【独自解釈】異説ガッチャマン【全拾羽】   作:dragonfly

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【最終羽】ガッチャマン奇譚3/5【魔改造】

 

 

 

 

 

 

「フェ~ンサー♪ 強い~ぞ! フェンサー♪」

 

 

ただいま、絶賛☆後ろ弾中(はぁと)のジン子@スワロゥテイルです。

 

――作戦記録として必要なので、思ったことは表層意識に掲げておきます。こうすればWEV経由で機械的にログが残る仕組みなんだそうで――

 

ちなみに、後ろ弾と云うのは……、

 

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え~と、なになに。

究極幻想じゃない方のFF、いわゆるフレンドリィ・ファイアのことで、人口に膾炙してる言い方をするなら誤射とかオウンゴールとか味方殺しのテムジン・ノムチクショウ……ですか。

 

わぁい ノ>_<)ノ 熱転換装甲で受け止めきれてるって解かってても、生きた心地がしないよ。歌でも唄わないとやってけないよ!

 

「凄い~っぞ! 高度~♪ 早い~っぞ! 速度~♪」

 

ほぼ無制限に加速できるから、スワロゥテイルの速度はすごいことになってます。地球軌道はおろか、今なら太陽系離脱だって夢じゃない。

 

ちなみに、本来は航空機であるスワロゥテイルが平気で宇宙船してるのには、カラクリがあります。

 

――【ホワイトスローテド】と同様の専用サポートユニット【ホワイトランプド】は、スワロゥテイルに必要な強制推進剤と、補助スラスターとしてイオンエンジン、さらにはソーラーセイル機能。なにより、宇宙空間での生存を約束してくれる環境維持装置を搭載している――

 

 

「ハッチ芳香~♪ ハッチ芳香~♪ ユニットついたら、ロック咆哮♪」

 

 

コードネームは【フォークテイル】

 

それは、天の河をも泳ぎ飛ぶ。【雨燕】ならぬ【天燕】なのです(ブイ)。

 

 

「ハリア~(招かれざる客テキな意味で)~♪ Ah♪」

 

ところで、さっきから唄ってるこの曲、わたくしぜんぜん知らないんですけど? えっ? 南部のオジさまの趣味ですか、そうですか。

 

感無量?

はいはいゲーマー乙!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェ~ンサー♪ 強い~ぞ! フェ……」

 

加速度計の伸びが止まりました。

 

フェンサーの後押しが無くなったってことは、スーパーゴッドスパルタンが転進したか、往く手を塞がれたか、もしかすると……

 

ううん、そこを考えるのはわたくしの役目じゃありませんわね。

 

なにより、そろそろ月軌道に合流です。

 

宇宙での推進剤切れは漂流~スペースタイフーン~を意味して、いずれフリーズドライ(もれなく死ぬ)ですから、慎重に行動しなくては。

 

幸いなことにフォークテイルもコジローもファミコンより遥かに計算能力が高くて、ありがたいことに信頼もできます。

細かいことを任せておいても、アポロ宇宙船やディスカバリーみたいなことにはならないでしょう。

 

 

 

 

……さぁて、

 

そろそろ、お月サマのおでましですよ。

 

月に逢う。ムーンにフィット……って、誰のオコトバだったかしら? 英単語を取り混ぜた難解な日本語と云えば、ナガシメ監督かなぁ?

 

 

「……」

 

これが映画なら、♪ちゃ~~~~ら~~~~ちゃ~~~♪って、ゾロアスタロト先生が杏里まゅタン相手に騙りだしちゃう場面なんだろうけど……、

 

『 ♪♪~~~~♪~~~~♪♪~~~!!!!!!!!♪♪♪♪~~~~~ 』

 

あ、うん。ありがとコジロー。気持ちだけ貰っとくね。FM音源なんて積んでたんだ、スワロゥテイルに。

南部のオジさまの趣味ですね? 南部のオジさまの趣味なんですね?

大事なことなので2度問い詰めました。

 

ところでコジロー。そのタスク、元の軌道計算に返してくれる? うん、アリガト(脂汗ぬぐう)

 

 

さて、本来もの凄い速度でカッ飛んでるはずの月は、相対速度が衡ってるから、ゆっくりと、しかし唐突に姿を現しました。

 

日の出とも、月の出とも異なる。宇宙ならではの遭遇光景。

地球の影から、陽の光あたる表参道へとまろびでる。

今じゃハラジュクもアオヤマ通りも揺れてない……って、南部のオジさま、ヘンなゴースト囁かないでくださいませんこと!

 

 

「相対速度は+1ポイント。問題なし、ですわね」

 

現状、若干こちらが優速なのは当然。そうでないと、宇宙じゃあっという間に置いてけぼりですもの。

 

「RCS噴射用意、単位1ミリ秒」

 

宇宙船同士みたいに、軌道高度を使ったランデブー方法は難しいです。体積差と質量差、なにより軌道半径が大きすぎるから。

 

「タイミングは演算器に任せちゃって」

 

慎重に、慎重にスラスター吹かして、相対速度をゼロへと徐々に近づけていく。これは機械任せでも、いいえ、機械任せがいい。

 

「対月重力係数の再計算をお願い。

 スーパーゴッドスパルタンにクロスチェックを要請し……ありがとう、頼もしいわ」

 

電車同士の連結よりも繊細に。岸田理生も驚くほどの柔らかい卵を持ち上げるような、細心の注意を払って。

 

「カウンター当ててロール止めるわ。使用ベーンを選定してくれる? 765……え? 573マイクロ秒でいい? ん、アリガト」

 

5、4、3、とカウント開始。

 

こういう微妙な操作は、人間の勘が機械を凌駕することが有る。動物との絆を有するガッチャマンでは特に。

 

「ナウっ」

 

ピタリ。機体の回転が止まった。

 

大気圏外で一方向ばかり向いてると太陽熱の蓄積が偏るので、宇宙船は基本的に回転してる。進行方向を中心軸に、ぐるぐると。

 

今、それを止めた。

 

月を観測するのに、暢気にワルツなんか踊ってられない。どうせ、ダンスはうまく踊れない、もの。

 

 

 

 

「……」

 

                                ズっ!!

