【独自解釈】異説ガッチャマン【全拾羽】   作:dragonfly

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【最終羽】ガッチャマン奇譚4/5【魔改造】

 

 

 

 

 『それは総裁Xへの問いかね? それとも、我々太陽系第3惑星人類全員に対してかね?』

 

南部のオジさま! そしてもちろん、スーパーゴッドスパルタン!

 

 [増エタ↓異常ニ↑早イ↓増殖速度→]

 

すぐさまゴッドフェニックスの第5格納庫に収容されて、ほっと一息。やっぱり、安心感が違いますわ。

 

 [交渉ノ↑りぶ→と↓ヲ↑認ム↓]

 

 ア→ア→!テステステス↓本日↓天気→晴朗↓ナレド→波高シ↓って、そのネタ何処で仕入れたの宇宙人っ! いえ、答えは聞いてない、大体判った。 すわっと、ポカリっ。

 

 [我々ハ→宇宙人↓アンドロメダ星雲↓セレクトロ星↑ジャレイザ→帝国→余↑ハ↓魔王↑ドクサイバ→↓ダ↑]

 

『我々も宇宙人。

 天の川銀河、オリオン腕、太陽系第3惑星人類、統一政府は持たないが、国際連合から使者としての権限を携えてきた、南部考三郎だ』

 

操縦室に戻ったら、南部のオジさまがそう応えてた。

 

あー、うん。相手の流儀に合わせるのがエチケットだよね。フィンガーボウルの水は飲み干さなきゃね。

 

 [デハ↓問オウ→鉄ヲ↑崇メル↓カ↑]

 

 ≪ 珪素系かメタン系か知らぬが、それも一興 ≫

 

えとえと。総裁Xが、ってコトだよね? 人類プレイスレスだよね?

 

 ≪ だが断る ≫

 

ちょ、まっ! 人類まだ応えてない。ノーカンノーカン、今のナシ!

 

 [愚……]

 『♪じゃかじゃん♪ じゃかじゃん♪』

 

魔王ドクサイバーの言葉を止めちゃったのは、スピーカーから流れてきたイントロ。

 

 『♪ハ~ル~カ銀河ニョ~ゥ クワ~ナ~タァ~マ~ドェ~

   光ウォゥ越ウェテ~ 時ウォウ越ォウウェ~♪

   カンヅェン的ニ 太刀ゥヲ買ウ~

           トベ!

              総裁!

                 ソ・ウ・サ・イ・えっくす~!

   恐レルゥモゥロゥハ~ 何ィモゥ ナァウィ~

   キラメェ~ク粒~子~ ういる~す燃ゥエェルゥ~

     アァ~アァ~~! 総裁~!

                 ソウ! サイ! えっくす~!』

 

ああ、総裁Xのコト気に入っちゃったのね? コジロー。そんな替え歌まで作っちゃって……、でもって、元ネタの提供は南部のオジさまでしょ!

 

 『♪あ~ん~どろめぃだ~ ダ~イ~星~雲

   ましぉう・れざぁ~ 突キヌ~ケ~テ~♪』

って、2番は止しなさいっ!!

 

 『♪……』

そこっ! 口の中で(?)もごもご唄わないっ!

 

FM音源CSMモードが、妙~にマッチするのは解かるけれど。

 

 

 […………………………]

 

ほーら~っ! 微妙な空気になっちゃったじゃない(真空だけど)。もすこし空気読もうよ(真空だけど)。

 

 

 

 

……

 

え~と、あの、そのぅ……、

 

「うちのコジローがすみません。分別つかなくて申し訳ありません」って、そう口に出そうか、迷ってたら……、

 

 [問オウ→鉄ヲ↑崇メル↓カ↑]

 

おお! 不屈のトーシ! シカトに耐えて、よくガンバった。感動した!

 

≪ 断然、ことわる ≫

『即答は、しかねる』

 

え!? いま、南部のオジさまと被った!

 

待ったマッタまった! 今のタンマっ!!

 

 [愚カ→ブ↓]

 

 

 

ズドーン!

 

 ズドーン!

 

  ズドーン!

 

   ズドーン!

 

ズドドーン……って、これさっきと同じヤツ?

 

でも、さすがゴッス。なんともないわ。

 

 ――ちなみに、ゴッド スパルタン をつづめてゴッス。ついでに、スーパー ゴッド スパルタン は、スゴッス――

 

 

「……」

 

睨みつけるように凝視するけど、外部監視モニターに映ってるのは、ガッチャポン化した月だけ。

 

眩しくともなんともないのに、何かの余波だけが装甲を叩いてる。

 

 

『アンドロメダから、この短時間で何か届くはずがない。先進波か』

 

 [余ノ↓覇道ノ↓秘密ヲ↑即座ニ↓見破ッタ↓危険←地球人類ハ危険←早急ナル↑排除ガ↓必要ト↓認ム↓]

 

 ≪ む、吾がネットワークの一部が書き換えられていく ≫

 

 [出デヨ↑余ノ尖兵↓Picometerclass↓Iron↓Carrier↑Drone↓]

 

……うわぁ。なんか、小さな黄色いうねうねしたものが、ガッチャポンの中で急成長始めてる! しかも、たくさん!!

