人形達を守るモノ   作:NTK

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくおねがいします。

さて、送れましたが後日談です。


Code-150 作戦のその後

アイソマー救出作戦から数週間が経ち、リヴァイルを中心にグリフィンは内外問わず慌ただしくなっていた。作戦の際に入手したパラデウスの情報の精査をはじめ、アンジェリカを通して保安局とも連絡を取り、パラデウス信者及びシンパの一斉検挙の準備やその後起きるであろう市民の暴動や混乱の対策案の話し合い、さらにはシンパの親族であるがパラデウスとは無縁の者の保護の段取りに権力者もいるためその穴埋めなどととにかくやることが多く彼らの悪行を公表するのはまだ先ではあるが、着実に追い詰めていることは確かであった。

またその際に公表を渋っていた保安局上層部の何人かがパラデウスのスパイであったため一悶着あったりと色々起きていたのであった。

 

制圧、占領したタリンについてはP基地で行なっているサルバシオンの実験場として貸し出すことにし、汚染されてない廃都市部に関しては保護したアイソマー達の『いい思い出こそないが、先に散った姉妹たちが眠る場所で暮らしたい』という意見を汲み取り再建させて彼女らの居住区にする予定となっていた。それらのことを作戦の翌日に伝えたのだが、その際にキャロル指揮官とリヴァイルで以下のやり取りが行われていた。

 


 

《では、ありがたくここを実験場として利用させてもらう》

 

「頼む。あと…先日入手した情報で確定したんだが、カーターは過去にパラデウスとつるんでる。キミらの母親のことはパラデウスに知られてるかも知れない」

 

《なっ…⁉︎本当なのか?》

 

「恐らくな。それに伴い現在キミらの元にいて、かつて奴の部下であったエゴールについても調べたほうがいい。キミらが信頼してる人物を疑いたくはないが、今後のことを考えると彼がシロだと世間が納得できる証拠を見つけないと彼の立場は危うくなる。どちらにせよ、急いだ方がいい。それと、カーターに気づかれないように」

 

《…わかった》

 


 

(最悪、パラデウス側の正規軍や保安局が干渉してきても対策はしてあるが…最終手段に近いからな…)

 

リヴァイルは今回の作戦で入手した情報をまとめ上げた後、それらを万能者やLAFI、ダンタリオンに送信し自分やクルーガーの身に何かあったり、グリフィンそのものや今回参加したメンバーに不当な嫌疑をかけられたりした場合、直ちにその情報を彼ら彼女らの能力を用いて外部に公開させるよう伝えていた。これにより万が一があっても情報が封殺される心配はないが、その時は準備不足による世間の大規模な混乱が予想されるため、出来ればそのような事態にならないように尽力しているところである。

 

自室へ戻ったリヴァイルが扉を開けると部屋にいた()()の少女がこちらに振り向いた。一人はあの作戦で肉体を得たOGAS改めダンドリー、もう一人は万能者の手によってM4のダミー体を依代に蘇生したあの時のアイソマーであった。今は髪型を出会った時のものに変え、名前もドイツ語で綿毛を意味する『フラーム』と彼により名付けられていた。服装はダンドリーが余っていたグリフィンの女性用指揮官服、フラームがリヴァイルが研究用に着てた研究衣の何着かを貰って着用していた。(新品もあったが、本人曰くこれがいいとの事)

 

「おかえりなさいリヴァイルさん。どうでしたか?」

 

「ゼリンスキーのジジィ、クッソ頭硬くてなかなか頷かなかったが、それだけに情報見せて納得させたらあとはトントンで話が進んできている。二ヶ月以内には公表できそうだ」

 

「本当ですか…!これでようやく妹たちが報われるんですね…」

 

「でもなかなか応じなかったのって、あなたにも原因があるからでしょ?」

 

報告に安堵するフラームの傍らでダンドリーがそう話すと、リヴァイルは苦笑いを浮かべていた。どうやら保安局は保安局でパラデウスの動向を探っていたのだが、今回ので大量に情報が入り色々と慌ただしくなった結果、向こうの段取りが狂ったためあまりいい顔をされなかったのであった。また、リヴァイル自身も国連時代から保安局に、その遺跡関連の技術に対する狂気的な執着心から半ば危険人物扱いされてたのも原因の一つとも言えよう。(ちなみにアンジェリカもリヴァイルと面識があり、情報提供の際顔を合わせた時に露骨に嫌そうな顔を浮かべていた)

 

「まぁそれはいいとして、あの子たちの保護区の方はどうなってるの?」

 

「特に問題はない。インフラも安定してきてるし、警備にシャマール指揮官から貰ったF90を生産して当てている。ミッションパックもE〜G、K、Vを装備したのを2機ずつだからまず突破はされないし、その前に駆けつけられる」

 

「こっちの技術で生産できるレベルで殆ど性能が変わらないうえ、ちょっとした改造でミッションパックがグリフィン人形の規格に対応できるって、彼女とんでもないもの送ってきたわね」

 

「しかもS10基地の面々から、接収したパラデウスの兵器を文字通り魔改造したのが贈られてくるからな。それの運用はバレットらに任せるとしよう」

 

「あと、妹たちの教育や今後についてP基地の方と話すんですよね。何か手伝うことがあれば協力しますし…?どうしました?」

 

P基地の話になった途端、妙に不安そうな顔を浮かべるリヴァイルをフラームは心配すると、リヴァイルは理由を話した。

 

「いやな、向こうに向かうのは構わないのだが…あそこにはG3をはじめとしたオカルト系に縁のある存在がいるわけだか…彼女らに私が()()()()されて浄化される可能性が出てきてね…」

 

「はい?」

 

彼が話すには、制圧作戦より前になんとなくでデジタルクローンである自身がボディに入る前後でボディに変化がないか調べたところ、何故か何度測っても自身がボディに入った時に重さが『21g』増加しており、試しにコピーした自身の人格で試したがそれは重さの増加はなく、今いる彼がボディに入った時のみに増加していた。そして21gは魂の重さとされている重量でありそこから導かれる答えは…

 

「どうやら私は『自殺したリヴァイル・ウィッカーマンの遺志を継いだデジタルクローン』ではなく、『自身のデジタルクローンを依代に現世に留まっているリヴァイル・ウィッカーマン本人の幽霊』の可能性が高いんだ。まぁ、このことはあちらに話して浄化しないように頼むとしよう」

 

「……」

 

わりかしとんでもないことを何でもないように話すリヴァイルに二人はあっけに取られるが、それに負けず劣らずの現象を体験してたため、何も言わずにいたのであった。




つまるところ、彼は自分が作ったデジタルクローンに取り憑いてる幽霊です。
前にリバイバーが幽霊の声に導かれたのもそれが原因だったりします。
オカルト系に縁のある皆さまに気づかれなかったのはプラシーボ的なアレで霊的なものを消してたモンな感じです。

それと、カーターについてあちらに伝えました。流石に情報手に入れて話さないのはアレですしね。時系列的には向こうの最新話のすぐ後に繋げた感じです。

最後に、後半グダってしまいましたが、コラボに参加してくださった皆さま、お疲れ様でした‼︎

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