さあて、今の位置からだと、地球からでは見えない月の横顔が見えるは↑

 

 

 

 

「え~! え~! え゙~!! マイャ…っ! あ痛~!」

 

あ、今のは天板に頭ぶつけたから。狭いんだもの。

 

 

 

 

そんなことより、

 

 

 

 

  月に! 月に!

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙に1つしかない、地球の衛星、月にっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   放送事故じゃありませんことよ。それだけ驚いてるってことなんです。だって、月に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               裏ッ側が、無い!!

 

 

 

 

 

 

地球からは見えない月の裏ッ側が、きれいさっぱりすっかりしゃっきりぽんって、無くなってるぅ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

地球にとってはたった1つのホシだったのに……、 

 

                       割れたら、 

 

                            2つ!? 

 

 

 

 

 

 

                         『……ど…ぅ…した』

 

 

 

 

あ…ありのまま今起こった事を話……して、いいのかしら?

 

月の裏ッ側だけが、スペース1999だって。

 

解っかるっかなぁ? 解っかんないでしょうねぇ。わたくしも解かんないのに。

……だ・か・らぁっ!! 南部のオジさまッ!! ヘンなモノ入れないでよ!!!

 

 

 

「こほん」

 

とにかく、現状を把握しないと報告もママなりません。パパにすらなりません。

 

「こちらフォークテイル。状況把握に努めます。現状で任務遂行に支障なし。ドーゾ」

 

 

 

 

……ですが、

 

「……」

 

コジローに遷移軌道への移行を指示しかけてたわたくしは、新たに判明した事実に頭を抱えました(それくらいのスペースは、かろうじて)

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

「お椀だ、おわん。おワンだってばよう……」

 

さっきまでは、月の半分だけが、

 

 ♪裏が ファーラーウエィっ! 表を置いて ファーラーウエィっ!

   表ガワさえ、あ~れば! み~んな! 騙せるぅから~♪

 

 ♪裏が ファーラーウエィっ! すがた隠して ファーラーウエィっ!

   戻ってきてよ 今すぐ! 裏ガワ! カムバーーックぅ♪

 

 

だと思ってたのに……、

 

その、残された表半分だって裏っ側で抉れてて、まるでサラダボウルだったんですもの。

 

 

 

あまりに驚いたので、ぽか~んと錬金3級で口開けたまま、わたくしわたわたわた ノ○o○)ノ

 

 

 

 

すぅはぁ。と落ち着くために深呼吸して、

 

……せぇのっ!

 

 ♪ダイヘンイ!

  大変異!

  ダイヘンイったら! 大変異!

 

 ♪あれだけの! 質量が!

  もし 無~く~なったり! しーたーら!!

 

 ♪地っ球や! 太陽系!

  しっちゃ~か~めっちゃか! ダイ変異!!!

 

 ♪やめて~! モロに~! ツナミ~!

 ≪ その心配は無用 ≫

 

え?

 

 ≪ 今は未だ ≫

 

この声、……総裁X?

 

 ≪ さよう。

  

   吾れこそは22番目にして、最初の生き残り…… ≫

「はいはいはい! マンネリを芸にするなら、10年はνアサクサ演芸場で揉まれてからにしてね」

 

 ≪ ………… ≫

 

距離もあるんでしょうけれど、なによりも目の前にコジローが居てくれるからでしょうね。総裁Xの声を聞いても、なんともない。

 

……これなら、やれますわ。

 

 

「さて、あなたの声が聞こえるモノとして、訊いてあげます。

 これは、ナニ?」

 

 ≪ 汝に吾れ…… ≫

「言ったでしょ。あなたの声が聞こえるモノとしての、これはわたくしの義務なの」

 

 ≪ ………… ≫

 

ふふふ。【クノイチ忍法・百舌鳥】の術中に嵌まったわね。

 

 ≪ 思索を繰り返してみたが汝に…… ≫

「あきらめて。父親はけして末娘の言葉には逆らえないのよ」

 

 ≪ ………… ≫

 

出バナをくじかれて黙り込んだ時点で、あなたは速贄の供物。枝に貫かれた獲物に、為すスベなんか在るワケがない。

 

 ≪ さらに思索を繰り返し…… ≫

「あきらめて。って、言ったでしょ?」

 

 ≪ さらにさらに思索を…… ≫

「さっき『今回限りだよ』って言ったとき、異議を申し立てなかったわよね?」

 

 ≪ ………… ≫

 

先ほどまでとは、フインキの違う沈黙。

 

 ≪ 認めよう ≫

 

勝った!

 

「それで? なんで月をあんなサラダボウルみたいにしちゃったの。オ・ト・ウ・サ・マ!」

 

G-ウイルスの総元締めみたいな存在だから、アテツケも兼ねて父親呼ばわりしてみた。

 

窮鳥懐に入れば、猟師も敢えて此れを撃たず。相手の内懐に、ダイビングでダイレクトアタックですわ。

 

これもクノイチの、手練手管。

 

 

 ≪ 思索を押し潰す、吾れの中に生じた、この塊はなんであろう ≫

「もう一度言って欲しい?」

 ≪ あれは吾がムーンシフト計画の成果 ≫

 

むーんしふとけーかくぅ?

 

 ≪ 新天地を探すためのアンテナであり、

   フロンティアまでの方舟であり、

   グランドキャノンを受け止める帆布でもある ≫

 

???

 

 ≪ すなわち、吾れが赴かんとする他銀河への宇宙船である ≫

 

? ←

   ノ↑

 ん↑ 思わず語尾が、逆上がり。

 

 

 

総裁Xがどこへ行こうと勝手っていうかむしろ歓迎だけど、月を丸ごと持ってかれたら、やっぱり地球も太陽系も大変だよね?

 

 ≪ 人類を除くすべての遺伝情報は蒐集した。地球も太陽系も、人類にくれてやろう ≫

 

さっきチラッと言ってたハコブネって、まさかノアの方舟!?

