バイクの修理と携帯代で首が回らない西鬼です!
台風の影響でバイクが倒れ、フロントとライトに傷が入るという…
でも、愛車のためならなんのその!
無理矢理でも首を回してやろうと思って生きています、笑
今回も頑張って書きます!
それでは、どうぞー!
道場を後にし、真治はポケットから携帯を取り出す
真「ちゃんと、謝らなきゃな」
自分が意地を張ったせいで、渡辺さんや月を傷つけただろう…
それだけが気がかりで、先に謝っておきたかった
真「電話、出てくれるかな?…」
おそらく自分であれば出ない、というか着信拒否もしかねない
機械音が耳に届き、その冷徹な音が真治の心を更に締め付ける
その時、頭の中に激痛がはしる
今までに経験したことも無いような、恐ろしい激痛だ
携帯が手から離れ、地面へと落ちる
拾おうとするが、目の前の風景が歪んでしまっている
苦しみの最中、真治は急に不思議な感情に支配された
何か、何かが…頭の中から抜け出そうとしている
その何かは、記憶なのか、思い出なのか、それとも悪夢か…
どれかは分からないが、ただ一つ、わかる事があった
「なんだか…懐かしい……な…」
ごちゃ混ぜになる記憶から、様々な声が聞こえる
真治ー!あーそーぼー!
こらっ!真治!
じゃあ次のページを…
空手家にとって大切な事はな…
溢れ出す記憶は留まりを知らず、心を抉られているような感覚に襲われる
やめろ…やめてくれ!もうこれ以上、俺を苦しめないでくれ…
そして、ある記憶が真治の心に留まる
あやふやとしたそれは…全く、記憶に無い風景だった
銀髪の少女と黒髪の少女が自分の前に…
ふと気づくと、頭の痛みは消えていた
先程までの苦しみが嘘のように感じる
真「俺は…一体…」
頭を抑え、記憶を呼び起こそうとする
しかし、いくら悩んでも記憶は出てこない
真「そうだ、渡辺さんに電話をかけるんだ」
落ちている携帯を拾い上げ、電話をかけた
冷徹な機械音が鳴り響く
真「おかしい…なんで出ないんだ?」
何度呼び出しをしても、曜が電話に出る事はなかった
まさか、何か大変な事に……?
念の為、月にも電話をかけてみる
数コール鳴った後、急に声が聞こえてきた
真「もしもし?月か?今一体どこで何…」
言い終わる前に、切羽詰まった声が耳に鳴り響く
月「真治…!たす……けて…商店…街の…」
真「月?おい月!」
そこで電話は切れてしまった
真「どうなってんだ?あいつらは俺の家から真っ直ぐ帰ったはずじゃ…?」
待てよ?確かここに来る途中、あいつらを見たような…?
その時、横に誰かいたような気がしないでもない
囲まれて捕まったみたいで…
情報を繋ぎ合わせ、1つの答えを導き出す
真「まさか、的場の連中に…?」
こうしている場合じゃない!
あいつらに捕まったら何をされるか分かったもんじゃない
確か、さっきの電話で変な雑音が混じってた様な…
真「そうか!ゲーム店の近くの路地裏かっ!」
直ぐに踵を返し、曜達の元へと向かう
頼む…間に合ってくれ……!
路地裏 廃ホテル
某ゲーム店の路地にある、錆びれたホテルの中で曜達は身体を震わせていた
周りの建物が高いせいか太陽の光は殆ど届かない
的場達にここに連れて来られ、襲われる寸前で逃げ出したのだ
今は部屋に鍵をかけて様子を伺っている
連中はまだ私達のことを探し回っているようだ
千「そう言えば、月ちゃんの電話誰からだったの?」
月「…真治だよ」
曜「でも、どうして電話なんか…?」
月はゆっくりと目を閉じ、優しい表情になる
月「きっと、目を覚ましてくれたんだよ、理由は分からないけど…真治がきっと助けてくれる、僕はそう信じてるよ」
そう言った月の表情は、彼を信じている、と自分に言い聞かせているようだ
曜「私達、大丈夫なのかな…?」
梨「落ち着いて、きっと的場君達も諦めて出て行くと思う」
梨子が曜を慰める
梨「ところで、ちょっと気になってたんだけど、月ちゃんと真治君は幼馴染なんだよね?曜ちゃんとは会ったこと1度もないの?」
梨子の言葉を聞いて、月は少し俯いた
まるで、何かを隠しているかのように…
月「…うん、そうだよ、入れ違いってやつなのかな」
千「そうなんだ…曜ちゃんは覚えてないの?」
曜「うん…初めて真治くんを見た時は、どこかであったような気もしたけど、でも…」
梨「でも?」
曜「私の気のせいだったのかな」
あの大阪での出来事…
あの時、私と月ちゃんを助けてくれた人が、もしかして…?
