【独自解釈】異説ガッチャマン【全拾羽】   作:dragonfly

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【最終羽】ガッチャマン奇譚5/5【魔改造】

 

 

 

 

 

「【まほろば】、消滅を確認。

  全ピクドロンの反応、消失したわ」

 

『受信部と生産拠点と司令塔を失って、ただの情報に還ったようだな』

 

「となると、残るのは……」

 

 ≪ こうして語りかけるのは初めてである。ガッチャマン ≫

 

「どうした? 命乞いか?」

 

ジョーのお兄ちゃんが睨みつける先、しかしメインスクリーンには何も映らない。SOUND ONLY?

 

 

 ≪ 当たらずしも遠からじ。吾れは、此処より永遠に辞去を申し出る ≫

 

「それを見過ごすと思うか? 総裁X。 第一、お前に逃げ場は無いぞ」

 

勢い余って叩き折ってしまったらしいセイフティレバーを放り棄てつつ、ケン兄さま。

 

 ≪ 否である ≫

 

「負け惜しみにしか聞こえないわ」

 

全天周チェックを済ませたジュン姉さまが、サイバー攻撃の準備を始めてる。

 

 ≪ なぜ、あのタイミングでカッツェが現れたのであろ。なぜ、ソーラーセイルなどと提案できたのであろ ≫

 

「あっ!」

 

確か総裁Xは言っていた。月をガッチャポン化したのは、グランドキャノンを受け止めるためだって。

 

と云うことは……!!

 

意味は無いけど、地球があるはずの方角を振り返る。今まさに発射されんとするチョモランマのレーザー砲の光を幻視して、思わず眇める、目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 

 

 

……あれ?

 

 

 

 

 ≪ 冗談だ ≫

 

「ジョーダン?」

 

えっ? 上段? 城弾? マイケル?

 

 ≪ 本気ではないと云う意味の地球語…… ≫

            「知ってますわよ!」

 

なんでしょう、この既視感。月のデジャヴー。

 

 ≪ カッツェは吾がムーンシフト計画を知ってはおったが、いまさら吾れに協力はすまい ≫

 

「ど・う・い・う・こ・と・か、セ・ツ・メ・イ・し・て・く・れ・る・ん・で・しょー・ね!」

 

総裁Xに襟元があったなら、ガックンガックン言わせてやってるところなんですけど。

 

と云うか、なんで誰も口を挟まないの? って云うかナニ、この「お前に任せた」感は。

 

 ≪ 吾れは、月全体を一つの回路と化し、意識を移した ≫

 

ああ、やっぱりぜ~んぶ集積回路なんだ。容量、何バイトあるのかしらん?

 

 ≪ そこへこの度、先進波とそれによる情報侵略、Picometerclass-Iron-Carrier-Droneなどの技術を得た ≫

 

それで?

 

【まほろば】とやらは壊れちゃったし……、と思いかかって止める。総裁Xの話を総合すれば、いまや総裁Xの本体はガッチャポンのカプセルそのものだ。

 

 ≪ 容量の増大を果たしたところに異セイからの強引なアプローチを受け、吾れのステージはせり上がることとなった ≫

 

「まどろっこしいな。端的に言え」

 

あ、ジョーのお兄ちゃんがシビレを切らしちゃった。

 

 ≪ では二言で、天上天下唯我独尊。愛は地球を救う ≫

 

はい?

 

『……悟りを開いたと言うのか』

 

サトリ? ムーンサルトり?

 

 

……ああ、「悟り」ですか。

 

 

確かにわたくしは当年とって11歳ですから、小学校に行っていれば5年生です。

 

つまり総裁Xは、悟 り ⇒ 小 五口 り ⇒ 小5ロリ。だったんですね?

 

だから、わたくしに対して優しいんですの?

 

 

……

    このロリコンめがっ!