 

『情報だけを送り込み、材料は現地調達か』

 

 [ゴ名答↓ダ↑余ノ↓尖兵↓PIC-Droneノ↓洗礼↑ヲ↓受ケヨ↓]

 

ピクドロン?

 

あの黄色いうねうねした、首ナシ人型のヤツ?

 

「おい! あのままじゃ、この辺一帯あいつに喰われてしまうぞ!」

 

怒鳴りあげたのは、ジョーのお兄ちゃん。

 

『待て、これは大事な未知との遭遇だ。いま国連本部と協議を重ねている』

 

「バカ野郎!

 アレは3分もあれば月から地球まで満たすぞ!」

 

そこまで早くはないと思うけど、ジョーのお兄ちゃんに賛成。ノシ

 

『私の見たところ、明日の夜明けまでは余裕がある』

 

「話にならん! オレは出撃るぞ!」

 

言うなり、第2格納庫に向けて飛び出してっちゃった。

 

『待て、ジョー』

 

  「待てと言われて待つバカが居るか! このバカ! バカラス! 』

 

途中で、声がスピーカーから。ということは、もうダイブコンドルに乗ったんだ。

 

「いかん手が滑った」

 

インジケータの1つが、赤く点滅する。第2格納庫のエアロック開放シーケンスが開始されたって意味。

 

『ケン! 君は!』

 

「手が滑っただけですよ。南部博士」

 

Wの字みたいになんだか欧米風に肩を竦めたケン兄さまが、「ガッチャマンは別名あるまで待機します」とシートに体重預けた。

 

『手が滑ったのなら仕方ない。テッカマンは管轄外だしな』

 

「そういうことです」

 

ああ、茶番だったんだ。ヒトが悪いなぁ、2人とも。でも、わたくし、そういうの嫌いじゃないよ。

 

『総裁X。オレが行ってヤツらを片付ける。利害は一致するはずだ。道を寄越せ』

 

 ≪ 是である。グランアルミニューム照射 ≫

 

えぇ~! なんか月から、レッドカーペットっぽいのがコロコロ伸びてきた~!!

 

ぴろぴろぴろ~って伸びるオモチャ、知ってる? 確か【吹き戻し】だったかな? 今でもニューアワジで生産されてるんだけど。

 

挙動が、アレそっくり! からかわれている感が満載で、とてもアレの上を走行できる気がしない。

 

 

 『行くぞ!』

 

でも、ジョーのお兄ちゃんはそんなの関係ねぇ。とばかりにアクセル全開。

 

 『鉄の悪魔を叩いて砕く、ガッチャマンがやらねば、オレがやる!』

 

重力が無いことに変わりはないだろうに平気でダイブコンドルが突っ走ってるのは、きっと【科学忍法・つらら】の応用だろう。

 

銀河に敷かれた道は無いけど、今まさに月へと敷かれた花道が!

 

 『ふむ。アルミが主成分とはツカエルな。

  総裁X、コイツの一部を貰うぞ』

 

 ≪ それは、ひとり鷹への予餞。反対する理由は無い ≫

 

意外に話が解かるじゃねぇか。って、なんか猛禽の舌なめずりが幻視えるんですけど!

 

 『燃えろ火の玉! 必殺【化学忍法・スーパー火車ダイナマイト】!』

 

6輪あるダイブコンドルのホイールが、ジャッキアップするみたいにびよ~んって伸びた。

なんでしょう? こう、アシダカグモっぽい?

 

たちまちレッドカーペットを巻き込んで膨れ上がり、タイヤ全てが燃え出す。と云うか、地雷原でも突っ走ってるみたいにドッカンドカンと爆発しだしました(もちろん音が聞こえたわけではなくて、レッドカーペット越しに振動が伝播してきているだけですが)

 

「あれって、ダイブコンドル版【火の鳥】?」

 

真空中で燃えるなんてナニカナー(棒読み) もしかしてフロギストンかしらー(棒読み)爆発の方は判らなくもないんだけどなー(棒読み)

 

「【火の鳥】どころか【爆裂鳥】になってるが……。

  まあ、ガッチャマシンなら、基本装備みたいなものだ」

 

リラックスしたように見える姿勢とは裏腹に、ケン兄さまの視線は厳しい。

 

いつでも飛び出せるように。って、張り詰める前の弓みたいに弛緩させてるんだと、解かります。

 

「スワロゥテイルでは当たり負けするだろうが、フォークテイルの質量なら状況しだいで役にはたつだろう」

 

確かに、今や【熱転換装甲】は標準装備だから、出来るか出来ないかで言えば、フォークテイルにだって出来るんでしょう。

 

やるかどうか。効くかどうかは別として。

 

 

 

 

メインスクリーンの中、火の車(意味がダイブ違う)と化したダイブコンドルの、向かう先。

 

月の裏っ側の表面。

 

ガッチャポンで云えば透明な方の外っ側に、わらわらわらとピクドロン達が待ち構えてます。

 

セレクトロ星人を模してるのか、首は無く、顔は胴体に半ばめり込んで。耳まで口の裂けた、ピエロのような造作が取って付けたように。

 

 

!!!

