それでは本編です。
リバイバーの処遇の経緯だが、まず16Labで彼の武装と体を調べ発信機や盗聴器の類がない事を確認し、また彼の記録を確認し『鉄血内で冷遇されていた』という事実が本当であるか確かめたが、彼の言っていた通りかなり冷遇されていたことがわかった。
また彼の持ってきたデータなども最新のものであり有用性が高く、彼の性能を考えれば殺すには惜しく、だが他の基地に配属するには危険なため監視の意味も含めてDG小隊のサポートチームに加入することに決定したのだ。
とはいえ彼の製造目的が目的なので一定の信頼を得るまで以下の措置をとる事になった。
・任務以外では一切の武装を禁じる
・彼の体内に小型の爆弾と強制停止装置を組み込む事(その際バレットとスミスに各装置の信号を送れるモジュールを追加する)
・外出禁止
・合同任務を除いて彼の本来のターゲットの基地の人間及び人形との接触禁止。また、どうしても接触する場合はバレットとスミスのどちらか、あるいは両方の同伴で非武装で行う事
部屋に来たリバイバーからそれらの経緯を聞き、バレットらDG小隊は幾つか不安があるが納得した。
「なるほど…まぁ妥当ではあるか…」
「ま、そんなわけでよろしくな、『夢殺し』さん」
「夢殺し?」
聞きなれない単語に首を傾げるとリバイバーはそれについて説明し始めた。
「お前さんの鉄血での二つ名さ。ドリーマーを何度も倒してるからな。今は鹵獲したから『ドリームキャッチャー』なんて呼ばれたりもしてたな」
「なるほど」
「それって俺らにもあるのか?」
「お前さん達には無いが…そこのお嬢さんにはあるぜ」
「私、ですか?」
「ああ。『スカート付き』ってのがな。他の9A-91は大体スカート履いてないからな」
それを聞いた時、辺りに微妙な空気が漂っていた。
「…鉄血でも
若干負のオーラを纏いながらノアはそうポツリと呟いた。ちなみに今本来の格好になれるかといえば恥ずかしくて出来ないそうだ。それが普通の反応なのだが
「あー…うん…えっと…」
レストはなんとかフォローしようとするが、上手い言葉が見つからずオロオロしていた。
「いいんですよレストさん…私だってレストさんに会うまではそうでしたから…。ただ、今思うとすごく恥ずかしい格好してたんだなぁって感じてるだけですし…」
「…そろそろI.O.Pに服のデザインについて文句言った方がいいか…?」
「もう手遅れだろ、色々と」
ノアの頭を撫でながらレストが呟くとスミスが率直な意見を述べた。
この状況を作り出したリバイバーは若干気まずい顔をしていた。
「なんか…悪いな」
「あぁ…。それで、俺とスミスとお前はこれからその装置とやらを組み込む訳か?」
「そうそう。ついでに俺の肌も少し手を加えるらしいぜ。せっかくの色白が無くなるのは残念だが、仕方ないか」
その後、バレットとスミス、リバイバーの3人は16Labへ行き、施術を行った。とはいえ、EA小隊のマーダーに組み込まれているものを周波数を変えただけのものを使うためそんなには時間はかからなかった。
リバイバーの見た目も変わり、肌の色は前より人間味のある色白へ、またF.E.F.Gの一つ一つにあった鉄血のロゴも消されるといった変更を加えられた。
「俺に取り付ける爆弾ってさ、どこに取り付けたんだ?」
施術が終わりリバイバーはペルシカにそう尋ねるとペルシカは呆れたような顔をした。
「そう言われて教えるわけないでしょ?何考えてるの?」
「いやさ、万が一攻撃食らったときに爆弾のあるとこに当たって誘爆したらアレだろ?わかってたらその場所避けられるから誘爆してあいつら巻き込む事は避けられるだろ?」
「簡単に誘爆するほどヤワじゃないわよ。それに、教えたところで無理に外すと爆発するから取ろうとしても無駄よ。とにかく、教えないわよ」
「あっそうなの?簡単に誘爆しないならいいや。ま、大体の場所の見当はついてるが」
「あなた随分軽いわね…鉄血にいた時よりかなり雁字搦めだと思うけどそこはどうなの?」
「別に?俺は言わば捕虜なんだからこの扱いは当然だろうに。むしろ仲間なのにあんな扱いしたあっちがおかしいってもんだ」
「施術は終わったか?なら行くぞリバイバー」
「了解了解。てなわけでペルシカ博士、チャオ♪」
バレットとスミスに連れられ、リバイバーは16Labから去って行く。ペルシカはパソコンをいじりリバイバーのデータを眺めた。
