人形達を守るモノ   作:NTK

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今回はoldsnake様の『破壊の嵐を巻き起こせ!』とのコラボでございます。

スミスが義妹ちゃんのために奮闘します。


Code-102 彼女の記憶を戻すため

ある日、スミスはペルシカに呼ばれ16Labに訪れていた。

聞けばミニガンについての話であり、彼女は依然として記憶が戻らない状態にあり、バルカンも記憶を戻そうと尽力してるが上手くいかずにいるそうである。そこで、彼女と接点のある人形と対面してそれを期に記憶が戻らないか試すため、彼女と比較的接点のあるスミスが選ばれたのであった。

 

「あなたも、義妹になる子のことはほっとけないでしょう?」

 

「まぁな。で、今から行けばいいのか?」

 

「(ナチュラルに答えたわね…)ええ。お願いね」

 

スミスは先ずはバルカンにどういった事をしたか話を聞くため、彼女の部屋に向かう事にした。

 

「バルカン〜いるか?」

 

「スミス?うん、入っていいよ〜」

 

「ん、入るぞ…ってわっ」

 

部屋に入ると突然バルカンが抱きつき、スミスは少しふらついたものの抱き返し、頭を撫でた。スミスはこんな風に甘えてくるバルカンを見て何かあったのではと勘繰り、心配そうに尋ねた。

 

「…どうした?何かあったか?」

 

「いや…会いたいなって思ってた時に来てくれたから…嬉しくて…」

 

(…ッたまにこういうこと言うから可愛いんだよな…)

 

少しした後、二人は体を離しスミスはここに来た理由を話した。

 

「…ってわけなんだが、お前はどんな事して記憶戻そうとしたんだ?」

 

「……それなら昨日死神と三人で出かけてベッタリくっ付いて可愛がったけど、ウザがられて思い出す様子もなかったな」

 

「そうか、ありがとう。それと、次のクリスマスにデート行くつもりだから予定空けといてくれ」

 

「え、本当⁉︎」

 

「あぁ。それに、付き合って一年になるからな。色々と楽しみにしておいてくれ。じゃあな」

 

そう言ってスミスは部屋から出て行った。残ったバルカンはというと、最後に言った言葉を反芻させ顔を真っ赤にしていた。

 

「い、色々って…もしかして()()()()意味…⁉︎」

 

スミスはデートスポット巡りとかの意味で言ったのだが、バルカンは性的な意味で捉えてしまいその場でモジモジし始めた。この勘違いがどんな結果を生むのかはまだ不明である。

 


 

ミニガンが拘束されている部屋まで着くと、スミスは扉を開けて中に入った。

が、扉を開け始めた瞬間、ミニガンの怒鳴り声が飛んできた。

 

「また来たのかッ!昨日の今日でしつけぇ…な…?」

 

「あ〜…なんか、すまんな」

 

気まずい表情を浮かべるスミスに対し、ミニガンはどこかポォーとした顔でこちらを見ていたが、スミスはとりあえず近くの椅子に座って話をし始めた。

 

「…久しぶりだな、ミニガン」

 

「ひ、久しぶり?」

 

試しにと声をかけるが、やはりミニガンはこちらの事を覚えていないのか、首を傾げているのを見てスミスはわかっていたとはいえ、残念そうな顔をした。

一方で、当のミニガンは内心焦っていた。というのも、奇しくも初めて会った時のようにスミスに見惚れてたからであった。

 

(え?どう言う事だ⁉︎こんなカッコイイ人見たのなら絶対覚えてる筈なのに何で覚えていないッ⁉︎思い出せ思い出せ…って、私は鉄血で相手はグリフィンの人形なのになんで敵に惚けてるんだ私!でも…確かにどこかで会ったような…)

 