 

バコーン! と、聞こえるわけはないのですが、ダイブコンドルが飛び込んだ瞬間。そう思えるほど見事にピクドロンが数十体、跳ね飛ばされました。

もともと淡く発光してましたけれど、キラーンって、お星さまになるものまで。

 

 

 『科学忍法・6倍慣性ドリフ ーっト! さらにカミオカ(ンデ)ターン! まだまだ行くぜ、アルミホイル スピン ストーム!

  見たか、これぞ【科学忍法・真空三段独楽】! 釣りは要らねぇ、とっときな』

 

科学じゃない! 科学じゃないよ、ジョーのお兄ちゃん! 技術技術! 純粋に技術の賜物!

 

あれ? でも、重力6分の1の月面であんなマネできるのは科学力なのかしらん??

 

「教えて! 南部のオジさま♪」

 

『南部はただいま協議中です。お手持ちのカ ゙ッ チゥマ ン闘協権はお捨てにならないようにお願い申し上げます』

 

ああ、国連本部と折衝中でしたね。

 

解説大好きな南部のオジさまが断るくらいだから、向こうの相手するの、相当シンドイんだろうなー。

 

 

 

 『科学忍法・すねこすり(1/1 実物大スケール)』

 

増え続け、巨大化も続けるピクドロン相手に、ダイブコンドルは単機で奮闘しています。

 

 『科学忍法・フローティングターン』

 

けれど、数が違う。

 

 『科学忍法・フォックストロット』

 

モノによっては、あのラジコンカーのダイブコンドルと縮尺が一緒のピクドロンまで出てくる始末。

 

 『チィィッ!』

 

あっという間に押さえつけられて、ダイブコンドルのタイヤがぎゅるぎゅる空回り。

 

「ケン兄さま! 南部のオジさま!?」

 

「我々は忍びだ。刃で心を殺さねばならぬ」

 

『もう少しで国連決議が出る。あと暫くだ』

 

ああ! ダイブコンドルのタイヤが、一本一本毟られて行く! 絞めたニワトリの、下拵えみたいに。

 

あのままじゃあ、ダイブコンドルがこんがりとローストコンドルにされちゃって、

『ピクドロンが可笑しく頂きました』って、テロップでちゃうよ!

 

バキリ!

 

そんな音は、もちろん届きません。

 

けれど、わたくしの耳には、はっきりと聞こえました。

 

ダイブコンドルの、シャフトが折られる、音が。

 

「待て!」

 

「待てと言われて待つ莫迦は居りませんことよ!」

 

第5格納庫へ続く隔壁を、なかば蹴り破りかねない勢いで!

 

「スルーイン!」

 

待ち構えていたフォークテイルが、スルーインハッチをスライドダウン。支えるコネクティングロッドを掴んでくるり。狭い狭いコクピットの中に滑り込みます。

 

『あらいけない。マントがどっかに引っ掛かったみたい。トンマねぇアタシ』

 

充填されていた空気ごと放出されて、狙い澄ましたように正面の、月面へ。

 

『今度は君たちか、ジュン。リュウ』

 

『申し訳ありません、博士。

 でも、フラミンゴのガッチャマンなんて居りませんわ。居ない者が居なくても、問題にはなりませんよね?

 エアの漏出については始末書を提出します』

 

『宇宙が一方向ばぁ太陽光ぐ当たるんちゅあモロ干しぃ。だんローテーションやが』

 

『そうか。ならば致し方あるまい』

 

はいはい、茶番乙。

 

でも、お膳立ては整った。なら……!

 

 

「コジローちゃん。アレを使うわ!」

 

 『委細承知』ってフインキの、コジローの応え。

 

「熱転換装甲(サーモキャンセラー)全開!」

 

まずは、そ知らぬ顔して照射されたフェンサーを、推進力と電力に変換。

 

電力はそのまま発振器へ、

 

「パルスぅぅぅぅぅぅぅぅ、レーぇぇぇぇザーぁぁぁぁぁあ!」

 

まずは、露払い。

 

飛び上がって迎撃に来た、小さなピクドロン(モガちゃんサイズ)どもを返り討ち。

 

なんか解からないけれど、低収束の硬X線パルスレーザーがとても能く効いてます。

 

ばしゃばしゃばしゃっ! と、水フーセンみたいな弾け方。

 

 

「行きますわよ、科学忍法・雷獣!」

 

熱転換装甲で得た電力を、そのままフォークテイルに纏わせる。

 

「……わたくしに触れると、」

 

ぱりぱりぱりりっ!

 

「シビレますわよ!」

 

さっき、ジョーのお兄ちゃんが【科学忍法・火の鳥】を使ったのなら、わたくしが使うのは【真 科学忍法・火の鳥≪雷鳥≫】

 

「スーぅぅぅぅパーぁぁぁぁぁぁ!」

 

狙うは、ダイブコンドルを鷲づかみにしてる、ひときわ大きなピクドロン。

 

    「イ・ナ・ズ・マっ!」

 

群がるアメーバピク(光学観測不能)を、鎧袖一触。

 

          「キ~ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃック!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え? 脚もないのに蹴るな。……ですか?

