人形達を守るモノ   作:NTK

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今回は独自考察多めですのでご了承ください。


Code-35 エリザについて

「リバイバー、ちょっと来い」

 

「え?何何何⁉︎」

 

リバイバーが部屋でゆったり過ごしていると突然バレットとスミスが部屋に押し入り、両腕を掴んで部屋から連れ出した。

当の本人は何故こうなっているのか心当たりがなく、慌てていた。

 

「俺をどこに連れてく気だよ⁉︎」

 

「会議室だ」

 

「なら連行しなくても自分で行くから離してくれ!てかなんで連れ出す⁉︎DSRにお前さんがパパ疑惑持たれたこと話したことだとすれば随分な目に遭わすなオイ!」

 

お前か犯人は。それじゃないが、それに関してはあとで話そうか」

 

しばらくして三人は会議室に着き、扉を開ける。そこにはペルシカとヘリアンの他に、クルーガーの姿まであった。

 

「社長さんまでいるとは、かなり重大な用件で俺を連れてきたわけか」

 

「…まず確認するがリバイバー、君の言う『エリザ』というのは我々のいう『エルダーブレイン』で間違いないかね?」

 

クルーガーの質問にそうだ、とリバイバーが答えると次にヘリアンが彼に質問した。

 

「以前貴様が話したエリザの情報はあれで全てでいいんだな?他に隠してたりはしていないか?」

 

「あれで全部だ。なぁ、さっきから一体何なんだ⁉︎あのクソガキの事と俺がここに呼ばれた事に何の関係がある?」

 

苛立ちを含めながらリバイバーが問うとペルシカが説明し始めた。

リバイバーが脱走する少し前にS09P基地の指揮官が電脳内でエリザに襲撃された。その後エリザからの干渉はなかったのだが、のちの調べで襲撃して来たエリザの素体に彼女のオリジナルの遺体が使われている可能性が高いと判明した。そのためそれについて何か知っていないか襲撃の後で脱走してきたリバイバーに話を聞くというわけであった。

話を聞き終わり、リバイバーはしばらく黙ったあと、口を開いた。

 

「なぁ、襲撃に来たのは奴一人か?」

 

「ええ。そう聞いているわ。それがどうかしたの?」

 

「…俺の製造目的が裏切り者狩りなのは知ってるな?その中には当然支配者(ルーラー)…そっちの指揮官も含まれていた…あと、俺の少し前に脱走した彼女のクローンの生き残りもな。だが知っての通り彼女には俺たちハイエンドの反応を見る力がある。だからこっちの動きが丸わかりになる。実を言うとその襲撃はS()0()9()P()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「っ⁉︎詳しく聞かせてもらえる?」

 

リバイバーか言うにはまずエリザが電脳内で彼女を襲撃、その混乱に生じてリバイバーが基地司令部を狙撃、その後ドリーマー、イントゥルーダー、アルケミストがそれぞれの部隊を率いれ基地とその周辺の街を襲撃する予定だという。

その際に基地には『傘』入りナノマシンを入れた特殊砲弾、街には崩壊液汚染された物質を入れた砲弾をジャガーで多数撃ち出し散布、万が一失敗しても生き残った人形は『傘』でこちらの支配下に、街の人間はE.L.I.Dに感染させてミュータント化すれば甚大な被害を与える事ができ、さらには基地にAR小隊が居ればそれらも打捕できるといった作戦であった。

 

「だが、肝心の電脳内での襲撃は本来なら奴の高い演算処理能力を活かして、悟られるのを承知で襲撃する予定のはずだ。遺体使って素通りするなんて少なくとも俺は聞いてない」

 

「しかもその襲撃された日って俺の実戦テストの前だろ?しかも単機で。あいつがそんな事するなんざあり得ないぜ。第一、あのクソガキが興味ある人間は自分の『パパ』だけだ。自分のボディに人間の遺体を素体にするわけがない。多分襲撃したそいつはあのクソガキが彼女への襲撃用か気まぐれで造ったダミーか何かだ」

 

「ふむ…あなたもその考えってわけね。じゃあ次に、仮にそのエリザがダミーだとして、彼女の目的は何かわかりそう?」

 