その時、扉の外から声が聞こえてきた
的「こんな所に隠れてたのかぁ〜みーつけた」
聞き覚えのある声に一同が驚く
千「ど、どうしてわかったの?」
梨「声もそんなに大きくないのに…」
勝ち誇ったような笑い声が聞こえてくる
的「罠だ罠、こうして一部屋一部屋声をかけていけば、おのずと当たりにあたるだろ?そしたら動揺したお前達が声を上げてくれるって寸法だ」
月「でも、部屋がわかっても鍵がなきゃ入っては来れないだろ?」
月の声を聞くや否や、的場は高らかに笑い出す
的「渡辺さんよぉ、考えが甘かったな、こんな錆びれた扉体当たりでもすれば直ぐに開くのによぉ」
次の瞬間、大きな物音がして扉が倒れる音が聞こえた
全員の血の気が引く
的「よぉ皆さん、1時間ぶりだなぁ」
曜と千歌は身体を寄せ合い、小刻みに震える
曜「もう…ダメなのかな、誰か…助けて…!」
的「さぁ、覚悟するんだな…」
的場がそう言いかけた時、その声を打ち破るかのように怒号が聞こえてきた
その声の主は、的場の後ろに居た連中を次々となぎ倒して前に出る
そして、曜達と的場の間に立ちはだかった
そこまで高くない身長、でもどこか勇気を感じる背中
私はその姿にどこか見覚えがあるように感じた
曜「真治君…」
真「大丈夫か?」
真治は振り返らずに答える
的「あぁ?弱虫に用はねぇんだよ、今いい所なんだから邪魔すんなって」
そう言いながら真治に殴り掛かる
真治はパンチを裁き、逆に拳をめり込ませた
的場は顔を歪めながら後ずさる
真「言わなくちゃいけない事があんだよ、だから邪魔するな」
あまりの迫力に、的場は困惑の表情を隠せない
的「お前…本当に周藤か…?」
真治は後ろを振り返り、座り込んでいる曜達に手を差し伸べる
月「真治…僕は信じていたよ」
千「真治君、遅いよっ!」
半泣きになりながら言った
真「わるい、ちょっと迷った」
梨「地元の人が迷っちゃダメでしょ…」
梨子のツッコミに、周囲の顔がほぐれる
真治は真面目な顔になり、曜の顔をしっかりと見つめる
力強い視線に、曜は少し顔を赤らめる
真「渡辺さん…俺、人間って皆同じだってずっと思ってた、俺をいじめている奴らも、月達も…俺を憐れに思ってるだろうって、ずっと思ってた。でもそれは間違い、君達は…本気で俺と向き合い、手を差し伸べてくれた、本気で…友達になろうとしてくれた……だから、ごめんなさい!」
深々と頭を下げる
曜は真治の顔を起こすと、自分の右手を差し出した
曜「私、ずっと信じてたよ、だから謝る必要なんて無い、その代わり…」
真っ直ぐに真治の目を見つめる
瞳がキラキラと輝いている
曜「私と…私達と友達になってくれない?」
真治は目が点になる
期待を裏切り、受けた思いやりでさえ仇で返した男に対して
彼女は友達になりたいと言ってくれた
自然と涙が流れ、頬を伝う
気づけば涙は留めなく溢れ出し、視界を曇らせた
涙……それは、いままでずっと、悲しい時に流す物だと思っていた
でも、嬉し泣きってやつも、あるんだな
真「あ、ありがとう…ありがとう…!」
号泣しているせいか、声が上手く出てこない
月「も〜、なに泣いてんだよっ!」
月が真治の背中をドンと叩く
梨「ほら、これで涙を拭いて?」
ハンカチを手渡す
千「えー!梨子ちゃんが、そんなに紳士だったなんて…」
梨「どこに驚いてるの!」
いつものコントに周囲から笑いが漏れる
真治も頬を緩ませた
千歌は、座り込んでいる真治に手を差し伸べた
千「真治君、私は、あなたがどれだけの悲しみを背負って生きていたのか、全然わかってなかった。だから、少し強引に勇気づけようとしてしまった…私達も同じなんだよ、だから謝る必要なんて無い」
千歌は真治の手をしっかりと掴み、立ち上がらせる
千「確かに過去の事を忘れてしまうのはダメだよ?でも、過去にしがみついて前に進めなくなってしまうのもダメだと私は思う。私は、それをスクールアイドルを通して学んだ、だから……上を向いて歩こうよ!私達と、一緒に!」
人間なんて、みんな同じだと思っていた
でも、みんながみんなそうじゃない
愛と思いやりを持っている人間もたくさんいるんだ
そう思う真治の心に、ある言葉が流れ込んでくる
どこからかわからないが、その言葉は深く、心に響いた気がした
勇気はどこに?君の胸に!
今回はここまでです!
次回もお楽しみに!