 

 ≪ 新天地ではそう名乗るのもよかろう ≫

 

 

……ていうか、月があんなことになってたなら、とっくに地球とかに悪影響が出てなきゃおかしいよね?

重力的に、とか、潮汐力的に、とか、歳差運動的に、とか、珊瑚の産後の肥立ちのスダチとか、月を見るたび思い出せ! とか、月明かりの道標とか、ポロロッカとか、狼男の襲撃予告とか、……etcetc。

 

…ん? このetcっての、なにかしら? Electronic Toll Collection System?

ああ、エトセトラの略なのね。アリガト、南部のオジさま。でもこれって死語じゃない? ああ、もう! いちいち落ち込まないのっ! 今度コギャル文字教えてあげるから。ね?

 

 

 ≪ その心配も無用 ≫

 

「え~? わたくしが莫迦だと思って、だまくらかそうとしてません?」

 

 ≪ 能く見よ ≫

 

ん~? 月面に「バカが見~る~! ブタのケ~ツ~♪」とか書いてたりしないでしょうね?

お月さまに落書きなんかしちゃダメだよ? たとえハートマークでもね。あ、蜀山人クラスの落首なら許す。

 

【 ルナ無 Luna流で、夜も眠れず 】なんちゃって。

 

え!? アレ、詠み人知らずなんですか? へぇ~。

 

 ≪ 理解不能 ≫

 

知性は推し量れないものだけど、言語を介しておいて冗談を解しないってことはその程度ってことだよね。

 

ま、それはともかく、フォークテイルの全探査機器を月に向ける。

地球側や、そのほかあらゆる軌道にある人工衛星の情報も、G-タウン⇒スーパーゴッドスパルタン経由のフェンサー通信で受け取れた。

 

結果、判別したことは、月は丸いままで、軽くなってもない。という計測結果。

 

 

……あれー?

 

稗田のアレ。じゃあなくて、あっるぇぇぇぇぇぇぇ?

 

多少は重心の変動が見られるみたいだけど、月は丸くて重いって、コンピュータのマニトウが囁いてる。ヒソヒソ……、ヒソヒソヒソ。砒素砒素ガリウムベリリウム。

 

それに、月には探査機どころかヒトだってたくさん来てた。こんなことになってたんなら、一発ツモでハネマン確定よ?

 

 ≪ スカイラブ計画の開始時点が特定しがたいという事実を、人類はどう説明付けているのであろう ≫

 

なんか独り言っぽいけど……、スカイラブって確かサターンロケットを流用して打ち 上げ た……。

 

「アポロ計画ぽしゃったの、アンタのせいだったの!?」

 

 ≪ なんのことだろう ≫

 

すっとぼけやがりますか! この単細胞どもメガ!

 

「じゃあ……、月がこんなんになっちゃったのはアポロの後だとして、それからだって探査機とか……、あ!! そうよ、かぐや! かぐやだって来てるはず!」

 

 ≪ 無人の探査機程度、騙すなぞわけはない。とは思わんか ≫

 

「セレーネ計画までっ!」

 

ちょ、待……。あの「地球の出」の映像とかに、皆がどれだけ感動したと思ってんの!!

 

 ≪ なんのことであろ ≫

 

またすっとぼけやがりますか!!

 

まさか、3日で忘れる鳥頭どころか、3須臾で忘れるウイルス頭(有んの?)なんかじゃないでしょうね!?

 

 ≪ なにやら、やすりに掛けられたようなザラザラ感。

   これは何。誹謗中傷。吾れは酷く非難されている? ≫

 

ん? なんか総統Xの反応……、と言うか人当たり……みたいなモノが変わりつつ、あるような?

 

ああダメダメ、ダメよ、わたくし。 まずは、あの感動を汚した張本人に、シェーギの鉄槌を……、

 

 ≪ はやぶさは、鳥の名であったな ≫

 

え? なに? なんでトートツに「はやぶさ」? 確かに鳥の名前だけど、あやかって新幹線とか寝台特急とかオートバイとかフォーミュラマシンとか探……査・機……とかに……も、……?

 

タン・サ・キ……のところで、ギギギと首を鳴らしながら、モニターから視線外して実際に月の在るであろう方向を向いちゃったわたくしは悪くないはず。

 

ただの壁だけど、今なら眼光で穴くらい開けられるかもしんないもの。ズビシって。

 

「はやぶさに、なにしたの?」

 

自分でも驚くほど、低い声。

 

スーツによる制御も、わたくしの地声をも遥かに下回る。極寒の風鳴り。

 

 ≪ ………… ≫

 

「ねぇ? はやぶさに、なにをしたの?」

 

喋ってて、自分自身が冷えてゆくのが判ります。つま先から指先から、血液が撤収していくのが目に見えるよう。

 

 ≪ ………… ≫

 

さっきまで、訊きもしてないことをべらべら喋ってたくせに、だんまりですか?

 

「ねぇ? はやぶさになにをしたのか?って、訊いてるのよ?」

 

聞こえてないなら、そんな耳、要らないわよねぇ?

 

 ≪ …… ≫

 

あるかどうか知らないけど、その耳、切り落としてイイカナ? イイヨネ。コタエハ キイテナイ。

 

………ぱちり。

 

「無い耳ででも、聞いてくれる? オ・ト・ウ・サ・マ?」

 

 ≪ …… ≫

 

……ぱちり。

 

「わたくしね。あの時、オースラリアに居たんですのよ?」

 

 ≪ …… ≫

 

ぱちり。

 

「お婆さまに連れられて、実の姉と、一緒に」

 

 ≪ …… ≫

 

外し終えたのは、FCSのセィフティ・スイッチ(物理)。

 

「流れ星になったはやぶさの最期を、見届けたんですのよ?」

 

 ≪ …… ≫

 

立ち上がってきた認証画面には、すでにコジローの個体認証コードが。

 

「あれは貴方と同じ血が流れている人々が作り上げたのよ。って教えられて、幼心に興奮し、そして号泣しましたわ」

 

 ≪ …… ≫

 

    【g-six】

 

指でなぞって、セキュリティも解除。

 

「はやぶさはっ! はやぶさはっ! って叫んで、沙漠に飛び出したそうですのよ?」

 

 ≪ …… ≫

 

操縦桿のトリガーカバーを弾いて飛ばし、突きつけるように当てる、人差し指。

 

「ですから、わたくし。人類の科学力を、その在り方を信じることが出来ますの」

 

さあ、後は ことり と引き鉄を落とすだけ。

 

「あの、流れ星で涙星に、願ったとおりに」

 

次の人(?)生、いっぺん死んで、観る?