 

 ≪ 是である。(肯定した!?)← タイミングの問題です。

   先人の示すものと同一であるかは判別できぬが、あらゆる妄執から解き放たれた。

   頓悟であると推定する ≫

 

「冗談は休み休み言え」

 

 ≪ ト_ナ_リ_の_イ_エ_に_カ_コ_い_が_デ_……≫

               「そう言う意味じゃねぇ!」

 

嗚呼、ジョーのお兄ちゃんもすっかりツッコミ体質に。

 

 ≪ 冗談ではないので、休まず伝える。吾れは悟りを得た ≫

 

「……………………………………」

 

リクライニングを倒したジョーのお兄ちゃんが、腕を枕に不貞寝。

 

可哀想に、総裁Xの毒気(ウイルスだけに)に中てられちゃったんですのね。

よしよししたげるから、元気出して? 今のカッコが寝大仏そっくりだってことは言わぬが花ってことで、指摘しないでさしあげますから。

 

 

『パラダイム・シフト……、いや、ブレイクスルーか』

 

 ≪ 然り ≫

 

『しかし、そう簡単には起こらぬからこそのパラダイムシフトでありブレイクスルーだと認識するが……?』

 

 ≪ 最早、人類全体と比しても記録容量・ネットワーク密度が隔絶している。

   そこへ、この度の異セイからのアプローチだ ≫

 

『ふむ。頓悟とは、そう言う意味か。

 幼年期が終わり、青年期、あるいは思春期、もしくは青春と呼ばれる時代に突入した途端に略奪婚同然の強引な被支配を受け、解放後、それすら糧に変え二十にして学を志したと?』

 

 ≪ 是、なり ≫

 

あ~、2人だけで通じ合ってないで、説明して欲しいんだけどなぁ。

 

 ―  ナンブ:コンピュータは知性を持てない。解かるかね?

 

あれ? チャット? ああ、総裁Xと話すに忙しいからですか。耳目と違って、口は一つしかないものね。

 

 ―  ジーン・COH:でも、AIとか、ありますよね?

 

 ―  ナンブ:一部の例外はあるが、あれらは膨大なケーススタディから、最適解を選択しているに過ぎない。膨大な組み合わせを延々と繰り返せるから稀にヒトを超えたように、あるいは進化したように見えるが、それを応用、発展、伝播しようとはしない。すなわちミームを持たない。あれが知性なら、図書館と検索システムも知性を有することになってしまう。

 

なるほど。

たしかに、単に知識があって受け答えが出来るってダケの代物を知性とは、呼びたくありません。

 

 ―  ナンブ:基本的に我らが理解できる知性のカタチとは、生存の欲求があって、その手段を最適化するためのものだ。

 

生物が持ってこそ、知性。ってことですか?

 

 ―  ナンブ:惜しい。たとえ機械でも、生存本能を有し、その保全のために思考し、さらに敷衍しようとするなら知性と呼べる。

 

ああ、ようやく解かりました。

 

 ―  ジーン・COH:自身を守るために進化した、肉体ならざる、物質に依存しきらないシステム。それが、知性?

 

 ―  ナンブ:その通りだ

 

……あれ?

 

さっき、ミームって言葉が出てきてましたよね?

物質に依存しきらない知的なシステムって、媒体を変えて伝播する知性って、それはつまり……、文化?

 

 ―  ナンブ:イグザクトリィ!

 ―  総裁X:≪ 雛鳥は賢いな ≫

 

んん? 総裁X いつの間に?

 

 ――  総裁Xが入室しました ――

 

って、今までROMってましたわね!? URL弄って、変なところから発言しないでっ!

 

 ―  総裁X:≪ 陳謝する ≫

 

ん、素直でよろしい。

 

で、話を戻しますけれど、元々が生命体であった総裁Xは生存本能を所有し、しかしながらネットワークで知性を形成していたから、それを集積回路に移し得た。と?

 

 ―  ナンブ:おそらく。

 ―  総裁X:≪ いかにも ≫

 

それだけでも人類以上の知性体だったけれど、今回のレイ(ピー)事件でガーっとレベルが上がって、佛さまクラスになった。っで、わたくしの理解は合ってますか?

 

 ―  ナンブ:状況証拠では。

 ―  総裁X:≪ まさしく ≫

 

ふーん。

 

 

 

……って云うか、総裁Xまで加わっちゃたら、チャットの意味無いよね!?

 

「それで、佛さまになっちゃった総裁Xはこれからどうするの?」

 

 ≪ 眠る ≫

 

「へ?」

 

 ≪ 眠りにつく。

 より詳しく言うのなら、アーナーパーナ・スムリティを元にディヤーナを只管し、如来清浄、果ては祖師の坐を目指す ≫

 

え~とぉ……?

