人形達を守るモノ   作:NTK

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一年近く連載止めてるのに新作を書いちゃいました。
どうしてもドルフロ 作品を書きたかったので後悔はしてません。
では本編どうぞ。


本編
Code-1 DG小隊


──とある地区

 

「…全員配置についたか?」

 

少し小高い丘の茂みの中で、一人の青年が廃墟を見据えながら通信機で仲間の配置を確認する。

 

「こちら『スミス』、配置についたぜ〜」

 

「『レスト』も同じく、配置完了」

 

「『ウェイター』配置完了です」

 

「了解。では改めて言うが今回の任務は盗賊達に捕らえられた戦術人形、M1ガーランド、スペクトラM4、StG44の救出だ。そして盗賊達だが、リーダーと他二、三人を確保すればあとは全員殺していいそうだ。と言うより殺せ」

 

事の始まりは今から4時間程前、輸送車が盗賊に襲撃され運転手は死亡、護衛任務に就いてた三名が拉致されるという事態が発生した。

彼女達の指揮官はすぐに救出しようと試みたが、最悪な事に鉄血の部隊が襲撃、交戦となり救出したくとも出来ない状況となった。そこで特殊部隊である彼らに彼らに白羽の矢が立てられたのである。

すぐに彼らは盗賊の移動ルートと拠点を特定、そして現在に至るわけである。

 

「盗賊どもを皆殺しにしない理由は?」

 

「どうも奴らは時々戦術人形を拉致しては娼館に売っ払ってるらしい。売り渡し先を吐かせるためにも何人か生け捕る必要がある」

 

青年の返答にレストと名乗った青年はギリ、と歯軋りをし盗賊達への嫌悪感を露わにした。

 

「……屑どもめ…!わかった、ならさっさと始めよう」

 

「ああ、これから俺が正面の見張りを狙撃するからスミスとレストは狙撃後すぐに突入、ウェイターは裏から突入しろ」

 

「「「了解」」」

 

三人の返答を聞き、青年は自身の愛銃であるバレットM107を構える。対物ライフルであるこの銃は盗賊達にとっては正直威力過剰であるが、これの方が使い慣れている以上仕方ないことである。

 

──それこそ()()()()()()()()扱い慣れていた。

 

スコープを覗き、先程言ったように正面入り口の見張りに狙いをつけようとするが、その途中で彼はあるものを見つけた。

廃墟の二階部分、割れた窓や崩れた壁の隙間から見えたのは先ほどの三名が縛られている様だった。

その表情は酷く怯え、視線の先を見ると盗賊達とおぼしき男が十数名、下卑た表情を浮かべて彼女達に近づいていた。内何人かがベルトに手を掛けていることから何をしようとしているかは彼の目には明らかだった。

 

「─ッ!予定変更!奴ら、()()するつもりだ!」

 

「何ィ!?」

 

「俺が二階の奴らを撃つ!見張り二人はお前達が殺って突入しろ!」

 

「わかった!いくぞレスト!」

 

「ああ…奴らに地獄を見せてやる…!」

 

すぐさま彼は照準を二階にいるゲス野郎の一人の頭に合わせた。

 

「カウント3秒前!2、1──発射(ファイヤ)!」

 

────

 

M1ガーランドはこれから盗賊達の欲望のはけ口になる事に対して怯えていた。

すでに武器は没収され、縛られてるこの状態では成す術もない。縛られていなければ殴り殺す事も可能ではあるが、この数の差、しかも銃を持ってる相手では得策ではない。

他の二人も同様で、三人で身を寄せ合って震える事しか出来ないが、盗賊達の欲を駆り立てるだけであった。

 

(指揮官…!誰か、誰か助けて……!)

 

そう思っていた時だった。銃声が聞こえたかと思うと彼女達から見て一番左にいた盗賊の一人の頭が突如として弾け飛んだ。

 

「なっ何だ!?」

 

盗賊の頭領が慌てるが二射、三射と銃声が響き渡り、その度に盗賊の頭が弾け飛んでいった。

そこまで来てようやく彼らは狙撃されてる事に気がつき、窓から離れるが今度は下から銃声と怒号が響き、盗賊達は突然の襲撃にパニックに陥っていた。

 

「ね、ねぇ…これって助けが来たって事なの?」

 

「わからないわ。でも、そうだと信じましょう…」

 

スペクトラの問いにそう答えるガーランドだったが、いくつかの疑問があった。

 

(さっきの狙撃…威力からしてバレットM82系列だと思うけど、そんな戦術人形が配備された情報は無いし、人間だとしてもあんなに連射して正確にヘッドショットする人間なんているのかしら…?)

