人形達を守るモノ   作:NTK

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通常回100話目ですが、特に通常通り行きます。

リバイバーがレインコートの実験兼ねて大きく動きます。
後半ネタ注意です。


Code-100 鉄血工場占領作戦

「…よし、『レインコート』の調整完了。あとは実地試験だけだが…これは許可待ちだな」

 

今の鉄血人形を人類に敵対する以前の状態に戻す、正確にはそう書き換えるウイルス『レインコート』の作成は難航していたが、()()()()()()()()()()()データを元に開発したところ、理論上現行のハイエンドにも通用するレベルに出来上がり、リバイバーはその微調整をしつつ、実地試験を兼ねた作戦許可を待っていた。

 

リバイバーの立案した作戦は端的に言うと『鉄血の工場をそこにいる人形諸共確保する』ものであった。シェアが多かった鉄血工造は無論その工場も多く存在し、蝶事件以降も幾つかの工場はグリフィンや正規軍などに破壊されてるが、まだ残っている工場も多々ある状況となっていた。そこで、リバイバーが工場の一つを襲撃し、『レインコート』を散布しこちらの味方とさせる事で工場一つ分の戦力を手に入れると同時に、こちら側に寝返った鉄血人形の武器や義体などのパーツの供給源とさせるつもりであった。また、ついでに幾つか開発したウイルスも使えるか試す予定もあった。

P基地やD08基地の面々は各自で作ってはいるが、それは比較的規模の大きい基地での話であり、そうでないところでは満足にパーツを入手しづらいだろうと考えてのことであり、さらにはそれを機に他の基地との繋がりを持てるメリットもある。

 

(デストロイヤーは結構鹵獲されてるみたいだし、占領した工場にガイアのラインがあれば向こうから食いつくだろうしな。それに、EA小隊のデストロイヤーもガイアボディの安定供給されて、もしまたやられても通常ボディを使うことでの一時的な戦力低下も免れるだろう。そうすりゃ凄く間接的だがスミスの精神的負担も減るだろう)

 

占領後に正規軍から目をつけられないかが気がかりだが、向こうは対鉄血には消極的なうえ、最悪リバイバーが協力してる部隊を通して話をすれば良いため、ほぼこの立案は通ると確信していた。

そう考えていると、隣で作業を手伝っていたグリンダから声をかけられた。

 

「ねぇリバイバー。このあと少し空いてる?」

 

「ん?空いてるが、どうした?」

 

「ならさ、ちょっと話がしたいから部屋に来て貰ってもいいかな?」

 

「……わかった」

 

その後、片付けを済ませたリバイバーはそのまま彼女の部屋に向かっていった。扉を叩くとグリンダが出迎え、中に案内した。

向かい合って座っているとグリンダは口を開いた。

 

「…リバイバー、私ね、ここに来てからだいぶ経つけど、ここの生活が凄く楽しいの。特に、あなたと一緒に開発したりのんびりしたりする時が楽しいの」

 

「……」

 

「それでね、あなたはコレクターの事で私に気を遣ってるようだけど、そんなのは私にとってどうでもいいの。あなたはあなただもの。だから…その…

 

 

 

私、あなたが好きです。付き合ってください」

 

少し顔を赤くして告白するグリンダを前に、リバイバーは一瞬キョトンとした顔をしていたが、すぐにフッと笑って彼女の頭を撫で始めた。

 

「…え?えっと、これは?」

 

「いやな、随分と可愛らしいなと思ってな。で、返事だが…もちろんOKだ。俺もな、初めは負い目もあったよ。出身が違うとはいえ、設計上は姉なわけだったしな。でもな一緒にいるうちにそんなんどうでも良くなってきて、普通に付き合いたいなと思ってきたんだ。まぁそっちから告白されるのは予想外だったがな。……あらためて、よろしくなグリンダ」

 

「…うん!よろしく、リバイバー」

 

その後、ペルシカから連絡が入り、作戦許可が降り、翌日開始する事が伝えられたのであった。

 

────

 

「…ってな訳で、グリンダと付き合う事になったからそこんとこよろしく〜」

 

「……」

 

翌日、バレット達の前でそう話すリバイバーとその横で赤い顔して俯くグリンダだが、それを聞いた彼らは驚いたような顔をしていた。

 

「…ん?どったの?」

 

「いや…そもそもお前ら、付き合ってなかったのか?