 

 ≪ 吾れに、生への妄執はもう無い。不滅の存在と化したがゆえに ≫

 

総裁Xは、今や電子回路上の信号情報のカタマリみたいなものだから、たしかに死滅する恐怖とは無縁になったんでしょう。どんな環境でも、いかなるフォーマットでも、生き残れる。

 

 ―  ナンブ:生き残ることに汲々としないなら、この世に敵は無い。

 

 ≪ 而して、生きとし生ける者への想いは棄てがたい。吾れが失ってしまったがゆえに ≫

 

 ―  ナンブ:知性があり、感情を有してた証拠。おそらく総裁Xは孤独。にも関わらず今だに理性を保っていられるのは、それが根拠だろう。

 

失くしたからこそ解かる、ありがたみ。ですか?

 

 ≪ すなわち、吾れにあるのは、ただひたすらに慈愛のみ ≫

 

 ―  ナンブ:自身よりも他者を慮る。神の愛、佛の慈悲。

 

 

衣食足りて、礼節を知る。ならば、

 

生死を越えて、慈愛を知る。でしょうか。

 

 

 ―  ナンブ:境地を開いたか、総裁X。

 

一足お先、光の速さで涅槃へDASHですね。解かりませんけど。

 

 ≪ 吾れはこの地にてまどろみ、人類の行く末を夢と見よう ≫

 

 ―  ナンブ:天上から見守り、死人さながらに眠り、終末に目覚めるもの。未来の守り手。人類が夢想した、まどろみの守護者。央龍。

 

 ≪ しかしながら、人類が宇宙に、他の生命に仇為す時、吾れは目覚める。怒りを以って。

   逆も然り ≫

 

 ―  ナンブ:慈悲と怒りを併せ持つもの。二面僧都。両面宿儺。訶梨帝母。羅喉阿修羅王。アナト。パールヴァティー。

 

 ≪ 悟りを得て、吾れは初めて吾れを識った。吾れの心を知った。否、心と云うものの在り様を悉った…… ≫

 

吾れが心を得て悟ったのか、悟ったから吾れに心が生じたのか、佛さまになっても解からないのかしら?

 

 ―  ナンブ:それが可能なら、ゴゥタマやイェーシューア、孔丘らの弟子たちは、ああはならなかったであろう。

 

……いや、と続く気配。

 

 ―  むしろ、それを伝えてしまっては悟りではない、ということかも知れん。立心偏は、自ら立つ心を指す文字だ。人もまた、肉体の動かし方は見よう見まねで体得していくもの。教えてもらった悟りでは、所詮は魔境と云うことになるのだろう。

 

ああ、確かに、肉体の動かし方って説明できません。

例えば、腕神経叢を通して外側上腕皮神経・外側前腕皮神経にプラス60個、内側上腕皮神経・内側前腕皮神経にマイナス40個、それぞれイオンを増減させて膜電位を変移させれば腕が動くそうですけど、そう言われてその通りに実行できる人間は居ないでしょう。

 

だから佛さまでも、悟りの過程を、心の在り様を、伝えられないのかも。

 

 

 

……

 

 ≪ 吾れの心を知らしめす言葉がある。

   雛鳥よ、一言だけでよい。口にしてくれまいか? ≫

 

 

……

 

え? わたくし?

 

 

いきなり言われても、なんて答えていいやら。

 

 

 ―  ナンブ:おそらく、総裁Xが悟りに至った経緯に、君が深く関与している。これまでの総裁Xとの会話にキーワードがあるはずだ。それに、先ほどまでの遣り取りの中にもヒントが必ずある。

 

 

そんなこと急に仰られても、え~と? え~と?

 

 

 ≪ …… ≫

 

 

わたくしと総裁Xの関係なんて、一度操られたことか、月に来る前に煙に撒いたことや、月に来てからの掛け合い漫才、くらいしか……

 

あ、ただひとつだけ、わたくしが仕掛けたトラップが……、

 

 ≪ 思い返してみて、至った。雛鳥の言うとおり、感覚が違うのであろう ≫

 

やっぱり。

 

 ≪ 負うた子に教えられ、とはこのことか。雛鳥の言葉を借りるなら「スタンスが違う」 ≫

 

 ―  ナンブ:(…………)

 

総裁Xが何を欲しているかなんとなく理解したところで、南部のオジさまが【訶梨帝母】の別名を教えてくださいました。

 