 

──

 

狙撃を確認したレストとスミスは見張りを撃ち倒して中に突入した。

 

「スミス!俺とウェイターで一階の奴らを相手するから二階を頼む!」

 

「了解!」

 

スミスが階段へ向かっている間、レストは両手にそれぞれ持ったサブマシンガン──MP5Kを盗賊達に乱射した。もちろんただでやられる盗賊達ではなく、反撃を行うがレストは俊敏な動きでそれらを躱し、返り討ちにする。

その動きはあまりに"人間離れ"していた。

とはいえ弾丸は無限に出る訳では無く、やがて弾切れとなる。その隙をついこうと盗賊が物陰から出てくるが、すぐに眉間を撃たれて死体の仲間入りを果たした。

 

「ナイスタイミングだ、ウェイター」

 

マガジンを交換しながら、レストは後ろでSCAR-Hを構え、モノクルをかけている青年、ウェイターに声をかけるが当のウェイターは呆れ顔で

 

「…レスト、あなたわざと彼らの前で弾切れにさせましたね?私が遅れたらどうするつもりですか?」

 

「お前なら間に合うってわかってたしな。間に合わなかったとしてもあれくらい避けれる」

 

「信頼し過ぎるのも考えものですが?」

 

「わかってるよ…にしても、情報を吐かせる為とは言え、こんな屑を生かしとくなんてな…」

 

床で呻いている盗賊二人を見ながらレストはそう吐き捨てる。そのうちの一人がレストらを見てこう言った。

 

「てめぇのその身のこなし方…それにそいつの格好…!まさかお前ら…せ「あ、そうそう」?」

 

「盗賊は私が先程二人ほど捕まえたので、そいつらは殺していいですよ」

 

「!?」

 

「手際がいいなウェイター。セレクターは…セミオートでいいか」

 

「ま、待っ…」

 

パンパン、と乾いた音が響くなか、ウェイターは階段を見上げていた。

 

「あとは二階だけですか…」

 

そう呟くウェイターが身に纏っているのは、この場所には似つかわしく無い()()()だった。

 

────

 

「お頭、早く逃げ…がッ!?」

 

「1、2の…10人か。で?お頭ってのはお前か?」

 

「くっ……ん?」

 

二階に侵入してきたスミスに歯噛みする盗賊の頭領だったがすぐに起死回生のチャンスがあると確信した。というのも、目の前の彼が持つ銃を見てそう思ったのだった。

 

S(スミス)&W(ウェッソン)M500──世界最強の拳銃として名高い銃だが、その反動の大きさと装填数5発という少なさから実戦向きでは無いものをもっている彼が自分らに敵うはずが無いと、盗賊達は思っていた。

さらに言えば彼はこちらを見ながら窓へ移動していたため、先程のスナイパーから狙撃される心配はほぼ無くなった。

他に何人襲撃者がいるかわからないが、目の前の彼を倒せば流れは変えられる、そう考え頭領はすぐ撃てるよう部下に目配せした。

 

「確かに俺が頭領だが、俺をどうするつもりだ?」

 

「あんたは捕まえる、聞きたいことがあるからな。他は悪いが死んでもらう。どうせ下の二人が何人か拘束してるだろ〜し」

 

「(下には二人いるのか…)そうかい…だが、死ぬのはてめぇの方だ!」

 

そう言うやいなや、盗賊達は手にした銃器でスミスを撃ち抜こうとするがすぐにスミスは左のホルスターから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。放たれた弾丸は命中し、盗賊二人は身体に大穴を開けられ倒れ込んだ。

 

「なッ…!?」

 

盗賊達が呆気に取られている隙をつき、スミスはそのまま銃を()()し、やがて全弾撃ち切る頃には頭領以外の全員が死亡していた。

 

「で?誰が死ぬって?……銃を捨てな」

 

威圧を込めて言ったスミスの一言に、頭領はおとなしく従い、銃を捨てた。

そして、先程の芸当から目の前の彼、もとい彼らの正体を把握した。

 

