ポケットモンスターVIRTUAL REVOLUTION 作:未来跳躍
今回も忙しくて短いですが、どうぞお楽しみください。
サトシのバーチャリーグ出場のために最初のジムがあるジーナタウンに向かって旅をするサトシ達。ジーナタウンのすぐ近くまで来ていた。
「この丘を越えると、ジーナタウンに着くな」
「そうか!もうすぐジーナジムに挑めるんだな!」
カイトがマップを確認すると、サトシは興奮を抑えきれず、一気に丘を駆け上がった。
バーチャ地方に来て初めてのジム戦。サトシはまだ見ぬジムリーダーとのバトルに昂っていた。カイトとアマネも猛ダッシュするサトシの後を追って走り出す。
サトシは丘を一気に駆け上がり、頂上に到達した。そこから見えるのは―。
「あれがジーナタウンかぁ!」
待ちに待ったジーナタウンだった。
「よし!早速ジム戦だ!ピカチュウ」
「ピッカ!」
目の前に見えるジーナタウン目掛けて、サトシとピカチュウは再びダッシュで丘を下るのだった。
「サトシ、待ってください!」
「バカ!そんなに走ると「ぷぎゃっ」―ん?」
カイトが注意しようとすると、ドスンと何かがぶつかった大きな音と、つぶれたカエルのような声が聞こえた。
慌ててアマネとカイトが丘を上がり終えると、そこには下り坂を猛ダッシュで走った為、大木に真正面から激突して倒れたサトシとピカチュウがいた。
「サ、サトシ!!大丈夫ですか!?」
「ハァ…。何やってんだよ」
「ブイ…」
慌ててサトシを介抱しようと走るアマネと呆れてため息をもらすカイトとイーブイだった。
この後、バッチリ復活したサトシは再び走り出して、彼らは遂にジーナタウンに到着した。
「遂に来たぜ!ジーナタウン!」
「ここがジーナタウンですか」
「さて、まずは「ジムに行って、ジム戦だ!行くぞ、ピカチュウ!」あっ!おい!」
カイトの言葉も聞かず、サトシとピカチュウはまた勝手に走り出した。
「たくっ…。あのバカ!」
「まあまあ、サトシもずっと楽しみにしていたんですから」
走り出したサトシに怒りを露にするカイトを、アマネが宥めて、2人もサトシの後を付いていくのだった。
走るカイトとアマネは町を見渡してあることに気づく。
「なあ。この町にはあのパーカーが流行っているのか?」
カイトが指差したのはジーナタウンの住人達。この町では、至るところで白い猫耳付きのパーカーを着用する人達をめにするのだった。
着用しているのは、主に10~20代の若者に多く、この町ではあのパーカーが若者の間で流行しているのかと感じる。
ジムを目指して走るサトシが路地を右に曲がった次の瞬間、サトシは出会い頭にぶつかってしまった。サトシとぶつかった人は互いに尻餅をついてしまう。
「あっ!ごめん!」
サトシは慌てて謝っているその時に、カイトとアマネも遅れてやって来る。
「大丈夫ですか!?お怪我はありませんか?」
「俺の連れが粗相して悪いな」
2人もぶつかった相手に謝りをいれた。相手は町でよく見る白い猫耳付きのパーカーを着用していて、頭に被ったフードから長い白髪がこぼれていた。彼女は慌てて、携帯で時間を確認する。
「いたた…。うわぁ!もうこんな時間だ!急がないとママに怒られる!」
そう叫んで、すぐに立ち上がってその場から猛スピードでこの場から去って行った。
取り残されたサトシ達は呆然と立ち尽くしていた。
「イテテテ。痛いよカイト!」
「当たり前だ。痛くしているんだからな。ったく、あれほど勝手に走るなって、言ったのに――」
「だからごめんって言ってるじゃん!」
「まあまあ。カイトもその辺で」
今のサトシ達の状況は、あの後サトシがまた勝手に走り出したりしないように、カイトがサトシの首根っこを掴んで引っ張って歩いている。
カイト達は今はジムではなく、ポケモン達の回復と旅の物資の補給をするために、ポケモンセンターに歩いていた。ポケモンセンターに到着してようやく解放されたサトシは首もとを手で擦りながら、ポケモンセンターへと入っていく。
「こんにちは。ポケモンセンターへようこそ」
笑顔で挨拶するジョーイにサトシ達はモンスターボールを取り出す。
「すいません。よろしくお願いします」
サトシ達は手渡されたトレーにモンスターを入れて、ピカチュウとイーブイはモンスターボールには入らず、そのままジョーイに抱えられた。
「はい。では、お預かりしますね」
ジョーイがポケモン達を預かった時、カイトが彼女にある一点を指差して尋ねた。
「すいません。この町であのパーカーをよく見るんですけど、あれはいったい―?」
「ああ。あれはアズマリムさんが発売したパーカーでこの町の若い人達には大流行していて、私も持っているんですよ」
「「「アズマリムさん?」」」