 

ありますよ? 立派なのが。

 

【ホワイトスローテド】と同様に【ホワイトランプド】も、機体下面全体を覆うようなサポートユニットですけれど、【ホワイトスローテド】と違って、フレキシブル排気ノズルを嵌め殺したりはしてません。

 

巡航用の通常形態を特にG(ガッチャ)クルーザーと呼びますが、緊急時にはスワロゥテイルと【ホワイトランプド】を切り離し、フレキシブル排気ノズルだけで繋いだ【Z】の字みたいな状態になれます。

 

これぞ、ウェイブサーファー。

 

まあ、サーフボードに乗った小鳥を想像してみてください。シルエットそっくりですし。

 

わたくしはこっそり【ガチョー君】って呼んでますけど。

 

 

そして、そこからが【ホワイトランプド】の真骨頂。

 

この宇宙用サポートユニットは左右に分割できて、低重力下ならそれぞれフレキシブル排気ノズルで振り回すことが出来ます。

 

つまり、今私が行っているように、巨大ピクドロンの頬を右脚で踏みつけ(ついでに焼き焦がし、痺れさせ)ながら、左脚で推し続けることだって、デキるんです!

 

「やぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!」

 

 

推力偏向180度は、ダテじゃない!

 

さらには、この体勢から機首を相手に向けて、今一度の!

 

「パルスぅぅぅぅぅぅぅぅ、レーぇぇぇザーぁぁぁぁぁぁあ!」

 

これがわたくしの、全力! 全開!

 

 

……でも、このままじゃ推進剤が保たない。

 

「おとうさま!」

 

 ≪ 心得ている ≫

 

巨大ピクドロンを踏み台にするように左脚で蹴り上げて、反動で、月面方向へ。

 

目指すはガッチャポンの、透明なドーム表面。ツィオルコフスキー・クレーターのあったトコ。

 

 『また詰まらぬ物を蹴ってしまった』ってフインキのコジローに苦笑いしながら、わたくし達を迎え入れるために開いた穴へ、Gクルーザーモードでダイブします。

 

純水は、水素と酸素しかない最良の推進剤の1つ。

 

存分に吸い込んで推進。

でも、水深は浅く。だって、航空機ですもの、水圧が出ちゃう ;;

 

 

一瞬だけホワイトランプドを蹴りだして、反動でくるりとターン。栄光のターン。

 

穴から覗き込んでる巨大ピクドロンと目が合う。

 

「まだ、わたくしのターンですわ」

 

 ―― 進路上の【純水】を【生贄】に、 【電力】と【推進力】を【特殊召喚】! ――

 

「熱転換装甲、反転(アンチサーモフィールド)全開!」

 

周囲の純水は、しかし凍らない。条件が整ってて、最初から過冷却を起こしてるから。

 

「科学忍法・翡翠 -eisvogel-」

 

巨大ピクドロンにぶち当たるギリギリをかすめ飛ぶと、追従してきた純水が間欠泉のごとく吹き上がる。

 

喰らいなさい! 圧倒的パワーのゲイザーを。混じり気無し、クリスタルもかくやなガイザーを。

 

きりもみ上昇してたフォークテイルを、ホワイトランプドの一振りとRCSの全開で、強引に止める。

 

「破っ!」

 

真空に曝されたからか、そうして圧力を失ったからか、あるいはピクドロンと反応したのか、それともただ単に条件が崩れたからかは解かりませんけれど、ピクドロンを巻き込んで、純水が一瞬で氷に。

 

「2つ合わせて、科学忍法・燕返し」

 

月面に屹立した、逆つらら。それが巨大ピクドロンの墓標ですわ。

 

「まだまだまだ! わたくしのターン!」

 

月を、なみなみと満たす純水がある。ドロー! ドロー! ドロロー!

 

フォークテイルは、いくらでも飛べ「きゃっ!」

 

なっ、なに!?

 

 『バカ野郎がっ! 1体斃したくらいで気を抜くからだ!』

 

ちょ、ジョーのお兄ちゃん(はぅ と)!? それはないんじゃないの! ……って、

 

「わっ! ちょ~お、巨大な、ピクドロン!」

 

さっきのヤツの、倍はある。こんなデカブツ、ドコに居たの?

 

って、フォークテイルを右手で掴んだ超巨大ピクドロンが、大きく手を振りかぶって。

 

ちなみに、握りはフォークじゃなくてシュートっぽい。

 

 

 

あ、左手にダイブコンドル。

 

 

……えっ? あっ? えぇっ?

 

体がでかい分、テイクバックやスルーの軌道も長い。でも、このままじゃ!

 

あっ! ィヤっ!

