人形達を守るモノ   作:NTK

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ようやく以前の礼が出来ることになったバレット。
だが、その前に問題が発生した。


Code-24 小さな夢は彼の側に

オークション殲滅作戦、ペイロード・バルカン救出作戦と2つの大きな作戦をほぼ続けざまにこなしたDG小隊はしばらくの間休暇となった。

 

ようやく休暇を得たバレットはDSRに食事に誘う事ができ、レストランも予約出来た為、あとは今夜約束の時間まで待つだけなのだが、ここ最近女性関係のトラブルが多いため(こう聞くと変な意味に聞こえるが事実なので仕方がない)念のためにK5のところに行き、彼女に占ってもらう事にした。

 

「なるほど…ようは恋愛運を見てくれってことだね…」

 

「まぁそんなところだな。占ってくれるか?」

 

もちろん、とK5は頷き机にカードを並べてタロット占いを始める。

が、いくつかカードをめくっていくうちに眉をひそめ、驚いたような顔をしたかと思うと若干哀れみの視線を向けていた。

 

「えっと…どうした?」

 

「…今まで見た中で最悪の恋愛運の悪さだね。これが恋愛運じゃなかったら死んでてもおかしくなかったよ

 

「そんなにか⁉︎ちなみに、これからはどうなる感じなんだ?」

 

「とりあえずは良くなるのが見えるね。ただ、さっきも言った通り君の恋愛運は最悪だ。良くなったとしても君の基準でだから普通に比べたら悪い方だけど、自信を持っていれば大丈夫だよ。あ、でも子供に気をつけた方がいいとも出てるね」

 

「そうか…ありがとう。ん?子供?」

 

子供と聞き、バレットは一つだけ心当たりがあった。しかし、さすがにそれは無いだろうと考えたが、それを見計らったかのようにペルシカから連絡が入った。

 

『バレット?ちょっと来てくれる?ドリーマーのことで話が…あっちょっと‼︎それ触っちゃダメ〜!』

 

「ペルシカ?」

 

ペルシカの悲鳴が聞こえたあと、聞き覚えのある子供の声が聞こえ、嫌な予感がしたのだがバレットはK5に礼を言った後、16Labへと向かう。

 

────

16Lab

 

「ペルシカ、ドリーマーがどうかし「あ!バレットだ〜♪」グフッ⁉︎」

 

研究室に入ったバレットに何かが腹部に突撃してきた。バレットは視線を下に向ける。するとそこには幼女ドリーマーが無邪気な笑顔をこちらに向けて抱き着いていた。

 

「…は?え?何コレ?」

 

「呼んだのは今のドリーマーについてよ。ドリーマー、バレットと話があるからちょっと離れてくれる?」

 

「えー!やだ、バレットといる!」

 

「あー、ドリーマー?大事な話だから、少しの間待っててくれるか?」

 

なんとなく事情を察したバレットはドリーマーに出来るだけ優しく話しかけると渋々といった感じでドリーマーは離れ、ソファに座り込んだ。

隣の部屋に移り、ペルシカが話を始めた。

 

「で、ドリーマーなんだけど…まぁ見ての通り、メンタルモデルも幼女化したわ。それでその原因だけど…」

 

「あんたの実験の結果だろ?」

 

マーダーという前例があった以上、今回もそんなところだろうと思っていたバレットだが、ペルシカはいいえと首を振った。

 

「大元の原因はあなたがやった逆デ○バイよ」

 

「え?あいつがあれで幼児退行起こしたのか?むしろ記録をデストロイヤーに見せて悦に浸るくらいだと思うのだが…」

 

「いつもの状態ならね。だけどあのボディをちょっと調べたんだけど、ボディ自体にメンタルモデルに侵入して徐々にメンタルモデルを幼児化させるウイルスが入ってたみたいね」

 

「なんでそんなもんが?」

 

