太陽と月   作:黒死牟

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傷だらけの戦士と並行して投稿したいと思っています
楽しみながら読んで頂けると幸いです


始まりと心痛

明るい日差しが照りつけ、暖かな陽気に包まれる

朝があれば夜がある、太陽が登れば影が現れる

光があれば闇がある…それは避けられない事実

 

桜舞い踊る春

穏やかな風が通り抜け、鼻腔をくすぐる

心地よい感覚に包まれながら歩を進めた

 

ここは静岡県は沼津市にある静真高校

共学ではあるが男子生徒の数は少なく、8割は女子生徒である

そして、今年度より私立浦の星女学院と合併する事になっているので、尚更女子生徒が増えている

 

そのため周りの生徒は女子が多く、これから始まる新学期に着いての話に花を咲かせている

真「はぁ、学校始まっちゃったな」

須藤真治はポケットに手を突っ込みながら歩いている

その足取りはかなり重い

現代風の作りの校舎が、真治には刑務所のように見えた

制服かチラリと見えた彼の二度腕には、痛々しいアザがある

真「卒業してしまえば、あいつらともおさらばだよな…」

真治は小学生の頃から酷いいじめを受けていた、脳裏にその時の情景が浮かんだ

 

お前、気持ちわりいんだよ

そう言いながら頭を殴られる

 

痛い

 

ちょっと顔がいいからって調子乗ってんじゃねえよ

腹を蹴られる

 

苦しい

 

お、今俺を睨んだな?いい度胸してんなぁ

 

弱虫のくせに生意気なんだよ

 

お前なんざ生きてる価値なんかねぇ

 

激しい罵倒の数々、その一言一言が真治の胸に深く突き刺さる

それはまるで、心臓を鋭利な刃物で抉られているような感覚だった

 

なんで俺ばっかりこんな…

 

 

…………死にたい…………

 

 

気がつくと、昇降口の前まで来ていた

その時、近くで話していた女子生徒の声が届く

「ねぇ、浦の星のスクールアイドルの子達が来るって知ってる?」

 

「知ってる知ってる!皆すんごく可愛いんだよね〜」

 

「同じクラスだったらいいな〜」

 

「マジか!俺彼氏に立候補しちゃおっかな〜」

 

「ばか、あんたには高嶺の花だって」

 

「そんなん、やって見なきゃわかんねーじゃんか」

 

 

そうか、そういや生徒会長が総会でそんなこと言ってたっけ

まあ、俺には関係ないな

 

無表情で歩を進める

 

次の瞬間、真治の肩を誰かが掴んだ

ビックリして振り向くと、そこには黒髪でショートカットの可愛らしい女子生徒

真「生徒会長…何の用だ?」

 

?「その呼び方は辞めてって言ってるでしょ?僕の名前は生徒会長じゃありませーん」

彼女の名前は、渡辺月

俺の幼馴染みで、一応友達らしい

月はほほ笑み、真治の方をむく

真「お前、あんまり俺と一緒にいるといじめグループから目をつけられるぞ、で、何の用?」

 

月「…まだ続いてたんだね…別に、真治に築いたから声をかけただけよ、っていうかツンデレ?あ、もしかして恥ずかしがってるとか〜?コイツ〜!」

そう言いながら真治の胸を指でトントンと突く

真「話はそれで終わりか?」

そう言いながら立ち去ろうとする

兎に角この場から逃げ出したかった

月「あ、ちょっと待って!怒んないでよ!冗談だってば冗談!実は話しておきたいことがあるんだ」

真治はピタリと足を止め、振り向いた

真「だからなんだ?」

月は一呼吸置き、ゆっくりと話し始めた

月「実はね、今日から私の従姉妹がこの学校に通う事になってるんだ、この間のライブ見たでしょ?浦の星女学院スクールアイドル、Aqours、だから仲良くしてあげてって言おうとして」

仲良く?なんで俺が…知りもしない人と仲良くしなきゃいけないんだ

真「お会いにくさま、あんな煌びやかな人達とは縁がなくてね、それに同じクラスになるとも限らないだろ」

真治の言葉に月はムッとし、頬を膨らませた

月「そんな言い方しなくても言いじゃん、真治、彼女いなかったでしょ?この際狙ってみたら?」

 

真「俺に彼女なんか出来ねえよ、向こう80年はな」

 

月「それもう棺桶に入るまで作らないって事じゃん…勿体ないな〜せっかくいい顔してるのに」

月の言葉に真治はピクリと反応した

いい顔だと?いじめられてるこの俺がか?ありえない、そんなの絶対ありえない

真「幼馴染みだからって調子乗ってんじゃねえよ、逆にお前は俺なんかと付き合いたいと思えるか?」

 

