年内最後ぎりぎりの投稿になってしまいました
次回はもっと早く書けるように頑張ります。
では、年内最後の投稿、よろしくお願いします。
「どうなってるんだ・・・・・・」
俺は鋼月亭の部屋でデータクリスタルのデータをインストールしていたはずだ。だが、トレーニングのデータクリスタルを使った後、どこだかわからない荒野にいつの間にかいた。
もしかしてこれがトレーニングの能力なのか? トレーニングをする場所を作る能力とか。
「やっときたか小僧」
突然、声が聞こえて後ろを振り返るとそこにはスポーツ刈りの二十代後半ぐらいの男性がいた。
あれ? 今まで誰もいなかったはずなのに・・・・・・いったい何者だこの人。
「あの、いったいあなたは何者ですか?」
「俺はそうだな。ある人からお前を鍛えるように依頼された者だ。訳あって名前は名乗れないから師匠とでも呼んでくれ」
「師匠ですか・・・・・・とりあえず、よろしくお願いします」
俺はとりあえず師匠と名乗った男性に頭を下げる。
ある人から俺を鍛えるように頼まれたか・・・・・・その人物が俺をこの世界に呼んだのか?
「おう」
「あのーすいません、師匠」
「ん? 何だ?」
「師匠は何で俺がこの世界にいるのか分かりますか? 俺、実は何でこの世界にいるか記憶がなくて・・・・・・たぶん、師匠に俺を鍛えるように頼んだ人が俺のことをこの世界に呼んだんだと思うので」
師匠に俺がこの世界に呼ばれた理由を聞いてみた。師匠なら何か知っているかもしれないし。
「あー・・・・・・お前、記憶ないのか。あの馬鹿・・・・・・余計なことしたせいでやっぱりややこしいことになってるじゃねえか」
師匠はどうやら原因に心当たりがあるようで、頭を抱えている。
いったい何が原因なんだろ。
「悪いなお前の記憶がない理由は分かっている。だけど、俺らがお前の記憶を思い出させるのはだめなんだ。無理矢理思い出させようとすると脳が破壊されちまうんだ」
「えっ? 何ですかそれ。まるで昔の漫画とかの設定みたいなんですけど」
「だから自力で思い出してもらうしかないんだ」
「そうなんですか・・・・・・ええとなら、俺が死んで転生したのか転移したのかぐらいは教えてくれませんか?」
無理矢理思い出させようとすると脳が破壊されてしまう迷惑な設定。だけど、俺は死んでるのか生きてるのかそれだけは知りたかった。
「あーま、それだけならいいか。安心しろお前は死んで転生したんじゃない。異世界転移してきたんだ。ある人に頼まれてな」
「そうだったんですかよかった」
俺が転生でなくて転移してこの世界に来たことを聞いて安心した。
死んでないのなら元の世界に戻って元の生活に戻れるかもしれないからだ。
「まあ、安心したところで悪いが・・・・・・拳を構えろ」
「へっ?」
安心していると突然、俺の目の前に剣の切っ先が向けられる。
師匠が俺に剣を向けたのだ。えっ? 何、猛特訓を始めるのか?