「この町のジムリーダーです。ジムリーダーだけでなく、コーディネーターとしても有名なんですよ。ほら、今テレビに映っている彼女ですよ」
そう言って、ジョーイは待合所の大きなテレビを指差した。サトシ達はそちらへ顔を向けると、そこに映っていたのは―。
『おつおつおー!先輩達、アズリムだよー!』
先程、サトシがぶつかった相手の女性であった。
「「「ええぇぇぇっ!?」」」
「いや~。驚いたなあ」
ポケモン達の治療を待っている間、サトシ達は未だに驚きが落ち着かずにいた。
知らなかったとはいえ、まさかこの町のジムリーダーとあんな形で会っていたとは、思いもしなかった。
「どうする?ジムリーダーは今、テレビに出ているからジムに行っても意味ねえぞ」
カイトの言う通り、今もジムリーダーのアズマリムはテレビの生中継に出演しているので、ジムに行っても留守になっている。
しかし、サトシはこのままじっとすることはできなかった。サトシは少し考えた結果、ある答えにたどり着いた。
「決めた。俺、アズマリムさんところに行く!」
「ハァッ!?」
「行くって、今ジムリーダーさんはテレビに出ているんですよ。どうするんですか?」
「とりあえず、テレビの撮影現場で待って、撮影が終わったら、会いに行ってバトルを申し込んでみる!」
その時、ジョーイから彼らの手持ちポケモンの回復が終わった呼び出しがあったので、サトシは立ち上がり、ポケモンを返してもらうと「ありがとうございました」と礼を言ってポケモンセンターを出ていった。カイトとアマネも同じくポケモンを返してもらうと、サトシの後を追って出ていった。
とりあえず、アズマリムが出演しているテレビの撮影現場は大勢の人達でいっぱいだった。
「すごい人だかりですね」
「これはすごいな」
「ここまで来たんだ。諦められるか!」
「ハァ…。俺が行く。アマネはここで待ってろ」
「私も行きます」
サトシは人混みの中へ突っ込んでいく。カイトはため息を一つ漏らしてサトシの後を人混みの中へ入った。アマネもカイトについていった。
サトシとカイトはなんとか人混みを抜けて、ようやく前に出る。それに少し遅れてアマネも前に出ると、そこで先程会ったアズマリムが町のポケモンを可愛くコーディネートしていた。見た目はもちろん、立ち振舞いからバトルでの動作をより可愛く、より美しくするかという事を語っていた。それをアマネは目を輝かせて楽しそうに見ていた。
そこで番組のアナウンサーがあることを提案した。
「それではアズリムちゃん。ここでこの場にいる客のポケモンをコーディネートして見せてくれないか?」
「えっ!う~ん、いいよ!」
「それでは、皆さん。アズリムにコーディネートを希望したい人は挙手を!」
そう言った瞬間、観客は一斉に挙手し始めた。あまりの勢いにサトシとカイトは萎縮してしまうほどであった。
どの観客も声をあげて手をあげるのだが、ある一人の女性がものすごい声と剣幕で手をあげていた。
「ハイハイハイハイ!ハァ~イ!」
その勢いは凄まじく、サングラスをしていたが、そのサングラス越しでアナウンサーを捕食せんばかりの睨みを利かせてさすがに無視できなかったのか、アナウンサーはたまらず彼女を指名した。
「そ、それでは、そちらのお嬢さん…。どうぞ…」
「えー、やだー!アタシが選ばれるなんてー!ムサヴィ感激ー!」
「ムサヴィさんですか。それではムサヴィさん、あなたのポケモンをこちらに――って、ムサヴィさん?聞いてますか?」
ムサヴィはアナウンサーやアズマリムを無視してずっとテレビのカメラ前でポーズをとっているのであった。
「ムサヴィさん、ここはポケモンをコーディネートしてもらう場ですよ。あなたがカメラに映る場ではありません!」
「何言ってんのよ!大女優であるアタシが映ってあげているんだから、もっと撮りなさい!」
アナウンサーがムサヴィをどかそうとするが、ムサヴィもカメラにしがみつき離れようとしなかった。仕方なく、アナウンサーが指を鳴らすと、奥から屈強な体のガードマン2人が現れて、ムサヴィの両肩を掴んで無理やり外へ引っ張って行った。
「ちょっと、離しなさいよ!何よ、何すんのよ!」
「ム、ムサヴィ~!」
「ああ、待つニャー!」
ムサヴィの仲間と思われる2人もガードマンの後を追って、その場から去って行った。
アナウンサーはコホンと一つ咳払いをすると、何事もなかったかのようにもう一度観客に応募をかけた。
再び観客達が一斉に挙手し始めた。アマネも手をあげるが、内気な性格が出てしまい、挙手しているのか、していないのかわからないほど小さな挙手だった。それを横目で見ていたカイトが気づかれないように、彼女の後ろに回り込み、そっと彼女の背中を押した。
背中を押されて、一歩前に出てしまったアマネをアナウンサーが捉えた。
「おっと!そこのお嬢さん、君にお願いしましょう!」