 

「「え?」」

 

スミスが放った予想外の言葉に二人は思わず固まった。どうやら、周りには二人が既に付き合っているように見えてたらしい。

 

「あー、確かにそれっぽいやり取りしてたようなしてなかったような…マジか〜そう見えてたのか〜」

 

思った反応が見られず残念そうに話すリバイバー。

すると、ペルシカが部屋に入ってきた。

 

「リバイバー、今回の作戦だけど誰か連れてくの?」

 

「そうだな…別に俺一人でも構わないが、成果を直に見てもらいたいのと、念のための警護がいるな。というわけでスミスとウェイター、来てくれるか?」

 

「あぁ」

 

「構いませんよ」

 

「三人で行くのね。ならすぐに出発して頂戴。これがうまくいけば戦況が大きく変わるはずよ」

 

────

 

「やはり工場だけあって、それなりに数がいますね」

 

眼下に見える鉄血の工場とそれを警備する多数の人形を見据えながらウェイターが呟いた。規模としてはやや中規模であり、リッパーやプロウラーなどの人形は元より、アイギスやマンティコアなどの装甲人形も多数存在していた。

 

「本当にアレを丸々味方に出来るのか?」

 

「出来るさ。その前に色々試すけどな。あとは…やっぱハイエンドが複数いるな。スケアクロウ、処刑人、ハンターに…お、イントゥルーダーまでいるな。蝶事件後に開発された奴に試したかったから都合がいい」

 

リバイバーは持ってきた数十機のドローンを操作してワザと見つかるように工場に向かわせた。当然、鉄血人形達に見つかり、ドローンは程なくして全機撃ち落とされた。ドローンの内部にはウイルスを組み込んだナノマシンが入っており、破壊された事で敷地内のほぼ全域に散布される結果となった。

 

「さっきのがレインコートか?」

 

「まぁな。それと他にも複数仕込んでおいた。んじゃ、確認がてら一発撃ち込むか」

 

「攻撃するので?」

 

「さっき撒いたウチの一つは『連中に喋らせないと意味ない』からな」

 

そう言うとリバイバーは一部の部隊に向けてレーザーを放ち、地面ごと吹き飛ばした。辺りは騒然となり、近くにいた処刑人が状況を問いただすと、ヴェスピドらから通信が入ってきた。

 

バンドグガサデビシュグ(南東から敵襲)‼︎セセザザボビドバサギデリバイバーバド(レーザーの規模からしてリバイバーかと)()?」

 

アエ、フォフェカエジュジ(おい、何を言って)フォジュ(何っ)⁉︎」

 

不可解な言語を話す部下達に処刑人が混乱していると、他のハイエンドからも同様の報告が届いていた。

 

(クソッ‼︎さっきのドローンか!あのヤロウ、何しやがったんだ…⁉︎)

 

ゲギギンゴヂヅゲ(全員落ち着け)‼︎ラズダジョグキョグゾ(まずは状況を)…ッ⁉︎ゴセロバ(オレもか)⁉︎」

 

その様子を見て、リバイバーは満足げに笑っていた。

 

「うんうん、トレイター達に試しただけあって、ハイエンドにも『バラルの呪詛』は効いてるな〜♪」

 

「身内で試したのですか…それで、何ですかそのウイルスは?」

 

「言語機能に侵入して言葉はもちろん、通信メッセージも狂わせて情報交換を不能にさせるんだ。ま、ハンドシグナルや筆談はその限りじゃないがな」

 

「リバイバー。俺の気のせいじゃなきゃ、あいつらが話してるのはもしかして…」

 

「あぁ、グロンギ語とオーバーロード語だ。いやー変換パターン組み込むのに一生懸命覚えたから、おかげで普通に話せるようになったぜ。しかも、話すたびにランダムに切り替わるから余計に混乱するってワケだ。んじゃ、そろそろ本番に入りますか」

 

リバイバーはさらにもう一度レーザーを放つと同時に、『バラルの呪詛』の自壊信号を出し、残りのウイルスを作動させた。

 

「クソッまたか‼︎…ん?治った?」

 