「お前が鍛えるに値する人間か試してやる。だから、ドラグガイガーになって俺と戦え」
「えっ? な、何でですか?」
「俺は確かにお前を鍛えるように依頼された。だけどな、お前を鍛えるかどうかは俺が決める。この戦いで鍛えるに値する人間か見極める」
「見極めるってだけどいくら何でも生身の相手には・・・・・・」
ドラグガイガーの力を使うわけにはいかないと言おうとしたとき、師匠の体からとんでもない殺気を感じた。
「ドラグガイガーの力は使わないってか。甘い甘すぎるぜ。今後お前は生身の人間を相手にするかもしれないんだ。そんな甘い考えをしていると・・・・・・死ぬぞ」
「っ!」
俺は思わず後ろに下がって、腰のホルダーからフレイムクリスタルを取り出して身構える。この人は俺のことを殺す気だ。
「そうだ! それでいい」
メモリースティックにフレイムクリスタルを装填して、ドラゴンナックラーにセットする。
『フレイムクリスタル!』
ドラゴンナックラーからロック調の大気音声が流れ、ディスプレイに現れたEnterの文字をタッチした。
「龍士着装!」
『フレイムクリスタル! GO! GO! GO! 燃える炎! 燃える闘志! 始まりの戦士! ドラグガイガー!』
ディスプレイをタッチして俺の体は赤いクリスタルに体に包まれた。
クリスタルの中でデータ化されている両肩に青い水晶を埋め込んである赤い龍の鎧、サラマンダーアーマーを纏い、左手にディスプレイのないドラゴンナックラーと似た赤い手甲、サラマンダーナックルを付ける。両脚にも赤い脚甲、サラマンダーブーツを履く。赤い龍のような頭部サラマンダーマスクをかぶって包んでいるクリスタルを壊して星龍士ドラグガイガーへと変身した。
「俺の限界、超えさせてもらう! 俺は強くなりたい! 躊躇って誰かを救えないのはいやだ。だから俺は守れるように強くなる」
「そうか。なら、俺を認めさせてみろ! お前の力を! お前の信念を!」
「うおおおおっ!」
俺は拳を握りながら師匠に向かっていく。そして師匠に向けて拳を放つ。
「ふんっ!」
だが、俺の攻撃を師匠は簡単に避けて逆に腹に拳を入れる。
「がはっ!」
殴られた腹を押さえて俺は数歩下がってしまう。
「やはり、弱いな。これでは勝負にならんぞ。そうだな・・・・・・」
師匠は剣を鞘にしまって懐からバンダナを取り出して左腕に巻き付けた。いったい、何をしているんだ?
「このバンダナを俺から奪うか、この剣を破壊しろ。そうすればお前のことを認めよう」
「くっ・・・・・・くそっ!」
悔しかった。俺は全力を出すに値しない人間だと思われたのか・・・・・・なら、全力を出させよう。
俺は師匠に向かって拳を何度も振るう。だが、その拳はすべて避けられてしまう。
「お前の攻撃は単調すぎる。相手をもっと見て攻撃しろ」
「っ!」
師匠は避けながらも余裕があるのか俺にアドバイスを送ってくる。悔しい・・・・・・だけど、今は悔しがってる場合じゃない。
俺は師匠の動きをよく見て拳を振るう。すると。段々と拳がかすっていく。
「ほうっ、これぐらいの動きならついてこられるようになったか。だが・・・・・・」
師匠は避けずに俺の拳を受け流した。受け流された俺は派手に転んでしまった。
「がはっ!」
「避けずに受け流すことも覚えるように」
「っ! はいっ!」
俺は師匠に教わったことを物にしようと気合いを入れる。
「次はこちらの番だ」
師匠は拳を握って、つきだしてきた。俺はそれを受け流そうとした。
「ぐはっ!」
受け流そうとしたが、師匠の力が強すぎて俺は受け流すことができなくて衝撃で吹っ飛んでしまった。
「あらら、これぐらいの攻撃も受け流せないかー」
「ぐっ・・・・・・もう一度お願いします!」
師匠は攻撃を受け流すことができなかった俺を見てがっかりしていた。
俺は痛みに耐えて立ち上がる。
「受け流せないなら、俺の攻撃を完全に避けられるようになれ」
「っ! はいっ!」
俺は師匠に言われたとおり、師匠の攻撃を避けるために俺は師匠の動きをよく見て見極めようとした。
師匠の拳が俺に迫ってきたため、避けようとしたが、避けることができずに拳が当たってしまい、体が痛むが痛みに耐えて立ち上がる。
一度でだめならよけられるまで何度でもやってみよう。
俺はもう一度、拳を避けようと体を動かしたが、避けることができずに当たってしまった。めげずにもう一度避けようとした、今度は完全に当たらず、少しかすった程度ですんだ。
これなら・・・・・・次の拳も目で追って俺は体をひねって拳を避けることができた。
「これぐらいなら避けられるようになったか。だが、いつまで続くかな」
攻撃が避けられるようになったことを師匠は感心したが、攻撃の手は緩めずに拳を繰り出してくる。
俺は師匠の動きをよく見て、拳が当たる前に避ける。