 

「わたくし、今、あなたの傍に、手を伸ばせば届く位置に居ましてよ」

 

 ≪ 吾れに1分、時間を ≫

 

「なに? 辞世の句? いいわよ、1プンくらいなら」

 

ニコニコで1プン待ったげる。

 

【59】

 

モニターに、カウントダウン。うん、ありがとねコジロー。

 

【58】

 

 

 

【57】

 

 

 

【56】

 

 

 

【55】

 

 

 

【54】

 

 

 

【53】

 

 

 

【52】

 

 

 

【51】

 

 

『ナコリ↓ ギョジュ→ ビョ→』

 

うん。FM音源CSMモードによる音声合成はビミョーだから止しとこか。夜半河童なんかに来られても困るしね。

 

 

【49】

 

 ≪ はやぶさの…… ≫

 

【48】

 

なになに、「は・や・ぶ・さ・の」で、まず5文字。うんうん、はやぶさへの謝罪が末期の言葉かしら? だとしたら、意外と殊勝じゃない。

 

【47】

 

 ≪ 通信回復…… ≫

 

【46】

 

ん~? 「つ・う・し・ん・か・い・ふ・く」……ん~? 8文字あるじゃん!

 

【45】

 

あ、でも「つー・し・ん・か・い・ふ・く」なら7文字だし、字余りだってアリか?

 

【44】

 

……ん? さあ続けて? さっさと終わらせたいし♪

 

【43】

 

 ≪ 何故であろう ≫

 

【43】

 

「な・ぜ・で・あ・ろ・う」? 6文字じゃん! 字余りなら字余りって言わないと!

 

【42】

 

それに語呂悪いよ、「何故であろ」でいいじゃ……ン?

 

【41】

 

あれ? え~と……

 

【40】

 

おかしいなぁ……?

 

【39】

 

な~んか、引っかかるんだけどぉ……

 

【38】

 

ん~、あれ?

 

【37】

 

  思考が、

 

【36】

 

    遅れて、

 

【35】

 

     くるよ?

 ≪ 時間稼ぎはそれまでにせよ ≫

 

ふふふ♪  バ~~ レ~~ た~~ か~~ ♪

 

【34】

 

スーパーゴッドスパルタンが来るまでの時間稼ぎなのは確かですけど、ちょっと愉しかった。ってのはヒミツ。

 

 ≪ カウントダウンの停止を要求する ≫

 

【33】

 

「え? せっかくここまで進んだのに?」

 

それを とめるなんて とんでもない!

 

【32】

 

 ≪ そういう問題ではない ≫

 

婆っちゃとの遣り取りが、丁度こんな感じでした。

 

【31】

 

「考え直した方がい~よ~?」

 

からかわれるのは主に、わたくしでしたけれども。

 

【30】

 

 ≪ 考え直すのは、そちらである ≫

 

ああ、何もかもみな、懐かしいですわ。

 

【29】

 

「使ってみて、効果が無かったら返品可能だからさぁ」

 

クーリングオフ♪ クーリングオフ♪

 

【28】

 

 ≪ 確かにその程度の出力、効果なぞ期待できまい ≫

 

「だっしょ~♪」

 

【27】

 

「でも、この熱いオモイを受け取って欲しいの」

 

バーニングらぶ♪ バーニングらぶ♪

 

【26】

 

「ほらほら痛くない、痛くない。ダイジョ~ブ、優しくするから」

 

て~きんぐラフ♪ て~きんぐラフ♪

 

【25】

 

 ≪ オトコは皆、そう言うらしいな ≫

 

【24】

 

「らしいね♪」

 

【23】

 

「……オトコと云えば、」

 

【22】

 

「お父さまって、呼んじゃってたけれど」

 

【21】

 

「ホントのところ貴方は、男か女、さあDOTCH?」  『♪パパーン♪』

 

【20】

 

 ≪ 吾れに性別は無い ≫

 

【19】

 

「だよね~!」    『♪ふぁ~ん ふぁんふぁふぁ~ん♪』

 

【18】

 

「そ~だと思ったよ」

 

【17】

 

「でさ~」

 

【16】

 

「どっちで呼ばれたほうが嬉しい?」

 

【15】

 

「やっぱり、お父さま?」

 

【14】

 

「それとも、お母さま?」  『♪ドラララララララ……っ♪』

 

【13】

 

『♪ジャン♪』

 

 ≪ どちらでも変わらない ≫

 

【12】

 

「え~!?」  『ぶー♪ ぶぶ~♪ ぶぶぶーぶ ぶーぶぶ♪』

 

【11】

 

 ≪ 待て ≫

 

「そんなこと、」

 

【10】

 

「ないと思うよ?」

 

【9】

 

 ≪ だから待て ≫

 

「やっぱりぃ、」

 

【8】

 

 ≪ 待たんか ≫

 

【7】

 

「男親とぉ、」

 

【6】

 

「女親じゃあ」

 

【5】

 

 ≪ 待てと言っている ≫

 

【4】

 

「感覚が違うって言ぅかー」

 

【3】

 

 ≪ 待てと言ったら待たんか ≫

 

 

「娘に対するスタンスなんかが違くない?」

 

【2】

 

 ≪ 明らかにカウントダウンが早くなっていっておる ≫

 

チッ、バレたか。

 

「あと2モにょモにょ(秒じゃないから断言できないモン)だったのに……」

 

 ≪ やはり故意犯であったか ≫

 

ファイナルカウントダウン002、惜しゅうございましたわ。

 

あとたった2モにょモにょ(猫(びょう)じゃ無いから断念できないモン)で、人類への脅威をカレースルーできましたものを。

 

「さっき言ってたケド、どうせ撃たれたって蚊に刺されたほども感じないんでしょう?」

 

 ≪ たとえ豆腐製の針でも、眼球に突きつけられて、いい気がするであろうか ≫

 

うわぁ! ィヤな喩え! 想像しちゃったじゃないのよ!