ペルシカの質問に再びリバイバーは考え込み、やがて顔を上げて答えた。

 

「考えられる可能性は二つ。一つは単なる脅しと挑発だ。彼女の目をスンナリ通り抜けられる事から『いつでも殺せる』という意思表示と襲撃して向こうが自分の事を調べるよう仕向け、その過程で自分のボディにオリジナルの遺体を素体にしてる事を知らせて向こうを挑発して弄ぶっていう計画。もう一つが、そのダミーがなんらかの問題が起きて本体の制御から離れた結果、勝手に襲撃したパターンだ」

 

リバイバーの話に全員が考えを巡らせる。前者はエリザがダミーに指示してS09P基地に襲撃させた事となりエリザとダミーが繋がっている事になる。その場合再び攻勢に出た際より規模の大きい襲撃を行う可能性がある。後者ならダミーの独断行動となり、その場合は以前と同じ規模の襲撃を行う可能性がある。

 

「それと、俺が脱走したタイミングと襲撃のタイミングが近いから俺がエリザと繋がってるんじゃないか疑ってるんだろうけど、俺の記録を見たんならその可能性は無いのはわかってるだろ?」

 

「まぁそれはわかってるけど、一応ね」

 

「そもそも俺みたいに裏切り者狩りを行うハイエンドを製造すること自体がおかしいと思わないか?」

 

「ん?どういう事だ?」

 

「考えてみな。蝶事件の時あのクソガキは全ての鉄血人形に人間を殺せって命令を下せたんだぜ?そして命令を受けた鉄血人形達は全員がそれに従った。それまでの人間達の関係性を無視してな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その言葉に全員がハッとなった。確かに蝶事件はエリザがきっかけで起きた事だ。裏切り者が出たならそのハイエンドに再び命令を下せばいい話である。全鉄血人形に下せたならハイエンドに命令を下すのは容易な事だろう。それをせずに態々リバイバーを製造したのには疑問があった。

 

「おそらく、作戦指示の命令なら下せるが直接介入して今目の前にいる人間を殺せといった命令はできない状態じゃないかと俺は考えている。または、そういった命令を下せるには条件がある、もしくは命令に回数制限があるかだ」

 

「なるほどね…ありがとう。その件も踏まえて向こうに伝えておくわ」

 

「あ、なら俺の事は《シスタス》ってコードで頼む」

 

「シスタス?…わかったわ」

 

その後幾つか確認事項を行いリバイバーの尋問は終了した。

 

「以上で質問は終わりだ。リバイバー、協力してくれて感謝する」

 

「なら社長さんよ、もうちょい俺の行動制限を緩和してくれないか?」

 

「それはこれからの君の行動次第だ」

 

「へいへい。あ、そうだ」

 

会議室から出て行く直前で、リバイバーは振り返った。

 

「彼女は鉄血に対する切り札(ジョーカー)なのには変わらない。だがジョーカーはポーカーじゃ持ってりゃ強い手札だが、ババ抜きや七並べだと持っていた奴が負ける。お前さん達がやっているのがポーカーである事を祈るよ。チャオ♪」

 

そう言い残してリバイバーは会議室から出て行った。

バレットは先ほどリバイバーが言っていた言葉について考えていた。

 

(あいつ、ここまでベラベラ喋るなんて、多少は信用していいかもしれないが、あいつが言っていた《シスタス》ってコード…どういう意味だ…?)

 

シスタス、それはゴジアオイの学名であり花言葉は……

 

 

 

 

 

 

《私は明日、死ぬだろう》




いやね、ちょいと『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん‼︎』のとこで確実にリバイバーに尋問しなきゃいけない動きがあったので拾わせて貰いました。焔薙様、何か問題あったら修正します。

Q.随分エグい作戦考えるねお前?

A.だってこれくらいやらないとしくじったら確実に地獄の果てまで追いかけ回されるじゃん。

角砂糖とカビをローマにばら撒いた元医者「一般人に危害加えるなんてなんて酷い野郎だ」

お前には言われたか無い。

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