それを繰り返すことでなんとかダメージを受けずにすんでいる。
だけど、このままでは避けるだけでダメージを与えることができない。
攻撃しないと勝てない。
「はあっ!」
俺は師匠の動きをよく見極めて師匠の腹を殴る。
師匠は避けずに俺の拳を受けた。数歩、後ろに下がったが師匠は痛くなさそうだった。
「うむ、いい拳だったが、まだ俺には届かん」
殴られた所を軽く払って師匠は余裕があるように笑みを浮かべていた。
くっ……一撃ではだめか。なら、何度でも当てるしかない。
俺は師匠に向かって何度もこぶしを突き出すが、避けられたり受け流されてしまう。
「ていやっ!」
それでも俺は殴ることをやめない。さっきは当たったんだ。だからまた当てることができるはずだ。
師匠の攻撃を避けながら、師匠の動きをよく見て見極めて攻撃を当てていく。
「ふむ、当たってきたな。体も温まってきただろう。そろそろこいつを使うか。お前も剣を抜け」
師匠は鞘から剣を抜いて構えた。なら俺も剣を出さないといけないな。
俺はウェポンクリスタルを取り出してドラゴンナックラーに装填して、ディスプレイをタッチした。
『ウェポンクリスタル! ブレード! GO! GO!』
ドラゴンナックラーから音声が流れて、炎が出てて来て掴むと、ドラグガイガーの武器、炎龍剣 マーズブレードに姿を変える。
俺はマーズブレードを師匠に向けて構える。
「いきます、師匠!」
「こい、龍馬!」
「うおおおおっ!」
師匠に近づいて俺はマーズブレードを振り下ろすが、師匠の剣に弾かれてしまう。
「くっ!」
「この程度で怯むな!」
怯む俺にスキを与えないように剣を振り下ろしていく。俺は剣を何とか受け止めている。
受け止めるだけではさっきまでと変わらない。俺は剣をふるって攻撃するが師匠も受け止めたり弾いたりしてダメージにはならない。
このままだとらちが明かない……こうなったら必殺技で一気にダメージを与えるか? でも、下手したら師匠が死んでしまうんじゃ……
「一か八か! やってみよう!」
武器に充てて壊せば、俺の勝ちになるはずだ!
フィニッシュクリスタルを取り出して、マーズブレードについている龍の頭を開いてそこにフィニッシュクリスタルを装填して頭を閉じる。
『ガブリっ!』
マーズブレードはフィニッシュクリスタルの効果で炎を纏う。
『フィニッシュクリスタル! ガブッと! クリスタルブレイク!』
「ガイガープロミネンス!」
マーズブレードにエネルギーが溜まり、俺は師匠の持つ剣に向けてマーズブレードを振り下ろした。だが、師匠は必殺技が当たる前に剣を下した。まるで攻撃を受けるつもりのようだ。
「っ!」
俺は思わず攻撃を止めた。このままでは師匠が死んでしまうのではないかと思ってしまったからだ。
「どうした? なぜ止める? 当てればお前は勝てるかもしれんぞ」
「そ、それは……」
師匠は攻撃を止めた俺をにらむ。にらまれた俺は何も言えなかった。そのうち、マーズブレードの炎が消えて必殺技状態から解除されてしまった。
「この攻撃を食らったら俺が死ぬと思ったのか……この甘ちゃんが!」
「ぐあっ!」
おろしていた剣を振り上げてマーズブレードを弾いて、俺に剣を振り下ろして、ドラグガイガーの鎧から火花が散る。
「武人切り!」
さらに師匠はエネルギーを剣に纏わせて衝撃波を放ってきた。俺はとっさにマーズブレードで受け止めるが受け止めきれずには吹き飛んでしまった。
「ぐあああっ!」
吹き飛んだ俺は衝撃波の威力が強すぎたためか、一撃でドラグガイガーの変身が解除されてしまった。
「がはっ!」
さらに俺は地面に叩きつけられて全身に痛みが走る。
体中の痛みで俺は立ち上がることができなかった。
「龍馬、お前は何で俺に必殺技を放つのをやめた! お前はあの技を俺が受けたら死ぬと思ったんだろ? 見くびるな! 貴様のような奴が放つ必殺技で死ぬほど俺はやわではない! 生身の人間相手に全力で戦うことができないという半端な覚悟なら戦うのはやめろ! これから貴様はいろいろな相手と戦うことになるんだぞ! 貴様より強い相手、貴様より弱い相手、貴様のやさしさに漬け込むような敵も出てくる。それで貴様が死んだり、貴様の仲間が死んだりしたらどうする! また後悔するのか! 貴様は後悔したくないから強くなりたいといったんじゃないのか! あの言葉は嘘だったのか!」
痛みで立ち上がることができなかった俺を師匠が叱責してくる。そうだ……俺はもう後悔したくない。そのために力を欲したんだ……
「この程度でもう立ち上がれないというのなら、もうお前の世界に帰れ。その程度では世界は救えない」
立ち上がれない俺を見てあきれたのか師匠は俺に背を向けて帰ろうとした。
ダメだ……このまま師匠が帰ったら俺はまた後悔する。もう後悔したくないっていったのに……だから立ち上がらないと限界を超えろ!
