「I am your sister」
「Nooooo‼︎」
あと今回アンケートを取ります。
あれから数日後、ようやくバレットが失恋から立ち直ってすぐにDG小隊に新たな指令が出された。
内容はとある山間部に集まっている人類人権団体の過激派の殲滅である。
とはいえ、最近各地区で大規模な過激派の掃討作戦が行われているらしく、今回殲滅するのははっきり言って小物に等しいのだが、それなりの戦力を有しており、早急に対処せよとの事であった。
目的地への移動中、スミスは恐る恐るバレットに尋ねる。
「なあバレット、本当に大丈夫か?」
「平気だ。俺らの存在を公表した以上、俺らに目を向けるところもあるんだ。いつまでも落ち込んでいるわけにもいかないだろう」
バレットの言うことは半分は嘘である。今この場でそのことを蒸し返そうものならそいつに顔パンした後ヘコむくらいの精神状態だが、先ほど言った通りDG小隊のことは各基地に知れ渡ることになる。そのDG小隊の隊長を務めているからにはいつまでも私情でへこたれてるわけにはいかないのである。
──
「で?奴らの装備はわかってるのか?」
目的地に着き、過激派のいる廃墟周りで配置についた後、スミスがバレットに尋ねる。
「今回集まってる奴らが持ってるのは小銃やSMG、あとはLMGくらいだそうだ。RPGも持ってるらしいが中に侵入すれば問題ない。さすがに屋内でぶっ放すほどバカじゃないだろ」
「戦車や自立兵器を持ってると聞きましたが?」
「戦車や強化外骨格はこの前使って返り討ち、自立兵器は爆発事故でみんなオシャカになったそうだ。第一、そんな目立つもん持って来たら見えてるだろ?」
「それもそうですね」
「つか爆発事故って…奴ら、配線ミスって自爆したのか?」
「そこまでは知らん。無駄口はそこまでにして突入準備に──」
その時だった。彼らから見て奥側の廃墟が爆発し、その後レーザーのようなものが閃き、止まっていたジープを次々に破壊していった。そしてそれはスミス達にも降りかかった。スミス達はそれらを間一髪回避する。
「なっ何だぁ⁉︎」
「今のはレーザー?まさか…!」
当然廃墟内は蜂の巣をつついたような騒ぎとなり、過激派達が出ていき攻撃を受けた方向に銃を撃つ。だがすぐに返り討ちに遭い、物言わぬ死体と化した。
あっという間に過激派を襲撃し、殲滅した存在、それは──
「鉄血だと⁉︎」
「何故ここに鉄血が?たまたま向こうの作戦行動中にここを見つけたとかですか?」
違うな、とウェイターの疑問にバレットが答える。
「あれは元々ここに過激派がいるとわかってやった攻撃だ。いや、正確には
「つまり俺らは過激派をエサにおびき出された訳か?過激派がやられたのは俺らが来たから用済みになったからか」
「さっきのレーザーといい、こんな真似する奴は俺の知る限り一人しかいねぇ…」
『はーい、その通り♪私で〜す!』
「っ!やっぱりお前かドリーマー…!」
全周波で流されたドリーマーからの通信にバレットは忌々しげに顔を歪める。
『グリフィンのゴミクズ人形を守るあなた達の行動なんて、過激派の動きを見ればすぐわかるもの。今日こそあなたを手に入れてみせるわバレ〜ット♪』
猫なで声でドリーマーが言った直後、鉄血人形達がスミス達に攻撃を仕掛けてくる。
「気色悪いんだよ芋砂がッ‼︎捕まえたことなんかねぇくせに‼︎」
バレットはそう吐き捨ててスミス達の援護を開始する。
『あらあら、そういうけど何回もダミーや手足を撃ち抜かれて泣きながら撤退したのはどこのマヌケさんかしら〜?』
「泣いてねぇよ‼︎頭だけじゃなく目ん玉もイカれてんのか⁉︎」
こうもバレットが毒づくのは訳があった。
バレットとドリーマーは過去に偶発的に接触し戦闘を行った事がある。その時は苦戦しながらもバレットがドリーマーを撃破したのだが、その日以来ドリーマーに目を付けられてしまい、幾度となく奇襲を受けていた。何度か捕まりそうになった事があったがなんとか帰還を果たしたり返り討ちにし、今に至っていた。