「こちらイントゥルーダー。宿舎がやられたわ。どうやら連中、この工場を破壊ではなく、占領したいようね」

 

「占領?ナメた真似を…‼︎」

 

「ハンターだ。連中の位置を把握した。どうする?トントントン

 

ハンターの妙な語尾に処刑人は眉を顰めた。

 

「?どうした急に?とにかく、見つけたのならすぐに向かって奴をいーとまきま…」

 

そろそろ効く頃だなとリバイバーが呟いた瞬間、その異変は起き始めた。

工場内にいたハイエンド達含めて全ての鉄血人形がその場に立ち尽くしたあと、突然『いとまきのうた』を歌いながら手遊び動作をし始めたのだ。

 

「いとまきまき♪いとまきまき♪ひいて ひいて♪トントントン♪」

 

「「…はい?」」

 

ハイエンド達やリッパー、アイギスといった人型はまるで歌のお姉さんばりのいい笑顔(アイギスは当然無表情だが)で歌い、手遊びをし、プラウラーやマンティコアといった腕のない機体はリズムにあわせて体を揺らし、ダイナゲートに至ってはお座り状態で前足をシャカシャカ動かすといったシュール過ぎる光景にスミスとウェイターは唖然としていた。

 

「えっと、リバイバー?何だアレ?」

 

「ちょっと前に見たアニメ映画から思いついたレインコートとは別の奴。効果は見ての通り、踊らせるだけ。レインコートの方はもう効いてるかな」

 

「…これの意味は?」

 

無い。ただの俺の憂さ晴らしだ。数分で効果切れると思うし、そしたら行くか。さて、黒歴史用に録画してくかな♪」

 

(コイツ、色んな意味で敵にしたくねぇな…)

 

数分後、歌が止んだ辺りで三人は警戒しつつ工場内に侵入していった。だが、鉄血からの攻撃は一切なく、戸惑った顔でこちらを見てるだけであった。そしてハイエンド達のもとに着くと、リバイバーはスケアクスロウに話しかけた。

 

「よう。何故俺らを攻撃しなかったか聞かせてくれるか?」

 

「…正直、何故か急にそちらと敵対する理由がわからなくなりました。寧ろ、人間に協力するべきとの考えが出てきたんです。差し支えなければ、()()()をそちらの傘下に入ってもよろしいですか?」

 

「私『たち』?そこの三人も同じか?」

 

その問いに他の三人がそうだと答えると、リバイバーは笑みを浮かべた。イントゥルーダーも味方となったということは、少なくとも今存在が確認されてる蝶事件後に開発されたハイエンドにも効くため、レインコートは成功したと見ていいだろう。リバイバーはスミスに目配せするとスミスは彼女達に声をかけた。

 

「…こちらはもとよりそのつもりだ。一応の検査は受けるだろうが、ある程度の身の安全は保証されると思うから安心してくれ」

 

「わかりました」

 

「んじゃ、早速ここで造ってるやつの設計データ見せてくれるか?」

 

リバイバーは設計データのある部屋まで案内され、中のデータを確認し始めた。

 

「…ほぅ!通常人形や基本的なハイエンドに加え、ガルムやガイアまで生産できるのか…ん?ウロボロスも…?」

 

リバイバーはしばらく押し黙り、ウロボロスの設計データを眺める。すると…

 

「アーテガスベッチマッター」

 

リバイバーはそう言い【Delete】のスイッチを押し、ウロボロスのボディのデータを消し、生産出来ないようにした。

その後、工場占領完了の報告をした一週間後、工場設備の使用とグリンダの兵器開発の許可が降り、グリンダは彼らの役に立てるものを開発しようと張り切るのであった。




しれっと付き合う事になったグリンダとリバイバーだけど、この二人はこんな感じがちょうどいい気がしましてね。

グロンギ語とオーバーロード語はちゃんと対応表見ながら訳しましたよ。
…案外覚えられそうかも。

最後のアレは某猫型ロボットの「ブリキの迷宮」のラストが元です。
まさか運営もこの曲使うとは思わなかったろうな…
元ネタは死ぬまでやらされるからそれに比べればだいぶ優しいよね!(黒笑)

戦力も増えたし、いつ『白いの』が出ても問題ないな…
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