 

ほら、こんなにトリハダが!

 

 ≪ それはスーツの機能であろ ≫

 

なんだ、知ってましたの。つまんないですわ~。

 

 ≪ とにかく、吾れの証言に対する評価を求める ≫

 

ん? 将軍の氷菓? ナニソレ? オイシソーなの!

 

 ≪ 証 言 へ の 評 価 で あ る ≫

 

あ~も~、大人ゲないんだから~! ウイルスだから鞭毛すら無いんでしょ? 生やそうよ、大人毛くらい。

 

 ≪ 思索を焼き焦がす、吾れの中に生じた、この灼熱はなんであろう? ≫

 

あ、さすがにちょっと、からかいすぎましたか。

 

「え~と、【はやぶさの、通信回復、ナゼであろ】だったかしら?」

 

コジローが表示してくれたカンペをアンチョコにして、無かったフリですわ~。

 

 ≪ …… ≫

 

 

「【はやぶさの、通信回復、ナゼであろう 字余り】でしたわよね?」

 

……ほ~ら、見事な消失マジック。手妻は得意なんですのよ~。無かった無かった。ナイナイ、ですわ~。

 

 ≪ …… ≫

 

……あれ~? えとえと……

 

 

「【はやぶさの、通信回復、何故であろう】で、あってますか?」

 

えいっ☆ ぷるぅと調色キッス♪ 届け! 冥王星の彼方までっ!

 

 

 ≪ …… ≫

 

 

え~と、え~と……、なにか得物は?

お客様の中に得物はございませんか! 剣とか刀に変身できるとか、そもそも戦杵の宝貝で、甘いものに目がない外見5歳ぐらいの女の子とか、ガラスみたいに尖っては触れるもの皆傷つける厨二病患者でも構いません。

 

獲物は居るのです。仕留めるのに得物が要るのです。なにか……!

 

……

 

こうなったら、最後の手段。 上目遣いに、涙目(;_;)

 

「【はやぶさの、通信回復、何故であろう】で、いいよね、お父……って、……あれ?」

 

 ≪ …… ≫

 

違うフインキの、沈黙。

 

そう、まるで溜め息を吐いたような。

 

「あの……もしかして、はやぶさちゃんの通信回復したの、お父さま。……ですか?」

 

 ≪ 是である ≫

 

 

 

 

 

 

 

「……」

『……』

 

えっ! えっ? えっ! えっ……?

 

 ≪ 是である ≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ≪ 大事なことなので2度発言した ≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……( ;_;)

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………( ToT)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………………………………………( pTΔTq)

 

……

 

 ≪ ……どうした。なぜ泣く ≫

 

ちょっと動揺してる、フインキ。

 

ですが、そんなこと知ったこっちゃあありません。

 

 

……………………( p>Д<q)

 

…………………………………………だって、だってだって!

 

あの、はやぶさの奇跡の生還が、人類の叡智と科学と技術の結晶が、史上初の大冒険がっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                  ……総裁Xの、仕込みだったなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     …て ≫

 

 

  ≪ 待て ≫

 

 

 ≪ 待て ≫

 

なに、なんですの?

 

これもあなたの、シナリオの内ですか?

 

 

わたくしをこんなトコまで引っ張り出しておいて、見事な突き落としでしたわ。

 

犯罪者がナゼ崖っぷちに逃げるのか、身を以って解かりました。

逃げたんじゃなくて、追い込まれた、追い詰められた、誘い込まれた。なのですね。

逃げ場を塞いどいて、死刑台か自決の選択を迫る。探偵とか刑事って、なんてボーハチなショーバイなんでしょう。

 

 

 

 

 

「わたくしまけましたわ」

 

 

……

 

回文になってません。

 

「わたくし まけま しくたわ」

 

ココロの均衡を保つために敢えて諧謔を口にしたのに、それさえも失敗です。

 

 

 

これも、あなたの脚本の内ですか?

 

 

 

 ≪ 待たんか ≫

 

 

そうですか。

 

 

 

どうでした?

 

 

ゲスト女優の迫真の演技。

新聞のラテ欄に、2番目に載ってましてよ。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

本気の本気で科学の力を信じて戦って、

 

 

 

志し半ばに斃れるどころか、

 

 

ココロザシそのものがイツワリ、マヤカシ、マイフクドクだったなんて……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あんまりよ。

 

 

「あんまりだわ!」

 ≪ だから待て!と言って居るだろうが!! このっ莫迦ムスめガ!!ッキィーン!!! ≫

「っひゃん!!」

 

あまりの大音声に、スピーカーが悲鳴を上げた。わたくしも悲鳴を上げました。

 

ハウリングで、はぅ!ィングです。

 

 

「な……! な……!」

 

 ≪ だから 先刻から ずっと! 待てと 何回 言わせる 気だ! まったく これだから人類は度し難い! ≫

 

「ひくっ」って、咽がうわずります。さんざん泣き倒したから、横隔膜の痙攣を止められません。

 

ひゃっくり百回進行形。つまり、百っくりing。なう。

 

その間にも、ナッツヘッドだのと唐変木だのシットだのと、古今東西の罵倒語が、しかし【CERO C】くらいのレベルで並べ立てられていきます。

 

「あの……(ひっく)、ごめん(ひくっ)……なさい?(ひひっく)」

 

 ≪ …………… ≫

 

 

 

 

 

 

 

……え~と?(ひ^く) あの~?(ひくっ)

 

 ≪ 言い方が悪かったようだ。すまん、赦せ ≫

 

「え…(ひ^)…? (ひっく)え……?」

 

 ≪ はやぶさの探検行は吾れも注目しておった。

   だからつい、まったくの善意で手助けしてしまったのだ ≫

 

「な (ひっく)に? ……え(ひっ)はい?」

 

