太陽と月   作:黒死牟

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お待たせしました!
絶賛五月病でございます…
ここを乗り切らねば…

今回も頑張って書きます!
では、どうぞ〜


憎まれっ子世に憚る

1限目の授業が終わり、真治は大きく息を吐いた

小一時間、隣人からほとんど束縛される形で授業を受けていると、流石に参ってしまう

真「はぁ……なんでだろうなぁ」

深い溜息をつき、顔をうつ伏せる

興味本位かどうか分からないが、どうしてここまで曜が絡んでくるのかが真治には理解が出来なかった

 

実はこの日、曜は教科書を丸々忘れてしまっていて、この後も同じような目に遭うことなど真治は知る由もなかった

 

 

2.3限もなんとか乗り切り、4限に向けての準備をする

次の授業は移動教室で、これが終われば昼休みということもあり少し体が軽い真治だった

真「流石に移動教室で横になる事はないよな…」

一縷の望みを抱きながら、教室を出ていく

 

全員が教室から出て行った時、真治の席に男子生徒が近づきカバンの中を探る

今朝、真治に手をかけていた生徒だ

「渡辺さんと馴れ馴れしく話しやがって…気に入らねぇ」

男子生徒は歪んだ表情のまま、真治の弁当箱に手をかけた

 

 

真治は疲れた顔をしながら廊下を歩く

元気の無い彼の背中を、月が勢いよく叩いた

月「なに沈んでんだよ〜」

 

真「痛ってぇな、何すんだよ」

いきなり叩かれたということもあり、真治は鋭い口調で言った

しかし、月は怯むことなく続ける

月「まぁまぁ、それで、曜と仲良く出来てる?」

 

真「まぁ…ちょっと疲れたけどな」

確かに人と話す事に慣れてないから疲れた、けど…

真「少しは、楽しかった…かな」

明るく話してくれる渡辺さんに、好感が無い訳ではない

その言葉に嘘偽りはなかった

月「そう、それは良かったよ〜!」

月はスキップをしながら真治の前に出る

楽しそうな月の姿を見て、真治は疑問を感じた

 

その時、脳裏にある記憶が浮かんでくる

2人の少女、暗がりの路地…

 

真「月…渡辺さんってもしかして…」

 

月「ん、なんだい?」

月は振り向き、真治に笑顔を向ける

 

気づけば、その不思議な記憶は頭から綺麗さっぱり消えていた

真「いや、なんでもない…」

 

月「なんだよそれ〜」

 

真「もういいんだ」

真治は月の横をすり抜けて足早に去った

その後ろ姿を見ながら、月は悲しげな表情を浮かべる

月「真治…やっぱり、覚えてないんだね」

遠ざかる彼の姿を瞳に映し、月は少し虚しくなる

 

今から3.4年前、月と曜は2人で大阪に旅行に行った事がある

 

煌びやかな通天閣、本場のたこ焼き、私達は思い思いに楽しんでいた

月「わぁ〜!凄い!曜ちゃん、向こう行ってみようよ!」

 

曜「ヨーソロー!あれ?」

曜の瞳に、路地に隠れた制服専門店が映る

その瞬間目を輝かせ、月の肩をガシッと掴んだ

曜「月ちゃん!前方に制服専門店発見!これはもう…」

顔を見合わせる2人

考えは同じと言わんばかりに同時にニヤける

月「行くしか〜?」

 

曜「ないよ〜!全速前進〜」

 

月「ヨーソロー!」

 

夢中になって走り出し、路地に入ったその時、曜が男とぶつかってしまった

曜「あ、すいません!よそ見してて…」

言いかけた曜が、男の姿を見た瞬間固まった

至る所に開けられたピアスの穴、金髪の髪はオールバックにしてあり、極めつけに腕からは刺青が覗いていた

男は3人いて、ほとんど同じような格好をしている

 

その中の一人があからさまにイラついた表情で曜に近づく

男「どこ見て歩いてるんだ?あぁ?」

 

曜「本当にすいません…私が悪かったです…」

 

男「悪かったで済まされるんなら警察なんていらねぇんだよ」

月も勇気を出して前に出る

月「僕も謝るんで、どうか許してください!」

男のギラりとした目が2人を交互に見つめる

男「そんなに許して欲しいなら、俺達と一緒に来るんだな」

 

曜「え、それってどういう…」

 

男「言葉通りさ、俺達と気持ちいい事しないかってことさ」

男の口元が妖しく吊り上がる

曜「そ、それは…」

 

男「いいから来いよ」

男が曜の腕に手をかけようとしたその時…

 

2人の目の前に1人の少年が現れ、男の手を掴む

路地が暗いせいで顔は良く見えない

少年はスラリとした体型だが、引き締まった体に後ろからでも見える

?「やめろよ、嫌がってるじゃないですか」

 

…この声、もしかして…

 

男「なんだぁ、お前」

 

?「お前が知る義理はない」

男は眉を吊りあげながら少年を睨みつけ、胸ぐらを掴んだ

男「ガキが…舐めんなよ!」

 

しかし、少年にはどこか余裕が感じられる

?「…それはこっちのセリフだ」

次の瞬間少年は男の手を掴み、そのまま反対方向に捻る

男の体は痙攣を起こす様に倒れ込み、苦悶の表情を浮かべた

男「な、なんだこいつ…」

 

