DG小隊が出産祝いに行きます。
「そ〜いやよ、D08基地の子供ってもう産まれてるんだっけか?」
彼らはいつものように部屋で過ごしているとふとスミスがそうバレットに尋ねた。
「あぁ。初期の嫁さん達は全員無事出産してるとのことだが、それがどうしたんだ?」
バレットがそう答えるとスミスは頭を軽く掻きながら、
「いやさ、ウェイターの身内が出産したわけだから俺らで出産祝いに行こうかとおもうんだが、どうだ?」
「あぁその事だが、近いうちに行こうと考えていたところだ」
「そうなのか?しっかし、ご祝儀はともかく、何持って行けばいいかね?」
「あの基地もだいぶ外部の繋がりがあるからな。大体のものはあるだろうしな」
「無難に紙おむつやおしりふきとかで良いのでは?あって困るようなものでは無いはずですし」
「まぁそれがベターだな」
ウェイターの提案に他の全員が納得していると、リバイバーが小さく手を挙げた。
「あ〜一応聞くが、俺も行っちゃダメか?」
「「「「「ダメに決まってんだろ(でしょう)」」」」」
「やっぱり?」
「あの基地はハイエンドを多数鹵獲してるし、本来のターゲットだって自分でも言ってたろうが。てか何で行こうと思った?」
「いやさ、人と人形の間にできた子ってのに興味があるのもそうだが、
「…お前本当に鉄血生まれか?」
「AIはな。ボディは一部はお前さんのダミーパーツ、つまりはI.O.P製だし、その影響じゃないかと俺は思うがね」
とりあえず当日はリバイバーはイノセントと共に留守番という事となり、バレットとスミスは出産祝いの品を買いに出かけて行った。
───
「とりあえずはこれくらいで大丈夫か」
「他の基地とかからも贈られてるだろうからな。充分だろ」
買い物を終え、本部へと戻る二人だがその途中でM82A1と鉢合わせになった。
「あれ?姉さん、買い物ですか?」
「あらバレット。まぁそんなとこね。二人はなに…を…⁉︎」
二人の買い物袋の中を見たM82A1は固まっていた。
さて、M82A1が見た今の状況はというと、最近彼女ができた弟が彼の友人と共にベビー用品を大量に買い込んでいた。そして彼女は人形が妊娠できるようになったことは知っている。そこから導き出された彼女の答えはというと
「…バレット、あなたいつの間に…!」
「ん?…何を言って…⁉︎いや、違うんだ姉さん、誤解ですからね?これは…」
「いくら彼女ができたからって、さすがにデキ婚はちょっとお姉ちゃんアレだと思うわよ?まぁあなたの事だからキチンと責任は取ると思うけど…」
「あの、話を聞いてくれませんか?」
「もう何ヶ月なの?結構買ってるけど双子とかなの?あ、性別とかわかったら教えてね?色々用意するから…」
「話を聞いてって言ってますよねぇ⁉︎」
(この二人、揃って下の弟妹には優しいんだな)
結局誤解を解くのに1時間程かかったバレットであった。また、この話をどこからかDSRが聞きつけ、周りにそれを思わせるような態度を取って誤解を広めるのだが、それは別の話である。
───
翌日、DG小隊は本部から出発し、D08基地へと向かって行った。
「向こうには連絡はしてあるのか?」
「あぁ。向こうもこっちのことは前の広報で知ってたみたいだ」
「わかった。…ウェイター、姪っ子に会えるのが楽しみか?」
「ええ。人形の私に姪ができるなんて、思っても見ませんでしたから」
珍しくソワソワしているウェイターにバレットが話しかけるとウェイターはやや照れながらそう答えた。さらに言えば彼はその過去ゆえに新たな家族が増えることが何よりも嬉しいことであったのだ。
しばらくして、基地にたどり着き警備の人形達にIDなどの確認をとり、本人確認が出来たため案内されることになった。
基地内を案内されているなか、男性型戦術人形が珍しいのか非番の人形達かこちらを興味深そうに見ていた。だが彼らは彼らで落ち着かない様子であった。
というのも、この基地に所属している人形は同型の人形に比べてかなりバストサイズがあるため見慣れない彼女達の姿に若干混乱していたのだ。さらにいえば鹵獲しこちらと協力関係にあるハイエンドモデルも普通にうろついてる上に巨乳化しているためさらに混乱に拍車をかけていた。
(あの喫茶店とは別の意味で落ち着かないな…にしても、外の警備はかなり厳重だな。戦車や攻撃ヘリまであるが…これらをどうやってリバイバーは突破するつもりだったんだ?あの兵装と配属予定だった自分の部下を使うにしても結構厳しいと思うが…)