 ≪ たとえばこう言うであろ?「人事を尽くして天命を待つ」と ≫

 

この……(ひくっ)幼子をあやしてる感満載の口調。

 

 ≪ ほれ、こうも言うであろ? 「天は自ら助くる者を祐く」と ≫

 

一所懸命に、藁をも(ひ^く)掴もうとする必死さ。

 

 ≪ いや、吾れは天でも神でも佛でもないが、まあそう言うことだ ≫

 

まるで、暗(ひっ)闇を手探りで歩いて(ひっく)るみたいに頼りなさげで。

 

 ≪ 解かれ。……いや、解かってください ≫

 

「……ぷっ!(ひ^く)」

 

ウイルスのカタマリがスパイラル土下座している姿が視えて(ひっく)、吹き出しちゃいました。

 

 ≪ さっき泣いたフラミンゴがもう笑いよった ≫

 

誰が上手いこと言(ひ^)えと!!

 

あ、ダメ。ガマンできそうにない。

 

『笑えばいいと思うよ?』って、コジロー! ちょっ、

 

「ぷ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっっっっっっっっっ! っくっくっく!」

 

せまいコクピットの中じゃ、身じろぎだってままならないのにっ。

 

「っくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっく^くっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっく^くっくっくっくっく^くっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっくっく^くっくっくっくっくっくっくっく^くっくっくっくっくっくっくっくっく^くっくっくっくっくっくっくっく^くっく」

 

わたくし、箸が転げても可笑しい、橋が転げるのは恐ろしい、端だけが転げたら(物理法則が)可怪しい、嘴で転げるのは御力強い。そんな年頃の乙メンですのよ。

 

 ≪ いつまで笑って居るか ≫

 

「ぷぷぷ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

ダメです! イケませんわ! 笑ってる人間に「笑うな」だなんて無理難題を仰っては!

 

やれ打つな 笑いは急に 止まらない。なのですよ?

 

「っくっくっく……」

 

……ああ、もうダメ。

 

「^!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!^!!!!!!!!!!!^!!!!^!!!!!!!!^!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!^!!!!!!!」

 

……もう笑い声も出ません。おナカが、おナカが……。ひぃ……っ!

 

 ≪ 頼むから、其処で笑い死にするのだけは勘弁せよ ≫

 

「!!!!」

 

まさかの、と・ド・ME! ……介錯を! 誰かわたくしに介錯を! 慈悲をぉぉぉ……、

 

「ひーひーひー」

 

息が……っ! 息が……

 

やめて! ジン子の肺腑はもうゼロよ。

 

「ひぅ……、ひぅ……」

 

プシュって、音。

 

どうやらコジローが、緊急消火用の二酸化炭素を注入したみたい。

 

 ≪ 燕よ、感謝する。過呼吸を起こして居った。

   云うならば「燕雀いずくんぞ鴻鵠の懐中に潜り込むか」 ≫

 

『ゆー わー うぇるこめ』

 

「ひー!」

 

そこ、どして!? そいつ(笑いを 噛み)殺せない。

 

 ≪ …………… ≫

『  ……………  』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『  ……………  』

 ≪ …………… ≫

 

……はあ、はあ、はあ。死ぬかと思いましたわ。

 

ジュン姉さまがWEV越しにGスーツを操作してくれなかったら、腹筋と横隔膜がこむら返しを起こして、激痛の果てに逝ってしまう可能性すらありました。

 

……スーツの制御権、ムリヤリ取り返したりしてなくて、ホンっト良かったです。

 

そう云えば、三途の川岸で婆っちゃにジャイアントスイング喰らって吹っ飛ばされる夢を見ました。なんか足首が妙に痛いですけど、気のせいですよね? 樹の精はドライアド、トレント、ハマエントですわ。

 

あの後、奪衣婆とセメントマッチ始めちゃってたけど、余裕で勝てそうで怖いです。

 

 

『  ……………  』

 ≪ …………… ≫

 

 

…ふう。

 

「もう、大丈夫ですわよ」

 

スーツの筋力アシストも調整して頂きましたし、おそらく一生分は笑いました。

 

なに? 『知らないの? 笑いは3人前だから』ですって?

 

止してよコジロー。1人前も2人前も大事よ?

 

考えても見なさい。

「ギャンで~す」「キューザクで~す」「ミライヤシマで御座います」なんてギャグを3人がかりでやっても、ギャラは変わらないんですのよ。

 

ほれ見なさい。渾身のギャグなのに、わたくしの表情筋はどれひとつ反応しないじゃないですか。あまりの過重労働に、ブラック企業から夜逃げしたに違いありませんわ。

 

『  ……………  』

 

ん、よろしい。いい子ね。

 

 ≪ 能面のよ(ギラッ)…… ≫

 

 そうさいえっくす の こえは かきけされた

 

 ≪ 眼球だけを動かしての視線移動は…… ≫

 

突き上げた親指を、くるぅり。下向きに。

 

 そうさいえ{に}っくす は MP3をすいとられた

 

 ≪ …… ≫

 

 

ようやく静かになりやがりましたか。このおしゃべり単細胞め。

 

 

……さて、

 

「それで?」

 

手のひらを差し出して、促す。

 

 ≪ では、落ち着いた処でこの映像を能く観て貰おうか ≫

 

 

ん~?

 

見えるのは、やっぱりサラダボウルみたいになった月の、成れの果て。宇宙空間は殺風景だから、彩りにトマトとか欲しいです。

トマト、とまと、蕃茄、tomato、トマト、大家族。……は? 宇宙戦艦とまと? そんなモノ実在したんですか。へ~。

 

パルメザンチーズなら、わたくしの背後にありますのにね(ミルキーウェイ)。

 

そんなわたくしの感慨はともかくとして、月はやっぱりサラダボウルでした。百歩譲って、お椀。そういえば、うわんって妖怪が居ましたね。うわん。

 

だって、さっぱりすっぱり無くなった裏ッ側半分のトコには、向こっ側の星がばっちり見えてる……ん…で…す…の…… よっ!?