「待って……ください」
俺は体中の痛みを耐えて無理やり立ち上がって師匠に向き合う。
「俺は確かに半端な覚悟しか持ってませんでした。生身の人にドラグガイガーの力を使っていいのか……そんな思いが躊躇してしまった。だから俺は攻撃を当てることができなかった。躊躇したくない。後悔したくないって言っていたのに……だから俺はもう躊躇わない。俺が躊躇うことで誰かが傷つくなら俺はもう躊躇しない。生身の人間であろうがなかろうが、この力を使うことを躊躇わない! たとえ俺の手が血で汚れようとは躊躇わない! 龍装!」
叫びながら俺はフレイムクリスタルをもう一度、ドラゴンナックラーにセットしてもう一度、走りながらドラグガイガーに変身した。
『フレイム! GO!』
タッチパネルをタッチして両手に炎を纏わせながら師匠を殴る。避けられるもそれでも殴り続ける。
「ぜやあっ!」
「ぐはっ!」
一発当たって、よろめく師匠に蹴りを入れるが、受け止められて足を掴まれてしまう。
「っ! 負けるかああああっ!」
俺は掴まれていない足で体をひねりながら蹴り、そのまま倒れる。
「ぐっ!」
「っ!」
倒れた俺はすぐに立ち上がり、後ろに下がる。
立ち上がったはいいけど、体がもう限界が近いな。次で決めないと……
「うおおおおおっ!」
俺はフィニッシュクリスタルをメモリスティックにセットして、ドラゴンナックラーに装填してディスプレイをタッチする。
『フィニッシュ! GO! GO!]
「ガイガースマッシュ!」
足にエネルギーが溜まり、俺は空中へとジャンプして足にエネルギーを纏わせながら空中で一回転して蹴りを放つ。
「ぜやああああああっ!」
「ぐっ!」
俺はすべての力をこの一撃に込めた。師匠はこの攻撃を剣で受け止めて防ごうとした。
師匠の剣にぶつかった蹴りは火花を散らしていく。師匠を少しずつ押していく。
「はあああああっ!」
「ぐううっ!」
このまま押し通せば行けると思った俺はさらにパワーを上げる。
「ぐっ! 舐めるなあああああっ!」
「ぐあああっ!」
だけど、師匠はパワーを上げて剣を振り上げて俺を吹き飛ばした。
吹き飛ばされた俺は壁に激突して地面に叩きつけられて、再び変身が解除されてしまった。
「がはっ……まだだ。まだ俺は戦える……」
俺はエレメントクリスタルに手を伸ばして、もう一度変身しようとしたが力が及ばずそこで気絶してしまった。
龍馬が気絶したのを見届けると、師匠は龍馬に近づいて行った。
「最後のもう一押しが足りなかったな……だが龍馬、なぜ最後にブーストの能力を使わなかった? 使えばパワーが上がり、俺を倒すことはできたはずだが、そこでも加減したのか?」
答えられないとわかっているのに使用は話しかけて、あきれたのか立ち上がった。
「あんなことを言っておいて結局は甘い。だけど、この勝負は……お前の勝ちだ」
師匠が背中を向けると、師匠が持っていた剣が粉々に砕け散ってしまった。
年内最後の投稿、いかがだったでしょうか?
次回は気絶から目覚めた龍馬、師匠から告げられた結果は?
次回、結果と勉強
次回、そして来年もよろしくお願いします。