今回ちょっと小ネタがあります。
マーダーにお灸を据えた後、バレット達はこのあとどうするか考えていた。
ペイロードが帰って来るまでまだ時間があるため、それまでお灸を据えたとはいえ、トラブルメーカーで知られるこの二人がここで大人しくしている可能性は低く、彼らが色々と疲れる事になるのは明らかであった。どうすべきか考えていると、一枚のチラシが目に入った。
どうやらここから少し離れた場所で催し物が開催されているらしい。
「なぁ、これはどうだ?」
「ん〜悪くはないが、余計トラブル起こさないか?」
「ですが、このままここに居させるよりは良いでしょう」
「それに、疲れさせてペイロードが帰るまで寝かしとく事も出来るし、俺は良いと思うが」
決まりだな、とバレットが決断し、二人に話しかけた。
「なぁ二人とも。こういうイベントがあるんだが、行ってみないか?」
「ん〜?面白そう!行く行く!」
「…まぁ暇つぶしにはいいわね」
「イノセントは?」
「ん〜いいや。リバイバーと遊んでる」
ボディにバレットのダミーパーツが入ってるせいか、イノセントにとってリバイバーはバレットの次にお気に入りのようであった。また、リバイバーのほうも先ほど子守はごめんと口では言っていたが、ちょくちょくイノセントの面倒をみたり言うほど嫌ではないようであった。
「わかった。リバイバーを今呼ぶから、リバイバーが来たら行くか」
その後リバイバーを呼び出し、一行はイベント会場へ向けて出発していった。
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イベント会場
会場は人や人形で賑わっており、出店やライブステージが設置されていた。
ちょうどライブステージではお笑いライブが行われており、一人の男が芸を披露しようとしていた。
「腹筋パワー‼︎」
そう叫ぶやいなや男はポーズを取り、腹筋周りのパーツをパージさせた。どうやら彼は民間の男性型人形らしい。正直芸の方はバレット達には理解出来なかったが、何故か会場は大ウケであり、バルカンも腹を抱えて笑っていた。
「ははははは‼︎お腹が、お腹がバーンって!はははは‼︎」
「…最近のお笑いはよくわからないな」
「というより、あんな人形I.O.Pで造ってたか?」
「多分、個人製作の人形とかでは?」
「あれ再利用出来なかったらコスパの悪い一発芸になるな…」
その後男の芸は終わり、お客さんが彼に先ほど飛ばしたパーツを手渡していたあたり、どうやら再利用出来るらしい。その後次のプログラムが始まるが、それと同時にステージから煙が噴き出し、辺りは煙で白くなった。
Oh……Yes……
そう声が聞こえると同時に煙からシルエットが浮かび上がる。
やがて煙が晴れ一人のこれまた男性型人形が現れる。しかし、その見た目は一般的な人形のように人間に似た姿ではなく、どちらかと言えば人型のロボットのようであった。
「ハーイ会場のダーリン達!今日はボクに会いに来てくれてありがとー!お礼にドラマチックで、ロマンチックかつバイオレンスなスペシャルダンスを披露しちゃうよ!ミュージック・スタート!」
〜BGM『Death by Glamor』〜
ノリの良いBGMと共にその人形は踊り始める。腕関節の構造が人のそれと違うのか、自由自在に腕を曲げてポーズを決め、華麗なステップで観客を魅了していった。バレット達はダンスについて詳しくないが、素人目に見ても上手いことは理解していた。
「あれも個人製作の人形か…あの腕の構造、どうなってるんだ?」
「あれくらいの技術がある開発者なら噂になると思うが…無名の天才って奴か?」
バレットとスミスが話す中、ウェイターはマーダーに話しかける。
「…先ほどから黙っていますが、面白くありませんか?」
「ううん、面白いよ。でもそこのバカみたいに笑い転げたりはしゃぐのが嫌なだけよ」
「そ、そうですか…(今はショーに夢中ですが、バルカンが聞いてたらケンカになってましたね…)」
マーダーのいう事は半分は本当の事だが、もう半分は今この場でポーチの中にいるGを解き放ったらどうなるか考えていたが、すでにGはすべて逃されているし、もし仮にやったとしたら間違いなくまたバレットにお仕置きされるのは明らかであった。普段なら平気なのだが、幼児化している今ではバレットに苦手意識があった。なのて頭の中でシミュレートするだけにしていた。
やがてショーは終わり、バレット達は近くで開かれている屋台に立ち寄ることにした。
「ねぇバレット!あれやりたい!」
「ん?射的か。マーダーはどうだ?」
「そうね…やるわ」
「わかった。すみません、二人分お願いします」
バレットが料金を払い、二人は空気銃を構えた。
戦術人形に射的はかなり有利なのでは感じるだろうが、実はそうではない。彼女達は普段から本物の銃を扱っているため、空気銃では軽く、感覚も違うため例えライフル人形でも上手く当たらないことがある。
ましてやこの二人は幼児化してる上にガトリングを使う人形のため余計に当てづらくなっていた。
「ねぇマーダー、どっちが多く落とせるか勝負しよ!」
「いいわよ。負けて大泣きするんじゃないわよ?恥ずかしいから」