バレットにとって一番相手にしたくないのがドリーマーである。というより単純に彼女が気に入らないのだ。
彼女にダミーや自身の手足を撃ち抜かれれば彼女お得意の話術で煽り立ててくるのもあるが、何より、ここ最近ではそうでもないがバレットは前に出る傾向がある狙撃手であり、所謂凸砂気質がある。対するドリーマーはあまり動かない狙撃手であり、所謂芋砂である。
要は根本的なところから気にくわないのである。
「おいドリーマー!何でバレットばかり執着してんだ?16Lab製の人形が欲しいなら俺でもいいんじゃないのか?」
ヴェスピドを撃ち倒しながらスミスは前から思っていた疑問をぶつけた。
『ごめんなさいねスミス。六発じゃないリボルバーには興味ないのよね〜』
「ンだとぉ?六発じゃなくて何が悪いッ‼︎つーかそれナガンばーちゃんの前でも同じこと言えんのかゴラァ‼︎」
「スミス、あまりドリーマーの言葉に乗らないでください!今は目の前の敵に集中してください!」
グレネードで敵を一掃しつつウェイターが叫ぶ。
しばらくしてバレットも前に出る。ドリーマーの狙いはバレットであることには変わりはない。なら動き回って彼女に自分を狙わせて位置を把握し、カウンタースナイプを決めるしかない。
早速彼に向かって幾つかのレーザーが降りかかる。バレットは回避するが躱しきれず幾つか掠めたがすぐ位置を確認し数発射撃を加える。手応えを感じたバレットだったが──
『ざ〜んねん♪それはイェーガーよ〜』
「チッ!出力を絞ったか‼︎」
やはりそれはドリーマーにもわかっていたようで自らの獲物の出力をイェーガーのものと同程度にまで絞って自分の位置を誤魔化していた。
さらにはバレットの行く手を阻もうとリッパーやプラウラーが彼に向かう。
それに気づいたレスト達は迎撃を開始する。
「隊長!ここは俺らにまかせてドリーマーを!」
「分かった!」
鉄血人形の相手をレスト達に任せ、バレットはドリーマーを探す。
途中何度かイェーガーが彼を狙うが的確に対処していった。
出力が同程度とはいえ、量産型のイェーガーとハイエンドモデルのドリーマーでは狙いの精度に違いが出る。その違いをバレットは突いてドリーマーの位置を掴んでいく。
一方、ドリーマーもそれには気がついていた。
(ふふ、やっぱりあなたは面白いわぁバレット。他の人形だったらあっさり騙されて殺られるのに、確実に私のとこに向かってきている。あぁ早く来なさいバレット…勝てると思っていた状況から返り討ちにしてその顔を屈辱に歪ませたい…!そして『傘』を埋め込んで飼い殺したい…!)
歪んだ考えを巡らせるドリーマーだが、ある事に気が付いた。
(にしても、いつもより何か感情的ね…ちょっとイジってみようかしら)
『どうしたのバレットぉ?いつもより機嫌が悪いんじゃなぁい?』
「いつも任務の邪魔ばっかしてれば機嫌が悪くもなるだろうよ‼︎」
『あぁ、もしかして…
「「「「………あ」」」」
今、ドリーマーは彼の最大の地雷を踏み抜いたのであった。
……ブチッ‼︎
バレットから明らかに何かが切れた音が聞こえたのであった。
「…その憎たらしい顔を吹っ飛ばしてやんよ芋砂ァァ!!」
『アッハハハハハ‼︎図星みたいねぇ‼︎ねぇ何で?何でフラれたのぉ?あなた顔は悪くないのにぃ?教えてよバレット…笑って慰めてやるからサァ‼︎』
「黙れこのF****nB***‼︎」
「「「「うわぁ……」」」」
「あんなにキレ散らかす隊長さん始めて見ました…」
「まーありゃドリーマーが悪いからしゃーないな」
余裕そうにしているスミス達だが、実際彼らと対峙していた鉄血人形は全滅し、本来ならバレットを援護しドリーマーの撃破に向かうべきなんだが、今の状態で近づけば完全に邪魔扱いされるので近づかず、イェーガーの排除に努めた。