 

「助けてぇぇぇぇぇ! 」

 

      『 夜空の月が輝く陰で、WARの笑いが木霊する 』

 

後で聞いた話ですけど、WARってのは国連決議で決まったドクサイバー以下ジャレイザー帝国の一党を指す用語で、【好戦的かつ実際に攻撃してきた種族(warlike attacked race)】のイニシャルなんだそうです。頭文字なのに、Dじゃないんだね。

 

   『 星から月で泣くヒメの、ナミダ背負って夢中にします 』

 

大きさは、ケン兄さまのイーグルストライクと同じくらい。

 

色は、燃えるような深紅。

 

全領域戦闘機とはいえ、大気圏外での行動半径がほとんど無いはずのブレイク・ダンサーが、数え切れないほど!

 

これで勝つる!

 

 『 チーム=レッドインパルス、お呼びとあらば即、参上! 』

 

キャー! レイオヂサ~ン!!

 

『ブレイク・シンクロン、デルタ!』

 

速度と突入角度を絶妙に同調させた4機のブレイク・ダンサーが、超巨大ピクドロンの傍をすり抜ける。

 

 

 

 

「……」

 

……あれ?

 

てっきり、ずんばらりんって超巨大ピクドロンが3枚おろしになるもんだと思ってたんですケド……?

 

『 大男、総身に知恵が回りかね 』

 

パチンっ。て、指を鳴らす音。

 

『 ブレイク=ソードに、断てぬものなし 』

 

 『天晴れ』って、コジローの放ったフインキと同時、超巨大ピクドロンが17分割。

 

 

 

 

「……」

 

すごい!

 

『デルタ』って言っておいて、4機だけ攻撃してきたように見せかけといて、色違いで目立たない13機と合わせて攻撃するなんて。

 

キタナいな。さすがのニンジャも引くほど、キタナいな。

 

『 各機、フォーメーション17を維持。成長途中のヤツを優先だ 』

 

『『『『『『『『『『『『『『『『『 Aye,Sir! 』』』』』』』』』』』』』』』』』

 

 

でも、まあ……

 

「来て、くださったんですね」

 

『 困ったときはいつでもお呼びください。と申しました。マドモアゼル 』

 

放り出されて、変な慣性がかかってたフォークテイルを、ホワイトランプドの一蹴りで安定させる。

 

『 ブレイク・サテライトの大気圏離脱に手間取りまして、遅くなってしまいました 』

 

中小ピクドロンどもに襲い掛かるブレイク・ダンサー達をよそ目に、一機だけ、わたくしをエスコートするような機動。

 

「おかげで九死に一生を得ました。あなたは命の恩人です」

 

『 そのお言葉だけで、1光秒を飛んできた甲斐があるというもの 』

 

ヒントをまとめて導く答えは、レッドインパルスチームのエリアルベースたるブレイク・サテライトが出張ってきてるだろうってこと。

 

「レッドインパルスチームの皆様も、本当にありがとう」

 

ここで、チュッ! テレビ東京。投げキッス(はあと)を椀飯振る舞いですわ。

 

【クノイチ忍法・グリンカムビ】は、ヴァルハラの英雄達を目覚めさせる必(悩)殺技です。

 

 「油断ならない相手です。どうかお気をつけて」

 

『『『『『『『『『『『『『『『『『 Ayeaye,Dame! 』』』』』』』』』』』』』』』』』

 

セブンティーンマンセルでピクドロンどもに襲い掛かるブレイク・ダンサー達を尻目にわたくしが思い至り、見やる先はスーパーゴッドスパルタン。

 

レッドインパルス隊専用機であるブレイク・ダンサーが本拠地ごと参戦した。ということは……。

 

 

 『国連の総意が決した』

 

南部のオジさま!

 

 

 月面から湧き出てきた大型ピクドロンには、ストラトオウルが、

 

   その向こうで体を持ち上げつつある巨大ピクドロンには、ゴッドフェニックスが、

 

     さらにさらに最奥で待ち構える超巨大ピクドロンには、ガッチャスパルタンが、

 

それぞれに、

 

      『科学忍法・火の鳥3連。【火炎の鳥】!』

 

3方向から3体のピクドロンを貫いたガッチャマシンたちが、そのまま緩やかに同心円の周回線上へ。

 

    『古伝兵法・車掛かり』

 

噂に聞く鷹柱のように、螺旋を描いて高度と速度を稼いでいっている。

 

その円陣の中心で誕生を叫ぶのは、一際大きな、超々巨大ピクドロン。

 

 

『科学忍法・ヒの鳥!』

 

あれ? ケン兄さま、いつもとイントネーションが違いませんこと?

 

『かつて、鷲に追われた白鳥を匿ったのはレダ。

 かの女王の双子の息子カストルとポルックスこそ、ソラに輝くあの双子座である』

 

南部のオジさま! 薀蓄は後にして! 話、長すぎだよ!

 

『……こほん。

 ゴッドフェニックスを兄と慕うガッチャスパルタンこそ、あの星ポルックス』

 

口上はもっと手短に! 超々巨大ピクドロンは目の前だよ! ほらっ! 今、はたかれそうになった!