「てめぇ…いや、てめぇらは……

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()だな…!」

 

ピンポーン♪、とスミスは人差し指を立てた。

 

「その通り、俺は16Lab製男性型戦術人形・S&WM500、通称《スミス》。ちなみにさっきお前らを狙撃してたのは同じく16Lab製男性型戦術人形・バレットM107、通称《バレット》。ちなみに下の二人も出身は違うが男性型戦術人形だ。さて、抵抗されても面倒だし、眠ってもらうよ」

 

スミスは銃のグリップで頭領を殴り倒すと、ガーランド達の拘束を解く。

 

「君達、大丈夫かい?」

 

「え、えぇ…」

 

「なら良かった。あー、こちらスミス。盗賊の頭領を確保。救出対象の三名も無事だ」

 

「こちらバレット。了承した。迎えを呼ぶから全員その場で待機。俺もそちらに向かう」

 

「りょーかいっと。さてと…「あ、あの!」ん?何か用?」

 

「最近グリフィンで盗賊の殲滅や不当に扱われてる人形の救出をメインにしてる部隊がいるって噂になってるのですが、あなた方がその部隊ですか?」

 

ガーランドの質問にスミスは少し間を開けた後、笑って答えた。

 

「その通り。俺たちはD(Doll's)G(Guardian)小隊。人形達を守る人形の部隊だ」

 

 




簡易紹介

DG小隊 : バレットを隊長とするグリフィン本部直轄の部隊。
主な任務は盗賊やテロリスト、人類人権団体の過激派の殲滅及びそれらに捕らわれた人形の救出や各基地の監査など。メンバーは五人で一名を除いて全員が男性型戦術人形という特徴がある。また、全員銃名以外の通称があり、その名で呼ばれることが多い。
名前の意味はDoll's Guardian──人形達の守護者の頭文字である。決してデビルガンダムの略ではない。

バレット(バレットM107):DG小隊の隊長。黒髪でブラウンの瞳をしている。16Lab製の人形であり、それ故に高い指揮能力を持つ。
対物ライフルである本銃を普通に立って連射して正確に当たるという変態的射撃スキルを持っている。

スミス(S&W M500): DG小隊の副隊長。黒みががった茶髪に黒い瞳をしている。バレットと同じく16Lab製。バレットとは反対によく喋る上軽い性格だが、任務はキッチリこなし、口は意外と堅い。本銃を二丁拳銃で連射できる分には腕力があり、それを応用した格闘戦も得意。

レスト(MP5K): 元々はある娼館で男娼用に違法製造された人形という本作ブッチギリの黒い過去を持つ人形。しかも本人の性癖はノーマルなため、所謂レ○ププレイ用という悲惨ぶり。無論、彼の過去に無遠慮に触れようものならもれなく彼の怒りを買うことになる。
その過去故に番号で呼ばれることに忌避感を感じており、小隊内の通称は実は彼のために用意されたものである。DG小隊に入隊したのは娼館時代に自分を"利用"した連中に復讐するためと、自分のような人形を一人でも多く救うためである。人形を弄ぶ連中に対する怒りは小隊一で、戦闘ではR.I.P弾を使用してるほどの徹底ぶりを見せる。
名前の由来は休息を意味するRestより。

ウェイター(SCAR-H): 黒髪のオールバックにモノクル、さらには執事服という見た目から分かる通り、元は資産家に仕えていた執事人形だが、蝶事件後に人類人権団体の過激派に『鉄血工造に出資をしていた』という理由だけで屋敷を襲撃され、仕えていた主人とその家族、さらに同僚の人形を失った過去を持つ。それ故人類人権団体に恨みを持っているが、あまりそれを表に出さない。小隊内では一番製造年が古い。
戦闘では前衛のスミスやレストのサポートを務めており、感情的になりがちなレストを諌めたりしている。
ウェイターという名は執事時代からの名である。

ノア(9A-91): DG小隊の紅一点。元々ははぐれ人形で、盗賊に襲われそうになったところをレストに救出される。その後レストに惚れる形で入隊する。なお、入隊条件で白の膝丈くらいのスカートを着用している。名前の由来は9(ノイン)+Aのローマ字読みという単純なものだが本人は気に入ってる。
レスト自身は最初は困惑していたが、次第に惹かれるようになり今では恋仲になっている。今回の任務ではメンテナンスの為不参加である。
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