彼女の考えは正しい。実際二人は資源地帯攻略作戦で邂逅してるのでスミスの久しぶり発言は凡ミスなのだが、あの時スミスはミニガンと戦闘する前に暴走したバルカンに殴り飛ばされたため、ミニガンはスミスの顔をハッキリと見ていないのである。そのため、ミニガンは『会ってないはずの人形に久しぶりと言われた』という事に()()()()()()()()()()()()

 

「…やっぱ覚えてないか。俺はスミス。君とは一緒に戦ったこともあるし、俺が鉄血に捕まった時、君が助けに来てくれた事もある」

 

「え…?一緒に…?それに…鉄血?」

 

加えて、警戒されないよう所属小隊を言わなかった事でさらにミニガンを混乱させていた。鉄血化されたときにチーフからこちらの事を教えられた可能性もあるが、先ほどの言葉で混乱してる彼女にそんな事を考える余裕はなかった。

 

「あの…それ、本当か…?」

 

「本当だ。なんならここに記録映像がある。見るか?」

 

ミニガンが頷くとスミスは記録映像を見せる。そこにはこうなる以前のミニガンが鉄血の部隊と交戦してる様やバルカンのことを『姉貴』と呼んでる様子が映っており、ミニガンは信じられないといった顔を浮かべていた。そしてスミスはミニガンに記憶を失った要因を伝えるとミニガンはハッとした。

 

(そういえば…前に地下道でグリフィンの人形を殺せなかった時があった…アレは私がグリフィンの人形だったから?いや、そんなはず…)

 

「これを信じるかは任せる。ただ、俺はどちらかといえば君が記憶を取り戻す事を望んでいるよ」

 

「一ついいか?何でお…あなたは私にそう気にかけてるんだ?」

 

「そりゃ、将来的に君は義妹になるからな。気にもかけるさ」

 

「え…⁉︎義妹…⁉︎まさか…」

 

「あぁ。俺は君のお姉さんのバルカンと付き合ってるし、結婚も考えてる」

 

「嘘…」

 

今日一番信じられないと言った顔をしているミニガンにスミスは考える時間が必要だろうと思い、席を立った。元々無理に思い出させようとすると警戒されると考えていたのでこの手を取っていたので問題はなかった。

 

(嘘だろ…あんなウザったいのとあの人が付き合ってるなんて……あれ?なんでだ?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…?)

 


 

「ふむ…バルカンの装備は近接主体だから、スミスの装備は中〜遠距離にした方がいいか…」

 

「もーリバイバー!せっかく気分転換に中庭に出たのにこれじゃ意味ないじゃん!」

 

「あーすまんすまん。今は『お前』との中庭デートだったな」

 

「ふふん、わかればよろしい♪」

 

リバイバーはグリンダにしか使わない二人称を使ったあと中庭で軽くいちゃついてるとふと視線を感じ、その方向を見ると死神(グリム・リーパー)がこちらを見ていた。リバイバーはどう声をかけるか迷ってると、彼女は突然プルプル震え出した。

 

「ん?どうした?」

 

「デ…デ……!」

 

「「デ?」」

 

「デデデデェェェス⁉︎」

 

死神はそう叫ぶと一目散に逃げていった。

 

「……また叫ばれて逃げられた…俺あいつに嫌われてんのかな?」

 

「う〜ん、なんか違うような…」

 

グリンダの指摘通り、死神が叫んでたのは恐怖でなくパニックによるものであった。

 

(やっべぇデス⁉︎リバイバーに彼女がいたデスよ⁉︎私の恋はこれでお終…いや、まだデス!この世には一夫多妻という言葉があるデス、まだチャンスはあるはずデス、絶対に諦めてなるものかデース!)




北風と太陽方式で試してみたスミス、果たして効果はあるのか…
そして勘違いしてるバルカン…
oldsnake様、あとは任せます。コラボありがとうございます!それと、クリスマスの時はよろしくお願いします‼︎

…死神ちゃん暴走させましたけど、大丈夫ですかね?

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