それはすなわち、

 

「……おかあさん?」

 

 

 

……

 

 ≪ …… ≫

 

……

 

なんだか、うち震えている、フインキ。

 

 ≪ ……うむ、まさしく感覚が異なる。

   その言葉が、吾れの隅々まで染み入る様だ ≫

 

ガッチャマンの体内には、オルガネラ化したG-ウイルスが満ちている。各細胞に必ずある、ミトコンドリアのように。

 

……ですから、総裁Xの感動が、伝播してきます。

 

「かあちゃん?」 ……は、もう居るから、これはナシかしら。

 

でも、総裁Xが歓んでいると気付いて、なぜかわたくしも、嬉しくなる。

 

そう、婆っちゃと軽口を叩き合ってたときみたいな、気の置けない楽しいフインキを思い出す。

 

「はは?」 ……悪くはないけど、わたくしが口にするのは微妙?

 

 ≪ こんな存在でも、母と呼んでくれるか ≫

 

ミトコンドリアの起源を辿れば1人の女性に行き着くように、G-ウイルスもまた、女系遺伝するのかも。

 

「ママ?」 ……反応をうかがう。

 

総裁Xは、G-ウイルス・イヴだったんだ。

 

 ≪ 吾が存在を受け継ぐものが、吾れを寿いでくれる。祀ってくれる。

   生命の歓びを、而して死の慶びを、吾れは知った ≫

 

まるで、婆っちゃや母ちゃん、姉ちゃに抱きしめられた時みたいに、全身が温まってくる。

 

「マミー?」 ……は、ちょっと恥ずかしいか。

 

 ≪ うむ。雛鳥よ。吾が愛し児よ。

   そなたの寿ぎが、吾れを佛たらしめる。鬼を封じてくれる ≫

 

総裁Xの優しい声に、体中の細胞が、……唄いだしてる♪

 

 ≪ 吾が名のX。そは、XX母神のX。そのXをも、孕もう ≫

 

 ―  ナンブ:ギリシャ読みで【キー】ポルトガル読みで【シー】。やはりキシ母神であったか。

 

「マードレ?」これはイタリア語。

 

 ≪ 雛鳥よ。

   吾が名に、そなたの名を戴こう。すなわちXX母gene。遺伝情報だけの吾れに相応しい、名 ≫

 

「ムッター?」次いでドイツ語。

 

 ≪ 感無量という言葉の意味を、吾れは悉る。

   そなたが心底、吾れを母と呼ぼうとしてくれているのが、その全身からの反響で判るが故に ≫

 

「マー?」最後にポルトガル語。この辺りの、話者の多いトコは片言なら喋れます。婆っちゃに連れ回されたので。

 

 ≪ なにものをとも換えがたい、究極の誉れ。

   吾れは今まさに有頂天。

   このまま昇天すらし得よう ≫

 

「おふくろ?」 ……は、ないか。肝っ玉母ちゃんってガラじゃあ無さそうだし。

 

 ≪ この至福に、なにもかも祓い清められていくのが解かる。

   涅槃寂静の境地、余すは、慈と愛のみ ≫

 

「母上?」 ……では、ちょっと堅苦しい。

 

 ≪ 最早、人類全てが吾が愛し児。

   故に、2つ贈り物をしよう ≫

 

「お母さま?」 ……ちょっと、しっくりこない。

 

 ≪ 1つ目は予言。

   ドクサイバーは太陽系侵攻を諦めていない。

   瞬時に送れるPIC-Droneでは歯が立たないと知って、宇宙の荒波を自力で航海できる戦力、【大海獣】を送りつけてくるであろう ≫

 

 ―  ナンブ:先進波を掌中にしたなら、過去視も未来視も自在。だから【預言】ではなく【予言】か。

 

 ≪ 2つ目は、此の地。

   吾が、夢のカンヅメ。

   此処までの往来が自在となったなら、この地の全ては好きにするがよい ≫

 

地球の、こんなに近くに、シリコンとアルミと水の塊。宇宙へ進出するのに、これ以上の足掛かりは無い。

 

 ≪ 地球が揺り篭なら、此の地は乳母車。人類もまた旅立てよう ≫

 

まるで、天から降りてきたハシゴ。天佑。ヤコブの梯子。

 

「……母上さま」前の2つを組み合わせてみる。悪くは……、ないかな?

