人形達を守るモノ   作:NTK

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※深刻なキャラ崩壊があります。注意してください。

今回はバレットサイドの話です。


Code-10 小さな守護者-②

さて、時間はスミスが姉から逃げるバレットを見つける少し前に遡る。

バレットは初めはスミスと同じく自分の射撃性能を確かめようと思ったが、さすがにこの身体で立って撃とうものなら人形の彼でも何かしらの悪影響が出る可能性を考えて射撃場に行くのをやめ、その辺をウロウロしていた。

─思えばこの時射撃場に行っていればあんな目に遭わずに済んだのでは?とのちにバレットは思った。

途中で何人かとすれ違い、彼の変わりように驚いていたが、事情を説明すると納得した。

 

そのまましばらく歩いていると、M82A1とバッタリ出くわした。

 

「あれ?バレッ…ト…なの?」

 

「ええ、バレットですよ姉さん」

 

あの一件以降、二人はあまり会っていないかと言われればそうでもない。あの件があったとはいえ、バレットにとって彼女は姉なのである。それなりに接していたのであった。とはいえ、バレットとしてはやや複雑な気持ちだったが。

 

「それで、何でそんな姿に?」

 

「ペルシカに薬の実験台にされましてね。今日一日はこのままらしいです」

 

「そうなの…ちょっといい?」

 

「ねっ姉さん⁉︎」

 

M82A1はバレットの身体をペタペタ触り始めた。姉とはいえ、一度惚れた相手にこんな事をされて慌てるバレットだが、まぁ珍しいんだろうなと思い姉の好きにさせるようにした。

が、すぐにバレットは違和感に気づいた。

 

(なんか…段々手つきがアヤしくなってるような…

 

初めは頰や二の腕だけに留めてあったのだが、徐々に彼女の手は背中や胸部、お腹へと伸びていった。しかも触り方も恐る恐る触る感じからネットリとした感じに変わり始めていた。しかも彼女の息が何故か荒くなってきたのだ。

そしてその手が下半身に伸びたあたりでさすがにバレットは呼び止めた。

 

「あの、姉さん?」

 

ハァ…すっごいプニプニ…!ハッ!あ、ごめんね?ちょっと珍しくて…危ない危ない、怖がらせちゃダメね…どうやって部屋に入れよう…

 

もうこの時点で不安しかないがバレットはその考えを否定しようとする。

 

(いや、たしかに外に出た時とかよく子供とか見ていたけどそれは多分母性の類のはずだ!さっきのだってただのスキンシップだろう、他の兄弟姉妹でもやってる事だ、そうだそうに違いない!姉さんを信じよう!)

 

そう思いバレットら顔を上げた。するとー

 

そうだ、最近暑いからシャワー浴びる事を進めて部屋に入れましょう、一人で先シャワー室に入らせてあとから乱入しよう姉弟だものそれくらい自然な事よね。あ、でも中身はそのままだから私の姿を見てワタワタしそうねでもそれはそれでカワイイかも♡それでしばらく堪能したらそのあとは…フフフフ…

 

あ、完全にヤベー奴だわこの姉。

そう感じたバレットは後ろを向き、脱兎の如く走り去った。

 

「あっ!待ってバレット!お姉ちゃんと一緒に…」

 

そう言いながらM82A1が追いかけてくるが彼は絶対に追いつかれまいと必死に逃げていた。

 

Oh My God‼︎今まで姉さんそんな趣味がある様子なんて少しもなかったぞ⁉︎もしかして隠してたのか⁉︎ってか何でああなった?教団か⁉︎人形教団の所為か⁉︎あいつらといた所為で性癖が歪んだとか?チクショウ人形教団め、死んでからも迷惑かけやがって‼︎とにかく今は逃げ切んなきゃマズい、捕まったら色々と死ぬゥ!

 

──そして現在に至るのであった。

 

幸い彼女がスミスを見て足を止めた事で距離が空き、撒くことに成功したバレットは物陰で一息ついていた。

 

(何とか撒けたか…?いや、油断はできない。まだ姉さんはその辺にいるはずだから誰かの部屋に匿ってもらうしかないか…)

 

「あれ〜?バレットさん?どうしたんですかその姿?」

 

声のした方を向くとSuper SASSがこちらを覗き込んでいた。

 

「あぁSASSか。ちょうど良かった、実は…」

 

バレットはこれまでの事情を説明した。

 

「うわぁ…それは大変でしたね…」

 

「というわけなんだが、すまないがしばらく部屋に匿ってもらえないか?同室のM99にも言って欲しいんだが…」

 

「そういう事なら良いですよ。M99ちゃんは今日は任務でいませんからそこら辺は大丈夫ですよ」

 

「そうか、本当に助かる。この礼はあとで返すよ」

 

二人はSASSの自室へと向かっていった。

部屋に入ったあとSASSは飲み物を持ってきますねと言い、部屋の奥に消えた。

 

(匿ってもらってるとはいえ、女の子の部屋にいるのはあまり落ち着かないな…)

 

バレットは部屋を見渡した。きちんと整理されてるんだなと思っていたら、ベッドの下に雑誌が落ちているのが見えた。人の趣味を見るのはどうかと思いつつも興味本位でその雑誌を見る。

その雑誌は『Cute boy○月号』という男の娘系のいかがわしい写真集だった。

 

「……」

 

嫌な予感がしたバレットはSASSの様子をこっそり見に行った。

バレットの視線の先に居たのはアブない顔をして恐らくM99の私服を持っているSASSの姿だった。

 