男「ちっ、これならどうだ」

そう言うとポケットからナイフを取り出し、少年に向ける

男「ほら、殺されたくなきゃさっさと消えろや」

少年は表情をピクリとも動かさずに佇む

?「刺すなら刺せよ、その度胸があるのならな」

 

男「こ、このガキ…」

迷いがあるのか、ナイフの先端が震えている

?「…臆病者め」

男の手を蹴りあげナイフを吹っ飛ばし、正拳突きを腹部にめり込ませる

男は苦悶の表情を浮かべ、倒れ込んだ

?「今のうちに逃げろ!」

少年は後ろを振り向かずに言う

月「で、でも…」

 

?「いいから早く行け!」

我に返り、私と曜ちゃんは全速力で走り出す

 

夢中で走っているといつの間にか路地を抜け、表通りに出ていた

手に膝をつき、肩で息をする

曜「はぁはぁ…助かったね…」

 

月「うん、なんとかね…」

呼吸も落ち着き、逃げて来た方の道を振り返る

曜「あの人、大丈夫かな?」

 

月「大丈夫だよ、だって…強かったもん、それに…」

もしかして…いや、そんなはずがない

彼はあの時、事故にあって病院に…

月の脳裏に、幼なじみの少年の姿が浮かび上がっていた

 

 

移動教室も終わり、待ちに待った昼休みがやってくる

真「はぁ、授業だけでこんなに疲れたのは初めてだ…」

あからさまに疲れた顔をして、自分の席に座り込む

真「さーて弁当はっと…あれ?ない…」

忘れたか…いや、朝はちゃんとあったはずだ

 

その後、あらゆる場所を探したが出て来なかった

 

結局、弁当はゴミ箱の中から発見された

流石に食べる訳にもいかない

真「仕方ね、売店でなんか買うか」

財布を握って教室を出ようとすると、渡辺さんに呼び止められた

曜「真治君、どこ行くの?」

 

真「弁当…忘れちゃったんだ、だから売店にね」

 

月「おっちょこちょいだな〜」

 

千「私のお弁当分けようか?」

千歌は真治に近づき、小さな弁当箱を見せる

真「自分で何とかするから大丈夫だ」

そう言って教室から出て行った

 

千「あ〜あ、仲良くなるチャンスだったのになぁ〜」

千歌は悔しそうな顔をして俯く

梨「っていうか…本当にそのお弁当分けようと思ったの?」

梨子が突っ込むのもご最も

なぜなら千歌の弁当は、8割がたみかんで埋め尽くされていたからだ

千「いやぁー今日お母さんが寝坊したみたいで〜えへへ」

それでご飯入れる所が全てみかん…いや、おかしい

月「あはは、千歌ちゃんは本当にみかんが好きなんだね」

 

千「うん!だって美味しいんだもーん」

千歌はニッコリ笑顔だ

曜「真治君、大丈夫なのかな?」

 

月「心配ないよ〜多分、あそこだから」

月は人差し指を立てて自信気に言ってみせた

 

 

屋上

真「はぁ、ったく今日は散々だな…」

授業では普段の倍疲れ弁当は無くすわ…

 

神様、俺なんか悪いことした?

 

そう思いながらも、売店で購入したパンを頬張る

 

今日の天気は快晴だ

どこまでも澄み渡る空は永遠に続いている

春の日差しは少し暑く、冷め切った真治の心をあっためてくれた

真「お日様って、いいよな」

 

?「心、あったまった?」

不意に声をかけられ身構えるが、その人物を目指して力を抜いた

真「なんだ、渡辺さんか」

曜はニコリと笑う

曜「隣、いいかな?」

 

真「別に構わないけど」

こんなに広い屋上で隣いいかなって…

曜はまたニコリと笑い、真治の隣に座る

曜「お昼ご飯ちゃんとある?」

 

真「買ったから大丈夫だよ」

 

曜「そっか…」

曜は顔を上げ、広い空を瞳に映す

曜「ここ、いい場所だね、とてもあったかい」

 

真「だよな、自分がちっぽけに見えてくる」

率直な意見に真治も素直に同調した

曜「私達、前の学校でスクールアイドルやってたんだ、沢山走って苦しんで、そして優勝した、練習場所も屋上だったんだよ」

 

真「スクールアイドルだったのは噂で聴いたけど、優勝までしてたんだね、凄いじゃん」

 

曜「ありがと!私達は誰かに笑顔になって欲しくて頑張ってきた、たまにはそれが空回りした事もあったけど、私達が走ってきた道は間違いじゃなかった、だって、色々な人を笑顔にできたから!」

 

なんだか、不思議な人だ、渡辺さんって

俺はほんの興味本位で質問する

真「グループ名は、何だったんだ?」

渡辺さんは少し驚いたが、直ぐに笑顔になる

いっつも笑ってるなこの人

曜「知りたい〜?」

若干ジト目でこちらをみる

真「知りたい、かな」

渡辺さんは立ち上がって、俺の方を向いた

曜「私達は…Aqours!」

 

Aqours…帰って見てみようかな

ちょっとだけね




今回はここまでです!
次回もお楽しみに!
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