「言ったな〜!」
二人は空気銃を構え、それぞれ狙いを定めて引き金を引いた。
勝負の結果、二対二で引き分けとなった。
「あーあ、最後のアレを落とせたら勝ってたのにな〜」
「私だって、二個取りが上手くいけば勝ってたわよ」
「まぁまぁ、楽しめたんならいいじゃないか」
景品のお菓子を食べながら、二人はバレットと共に徒歩で帰っていく。それを遠くからじっと見つめる複数の人影がいることには誰も気がついていなかった。
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「だいぶ暗くなってきたな」
「あとはペイロードが帰るまで待つだけだが、あれだけはしゃいでたんならもうトラブルは起きな…あれ?バルカンは?」
スミスがそういうとバレット達は辺りを見渡すが、バルカンの姿がどこにも見当たらなかった。
「まさか、はぐれたのでは?」
「おいおいマジか…」
「早いところ見つけるぞ。レストとノアはマーダーとここにいてくれ。俺たちで探しに行く」
「わかった」
「了解です」
バレット、スミス、ウェイターの三人は来た道を戻り、バルカンを探し始めた。一方当のバルカン本人は路地裏にいた。
というのも少し前に野良猫を見つけ、バレット達から離れてそれを追いかけていったのだが、最終的に野良猫が塀の上にいったところで周りに誰もいない事に気づいた次第であった。
「どうしよう…早く戻らないと皆に怒られちゃう…!」
バルカンは慌てて路地裏から出て行こうとする。するとその時、何者かに羽交い締めにされ、猿ぐつわを噛まされた。
「んむぅ⁉︎」
「まさか向こうから一人になるとはなぁ。おかげで楽に捕まえられたな」
「つか、本当にこいつバルカンなのか?明らかに見た目がガキだが…」
「あぁ間違いねぇ。多分実験か何かでこうなったんだろ」
バルカンを捕まえたのは先ほどから離れて尾行していた男たちであった。どうやら口ぶりからして人権団体の過激派らしい。
「で?どうするよ?」
「決まってんだろ?散々こいつに仲間を殺られた分、ボロボロになるまで犯り返したあとバラして売っ払うんだよ。見た目が変わっちまてるが、好きな奴は好きだろ?」
「なら俺が今犯っていいか?金髪幼女って好みなんだ」
「好きにしな」
「ん"ー‼︎ん"ー‼︎」
バルカンは暴れて抵抗するが、幼児化してる体のため、拘束を解くことは出来ずにいた。男の一人が下卑た笑みで手を伸ばしてバルカンの服を破こうとしたその瞬間──
ドゥン‼︎
銃声が聞こえ、男の手のひらの半分ほどが吹き飛んだ。
見るとスミスが銃を構えて立っていた。
「─ッガァァァ⁉︎」
「怪しいと思って跡をつけたが…何してるんだお前ら?」
「ひっ…⁉︎」
「DG小隊…!」
「ガキに手ェ出してんじゃねぇよペド野郎共がッ‼︎」
そう叫ぶやいなやスミスは男たちに走り寄る。男たちは血相を変えて奥へ逃げ出すが、その先は行き止まりであった。
その後何度か殴打音と悲鳴が聞こえたあと、スミスが戻ってきてバルカンの猿ぐつわを外した。
「…大丈夫か?」
「…っ!わぁぁぁ‼︎スミス、怖かったよ〜‼︎」
スミスが声をかけるとバルカンは泣きながらスミスに抱きついた。スミスはバルカンを撫でながらバレットに連絡を入れた。
「よしよし、怖かったな…バレットか?こちらスミス、バルカンを保護した。危うく人権団体に拉致されそうになってたが、無事だ」
「了解。…で、そいつらは?」
「一人片手吹っ飛ばしてあとは全員殴って気絶させた。何か情報を持ってる可能性があるからな。一応奴らの服で縛り付けてるが、早いとこ来てくれ。場所は…」
「わかった。本部に連絡しておこう、とりあえず俺たちもそっちに行くから待っててくれ」
「了解」
その後、バレット達と本部の人形が到着し、男たちは連行された。泣き疲れたバルカンをスミスがおぶってバレット達は本部へと帰還していった。
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バレットは迎えに来たペイロードに今回の事を伝えていた。
「そんなことが…」
「とりあえずメンタルの方は大丈夫らしい。二人は今寝てるからマーダーを俺が連れてくからバルカンを頼む」
バレットとペイロードは二人を抱えそれぞれの部屋に寝かせておいた。
「今日は本当にありがとね、お兄ちゃん」
「あぁ。また何かあったらいつでも言ってくれ」
「うん…」
「…?どうしたペイロード?」
どこか様子のおかしいペイロードにバレットがそう尋ねるとペイロードは慌てて手を振った。
「う、ううん!なんでもないよ!」
「そうか?ならいいが…」
「じゃあ、おやすみお兄ちゃん」
「おやすみ」
バレットはそのまま部屋へと戻っていった。彼が真実を知るのはだいぶあとの事であった。
ショーにいた二人は知ってる人は知ってます。
一人目はともかく二人目はどうやって来たんだと思ったけど多分崩壊液で結界が消えたんでしょ(適当)
さて、どうやってバレットに真実伝えようかな〜♪
oldsnake様、今回の事が二人にどう影響するのかはとりあえずぶん投げておくので任せます。