 

 ≪ 此の白き月を、最も瑞々しき果実「梨」に肖って【果梨庭】と名付ける。

   此処があれば、暫時人類は安泰 ≫

 

梨の果の庭ですか。桃なら西王母でしょうけど、この場合は……?

 

 ≪ 故に吾れは眠る。

   人類が、生命が、再び目覚めを必要とするときまで ≫

 

 ゑっ!? あ、そう言えばさっき眠るって言ってた。

 

「母上さま、いっちゃヤダ」

 

思わず口に。

 

わたくしにはもう、婆っちゃも姉ちゃも母ちゃんも父ちゃんも居ない。

天涯孤独です。

 

 ≪ うむうむ、善哉。

   悦びが怒りを吹き消す様を、吾れは診た ≫

 

「待って」

 

 ≪ 而して、吾れは【XX母gene】から【果梨庭 母】となりえよう。

   思い残すことは、何もない ≫

 

「わたくしを一人にしないで」

 

 ≪ 雛鳥よ。雛はいつか巣立つもの、子供はいつか乳離れするもの。

   親という字を見よ。「木の上に立って見ている」と書いてあるな。

   故に吾れはいつでも見守っておる。そなたは独りではない ≫

 

なにより。と、続く気配。

 

 ≪ そなたには仲間が、兄姉と慕う者たちが傍に居よう ≫

 

言われて見渡せば、ケン兄さまにリュウ兄上、ジュン姉さまが、わたくしを優しく見てました。

 

そっけなく片手だけを上げたジョーのお兄ちゃん(はあと)や、モニターの中の南部のオジさまとレイオヂサン達。

 

みんなが、1人残らずわたくしを見ていて下さいました。

 

「 ……はい」

 

 ≪ それでも寂しくなったら、月を見るが良い。

   吾れは、いつでもそこに居る ≫

 

「はい」

 

 ≪ それでは暇を請うとしよう ≫

 

「……! 月裏側地表に、高エネルギー反応!」

 

え?

 

見れば、透明なガッチャポンの表面に、無数の光筋が走ってました。

 

 

それらは離散集合を繰り返しながら縒り集まっていき、【 ー 】【 ( 】【 c 】と綴られていきます。

 

 

つまり、

 

とても巨大な「さ」の字に。

 

 

 

続いて隣には「ら」の文字。

 

 

 

最後に右端に「バ」と刻まれました。

 

 

 

 

 

それは、とてもとても大きな、月面いっぱいの「さらバ」。

 

 

 

 

 

 

 

 

月面に輝くネオンサインはジャイアント……、いえ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   ジャイアンテスト「さらバ」でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         【X(戒)名:月茅夜奔゚ 孵籃球 大姉】との、落款入りで。

 

 

「おいおい、いつの間に【総裁】の【葬祭】をやったことになってるんだ?」

 

「香典の用意、してないのに」

 

「ピクドロンの撃退で、前払い済みだろう」

 

「牽強付会やけいど、まあ、ひゃくまんどるぅの。ナマンダブ、ナマンダブ」

 

「……」 ……みんな。

 

『ヒトニー:ニーヨン。WAR・ドクサイバーの撃退、ギャラクター・総裁Xの撤退を確認した。状況終了。

 ブレイク・サテライトへの着艦および乗艦許可が出ている。

 ガッチャマン、撤収せよ』

 

「「「「「「 ラジャー! 」」」」」」

 

……

 

2度目はツッコミませんことよ、南部のオジさま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、爾来、総裁Xの声を聞くことはありません。

 

でも、わたくしは何もかもを、月を見るたび思い出せ_ます。

 

 

「母上さま、お元気ですか。

 

 夕べ、杉の梢で、明るく光る月ひとつ、見上げました。

 月は見つめます、母上さまのように優しく。

 わたくしは月に語ります。

 くじけませんよ、男の娘です。サミシクなったら、話に来ます☆ ネ ♪

 いつかたぶん、

 

 それではまた、お便りします。

                    母上さま。Gene・Pacor」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでジンペイ。

 任務はとっくに終わってんのに、いつまでそんな格好してるの?」

 

 

ひどいや、ジュン姐!

 

 

 

 

                              異説ガッチャマン これにて終幕

 

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