「…本当、よく出来てるわね。武装やボディもだけど、AIもウロボロスの時の反省を踏まえて、メンタルモデルが不安定にならないように改修されてる。もし彼が鉄血にいたままだったらかなりの被害を受ける事になってたわね…」
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グリフィン本部 食堂
本部に戻った三人はそのまま食事を取ることにし、食堂へと立ち寄った。
その後リバイバーは自分が頼んだスパゲティを一口食べた瞬間、目を見開いていた。
「…なぁ二人とも。お前さん達はいつもこれを食べているのか?」
「ん?まぁな。たまにウェイターが作ったのを食べたりするがあいつが作る料理も中々美味いぞ」
「ほぉ…!ハイエンド達が軒並み裏切った理由がよーくわかったよ。こんな美味いもん食わされて裏切らないわけがない!」
「そんなに鉄血のメシってマズイのか?」
「マズイなんてもんじゃねぇよ!これに比べたら代理人の作った料理はハイッ‼︎豚の餌ァァァァ‼︎」
どこぞの対宇宙生命体組織のトップ兼警視総監のようなセリフを叫ぶリバイバーを見てバレットとスミスは顔を見合わせた。
「…やっぱあそこの代理人が特別みたいだな」
「だな。あとリバイバー、うるせえ。ここ食堂だからな?」
「あ、すまん」
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一方その頃、レストとノアはある人形と話をしていた。彼女は以前レスト達が娼館から助け出した人形で、偶々二人に出会い今に至っていた。(詳しくはCode-2〜3参照)
「そうか…君は戦術人形の道を取ったか」
「はい。今度は誰かを助けたり守ったりしたいと考えたので。今の私の名前は『サンダー』です」
「その名前なんだが…気にならないか?」
「いいえ。英数字の名前の銃ならともかく、この名前は気にはならないですね。それとレストさん…私を助け出してくれて、ありがとうございます」
そういいサンダーは頭を深々と下げ礼を述べた。
「いやそこまで頭を下げなくていい。君たちを助け出すのが俺らの仕事だしな。何か困ったことがあったら言ってくれ。力になろう」
ありがとうございます、とレストに微笑むサンダーだが、すぐに少しだけ表情を暗くした。
「…聞いた話ですが、最近私と同型の人形が救出されたみたいですね」
救出されたこと自体は良いことなのだが、彼女と同型の人形ということは
「あぁ…答えたくなければ答えなくていいが、君が製造されたとき、他に同型の人形が何人いたか覚えているか?」
「あまり覚えてはいませんが…そんなに多くはいなかったと思います。ですが、あの工場が生きてるとなると…」
「…わかった。それについてはこちらで調べよう。君もこれからが大変だろうけど、頑張っていけよな」
そうサンダーに告げ、レストとノアはヘリアンの元に向かう。
調べによると例の工場は場所を突き止めることができ、すでに違法工場と認定されあとはDG小隊とその他動ける部隊と組んで破壊する予定らしい。
「実動部隊ですが、リバイバーを作戦に加えれば事足りると思いますが?」
「リバイバーをか?だが奴はまだこちらの味方とは…」
「事は急を要します。利用できるのがいればそれを使わない手はありません。それに、これを機に奴が味方かどうか判断するいい機会だと思いますが?」
「もしリバイバーが何かしようとしても隊長さんやスミスさんが行動を制限できるなら問題ないと思います」
「むぅ…確かにそうだが…わかった。責任は私が取ろう。リバイバーを作戦に加えた破壊作戦を近々行う事をバレット達に伝えてくれ」
「「了解‼︎」」
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「え、マジか?俺のグリフィンでの初陣早くない?」
「すみません隊長、勝手な真似を…」
「いや、俺も食事を終えたら進言するつもりだったから大丈夫だ。それとリバイバー。わかってると思うが、こちらの指示に従わない場合はすぐに強制停止、最悪爆破させるからな」
「わかってるよ」
数日後、DG小隊とリバイバーは準備を整えて違法工場へと向かっていく。
その道中、バレットはリバイバーをちらりと見た。
(この作戦でこいつの真意が見えればいいが…油断はしない方がいいな)
Code-Xでリバイバーがいなかったのはこういう理由です。
バイザー水色だっりチャオって言ったりとお前さん呼びと若干エボルトっぽいけど何もかも奴の計画通りとかじゃないからね?本当ですよ?
さて次回、『違法工場をぶっ壊す!』お楽しみに。