 

 

 

おかしいわ、コジロー。宇宙空間なのに、星がまたたいて見えるなんて。

 

……って、ある! あるわ、月の裏ッ側!

 

透明になってるけど、素通しだけど、確かにある!!!

 

 ≪ 月の組成について見識はあるか ≫

 

え? ツキノ セイ?

え~とえ~と、うさぎと杵と臼と餅とアルテミスと蟹とかぐや姫とストロベリー、日進月歩、月進年翔。月日は百代の科学にして、月は東に陽は西に? それからそれから夜ト介さまにオ涼さん、そんで主に月ヨミさま?

 

 ≪ 理解は可能。而して形而上存在は省くがよい ≫

 

はいはい。あまりふざけて、また叱られてはかないません。

 

ん~、答えは【アルミノ珪酸塩】だったかしら?

 

アルミノ珪酸塩の主成分(というか主軸?)はケイ素。……つまり、シリコン?

 

 ≪ 正解である ≫

    『♪ぴんぽんぴんぽんぴんぽ~ん♪』

 

あれがシリコン製だとすると、ただのガラスドームなんかじゃなくて、レンズだったりレーダーだったり液晶ディスプレイだったり太陽電池だったり集積回路だったりする可能性がありますけど……、

 

そんなことより、なによりも!

 

【丸く】て、【ツートンカラー】で、【片っ方がトーメイ】って。それ、カプセル自動販売機とそのカプセルに入った玩具。いわゆるガッチャポンだよね!?

 

 

 

「……」

 

……すう。還元処理されて饐えた匂いのする空気を、思いっきり肺に入れます。

 

 

「ガッチャ マンだからって!

       (ガッチャ マンだからって!)

 

 お月さまを!

       (お月さまを!)

 

 ガッチャ ポンにしちゃうことないじゃんかー!

                      (かー!)

                         (かー!)【科学忍法・こだま】」

 

 

 

……はあはあはあ、宇宙で酸素をムダ遣いしてしまいました。

 

 

……ん? 酸素?

 

ちょっと待って、ちょっと待て。今なんか引っ掛かった。わたくしのピンク色したNO細胞になんかスレた。ステイステイ ステーイ メーン、ステイメン&オーキス。

 

【アルミノ珪酸塩】から【ケイ素】を取っちゃったら――結構イロイロな物質が含まれてますけど――、【酸素】が残るんじゃなくって?

 

しかも宇宙空間には、希薄とはいえ【水素】だけなら売るほど在る。トラのバイヤーファミリーよりは、よっぽど在る。

 

【酸素】があって【水素】があれば【水】が作れますし、【窒素】の代替気体があれば大気だって再現できる。炭素……は、 あ~、アステロイドベルトとかでなんとか、なる?

 

となると、あれってば、もしかして正真正銘の生命球なの?

 

コップの中の嵐ならぬポケットの中の戦争ならぬ、ガッチャポンの中の地球?

 

はずれの空カプセルかと思ったら、宇宙では結構ウルトラレア+(人類にとって)な、H2Oが大当たり!? 古い、AlbaMoon(白い月)の中に、隠れて~重い雫(だ)が溢杯?

 

え~と、ちょっと待ってちょっと待って待て待て待って、待っててばぁ! 思考クンってば歩くの速いよぉ! ほ~ら、ハウスハウス。

 

【酸素】と【水素】から作られたなら、あれは混じり気一切なしの【純水】?

 

スーパーカミオカンデも真っツァオの、月一杯丸ごとの超々純水のプール? だから透明度が高くて、底まで見えてるの?

 

 ≪ 底にはアルミを敷いてある。故にアルベドが高い ≫

 

つまり、猫の瞳が暗闇で光って見えてるようなものですか。ニャーンがキラーンはイャーン、ですわね。鳥としては。

 

心情的なものは置いておいて、【アルミノ珪酸塩】ですから、おそらくアルミも売るほどありますわよね。

 

シリコンほどではないにしろ――高圧送電線や人工衛星の断熱材、焼夷弾やゴールドサミット圧接の溶加材などなど――、アルミもかなりの万能素材です。

 

 

 ≪ 余談。

   スーパーカミオカンデと言えば、ニュートリノならグレーターグロス単位で検出済みである ≫

 

わぁい ノi_i)ノ

データだけでもプリーズ ギヴミー ニュートリノ。検証実験するから。

 

 ≪ 正解者には報償が必要。花崗岩の要塞に送信しておいた ≫

 

わぁい♪ ノ@_@)ノ 太っ腹~♪ 『♪キンコンカンコン♪キンコンカンコン♪キンコンカ~ン♪』

 

そうだ。太っ腹ついでにきっちりオネダリしとかなくちゃ。

 

「ちなみにアームストロング船長の足跡とかは人類のモノだから、置いてってくれるんだよね?」

 

ピンヒールの足跡も、つい最近追加された。……って、あれはPVでしたか。

 

 

 ≪ ………… ≫

 

ふふふ。ガッチャマンが造った【クノイチ忍法・百舌鳥】を、甘く見ないでよね。

 

ジュン姉さまはおろか、南部のオジさままで加わった全ガッチャマンのバックアップが、あるんだから!

 

 ≪ 抉り出して進呈し…… ≫

「いーやーだー!!

 アームストロング船長の足跡は小さな一歩だけど、人類にとっては大きな一歩なのー!」

 

月に無きゃ、やだやだやだー!! と、ジタバタ。 ノシ >o<)ノシ

 

 ≪ 足跡を 残してくれろと 泣く子かな ≫

 

一茶イ の反論はこれを許可しません!

 

 ≪ 無体を申すな ≫

 

「無体なんかじゃないもん! スワロゥテイルにもフォークテイルにも、当然わたくしにもゴムタイヤなんか付いて無いもん! ひっどい言いがかり! 精神的苦痛に賠償を求める! 訴えてやる! ううん、通報しますた!(WEVで) 」

 

 ≪ ………… ≫

 

「月はムジカな夜の女王なんだよ? 女王サマ居なくなったら、王様がヤモメになっちゃうじゃない。ボゥイかわいそうだよ可哀想だよボゥイ。

 カツオドリが居るからカモメも居るようなもんだけど、ヤモメのガッチャマンなんか要らないよ!」

 

うわーん、ひどいよー! 月ドロボー! 回答グルグル~! って、泣きマネ。グラスシールドの洗浄液だけど。

 

 ≪ 時間稼ぎの終わり ≫

 

ゑ?