 

『……この星光の輝きを恐れぬのであれば、かかって参られませい、Picometerclass-Iron-Carrier-Drone――こちらの観測では32,362番――君。

 肖ったスパルタ王子と双子座の名において、【科学忍法・ホシの鳥】!』

 

『ほうほぅほう』

 

フライデーは短すぎっ!

 

でも解かった。【科学忍法・ツキの鳥!】ね?

 

宇宙船そのままの白銀の背中と、高々度航空機らしい黒耀の腹面が、まるでハーフムーンのお月さまですもの。

 

『ほぅほう』

 

正解。ですって!

 

超々巨大ピクドロンを中心に3方向から襲い掛かるガッチャマシンたちは、それぞれ、

 

ゴッドフェニックスが火の鳥、

ガッチャスパルタンがマイナス火の鳥、

ストラトオウルは――後で聞きましたが、上下面の配色差を利用した手妻の一種――【変移抜刀霞網】という専用火の鳥。

 

『いくぞ、科学忍法・火の鳥【三光鳥】』

 

三光鳥は、ツキ、ヒ、ホシって啼くから。

 

その間にも超々巨大ピクドロンは成長を続けてて、今ではガッチャマシンを指先で摘めるまでに。

 

 『がいなぁくすぜねぶろん、そぃら主ぃが運の尽きじゃけぇ!』

 

三者三様の火の鳥が、背、腹、胸と、同時に巨体を穿つ。

 

『これで止めだ。科学忍法・火の鳥【鳳凰】』

 

ッパーン! って音立てて(衝撃波キター!)光の柱が超々巨大ピクドロンを貫いた。

 

ケーン。とこちらは聞こえなかったけど、羽撃きめいたプラズマ炎を蹴立て、内部で合体したらしいスーパーゴッドスパルタンがきりもみ上昇。

 

『小さいのは、かたまってるところを纏めて一掃する』

 

『ラっジャーやきぃ』

 

大中小、さまざまなピクドロンが犇めき合ってるド真ん中に、スーパーゴッドスパルタンがさらなる攻撃をカマ(モニターに!モニターに!目が、目が、ベギラゴンって視線が!!)……、

 

……敢行いたしまするは、

 

『真 科学忍法・火の鳥【火喰い鳥】』

 

スーパーゴッドフェニックス版、マイナス火の鳥。

 

タイミングよく月面から噴き出した純水との併せ技一本で、にわかに出現する樹氷の森。進路上の大中小ピクドロン全てを凍てつかせて。

 

 

 

それでも、まだまだピクドロンの数は多い。

 

 『Picometerclass-Iron-Carrier-Droneを人類への脅威と認定し、周辺宙域からこれを排除する』

 

うん、南部のオジさま。手順を踏んで省略していったのに、ピクドロンって呼んでくれないなんて意地悪、いけず、合わせてイジケズ! もう、ツンツンしちゃうんだから。

 

とりあえず、ストラトオウル目掛けて硬X線パルスレーザーを照射。みー、みみー。

 

 『これ! よさないか!

  ちょ、フライデー君。なぜ熱転換装甲をカットするのだ』

 

 『ほぅほぅ』

 

ほうほう? カワイイは正義?

 

……あ、! 解かる! わたくしにも解かるわ、コジロー。フライデーの言葉が!

 

さっきの【月の鳥】で、勘所を押さえたみたい。

 

 『ほうほう? カワイイは正義?

  正義なら仕方ないか』

 

仕方ないの!?

 

……はぁ、なんだか気が抜けて、トリガーに掛けてた指の力も抜けました。

 

『総裁X。

 ピクドロンの生産拠点になっているのは、月中枢にある球体区画だな?』

 

 ≪ 是である。吾が、夢のまほろば ≫

 

ケン兄さまの問いに、即答。

 

同時に送られてきたのは、月の模式図。

 

……でも、ただの円なんだけど、これ。

 

中心に、コンパスで開いちゃった穴があるところまでそっくり。

 

 

『破壊させてもらう』

 

 ≪ 是非もなし ≫

 

そうと決まれば、こんなトコに用はありません。

 

なす術も無く、くるくるくるくる回ってたダイブコンドルを、左右のホワイトランプドで挟み込んで、一路スーパーゴッドスパルタンへ。

 

『おう、助かった』

 

あんな複雑な3軸スピンしてたからダイブ参ってるかと思えば、あにはからんやピンピンしてる。

 

そういえば脳みそをプラスティネーションしてるって言ってたから、脳震盪や宇宙酔いには縁がないのかも。

 

『感謝するぜ。ジーン』

 

ジョーのお兄ちゃん(ぱぁと)、あとで小一時間問(ry

 

 

 

 

****

 

 

 

 

第2格納庫にダイブコンドルを放り込む(文字通り)のに少し手間取りましたが、無事に合流。

 

「リュウ。頼みがある」

 

操縦室に戻ってみると(1/6Gなので楽)、立ち上がったケン兄さまが、リュウ兄上に90度で頭を下げていた。

 

まるで、白い三角定規。

 

「止しひさぁ、たがみ解かっちゅうけぇ」

 