隊員達の意図を理解したバレットはイェーガーからの攻撃は完全に無視し、ドリーマー抹殺に切り替え、ついにドリーマーを視界に捉えた。しかも彼女はこちらに気が付いていないようであった。
「くたばれドリーマァァー‼︎」
バレットはドリーマーに狙いをつけ、引き金を引こうとする。
が、突如ドリーマーはこちらを向け、出力を戻したレーザーを撃ち放った。
「っ⁉︎」
直後、爆発が起き、辺りが煙に包まれる。
「バレット⁉︎」
「アーハッハッハ!こんな手に引っかかるなんて、よっぽど頭に血が上ってたのねぇ?でも安心してスミス、バレットは足だけ吹っ飛ばして気を失ってるからあとはお前らを始末してから彼は連れてってあげる♪足には何を付けてあげようかしら?ドラグーンの下のやつの脚?プラウラーのタイヤもいいわねぇ。あ、いっそお前らの手とかどうかしら?」
ケタケタ笑いながらそのままスミス達の方へ向かうドリーマー。だが──
「悪いがどれもお断りだ、俺の足はまだあるからな」
「なッ─!」
足を吹っ飛ばされて気を失ってるはずのバレットの声が聞こえ、予想外のことに驚くドリーマーだが、次の瞬間には彼の放った12.7×99mmNATO弾が彼女の顔に命中し、先の宣言通り派手に吹っ飛ばし、頭部を失った体は機能を停止した。
「バレットお前…わざとキレた演技してたのか?」
「いや、最後に怒鳴りつけるまではガチでキレてた。あとは演技だ。相手を怒らせてこっちのペースを乱すのはあいつの得意技だしな。俺を捕まえたいって言っていた以上無力化するのは目に見えてるし、外したら致命傷になる手より足を狙うだろうって考えて避けたんだが避けきれなくてこのザマだ。悪いが肩貸してくれ」
そう答えるバレットの左脚は膝から四分の一ほどが無くなっており、さらには爆風でところどころ肌が焼け爛れていた。
スミスに肩を貸してもらいながらバレットはゆっくり歩いていく。
「…にしても、あいつ本当にしつけぇな。どんだけ俺を捕まえたいんだよ」
「いいじゃんあんな熱烈なアプローチされて。案外付き合ってみたら面白いかもよ?」
「……こんな状態じゃなきゃお前をぶん殴ってるぞスミス」
「だから言ったんだよ」
軽口を叩きながら彼らは回収ポイントへと向かっていった。
────
鉄血工造
「あ"あ"あ"クソッッ‼︎もう少しであいつをモノに出来そうだったって〜のによォォッ‼︎」
新しいボディから復活したドリーマーは怒鳴り声をあげながら近くの物に当たり散らす。
そこへ代理人が現れる。
「また彼に負けたのですかドリーマー。確かに貴重な男性型戦術人形、それも16Lab製の彼の鹵獲を命じたのは私ですが、こうも損害を出されては彼を捕獲しても割に合わなくなるのですが?」
「わかってないわねぇ代理人。オモチャってのは苦労して手に入れた方がそれだけ嬉しくなるものよ?それに、そんな事言って鹵獲命令を撤回しないあたり、あなたも彼が欲しいんじゃないの?もしかして欲求不満とかかしら?」
「まだ彼にはその価値があるだけです、くだらない事を言わないでください。それと、次の出撃時には自爆装置を付ける事を薦めます。最近、ハイエンドモデルの鹵獲が多発しているので」
そう言い残し代理人は立ち去っていく。その道中、代理人はひとり考えを巡らせる。
(今までいなかった男性型戦術人形…鹵獲してデータを取ればこちらの戦力増強に役立つはず…しかしこれだけの損害がある事を鑑みれば16Lab製で隊長である彼にこだわらず、他のメンバーを鹵獲する事を視野に入れなくては…)
よその基地のドリーマーが人助けしてんのにこんなん出して良いんだろうか…
まぁ別個体だからセーフってことで。
あ、アンケートですが、短編で書きたいのが出来たのでそれ書き終わるくらいに終了する予定です。