さて、今回はリヴァイルの切り札を出します。
「…まずいな、アレはオレらじゃ倒せないぞ」
突如現れたキノコ男の攻撃によりボディがやられ、輸送船内の予備ボディにて復活したリヴァイルは神妙な顔でそう呟いた。
「的確にこちらの主戦力を狙う知能の高さ、多分戦闘能力も高いな…ん?そういやアイツ、何でオレを狙った?戦闘能力なら狙われたメンバーどころか探索隊の中じゃ下から数えた方が早いくらい弱いんだが…」
《私に反応したんじゃない?…いえ、それならルニシアも狙われる筈…単に嫌ってたとか?》
「寧ろあんなんに好かれてたまるかよ。…で、ルニシアって呼ぶのやめとけよな
リヴァイルは自身が取り込み、彼の意識内で話しかけるOGASにそう忠告する。元々この現象に関しては国連所属時代やパラデウスにいた時に調べていたために理解はできていたが自分にそれが起きるとは互いに予想外であった。
OGASを人形に組み込むとマインドマップを糧にして宿主や親しい者に姿を変えて干渉し、場合によってはそれにより不調をきたす者もいる。
しかし、知っての通りリヴァイルは人間、正確にはそのデジタルクローンでありマインドマップを有していない。それ故に干渉されずにその能力を扱えると思っていたが、予想に反してOGASは彼にネイトの姿で干渉、そしてOGASもまた意図せずして彼の記憶に触れ、ヒトを識ると同時に【彼の秘密】も知り、自己の目的と彼の目的に一致するところがあるため、共生関係を築いていた。
《わかったわよ…それより早く戻らないとあの子が殺されるわよ。それはダメだから早く戻りなさい》
「だがどうする?【戦闘用ボディ】持ち出しても時間稼ぎがいいところだぞ?」
《少し離れたところに妙な連中がいるわ…こちらの様子を見てるようだけど、彼らの協力があれば撃退はできるんじゃない?それにもう一人、相当な実力を隠した奴がいるわ。そいつも加勢すれば…》
「…?ここらは通信障害が酷い筈だが?」
《このくらい、短時間なら問題ないわ》
「はは、
《了解。しばらく身体を借りるわよ》
リヴァイルは隣にあるひと回り大きい格納庫を開け、中の戦闘用ボディに乗り換える。
戦闘用ボディと銘打ってあるが、正確には初めから彼が使うためのものではなく、彼がpawnに対抗するために独自で開発した装甲人形であった。戦闘記録や以前リバイバーが鹵獲した彼らの残骸や兵装を元に、それらに有効となりうる兵装を開発し、また、機動性や各種センサーの反応速度の改良も彼が持てる全ての技術を注いで向上させたそれは、MCR内に登録されてる時点の万能者なら『26.4%の機体損傷で撃破可能』なまでの戦闘能力を有しているが、ただ一つ欠点があり、それは【高性能故に満足に動かせるAIが存在しない】という本末転倒なものであった。
だが、リヴァイルがOGASを有したことでその問題は解消することとなった。今の彼は彼自身とOGASのいわば二重人格状態であり、ニモジンたちのようにサポートとして使うのではなく
勿論これにはリスクもある。もし主導権を渡した後に彼を封じ込め、造反する可能性もあるが、リヴァイルが彼女にこの事を教えた上で全幅の信頼を寄せたことに彼女が彼に好感を持ち、彼を裏切らず協力することを約束させたのであった。
《主導権をリヴァイル・ウィッカーマンから受諾。コア接続開始…機動に問題なし…》
《どうだ?初めての現実世界は?》
「悪くないわ。でも、こんなゴツイのより、もう少しマシな身体が欲しいわね。あと、ここの国連の人形も借りてくわ、私のサポートを入れるから少しはマシな動きになるはずよ」
《手駒は多い方がいいからな。あと、女言葉はやめてくれ。一応キミのことは伏せてる。このボディはオレの改造で動かせるようにしたって説明したしな》
了解。と彼女が告げると輸送船内の人形を支配下に置き、再び戦場に向かうのであった。
(俺の相手、こんなんばっかだし、初手で毎回致命的な攻撃受けてんだけど、呪われてんのか…?)