「ドリーマーの記録を見たら、あのボディを造ったのってアーキテクトなのよね。だから彼女の悪ふざけね。で、本来ならしばらくすれば戻るはずだったのが徐々に思考が幼児化してくなかでキラー(バケモノ)に追っかけられれば恐怖で元のメンタルがやられてその結果、バグが起きて元のメンタルと幼児メンタルが入れ替わって定着した感じね」

 

「な、なるほど…。で、俺に懐いてた理由は?」

 

「あなた達の事は覚えてるけど、自分が何やったかは覚えていないみたいだから、あなたへの好意だけ残った結果ね。しかも元の性格が持ってた歪んだモノじゃなくて、ほんの少しだけあった純粋な部分だけがね。ちなみに元のメンタルモデルが完全にやられてるからマーダーみたいに元の性格に戻る事はほぼ無いわ」

 

「マジかよ…」

 

説明を聞き、バレットは頭を抱えた。どうやら彼はどうあがいてもドリーマーに付きまとわれる運命にあるらしい。K5の言っていた子供に気をつけてというのはこの事らしい。

 

「ちなみにこのドリーマーだけど、無垢って意味のイノセントを付けてドリーマー・イノセントって名前にしたわ」

 

「それはどうでもいいだろ。それで、どうするんだ?」

 

「無害なのはわかってるけど、このままここに居させるわけにもいかないから…DG小隊で預かっててくれる?」

 

ハァァ⁉︎冗談だろ⁉︎なんで俺らであいつの世話を…!」

 

「だってこうなったのはあなたの所為でしょ?まぁ作戦の時はこっちで預かるから頼んだわよ」

 

「そりゃそうだが…あぁもうっ!わかった!やりゃ良いんだろ!」

 

ぐうの音もでない正論を言われ仕方なくバレットはドリーマー・イノセントを引き取る事となった。

 

────

 

「…で、連れて来たと。ホントお前そこらへんツイてないよな」

 

DG小隊共同の部屋でスミスはドリーマーを見据えながらバレットにそう言うとバレットはため息をつきながら

 

「あぁ、まったくだ。にしても、生かしても殺しても付き纏うとはな…とりあえず今夜はDSRと食事に行くからその時はお前に任せる」

 

「りょーかい。お前も頑張れよ」

 

「まぁな。で?さっきから何描いてんだドリーマー?」

 

見るとドリーマーはスケッチブックに何かを一生懸命に描いていた。

 

「ん〜?もうちょっとで…出来た!見て見て!」

 

ドリーマーがスケッチブックを掲げるとそこにはバレットの似顔絵が描かれていた。

 

「これ俺か?中々上手いじゃないか」

 

「へへ〜♪」

 

バレットに褒められて満面の笑みを浮かべるドリーマーを見てスミスはこう思った。

 

(何がどうなったらこれがあんな風になるんだろう…?)

 

「てかお前がドリーマー褒めるなんて珍しいな」

 

「こうなった以上、もう別人と見た方がいいと割り振ることにした。実際、記憶が無いわけだし」

 

「それもそうか」

 

その後、レスト達も呼び事情を説明し、多少の戸惑いはあったもののドリーマーを受け入れる事には概ね同意した。

しばらくの間トランプ遊びなどでドリーマーの相手をし時間を過ごし、バレットは約束の時間が近づいたため正装に着替たあと部屋を出る。

 

「んじゃ、行ってくる。ドリーマー、スミスの言う事聞いとけよ」

 

「うん、わかった」

 

「行ってら〜あーバレット…何なら朝帰りでも構わんぞ?

 

「なっ⁉︎スミス、お前な…まぁなんかあれば連絡はする」

 

スミスの耳打ちに若干狼狽えながらもバレットはDSRを迎えに行くのであった。




ドリーマー・イノセント

本文の説明通り、メンタルモデルも幼女化したドリーマー。
戦闘能力は無いため、ほぼマスコット扱いである。(そもそも部隊人数的にも組み込めないため)
また、バレットに非常に懐いているので彼の言う事は大体素直に聞く。

Q.元に戻ったりする?
A.今の所その予定はないです。

さて、食事(という名のデート)に誘えたバレット。彼の恋愛は上手くいくのか?

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