

 

「エミリお姉ちゃんの妹のリシアです! よろしくお願いします!」

 

「リシアちゃんって言うのか・・・・・・よろしくね」

 

「えへへへっ・・・・・・」

 

 名前を聞いたら女の子は名前を答えてくれた。リシアちゃんか良い名だな・・・・・・カウンターの子はエミリちゃんというのか。

 

 俺はとりあえずリシアちゃんの頭を撫でる。すると、リシアちゃんは目を細めて喜んでいる。

 

 はっ! 殺気!?

 

 リシアちゃんを撫でていると殺気を感じて振り返ると、そこには筋肉ムキムキのおっさんがたっていた。

 

「俺のエンジェルからその手を離せこのくそ・・・・・・」

 

「・・・・・・何しようとしているのかなお父さん?」

 

 今にも俺のことを殴りかかろうとするおっさんをいつの間にかおっさんの後ろに回っていたエミリちゃんが、おっさんにアイアンクローをしていた。

 

「いいかげん、親ばか卒業できないかな? いっつもそうやってお客さんに迷惑かけてお母さんに怒られてるよね?」

 

「す、すまないだが・・・・・・」

 

「だがじゃないでしょ! もう、お母さんいたらもっと大変なことになってたよ!」

 

 すごい剣幕でエミリちゃんはおっさん・・・・・・お父さんを怒っていた。いつもこんなことがあるのか。

 

 だけど・・・・・・こうなったのも俺のせいかもしれないし。

 

「あーすいません。俺のせいで・・・・・・俺、兄さんはいるんですけど、妹や弟はいないので、妹がいたらこんな感じかなーと思って思わず撫でてしまって・・・・・・見知らぬ男が娘さんの頭を撫でてたら不安になると思うのであの反応は仕方ないと思います」

 

「そんな申し訳なそうにしなくて良いよミツルギさん。お父さんの自業自得だから」

 

 俺は頭を下げて謝る。エミリちゃんは気にしないでと言ってるけど、足下にはエミリちゃんたちのお父さんが気絶していた。

 

「じゃあ、ミツルギさん、部屋に案内しますね。ついてきてください」

 

「分かりました。お願いします」

 

 エミリちゃんの後をついて行って二階に向かう。二階の部屋は六つで階段を真ん中にして左側に三部屋、右側に三部屋ある。

 

「ミツルギさんの部屋は右側の奥側です。これがこの部屋の鍵で、出かけるときにカウンターで私かお父さんに渡してください。それと、隣の部屋に泊まっているお客さんがいるのであまり騒がないでくださいね」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

「あと、ご飯ができたら呼びますね」

 

 俺は頭を下げて鍵を受け取って、鍵を開けて部屋に入る。

 

 部屋の中はそれなりに広いがあるのは洋服を入れるクローゼットとトイレに洗面台。ベッドぐらいだな。

 

「さてと、とりあえず。買ったデータクリスタルを試してみるか」

 

 俺はベッドに腰掛けて。買ったデータクリスタルを取り出して並べる。

 

 どれにしようかな・・・・・・おっとその前に。

 

「サイレントモードにして・・・・・・始めよう」

 

 ドラゴンナックラーをサイレントモードにして、データクリスタルを装填して、ディスプレイにインストールの文字が出てきて、俺はそれをタッチする。

 

「データクリスタル、インストール」

 

『データクリスタルスリープ! オーケー? スリープ! インストール!』

 

 タッチするとデータクリスタルのデータがインストールされる。これはスリープのデータクリスタルか。相手を眠らせたりできるから便利だ。

 

 なお、普段は音声が流れるけど今回はサイレントモードなので音声は流れない

 

 よし、どんどん行こう。

 

 俺は次のデータクリスタルを取り出して装填して、インストールの文字をタッチする。

 

「データクリスタル、インストール」

 

『データクリスタルトレーニング! オーケー? トレーニング! インストール!』

 

 ドラゴンナックラーの画面に文字が流れる。・・・・・・・トレーニングって聞いたことないデータクリスタルだけど、何だろ? 名前の通り、トレーニングするのか?

 

 とりあえず。タッチしてどんなことが起きるのか試してみようと思ったけど、今回はローディングが長い・・・・・・データが大きいのかな?

 

 数分待つと、トレーニングの項目が出てきたのでタッチしてみた。

 

 さてさて、何が起きるかな・・・・・・えっ?

 

「えっ? ちょっ、どうなってんの!?」

 

 項目をタッチした瞬間目の前が光で真っ白になった。何がいったい、どうなっているんだ?まだ、あまりデータクリスタルを使っていないけど、こんなのは初めてだ。

 

 しばらくすると、光が消えて周りが見えたそこは俺がいた鋼月亭の部屋・・・・・・

 

「なんじゃこりゃあああああああっ!」

 

 ではなく、どこかの荒野らしき場所だった。

 

 ・・・・・・いや、どこだよここ。




今回はいかがだったでしょうか? 今回は一応、パワーアップ回でした

次回は特撮でお約束の特訓回となります。次回もよろしくお願いします。


トレーニングのデータクリスタルで突然、知らない場所に飛ばされた龍馬。そこで彼は出会う。

次回「出会いと覚悟」

次回もお楽しみください
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