そんな事を考えているうちに応接室まで案内され、中に入るとタカマチ指揮官と赤ん坊を抱えたHK417、もといシーナ・タカマチが席に座っていた。
互いに軽く自己紹介をし、バレットが二人に話しかける。
「この度は御出産おめでとうございます。ささやかですが、ご祝儀と出産祝いの品を警備の人形にお渡ししたので、あとでお受け取り下さい」
「わざわざどうもありがとうございます。それと…以前人形教団から妻達を守ってくれたこと、感謝します」
「いえいえ、部下の身内を守るのは当然ですから」
「あ、そうだ…ウェイター君、FALなら今子供と一緒に部屋にいるから、ステンに案内させるから行って来なよ」
ウェイターはその提案に戸惑ったものの、タカマチ指揮官からも勧められ部屋へと案内されていった。
部屋まで案内されたウェイターがノックをして中に入るとFALが赤ん坊をあやしていた。
「よしよし…あ、あなたがウェイターね。連絡はさっき受けたわ。こっちにいらっしゃい」
「あ、はい。では…」
ウェイターはFALの側まで寄り、赤ん坊を興味深げに眺めていた。
「この子、女の子とは聞いていますが…名前は何て言うんですか?」
「ソフィアよ。ほらソフィア、ウェイター叔父さんよ〜あ、『おじさん』って言うのは気になるかしら?」
「いえ、大丈夫ですよ。初めまして、ソフィアちゃん」
「んぁぅ〜」
ウェイターがソフィアに微笑むとソフィアはウェイターの方へ身をよじらせて手を伸ばした。
「っとと…危ない危ない…。ねぇ、良かったら抱っこしてみる?」
「え?大丈夫なんですか?」
「この様子なら泣いたりはしないと思うわよ」
「…わかりました」
FALがソフィアをウェイターに差し出すとウェイターは慎重に受け取り、抱き抱える。ソフィアは泣き出したりせず、じっとウェイターの顔を見上げていた。ウェイターはそのままゆっくりと体全体を左右に揺らすとキャッキャッと笑い出した。
「随分と慣れているわね」
「民生時代に
「……そう」
『世話をしていた』ではなく『教わっていた』。その言葉から彼の事情を察したFALはこれ以上は何も聞かずに静かに二人を眺めていた。
その時だった。ふいにソフィアがウェイターに手を伸ばして頰をペタペタ触り始めたのであった。
「ん…?」
「う、ぁぅ、あぅあ〜」
「……⁉︎っすみません、ちょっと…いろんなものが…!」
「大丈夫よ…色々あったのね…」
語りかけるようなソフィアの声に、ウェイターは色々なものが胸の中に溢れ出し、顔をそらすと静かに涙を流し始めた。それを見ていたFALは優しく彼の頭を撫でていた。
────
しばらくして落ち着いたウェイターは応接室へと戻ってきた。
応接室ではバレット達が近況報告や世間話をしていた。
「隊長、戻りました」
「ん、わかった。では俺たちはこれで失礼します。タカマチ指揮官、今後何かあったら呼んでください。すぐ駆けつけます」
「了解。こちらも協力出来ることがあれば協力しよう。それと、今回の事も含めた改めてお礼をしに必ず向かおう」
「私達、近いうちにカフェを開くから良かったら来てね!」
「わかりました。では」
彼女達に見送られながらバレット達はD08基地をあとにした。その最中、ウェイターは端末の画面を眺めていた。そこには先ほど撮ったFALとソフィアの写真が写っていた。
「ウェイター、だいぶご機嫌だな」
「ま、家族が増えたんだから当然だろうな」
(家族、か…)
「ん?どうしたノア?」
「あ、いえ…なんでもありません…」
一方、リバイバーはというと…
「ねぇねぇリバイバー、もっかいチェスやろー?」
「か、勘弁してくれイノセント…(何で見た目も中身も幼女なのに頭脳はそのままなんだよ…)」
イノセントにチェスで何度もフルボッコにされていた。
ここからCode-Xへと繋がって行きます。
ほとんどウェイターメインになってしまった…ホント、あんな事させてごめんよウェイター。
タカマチ指揮官の口調がやや不安だけどどうですかね?
一応言っておきますが、リバイバーはチェスがクソザコであって指揮能力とかはそれなりにあります。
スミス「てことは彼女が出来ない確定未来は過ぎ去ったじゃんヤッター!」
出来るとは言ってないがな
スミス「ゑ?」