月「僕はいいと思うけどな、顔は整ってるし目も大きい、それに…武道も出来る、正に男の子っていう感じだけど」

真治は何も答えない、ずっと下を向いていた

月「まっ、何はともあれ頼んだよっ!」

そう言いながら真治の頭をくしゃくしゃにする

 

月はそのまま真治の前に行き、走り出した

しかし、何かを忘れたと言わんばかりに急に振り向き、真治に微笑みかける

月「あっ、言い忘れてたけど、一応その子の名前教えとくね」

 

真「お前の幼馴染みのことか?」

 

月「うん!名前は…渡辺曜ちゃん!」

月は弾けるような笑顔でそう言いい、敬礼をして見せた

 

 

上靴に履き替えて廊下を歩いていると、1枚の大きな紙が目に入る

どうやらクラス分けの物のようだ

上から順番に自分の名前を探していると、ある名前に目が止まる

真「…月も一緒か、それに…」

そこまで言いかけた途端、後ろから男に肩を掴まれた

 

その男は真治を見下ろし、気に食わない顔をしている

男の後ろにはまた数人の男子生徒がニヤつきながら立っていた

「よぉ須藤、どうやらまた同じクラスのようだな」

 

真「そうみたいだな」

 

「嬉しいだろ?また俺達と遊べるんだからなぁ」

そう言いながら真治の足を力強く踏んづける

真治は苦痛の表情になり、顔をしかめる

男は真治を睨みつけ、胸ぐらを掴んだ

「お前、なに渡辺となかよくしてんだ?あぁん?何様なんだお前」

真治の足を引っ掛けて倒す

「お前と渡辺じゃ合わねぇんだよ、幼馴染みだかなんだか知らねえがよ」

真治は表情を変えない

「二度と渡辺に近づくんじゃねえぞ、わかったか?」

 

真「あぁ、わかってるよ」

 

「それでいいんだ、お利口だな」

心無しか、真治の目元に光るものがある

男子生徒達はニヤつきながらその場を去っていった

「そういやうちのクラスにも浦の星の子達が来るらしいな」

 

「マジ?楽しみだなぁ」

 

「いやお前は無理だろうが」

 

「やかましいわ!」

ガヤガヤと言いながら、階段を登っていく

 

真治は立ち上がって埃を払い、向き直った

真「そんなこと言われなくたって、元から関わる気なんてねぇよ、あいつだって、どうせ俺なんか…」

一部始終を見ていた生徒達の冷ややかな目が、真治の心を更に締め付けた

 

 

再び自分の教室を確認し、その場所へと歩を進める

まったく、朝から災難だらけだな…

予期せぬ幼馴染みとの遭遇、いじめ集団に絡まれ罵倒を浴びせられる

ある意味退屈しない日常といえよう

俺、これから後1年やっていけんのか…

そう思いながら歩いていると、またも後ろから肩を掴まれた

真「なんだ、悠介か」

悠介と呼ばれた少年は部が悪そうな顔をした

悠「なんだとはなんだ、それが親友に対する言い草かよ、せっかく一緒のクラスになったのに」

 

真「あぁ、そういやそうだったな」

 

悠「もっと嬉しそうにしろよ、月ちゃんとも一緒なんだろ?あいつらとも一緒だけどよ」

 

真「そこら辺は何も思ってない、別にどうでもいい」

悠介は呆れた顔をする

悠「まったくお前と言う奴は…事情が事情だけに何も言えねえが…」

そうこうしていると、教室に着いたようだ

 

 

教室に入り、席に着く

見知った顔もあるが、ちらほらと見知らぬ生徒も居るようだ

恐らく、例の浦の星女学院の生徒だろう

しばらくして担任の先生が入室し、教壇に立った

「はい注目、ここのクラスはほとんどメンツは変わってないけど、皆も知っている通り浦の星女学院から転入してきた生徒さんもいるので簡単に自己紹介してもらいましょう、では、お願いします」

そう言うと、3人の女子生徒が教壇に立った

「皆さんはじめまして!私は高海千歌と言います!どうぞよろしく!」

 

「さ、桜内梨子と申します…よろしくお願いします」

緊張しているのか、顔が赤い

そして3人目、その女子生徒はショートボブに毛先にパーマがかかっていて、どこかで見たような顔をしている

「浦の星女学院から来ました…渡辺曜ですっ!よろしくお願いします!」




今回はここまでです!
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