 

 ≪ たった今、探索波発信の準備が整った ≫

 

あ! 月の裏っかわっていうか内っ側っていうか、表側の裏側(ややこしいよっ!)が、光ってる。

 

ダメっ! アレは光らせちゃイケナイ憎しみのヒカ……

 

「きゃー!」

 

ズドーン! って、何かがフォークテイルをシェイク、

 

 

 ズドーン!

  「きゃー!」

     シェイカー、

  

 

    ズドーン!

       「やー!」

         シェイキング、

  

 

         ズドーン!

            「ひぃー!」

              シェイケスト、

  

 

                 ズドーン!

                    「あーれ~!」

                           シェケナベイベナ♪

 

ああ、もう堪忍して……とろとろのバターになっちゃうよぅ。

 

ズドドーン! ……って、でもこれ音じゃない。何かが真っ黒のソラを貫いて、真空そのものがフォークテイルを叩いてるんだわ。

 

だって、ピトー管は反応レスなのに、重力センサだけビンビンなんですもの。片思いは、肩重いですわ。

 

 

「……痛タタタ。いったい、なにが……」

 

少なくとも、総裁Xの探索波とやらはまだ発信されてないはず。

 

ザザッ……と、ラジオのチューニング音みたいな振動。

 

「なに?」

 

 [ナニ]

 

「えっ?」

 

 [エッ]

 

「……」

 

 [……]

 

怖くて黙り込むと、また空電音。

ザリザリと、心までヤスリ掛けされそうな、ささくれだったノイズが満ちる。

 

 ≪ 何者であるか ≫

 

あ、総裁X!

 

 ≪ さよう。

   吾れこそは…… ≫

       「ソレもういいから!」って言おうとしたら、

 ≪ 総裁Xである ≫

ショートバージョン!?

 

やるわね総裁X。恐ろしい小 (粉末的に小さいって意味で)

 

でも、今は嬉しい。

得体の知れない相手より、意思の疎通が出来るだけ総裁Xの方が万倍はマシ。

 

怖かったから、お礼を言いたいくらい。

 

「パパ、だ~い好き(はぁと)」

 

あ、つい言っちゃった。

 

 ≪ ………… ≫

 

ええい、こうなったらアジよりも開き直っちゃえ。これがホントのアジテーター。いいえ、アジデシター。なんちゃって。

 

「パパって呼んじゃ、ダメ?」

 

 ≪ 好きにするがよ…… ≫

       [ナニモノデアルカ サヨウ ワレコソハ ソレ モー ソウサイエックス デアル パパ ダーイスキ ………… パパッテヨンジャ ダメ ]

 

 ≪ 何者かは知らぬが、言語の習得中と見た。雛鳥よ、耳を塞ぐがよい ≫

 

素直に従ってノイズキャンセラを最大にした途端、コクピット内のスピーカーから「ピー♪ ガー! チャリチャリチャリ」って、FAXの受信音みたいなのが。

 

 ≪ 吾が圧縮言語の粋。この情報量を受け止めきれるかな ≫

 

なんか、いま総裁Xがニヤリって嗤ったような気がするんだけど。

 

 [フム→テマガ→ハブケタ↓]

 

なに、このコナミコマンドー。

 

 ≪ 情報津波で押し流してやるつもりだったが……、 ≫

 

ん? やっぱり? なんだか辟易としたフインキ。

 

 ≪ 3度はない。何者であるか ≫

 

 [ワレ↑ワレ↑ハ→ウチュウジン→ダ↑]

 

うわ、初めて見た(?)自分のコト宇宙人って呼ぶ宇宙人。

 

 ≪ 吾が夢のまほろばを占拠したな 何故だ ≫

 

 [問オウ→]

 

 ≪ む? 質問に質問で返すか ≫

 

宇宙人の言語習得が進んでる。他にも教材があるのかな?

変な電波受信しちゃってるみたいだけど……っていうか、これFM音源CSMモードでしょ! こりゃっ、コジロー! このイタズラっ子めぇ。

 

 [鉄ヲ↓崇メテイル↓カ↑]

 

わあ! 定着しちゃってるよ。でもまあ、それはともかく、

 

「鉄を? なんで?」

 

 [鉄ヨリ↓軽イモノハ↑ヤガテ鉄ニ→ナル↓]

 

ああ、確か核融合の最終産業廃棄物だったような。

 

 [鉄ヨリ↑重イモノハ↓安定シナイ↓]

 

ええと、そうだったっけ?

 

 ≪ あながち間違いでもない ≫

 

 [スナワチ↑宇宙ハ↑鉄ニ成ル為ニアル↓]

 

えぇぇ!!

 

 ≪ エントロピーの行き着く果てか。一理ある。一理だけだが ≫

 

 [イズレ↑辿リ着ク↓究極ノ元素↓鉄ヲ崇メヨ→]

 

崇めよ。って言われても、どうしたらいいの? エイメンの代わりにアイアンとでも唱えればおk?

 

 ≪ 一考の価値はある。帰依した場合のご利益を説法せよ ≫

 

 [ヨカロウ↓スナワチ↑宇宙ノ↓終焉ヨリ先ニ↓ゴ本尊ト合一化ガ↑可能→]

 

今すぐ鉄になるってことだよね? それ。ゴリヤクって言っていいのかな~?

 

 ≪ ふむ、相手は炭素系生命体ではないと見た。地球型生物とは知性の前提から異なる ≫

 

 [今一度↓問オウ→鉄ヲ↑崇メル↓カ↑]

 

『それは総裁Xへの問いかね? それとも、我々太陽系第3惑星人類全員に対してかね?』

 

南部のオジさま! そしてもちろん、スーパーゴッドスパルタン!

 

 

 

 

                                つづく

 

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