「申し訳ない。恩に着る」

 

シューシ畏まった態度を崩さないケン兄さまに対して、リュウ兄上はいつも通り。

眠そうな空気を纏ったまま、ひらひらと手のひらを振っている。

 

「じぇーろにも、フライデーば身柄ごっつ出せぃあらしまぉんせん」

 

「勿論だ」

 

あ、ケン兄さまがナニやろうとしていらっしゃるのか、WEV経由で伝わってきた。

 

『♪ちゃちゃらっ ちゃっちゃ♪ちゃっ、ちゃ~ん♪』

 

うん、コジロー。気持ちだけありがたく頂いておくから、ゴッドフェニックスのPCMプロセッサボードは返そうね。

 

『♪ちゃらり~♪』

 

え? 気にしてない。って? うん、ありがとジョナサン。でも、これ躾だから。

 

あと、そのSEは止めて。

 

歳を取ったらステータス下がっちゃうかもだから。それに、馬小屋で寝泊りもヤだから。

 

 

『では、ガッチャマンに命ずる。

    【まほろば】を破壊せよ』

 

「「「「「「 ラジャー! 」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

ないわ~!

 

南部のオジさま。自分で命令しといて、自分も応えるのはナシですわ~。

 

 

 

 

 

 

……

 

「フライデーばぁ、ろっとる準備が終わっとるぅす」

 

「ああ、サム=ラィガンからも報告が来た」

 

レベルが上がって、WEVが上級職【ブロードバンド】にジョブチェンジしましたから、キャビンを譲り合う微笑ましい光景が脳裏(字義通り)に浮かんできます。

 

え? ペアレンタルコントロール? CEROレーティングが引きあがっただけなんですか?

 

むぅ、子ども扱いは悔しいですわ。あとで断然、抗議しないと。

 

 

「では行くぞ」

 

いつの間にかキャプテンシートに戻っていたケン兄さまの宣言と、同時。

 

スーパーゴッドスパルタンが、マクロスピード!

 

 「くぎゅうぅ……@o@」

 

おねがい、マイメ……、(加速の)最初はもっとやさしくして。

 

「全力全開、この一撃に地球と人類の命運を託す。

 熱転換装甲、反転全開!」

 

 「……ラジャー」

 

マイナス方向へゲージMAX、Ayeayeです。お猿さんです。

 

「フェンサー、突入と同時にデルタパワーでフィールド照射開始。

 さらに、バードミサイル、全弾 斉射準備」

 

「ラジャー」

 

ほいほいほい。と気楽そうに、ジョーのお兄ちゃんはコンソールを操作。

 

「ターゲットロック、水圧データの逐次解析をパイロットにフィードバック」

 

「ラジャー」

 

ずらずらずらららってモニターに現れた数字の羅列を、ジュン姉さまはいつもどおり手で丸めて固めて捏ねて、3D画像に加工されました。

 

それが、パイロットシート前に投影される。

 

「リュウ、任せた」

 

「やるくっつばぁ、ちぃとん変わんがらいね!」

 

セリフまで変わってませんのね? リュウ兄上。

 

ダイダロス・クレーターのあったところが、カメラの虹彩絞りみたいに開きました。7枚の羽根が形作る、7角形の港。

 

そこからすかさずガッチャポン内部に突入。

 

純粋な純水をたらふく吸い込んで、「!!っ」さらに加速。……らめぇ、Gがきっつ~い。

 

 

「さてと、露払い行くぜ! フェンサー、デルタパワー!」

 

ジョーのお兄ちゃんがトリガーを絞ると同時、「では行くぞ!」と、飛び立ちそうな勢いで、ケン兄さま。

 

「真 科学忍法・火の鳥【雷鳥】!」

 

押し寄せる純水の水圧すら斬り伏せて、月の海を真っ逆さま。

 

スーパーゴッドスパルタン全面から照射されるドップラーレーザーは、収束すれば普通に攻撃手段になる。

 

しかも、目標に向けられたレーザーは往きがけの駄賃に純水を灼いて、今まさにそこに突っ込もうとするスゴッスの花道を、スーパークリティカルウォーター(略してスクーター)で飾った。

 

続いて、エネルギーを与えられた熱転換装甲が発熱し始めるけど、大気圏内じゃないから燃え上がりはしない。

 

放出された赤外線は伝導率100パーセントで周囲の超臨界純水をクォークグルーオンプラズマに昇華、たちまち電磁コイルを形成する。

 

!!!!!!