今のバレットさんはM99ちゃんと同じくらいの体格だから多分サイズは合うよね…お礼は後でするって言ってたけど今これを着せる事をお礼代わりにさせましょう♪もし嫌がったらダミーを使ってでも…

 

Super SASS、お前もか。

バレットはバレないように物音を立てずにドアまで近づき、ゆっくりとドアを開けて外に出て静かに閉めると一目散に立ち去っていった。

 

「バレットさ〜ん、ちょっといい…あれ?」

 

────

 

あっっぶねぇぇぇ‼︎アレ見てなかったら完全にヤバかったぞ⁉︎SASS、真面目な顔してあんな趣味もってたとは…M99はこの事知ってんのか?ってか、ここ最近の俺の女運の無さは何だ⁉︎今度K5にでも見てもらった方がいいか?)

 

姉はショタコン、真面目な知り合いは男の娘趣味と色々衝撃的な事が襲いかかり、バレットの精神はかなりすり減っており、もう若干人形不信になりかけてるがなんとか精神を保っていた。いっそ誰にも頼らない方がいいのではと考えたがもしあの二人にまた遭遇したらこの身体じゃどうにも出来ないため、他に誰かいないか探すことにしているのだ。(彼の選択肢にスミス達と合流するというのが無いあたり、相当追い詰められているのが伺えるだろう)

 

二人に警戒しながら進んでいくと、DSRの姿が見えたため、バレットは多少警戒しながら近づく。相手もこちらに気が付き、訝しげな表情を浮かべる。

 

「あら?バレッ…ト?」

 

「君をまともな人形だと信じて頼みたい事がある!匿ってくれ、DSR!」

 

「はい?」

 

────

 

「なるほど…そういう事でしたか…」

 

バレットを部屋に招き入れ、DSRは飲み物を用意しながら話を聞いていた。

 

「正直言って任務より精神的にきたよ…効果が切れるまで匿ってもらいたいんだが、大丈夫か?」

 

「ええ、平気ですよ。飲み物はアイスティーでいいかしら?」

 

あぁ、とバレットはDSRが差し出したアイスティーを手に取ろうとしたが、一度手を引っ込めた。

 

「…すまないが、そっちの方を貰えないか?君を疑っているわけではないのだが、こうもあんな事が続いたからちょっとな…」

 

「構いませんよ。私だって、貴方の立場だったら同じ事をしますもの」

 

バレットはDSRから差し出したなとは反対の方の手に持ってたアイスティーを受け取り一口飲んで一息つく。

 

「それにしても、幼児化のお薬なんて面白いものをペルシカさんは作るんですね」

 

「試される方はたまったもんじゃないがな。しかも、嘘ついて飲ませやがったし」

 

「へぇ、どんな嘘なんです?」

 

「俺らからナノマシンタイプのウイルスが検出されたとか言って…ふぁぁ、すまない、少し眠気が…」

 

そう言った数秒後、バレットはソファに横になり眠ってしまった。それを見ていたDSRはふふ、と妖しげな笑みを浮かべていた。

 

────

 

「……あれ?寝てたのか…ん?」

 

目が覚めたバレットは自身の違和感に気がついた。

まずソファに横になってたはずだが、その割には目線が高く、向かいに座っていたDSRの姿も無かった。その代わりに今向いているところを除いた頭部全体が適度に柔らかく暖かいモノに包まれていた。

 

「あら?もう起きたのですか?」

 

DSRの声が視界の上の方から聞こえたところで、バレットは今どういう状態か理解した。

バレットは今、DSRに膝枕をされている状態であった。

彼女はバレットの頭を軽く撫でながら

 

「あの後すぐに寝ちゃうなんて、よっぽど疲れていたんですね。あ、そうそう、少し前に貴方のお姉さんとSASSちゃんが来ましたけど、ここに来たけどすぐに出て行ったと言っておいたのでしばらくは平気ですよ」

 

「そうか…ありがとう。それで、何故膝枕を?」

 

「一言で言えば…感謝、ですかね」

 

感謝?とバレットが問いかけるとDSRはええ、と頷いた。

 

「貴方達DG小隊は私達を盗賊や人類人権団体の過激派とかから守ってくださってるもの。だからこれは、私なりの感謝の気持ちです」

 

「…なるほど。なら、ありがたく受け取っておくよ」

 

バレットはそう言うと再び眠りについた。当然ながら膝枕という関係上、DSRの太ももと二つの豊満なモノが彼の頭に密着しているのだが、それに構うほどの余裕はバレットにはなかった。今の彼の胸中は薬の効果が切れるまで無事にいられるとこが出来たことによる安心感が占めていたからだ。

 

(まぁ…さっきの理由以外にも、私を頼ってくれたことが嬉しかったというのもありますが、それは内緒にしておきますね♪)

 

寝息を立てるバレットの頭を撫でながら、DSRは優しく微笑むのであった。




(アイスティー飲んで寝たからといって襲われるわけじゃ)ないです。
そういうルートも考えましたが、流石にそこまでやるとマジで精神崩壊起こしかねないなと思って辞めました。膝枕のシーンは書いてて正直羨ましいなと何度か思いましたよ。
だってあの人色気とかマジでヤバイじゃないですか、しかも追加衣装二つともLive2Dですよ?動くんですよ?アレが。コイン貯めるしかないじゃないですか。

Super SASSについては本当にすみません!
でも思いついた以上仕方がなかったんです。

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