「えっ!えっ?えっ!?」
アマネは自分が選ばれた事に困惑しているが、サトシが彼女に声をかけた。
「選ばれるなんてスゲーよ!アマネ!ホラ、行って来いよ!」
サトシに押されて前に出されたアマネはゆっくりと歩いて、アズマリムのもとへと歩み寄った。
「お嬢さん、お名前は?」
「アマネ…です…」
「アマネさんですか。それでは、アマネさん。ポケモンを」
「はい。出てきて、ヒバニー」
「ヒバッ!」
アズマリムはしゃがんで、ヒバニーの様子を観察する。
「へぇー。ヒバニーかぁ!この子はよく育てられているね」
「あ、ありがとう、ございます」
アズマリムに誉められてアマネは嬉しくなる。
「このヒバニーを見る限り、バトルするためにとは見えないね。もしかして、パフォーマー志望かな?」
「え、えぇ…。そんなところ…です」
サトシならここで自分の夢を大きく語れるだろうなと思い、アマネはサトシの方を一瞥する。しかし、自分にはまだここで自分の夢を語れるほどの勇気と度胸はない。アズマリムはそんなアマネを見て、彼女の肩を掴む。
「よぅし!それじゃ、アズリムがアマネちゃんにヒバニーのコーディネート方法を伝授しよう!」
そう言って、アズマリムはアマネのヒバニーのコーディネート方法を教えてあげた。
ヒバニーの見た目のコーディネートから、ヒバニーの特徴を考慮したパフォーマンスの動きなどを手取り足取り教えてあげたのだ。
アマネはよく観察して、教えてもらったことをすべてメモにまとめた。
そして、コアズマリムのコーディネート教室の時間も終わりを告げる。
「それじゃ、アズマリムさんのポケモンコーディネートはここまで。皆さん、ありがとうございました。最後に、今回の主役のアズマリムさんとアマネさんの2人に大きな拍手を!」
観客からの大量の拍手の音が聞こえる。テレビ収録は無事に終了した。
アマネは終わってもまだ緊張が解けず、心臓がずっとバクバクいっているのを感じた。
テレビ収録が終わったので、ようやくサトシとカイトがアマネのもとへと歩いて来た。
「アマネ、スゴかったぜ!」
「よく頑張ったな」
「2人とも、緊張で死ぬかと思ったよ」
「ヒバニーはずっと楽しそうだったよな」
「ヒバッ!」
「ピッカ!」
「イッブイ!」
「お~い。アマネちゃ~ん!」
3人と3匹が仲良く話していると、アズマリムが手を振りながらアマネの方へと駆け寄ってきた。
「アズマリムさん!」
「アズリムで良いよ。それより、アマネちゃんって、ポケリューションに出場するの?」
「えっ!?」
話していない自分の夢をいきなり言われて、アマネは動揺する。アズマリムはそんなアマネに優しく語りかける。
「別に恥ずかしいことじゃないよ。ポケリューションは誰でも参加できるんだから」
「でも、私は参加するだけで終わりたくないんです。私はマスタークラスに上り、ポケリウムステージに立つのが私の夢です」
「そうか。それは大分険しい道だね。でも、次は私だけでなく、皆の前で話せるようにならなくちゃね」
「はい。頑張ります!」
アマネはアズマリムに色々と教えられた。そこでアマネは自分の夢に対して向き合うことができた。自分の夢を語れるようになるように、自分も強くなろうと決心した。
「そうか。応援するね。それじゃ、私はこれで」
アズマリムが戻ろうとしたその時、「ちょっと待ったー!」とサトシが呼び止めた。
そう。アマネの事で忘れていたが、元々ここへ来た理由はサトシのジム戦の申し込みのためなのだ。
「アズマリムさん。俺、マサラタウンのサトシです。ジム戦をするために、ここへ来たんです!俺とジム戦お願いします!」
サトシがお願いするが、アズマリムはばつが悪そうに頬をかいて答える。
「うん。ジム戦は嬉しいんだけど、明日に別の挑戦者が来るから、すぐには無理なんだよね」
「えぇ…。そんな~」
「ホント、ごめん!明後日なら大丈夫だから!」
「――わかりました」
サトシもこれ以上我儘は言えない。明後日にはバトル出来るので、それで了承する。
「明日のバトル、観戦したかったら観に来て良いからね!じゃーねー!」
そう言って、アズマリムは帰って行った。
「どうする?明日、観に行くか?」
カイトが尋ねると、サトシは笑みを浮かべて答える。
「あぁ!もちろんだ!」
サトシの闘志はメラメラと燃えていた。
いったい、アズマリムはどんなバトルをするのだろうか。サトシの旅はまだまだ続く。
皆さんに出してほしいVTuberがいれば、リクエストよろしくお願いします。ジムリーダーと四天王、チャンピオンは決まっているので、主に一般トレーナーになりますが、是非ともご意見をよろしくお願いします。
※あくまで、ポケモン世界のトレーナーとなるので、人外系のVTuberは人間になりますので、そこはご了承ください。