 

「きゃう……」

 

レールガンの弾体と化したスーパーゴッドスパルタンが、さらに加速。

あまりのGに、ギシギシと体中が悲鳴上げてる。胸郭ごと肺が押しつぶされて、漏れ出るのは吐息だけ。あ…んっ、あっ…ん… // //

 

胸パッドに仕込まれたシリコンオイルが、分散することで肋骨への負担を軽減してくれてなかったら、息をするのも忘れるほどの境地に連れて行かれたことでしょう。ご臨終的な意味で。

 

わたくし、こんなの初めてぇ。

 

「軽口が叩けるうちは、まだ余裕があるな」

 

なんでこのGで平気な顔して喋ってんですか、ジョーのお兄ちゃん(はぁ?と)。

 

 

 

 

 

「科学忍法・光分身」

 

ドップラーシフトを起こしてシリウスのように青白く輝きだしたスーパーゴッドスパルタンが、17つに。

 

ちなみに外部からの映像は、どうやら総裁Xプレゼンツみたいです。だって、右上隅に【JOC-X】って表記されてますもの。

 

 

 ―― コーザブロー・ナンブが入室しました ――

 

―  ナンブ:幻日を知っているかね?

 

ああ、きっと南部のオジさまも口を開けてられないんでしょう。でなきゃWEVのチャットルームなんか使わない。

 

 ―― ジーン・COHが入室しました ――

 

……って誰! わたくしのハンドルネーム捏造したのは!?

 

グラスシールドをスクリーンにしてそれぞれの顔を表示(眼球を動かすのも辛いので)させるけど、誰も知らんぷり。それはもう知らんぷりグランプリで決勝に残ること請け合いのポーカーフェイス。南部のオジさまをジョーカーで加えた、ロイヤルストレートフラッシュです。ガラスの仮面フラッシュです。

 

……はぁ。

 

それはそれとして、幻日というのは確か……

 

 ―  ジーン・COH:……ええと、雲中の氷晶がプリズムになって、太陽や月が複数見える現象のことですよね? 南部のオジさま。

 

 ―  ナンブ:そのとおりだ

 

 ―  ジーン・COH:ということは、周囲のクォークグルーオンプラズマをプリズム代わりに、ほぼ22度ごとでスーパーゴッドスパルタンを映し出してるってことですか。

 

 ―  ナンブ:ご名答。

 

 

「まだまだ行くぜ、超 科学忍法・バベルの搭」

 

セレクタをずらしたジョーの兄貴が、トリガーを引きっ放し。

 

全弾斉射されたバードミサイルが瞬時に電離――プラズマ化――します。

クォークグルーオンプラズマとスーパークリティカルウォーターのシリンダーに閉じ込められて、筒状に伸びる。

 

タロットカードの【タワー】は破壊の象徴ですけど、そこに描かれてるのは、搭を打ちすえるイカヅチの姿。

 

イカヅチでありながら搭。搭でありながらイカヅチ。それはまさに、破滅の代名詞。崩壊の象徴。断絶の記憶。バベル。

 

 

ここまでは「真 科学忍法・火の鳥【雷鳥】」と、手順は一緒です。周囲の環境が違うだけ。

 

でも、それすら利用し倒すのがニンジャってもの。

 

 

まるでモーゼの十戒みたいに割れた海が、さらに突き立つ破壊の搭が、ガッチャポンの中心部、総裁Xが言うところの【夢のまほろば】に届いた瞬間。

 

今だ! と、飛び上がった(このGでっ!?)ケン兄さまが、

 

「超バードミサイル、発射!」

 

と、天井から下がってきたセイフティレバーを押し上げた。

 

「ラジャー」

 

と応えたジョーのお兄ちゃん(ぽっ… と)が、壊しかねない勢いで殴りつける、真っ赤なボタン。

 

ガチャーン。と防護ガラスが飛び散るより早く、単機で飛び出した【ストラトオウル】が、【まほろば】に突入!

 

超バードミサイルってのは、ストラトオウルそのものを特攻させるってこと。

 

棚引いた噴射炎はネオンサインのようにきらめく緑色で、臨界いっぱいのタービンで限界突破のリヒート焚いてたことが判ります。

 

 

 

 

「続けて行くぞ、科学忍法・牛突き」

 

真 科学忍法・火の鳥【雷鳥】状態を維持し続けてるゴッドスパルタンが、サイにべったりなウシツツキみたいに【まほろば】に纏わり着いて、くるりくるっと、1周半。

 

ウシツツキと云うよりはコバンザメですけど、まあそこはそれ。

 

 ―  ナンブ:フェンサーの照射角度を調整すれば、この純水の海の中心でダウンフォースを稼ぐことは造作も無い。

 

だそうです。

 

 

「離脱するぞ。途中で、進入経路へ割り込んで復帰だ」

 

「……ラジャーゃきぃ」

 

コンビーフ缶を開けるように切れ目を入れて、都合549度回転したゴッドスパルタンが、一路、月面へ。

 

 

 

「……」

 

誰も無言。

 

飛び去った後に押し寄せてくる純水の雪崩が、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッって、轟音立ててるような気がするけど、もちろん幻聴。

 

 

 

一瞬後、ズドンと突き上げるような音がした。水中衝撃波、これは錯覚じゃない。

 

噴き出した純水の間欠泉に押されるようにして、ゴッドスパルタンが月の衛星軌道まで帰還しました。

 

 

 

 

……

 

 

「【まほろば】、消滅を確認。

 全ピクドロンの反応、消失したわ」

 

『受信部と生産拠点と司令塔を失って、ただの情報に還ったようだな』

 

 

 

 

                                       つづく

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