キノコ男の攻撃で崩壊液関連の箇所を破壊され再生やエネルギー供給が出来なくなったリバイバーは心の内でボヤきつつ、今の状況を整理していた。現在何名かが負傷し、戦闘に支障が生じ、その上向こうはこちらの攻撃を跳ね返し再生能力も尋常でなく先ほどから蛮族戦士が何度か斬りつけているが斬って僅か数秒ほどで完治していた。それに加えて万能者を吹き飛ばすほどの腕力と俊敏性といい、ハッキリ言ってこのままでは全滅すると感じていた。
現在バレットやニモジンたちが応戦しているものの、上記の特性を鑑みると撃つだけ無駄ではあるが、黙ってやられるわけにはいかなかった。
(残量考えるとフルで五、六発…レールガンは装填してある二発のみ。だがどれも効かないとなると心許ないな…スミスとレストの装備も予備のリンクリキッドを破壊された上、時間切れ。どうやって撤退、もしくは撃退するか…)
そのとき、キノコ男の足元に幾つかの弾幕が殺到し、辺りの地面を吹き飛ばした。攻撃の方をみると大型の装甲人形が国連軍の人形を率いていた。
「待たせた…あとはオレに任せて撤退準備を」
「その声…リヴァイルか?だが気をつけろ、奴は…」
「……なるほど、状況は理解した。ならこの装備にして正解だったか」
「…っ⁉︎あぁ、俺の記録映像をハッキングしたのか…」
リバイバーがそう納得すると同時にリヴァイル?はキノコ男に突撃していき、左腕の筒状の装備から細かい矢のようなものを幾つも放ち、左サブアームの銃器から弾丸を放った。当然キノコ男はそれを受け止め、身体に穴が空いた。
「気をつけろ‼︎反射が来るぞ‼︎」
「問題ない」
次の瞬間、キノコ男の体内で幾つもの爆発が起き、また細かい穴からは桜色の結晶のようなものが身体を食い破るように現れた。キノコ男は驚くような挙動をするが構わず反射するも、出てきたのは爆発の残りカスや結晶であり、結晶はそこまで硬くないのか、装甲に当たるとあっさり砕け散った。
「なっ⁉︎これは…?」
「小型多段内部爆破式榴弾と硬化増殖ナノマシン弾。前者は対象の外装に吸着して連鎖的に爆発してダメージを与え、後者は内部でゲル状のナノマシンが金属、もしくは有機物を糧に増えて内部を破壊しながら硬化して動きを阻害させるもの。ほんとは奴ら用のやつだけど、コイツには好都合だ。拘束用だから反射した時には意味のないものになるからな。ナノマシンの方は無限増殖防止用に5秒で自己崩壊するようにしてある」
付け加えるなら、本来なら吸着するはずの前者は相手が装甲のない生身だったのが幸いし内部に入って爆発するという事態となっていた。それより、リバイバー達はまるで別人のように淡々と話すリヴァイルの口調が気になっていた。
すぐに身体を再生したキノコ男はリヴァイルに狙いを定めてレーザーを放つが、リヴァイルはあり得ないレベルの機動力で回避していた。そのあとも何度も放つが、どれも紙一重でかわし続けていた。
(動体センサーや温度センサーの精度がかなり高いおかげで奴の筋肉の微細な動きやレーザーを出す前の温度変化で次の行動がすぐ読める…ただ、身体の動きがギリギリで反応できてるから油断はできないわね…)
続いてリヴァイル(OGAS)は右のサブアームから灰色の液体を足に向けて放った。液体は右足に当たり、地面まで垂れて染み込んだと思いきやすぐに硬化し、キノコ男の動きを止めるも、彼は右足を引きちぎると再生して向き直ろうとした途端、随伴してた人形達の砲撃が地面に炸裂し、バランスを崩したキノコ男は地面に倒れた。
(あの液体…本来なら間接部や装甲の隙間に当てて内部に染み込ませた後で固めるのか、エグいことするな…それより、あの随伴機…アイツがハッキングしてるにしては妙に動きがいい…何か隠してるな)
万能者がリヴァイルの変化に勘付き始めた時、リヴァイルの背部にあった箱状のパーツが排出され、それを見たバレット達は察しがついた。
(アレはニモジン達を助ける時に使った
《ヤベ、耐熱性と放熱性高い素材使った割に消費ペースが早いな。これだともってあと三十分が限度だな》
《大丈夫。さっき【彼女】の中の私に協力するよう伝えたわ。向こうも彼女を死なせたくないから随伴機の方を任せたわ。足止めには充分な動きはするはずよ》
それが示す通り、随伴機たちは非常に統率の取れた動きでキノコ男から付かず離れずの位置をとって足元や移動してほしくないところを攻撃して動きを抑えていた。
《ならしばらくは平気か。あとは事態が好転すればいいが…》
《安心して。限界時間まではやられないし、やられるつもりもないから》
頼もしいな、リヴァイルは感じながらキノコ男を見つめていた。
(にしてもコイツ…なんなんだ?ナニが無いようだが…小さすぎて埋まってるのかぁ?いや、馬みたいにヤるときに出てくるタイプか?力関係が逆なら解剖してやりたいモンだが…そうは言ってられないな。さて、どうするか…)
割とセクハラな事を考えつつも、状況を打破する方法を考えているのであった。
公式チート・OGAS参戦‼︎
リヴァイル(戦闘用ボディ)
見た目的にはジェガンヘッドのサンダーボルト版FAガンダムの盾が無いバージョンですね。キノコ男に撃った弾はクウガの神経断裂弾とアトラスガンダムのメデューサの矢的な物です。なお、三十分動かすのにカードリッジ擬きが十個必要というジ・アースもビックリなコスパの悪さゾイ。
本来の運用なら各種装備で動きを抑えて仕留める形ですし、途中で拘束されるならと向こうが自壊してもそれはそれでいいというものです。
動きのイメージとしてはリミッター切ったバルバトスルプスみたいな動きで回避してる感じですかね。OGASがボディが反応できるギリギリで見抜けてるので少なくとも限界時間までは致命傷は受けませんね。
あとは流れを見てですかね。